緋弾のアリア 残念な武偵   作:ぽむむ@9

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第22話です。


…またも更新が遅れてしまいました。
本当にお待たせいたしました。
…というか、待ってくださった方。
握手してください。



今回は主にアイツとの最終決戦です。
…思ったより強くて、かなり悩みました…。


第22話 じゆうをもとめて

『紅鳴館』から出た私達は、そのまま武偵高の制服に着替えて。

理子ちゃんが指定した、十字架の受け渡し場所に向かっていました。

その指定された場所とは…横浜ランドマークタワーの、屋上。

そもそも立ち入り禁止の場所ゆえ、フェンスすらない危険な場所…。

 

私達が屋上に着くと、既に着いていた理子ちゃんがこちらに駆け寄ってきました。

 

「詩穂ぉーっ!会いたかったよーっ!」

「わわ、ちょっと理子ちゃん!」

 

ぽふっ、と理子ちゃんは私に抱きつくとそのままぎゅーっと私を抱きしめます。

 

ぎゅぅぅぅぅ…。

 

押し付けられる胸がグニュグニュと変形します。

正直腹立たしいというか何と言うか…。

身長と胸を私にも分けてくださいというか…。

 

…とりあえず、理子ちゃんを引き離しましょう。

話が全く進みません。

 

「理子ちゃん、とりあえず離れてください…。」

「…うぅ、はーい…。」

 

理子ちゃんは割と素直に離れてくれます。

…そして。

 

「…はい、理子ちゃん。十字架です。」

 

理子ちゃんに今回盗んできた十字架を手渡しました。

…青い、小さな十字架。

 

「わぁ…!」

 

理子ちゃんは短く歓喜の声を上げると、恐る恐る、といった感じで十字架を首から下げていたチェーンに付けます。

 

「…キーくん、アリア、詩穂…!ホントーに、ありがとう…っ!」

 

そして、数歩後ろに下がると頭を深く下げました。

…私たち、3人に向かって。

 

「な、何よ、急にしおらしくなっちゃって…。これは任務だからいいのっ!」

 

アリアさんが照れたように返します。

その光景は、かつて生死をかけて争った事があるとは思えないぐらい…平和で、優しい光景。

照れ隠しのようにアリアさんは言葉を続けます。

 

「そんなことより!あたし達との約束、覚えてるわよね?ちゃんと…守りなさいよ?」

「うん!もちろんだよ…!」

 

理子ちゃんは花が咲いたような笑顔で顔を上げました。

 

「全く…これで、一件落着だな。」

 

キンジ君も概ね満足なのか、ヤレヤレ、といった風に顔を綻ばせています。

…結果的には、私達で盗んだ、みたいになっていますが。

キンジ君が全部やった、といっても過言ではありません。

 

「理子ね…ほんとは、アリアを倒さなきゃいけないの。でも、やっぱりそれはやめにする。詩穂が言ってくれたもの。きっと、別の方法があるはずだから…!」

 

理子ちゃんは私達に正面から向き合い、言葉を紡ぎます。

その言葉は…仲直りの言葉。

きっと、そういうものです。

 

「さあ、帰ろ!理子たちの場所に…!」

 

まるでこれから何もかも上手くいく。

そう思えるくらいのまぶしい笑顔の理子ちゃんの顔は。

 

 

 

 

 

 

バチッッ!!

 

 

 

 

 

「…ぐッ!?」

 

電撃が弾けたよな、短く鋭い音に掻き消されました。

 

「な……なんで…お前が…!」

 

背後をゆっくりと振り返った理子ちゃんは。

ドサッ、とその場に倒れ伏します。

…一体、何が…!?

 

「さ…小夜鳴先生…!?」

 

アリアさんの声で、現状をようやく私は理解します。

 

アリアさんに呼ばれた小夜鳴先生は、何故か理子ちゃんの背後に立っていました。

その手に持っていた大型のスタンガンを地面に放り捨てると、懐から拳銃を取り出して倒れた理子ちゃんの後頭部に銃口を当てます。

 

それは…私達に、動いたら殺す、という脅しでした。

あまりの急展開と唐突な危機感に…私達は、動けなくなります。

 

「…どういうことですか?小夜鳴先生…。」

「茅間さんほど優秀な方なら、わかるでしょう?この…意味が。」

 

『紅鳴館』にいた頃となんら変わらない笑顔で、私に笑いかける小夜鳴先生。

しかし…その手には、拳銃。

強襲科の教科書に載っていた、その拳銃は…確か、『クジール・モデル74』。

少し昔にルーマニアで生産されていた、珍しい拳銃です。

 

「グルルルル…。」

「…ルルルゥゥ…。」

 

小夜鳴先生の背後から、更に灰色の何かが現れました。

…それは、いつしか保健室のとき見かけた…。

コーカサスハクギンオオカミ。

それも、2匹も。

 

オオカミの片方は理子ちゃんの武装…ワルサー2丁とナイフを理子ちゃんから器用に奪い…ビルの外に、落としてしまいます。

 

「おっと。3人とも動かないでください?この2匹は、少しでも近づこうとするとそちらを襲うように教えてありますから。」

 

…教えて、ある。

これの意味するところは、すなわち…!

