翌日 マルタ島鎮守府 松島宮執務室
「申告します。練習巡洋艦香取以下5名、マルタ派遣部隊着任致しました」
香取に合わせ敬礼する舞風達。
「着任を確認した。昨日は到着前に御苦労だったな」
答礼しながら昨日の労を労う松島宮。
「いえ…あっ、本土の技術本部より、これを預かってまいりました」
そう言って香取はUSBメモリーを松島宮へ渡した。
「これは?」
「大淀、並びに明石の艤装です。漸く調整が完了した為、そのデータが入っています」
「わかった。後で明石に渡して早速、艤装を完成させよう。ハーマイオニーさんはヴァリアントさんが現在、イギリス隊を指揮しています。彼女の指揮下に入って下さい」
「わかりました。ありがとうございます」
次にハーマイオニーの処置を手早く終わらせる。
「さて、次は……」
「マサロウ〜〜、久しぶり!!」
ドアを開けたと同時にそう言いながら滝崎に抱き付くレナータ。
そして、それを呆れながら見るエーディト、「ダメだこりゃ」と言いたげな高塚。
「レナータ、お前は少しは自重と言う事を知れ」
「えー、別に良いじゃないのよ〜〜」
エーディトの苦言にも滝崎に抱き付いたままのレナータ。
「やめとけ、エーディト。このタイプは満足するまで放っておくのがいいんだよ」
「慣れた様な口振りだな?」
「レナータなんてマシマシ。陸自の頃は古参なのを嵩に着る陸士長の先輩や同期が好き勝手にしてたよ。バカみたいだから付き合わなかったけど、向こうから迷惑も考えないで絡んでくるからウザかったね。高校生以下の精神年齢か、って内心思ってたよ。いや〜、真面目は大変だわー」
高塚の物言いにレナータも興味を持ったのか視線を向ける。
「あら、日本海軍の男性将校はマサロウだけの筈だけど?」
「あぁ、すまない、紹介をしないとな。レナータ、あいつは元陸自特科隊員、現日本陸軍から『憲兵』の名目で派遣された高塚健治だ」
「階級は少佐、滝崎とは親戚だから、そちらさんの事も知ってるよ、好い人のレナータさん。まあ、水上機からF35になってるのは驚きだけど」
「マサロウの親戚なら歓迎するわ。よろしく」
松島宮が紹介し、本人は補足を入れ、レナータは納得した様に滝崎から離れて右手を出す。
「で、お前は何を持って来たんだ?」
「どれも独自開発の新人よ。ヴィトリオ級戦艦2番艦リットリオ、4番艦ローマ。空母アクィラ、ザラ級重巡洋艦1番艦ザラ、3番艦ポーラ、マエストラーレ級駆逐艦3番艦リベッチオの6人。通常戦力として軽空母1、駆逐艦1、フリゲート2、F35が16機、搭載の艦載ヘリ。以上が私の指揮下にある『イタリア統合打撃艦隊』の戦力よ」
「艦娘が無いなら、通常戦力を出そう、か?」
「そう言う事。あっ、あと、後日イタリアから国家憲兵隊『カラビニエリ』の特別編成部隊が派遣されるわ。とりあえず、マルタ政府からの要請でね」
「俺の仕事が増える『嬉しい』話題だな」
苦笑いを浮かべる高塚だった。
暫くして……
「ところで、昨日の『あれ』。東京空襲よね?」
香取達を退出させ、神鷹の紅茶で一息吐く面々。
そこにレナータが昨日の戦闘を持ち出した。
「間違い無く、ドーリットル東京空襲だな。まあ、残念ながら、今回は成功もしてないし、かと言って引き摺り込まれて罠に嵌った訳でも無く、偶然の組み合わせだけどな」
「そうだな。香取達が『偶然』接触した事、レナータ達が近くに居た事…これは偶然だな」
高塚の意見にエーディトも賛意を示しながら言う。
「それにあの後にドロップしたのは…」
「エンタープライズ、ホーネット、ナッシュビルの3隻だな」
松島宮の言葉に滝崎が言った。
「となると、次は珊瑚海・アリューシャン・ミッドウェイ・キスカ撤退戦の四本複合形になるのか?」
「いや、多分、ソロモン・ガダルカナルの戦いも入る可能性が高い。なにせ、地中海南部はアフリカ大陸だ。彼処にソロモン戦に合致する場所が無い」
「確かにね〜。しかも、今回は北は北でも霧も悪天候も少ない場所だしね」
高塚の言葉に滝崎が反応し、レナータも呟く。
「はぁ、高塚では無いが、頭の痛い話題だな」
「しかも、作戦は出来るのに、肝心のギリシャがあれじゃあね…」
エーディトの言葉に続き、松島宮の発言に一同深い溜め息を吐く。
「……とりあえず、フランス・スペイン組が帰ってきたら、連携訓練を中心に訓練をやっていこう」
「そうだな。俺も警衛の編成や調整、間延びの行軍訓練もしないとな…カラビニエリが来るなら、それの準備も必要だし」
「まあ、結局、それくらいしかやる事がないな」
滝崎、高塚の言葉に松島宮がそう言って閉めた。
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