転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
今回は三作品を更新します。


66 懸念

翌日 マルタ島鎮守府 工廠

 

 

 

「ドーリットル空襲か……嫌な話だ」

 

暇を持て余す高塚は工廠でノンビリと見物しながら呟いた。

高塚としてもドーリットル空襲は外せない話である……関係無いとは言え、本国に防空を担当していたのは先輩である陸軍航空隊と高射砲・機銃隊なのである。

幾ら自衛隊で、更に野戦特科と高射特科の違いがあるとは言え、始まりは一緒であるし、そもそもにおいて国を護る人間からすれば兵科所属など関係はない。

更にドーリットル空襲では爆撃後のB-25の防御旋回機銃による地上掃射で男子小学生が死亡するなど、後の本土空襲の前触れとも言える事項も発生している為に高塚としても苦々しい事であった。

 

 

(マルタ島は第二次大戦で『第2のバトル・オブ・ブリテン』を経験しているから、まあ、大丈夫だろうが……だが、空爆を許せば不味い。その反動の焦りがミッドウェイの敗戦に繋がる一因になった事を考えればそれを繰り返す事になりかねない。深海棲艦が相手なら、滝崎みたいに事前に警戒網を敷いて網を張り、引っ掛かった瞬間に叩き潰すのがいいが……狭いとは言え地中海、島であるなら四方八方に網を張れるかと言えば……難しい)

 

思考能力を最大限に動員し、脳内で図上演習を繰り広げる高塚。

 

 

(……困難ではあるが、どちらにしろ、阻止しないとな。これは軍人として…元陸自隊員としての責務だからな)

 

 

「あ、あの…憲兵さん?」

 

羽黒に声を掛けられたので顔を上げると羽黒の他に明石、夕張、工廠妖精達、長門、クレマンソー、龍驤、皐月が高塚の周りを囲んでいた。

 

 

「………どうしました?」

 

 

「どうしました、って呑気やな〜。さっきと表情が逆転しとるわ」

 

 

「さっきは深海棲艦でも逃げて帰る様な鬼の形相をしていたのだがな」

 

 

「『鬼のダウー将軍』でも見てるのかと思いました」

 

 

「憲兵さん…怖い」

 

龍驤がツッコミ、長門が呆れながら説明し、クレマンソーが自分の言葉で表現し、皐月が実直な感想を述べる。

 

 

「…………ガチですか?」

 

 

「「「「「「「「「うん、ガチ」」」」」」」」」

 

全員からツッコまれ、「しまった」とばかりに高塚は頭に手を宛てる。

 

 

「MPは朝から悩み事か?」

 

そう言われて羽黒達と共に振り向くとエーディトが軽くエンジンを掛けてケッテンクラートを押しながら工廠へ押して入って来た。

 

 

「よう、エーディト。どうしたんだ、朝から?」

 

 

「我が海兵隊の生活・宿泊施設も整ったから、本日より私を含めた司令部小隊が鎮守府に詰める事にした」

 

 

「あー、了解、了解。で、そのケッテンクラートは自家用?」

 

 

「そうだが……手入れしようにも出来なくてな…」

 

 

「はい、はーい!! 代わって手入れしまーす!!」

 

そう言って夕張が勢い良く手を挙げる。

 

 

「おいおい、夕張、装備とケッテンクラートは訳が…」

 

 

「いや、構わんぞ。どうせ、オーバーホールする時期でもあるからな」

 

 

「いいのかよ…」

 

 

「じゃあ、私も参加」

 

 

「我ラモ加ワルゾ!」

 

 

「「「「「「「オー!!」」」」」」」

 

これに明石、工廠妖精達も加わり、エーディトの説明を聞き始めた。

 

 

 

暫くして 松島宮執務室

 

 

 

「ドーリットル空襲…か」

 

 

「あぁ、君もその場に居たから解る筈だ」

 

滝崎から一通りの説明を受けたエーディトは説明を聞き終えて頷きながら呟いた。

 

 

「あのMPが鬼の形相で考えていた事はその事か」

 

 

「高塚もか…あぁ、その通りだ。深海棲艦相手だと四方八方を警戒しないといけないからな」

 

 

「確かにな……そうなると、網を張る方が…」

 

 

「いや、あの時は経路を知ってたから罠を張れたけど、今回はわからないし、勝手が違う」

 

 

「だから、今は貴女に話しておくぐらいしか出来ないのよ。エーディト」

 

滝崎の発言に補足する形で松島宮が言った。

 

 

「まあ、可能性が高いとは言え憶測でマルタ政府を動かす訳にもいかんからな…マルタが幾度も似た様な目に遭ってると言えどもな」

 

 

「日本国内なら日本各地の戦力で哨戒網を作れるが…マルタ島周辺となると周辺国の協力が必要だ」

 

 

「ならば、正式な形式を取るならスペイン・フランスの提督を通じて両国と周辺国が共同して哨戒網に構築……うん、今からなら到底間に合わんな。2人が此処にいたら、2人を基点に対処出来るが…」

 

 

「いまは無理だ。まさか、『早く返せ』と言う訳にもいかんからな」

 

 

うんうん、とエーディトと松島宮は頷きあう。

そして、滝崎は……

 

 

(手詰まりか……後は此方が敵の攻撃前に察知出来るかどうか、か)

 

天井を見ながら内心で呟いた。

 

 

 

 

「……ドイツ海兵隊ってバイクは自己所有なの?」

 

エーディトがケッテンクラートを預けた後、夕張や明石達がケッテンクラートを弄っている途中にドイツ海兵隊の偵察・伝令要員達が整備隊と共に工廠へとやって来た。

そして、整備隊と明石達がケッテンクラートとバイクを整備し、皐月が海兵隊員達(なお、全員女性)の相手をしていた……中々、人気者である。

そんな光景を見ながら高塚ぎ呟いた。

 

 

「そこは自己裁量だ。実際、司令官はケッテンクラートで移動する事が多いからな」

 

その呟きに『秘書艦として工廠の使用許可を取りに来た』グラーフ・ツェッペリンが答えた。

 

 

「なんだそりゃ……まあ、それでいいなら、いいけど」

 

 

「そもそも、我が隊は予算が少なかったからな」

 

 

「少なかった? まあ、確かに装備を一通り見たら個人装備は置いとくして、戦車はレオパルド2A4の増加装甲型、自走砲はM109、歩兵戦闘車はマルダーだしな。明らかに中古品をまわされました、って感じだな」

 

 

「あぁ、そもそも、何も無い状態からの海兵隊設立だったからな。艦娘の『ちょうど良い押し付け場所』だった」

 

 

「なんともまあ……だが、お陰で面白い事になってるぞ?」

 

 

「……ふむ、確かにな」

 

 

 

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