数日後 マルタ島近海
「うーんと…戻ったら報告して、羽黒達と間宮行って…」
「……凄く馴染んでますね、エクゼターさん」
「さすが、ドイツ海軍と日本海軍と戦った猛者ね」
スペイン〜マルタへの航路上でエクゼターを旗艦とした遠征部隊が航行していた。
編成はエクゼター、瑞穂、エミール・ベルタン、皐月、長月、菊月の6人、遠征任務は『輸送船護衛』である。
「瑞穂は護衛任務が終わったらどうするの?」
「私ですか? 私は…コマさんと一緒に間宮に行こうかと」
「いいな…私も誰か誘ってマミヤに行こうかな?」
そんな会話を交わすエクゼター達の後ろで皐月達も会話を交わしつつ、ソナーにも注意をはらう。
そして、菊月が叫ぶ。
「魚雷発射管解放音! 来るぞ!」
「皐月達は散開! 残りは周囲警戒…」
そうエクゼターが命じた時、後方で水柱が上がった。
「……魚雷命中音と爆発音を確認…撃沈されたようだ…」
ソナーで撃沈を確認した菊月が驚きを混ぜた声で報告する。
「で、でも、誰が攻撃を? 私達は何もしていませんし…」
皆が思った疑問をエミール・ベルタンが口にする。
しかし、その問いの答えは攻撃をした者が出した。
『護衛任務中の艦娘隊の指揮官へ。こちら、イギリス海軍駆逐艦『ユリシーズ』。深海棲艦の潜水艦を発見・撃沈した。そちらでも確認出来たか応答してもらいたい』
そうエクゼターの着けているヘッドセットから聞こえてきた。
その頃 マルタ鎮守府 松島宮執務室
「大天使フブエル、ありがとう!!!」
「あ、あの、司令官…は、恥ずかしいです」
そう言って松島宮は吹雪に抱き付き、頬擦りしながら頭を撫でる。
それを滝崎、高塚は呆れた様子で話す。
「いや、色々と気持ちはわかるんだけどさ…」
「こいつはな……何ともな…」
なぜこうなったか……実は久々に滝崎が建造を認めた為、松島宮は通常建造と大型建造を行なった。
最初の通常建造で出てきたのは吹雪、その後に大型建造で山城、金剛、赤城と出てきたので……この調子である。
「Ho、テイトク! ブッキーばっかり狡いデース!」
「滝崎副官、扶桑姉様は何処ですか!?」
「副官、加賀さんは居ますか?」
そして、金剛は松島宮、山城と赤城は滝崎に殺到する。
「おー、もてもてだな〜」
「助けろよ、バカ」
そんな軽い冗談を飛ばしていた時、大淀が入ってきた。
「提督、護衛任務部隊からです。潜水艦の襲撃に遭うものの、イギリス海軍駆逐艦の攻撃で魚雷発射前に撃沈された、と」
「通知通りね。まあ、その前に助けられたど…さて、歓迎の準備よ。金剛、着いて来なさい」
「YES! テイトクと私の時間ネ!」
「さて、ウチらも準備するか」
「準備ね……何するんだ?」
「……飯かな?」
「飯かよ」
暫くして 埠頭
「イギリス海軍レベッカ・ディングリー中佐です。本日よりマルタ島鎮守府でお世話になります。そして、こちらが…」
「ロイヤル・ネイビーのウォースパイトです。よろしく、皆さん」
ユリシーズから降りて来たレベッカとウォースパイトが出迎えた松島宮に挨拶した。
「マルタ島鎮守府提督の松島宮少将よ」
「同じく提督付き副官の滝崎大佐だ」
「同陸軍出向憲兵の高塚少佐。よろしく。他の各国に提督達は演習やら何やらでここにはいないが、後で紹介するよ」
「そうなの…まあ、仕方ないわね」
「では施設の案内でも…」
そう言って滝崎が案内しようとした時……
「ノルウェー沖での一件以来かしらね、滝崎大佐」
オールドレディことウォースパイトがわざとらしく言った。
「ノルウェー沖で帰りの航空機燃料を分けていただきましたね」
「うふふ、そうね。でも、未だに松島宮殿下のサポート役なのね」
「その方が性分にあってますので」
松島宮、高塚は会話の内容を把握しているので平然としているが、レベッカは訳が解らず混乱しながら滝崎とウォースパイトを交互に見るしかない。
「貴方の詳しい事はフッドから聞いたわ。あと、モーバラル公からも」
「まあ、なんと言っていたかある程度想像出来ますが…」
「その想像通りね。そして、こうも言っていたわ。『明晰で強い意志を感じる敵に回したくない若者』」
「まあ、過大評価な気もしますが…」
「でも、こうも言っていたわ。『瞳の奥に制御された狂気があった』とも」
「…………なんでそうなる?」
「「いや、知らんよ(つーか、わかるだろう)」」
ウォースパイトから狂気云々を言われた滝崎は松島宮と高塚の反応は
「自分で考えろ」と言うものだった。
「その反応が素なのか、作り物なのか…まあ、その答えはともかく、貴方なら安心ね、滝崎さん」
「あはは、お手柔らかにお願いします、オールドレディ」
ウォースパイトの言葉に苦笑いを浮かべながら滝崎が言う。
「……あ、あの、オールドレディ? いったい何の話なのか私にはサッパリ…」
「貴女も滝崎大佐を見てればその内わかるわ、レベッカ。とりあえず、お手並み拝見ね」
色々と含んだ笑みを浮かべながらウォースパイトが言った。
「ところで、甘味処間宮は営業しているの?」
「していますよ。絶賛人気営業中です。食べに行きますか?」
「是非!!」
高塚の答えにウォースパイトは目を煌めかせながら言った。
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