 

「保健室をオオカミに襲わせたのは…小夜鳴先生、だったんですね…!」

「お3方の『学芸会』よりかは、マシな演技だったでしょう?」

 

クスクス、と笑う彼は…。

どこか、冷徹なものを感じさせました。

そして私達の潜入作戦もバレていたみたいですね…!

…そりゃ、わかりやすいしなんとも雑な演技だった事は認めますけども!

 

「ふふ、あなたが考えた作戦なんて所詮こんなものだったんですよ…リュパン4世。」

「……!!」

 

リュパン、4世。

もはや驚く暇もない…事実。

彼女がリュパン4世であることは、限られた一部の人間しか知らないはず…!

 

「なんで…なんで、アンタが知ってるのよ!まさか、アンタがブラドだったの!?」

 

アリアさんが少し興奮気味に『小夜鳴先生=ブラド』説を提唱します。

しかし。

 

「彼はまもなく、ここに来ます。それまで…動かないでくださいね?」

 

残念ながら、ハズレのようです。

アリアさんは自分の推理が外れてしまったことに少し顔を赤くしながら。

 

「そ、そう。それにしてもよくも騙してくれたわね?アンタはブラドに会えない…だなんて。」

「騙していたわけではありませんよ?私と彼は、会えない関係にあるのです。」

 

アリアさんが頑張って小夜鳴先生を追及しますが…悉く、流されてしまいます。

…しかし、この期に及んで彼がウソをついている風にも見えません。

これは…一体…?

 

そんな状況下、小夜鳴先生は時間稼ぎのためか…話を始めました。

 

「茅間さん…ここで1つ、あの時の話の続きをしましょう。」

「あのとき…?」

「ええ。『紅鳴館』であなたが質問してきたときのこと、ですよ。」

 

おそらく、10日目の夜の夕食後に交わしたあの議論のことでしょう。

一刻も早く理子ちゃんを助けなければいけないのに…人質を取られているせいで、身動きが取れません。

 

「遺伝子とは、気まぐれなものです。優性遺伝や劣性遺伝があるように…子に引き継がれるべき優秀な遺伝子と、そうでない遺伝子があります。」

 

小夜鳴先生は理子ちゃんを見下すと、そのまま話を続けます。

 

「昔、ブラドに頼まれて調べた事があるのですが…リュパン4世は、そういった遺伝に恵まれなかったのです。」

「や…やめ、ろ…!」

 

小夜鳴先生の足元で、呻くように声を発する理子ちゃん。

スタンガンの痺れが回復していないので、声を上げることすら困難な状況のはずなのに。

 

「この子には、リュパン家に生まれながらも一切優秀な遺伝子が遺伝されていなかったのです。遺伝的にこの子は…『無能』、だったんですよ。」

「う…うぅ…!」

 

理子ちゃんは、絶望的な表情で嗚咽を上げました。

…友人に、ライバルに、親友に…聞かれたくなかったと。

絶対にそんな屈辱的なことは許されなかった…と。

 

「残念でしたねぇ、4世さん?あなたは、『無能』なのです。優秀な遺伝子を持たない人間は、どんなに努力したって…限界など、たかが知れているのですよ、4世さん?」

 

サディスティックな笑みを浮かべ、理子ちゃんを徹底的に罵る小夜鳴先生。

まるでゴミを蹴るかのごとく…理子ちゃんの頭を、何度も蹴り、踏みにじります。

その姿に、薄ら寒さを感じました。

どこまでも執拗に、辛辣に…。

 

「人間は遺伝子で決まる。それはあなたが一番理解しているはずでしょう?無能な、4世さん…!」

「い、いい加減にしなさいよっ!!」

 

その光景に耐えられなくなったのは、アリアさんでした。

たとえ元敵であり、親の仇であったとしても…。

彼女の正義感が、そうさせたのでしょうか?

 

「どうしてそこまで、理子を…ッ!」

「絶望が、必要なんですよ。彼は絶望を糧に、やってくる…!」

 

―ゾクッ!

背中に悪寒が走りました。

と同時に…空気が、張り詰めていくのを感じます…。

 

「遠山くん。よく見ていてくださいね?あなたなら…わかるでしょう?」

 

空気が、冷たく、強い気配を纏っていく…!

気圧されるような、強烈な威圧感…!

 

まるで…これは!

キンジ君のヒステリアモード…!

 

「き…キンジ君、まさか…!」

「…ああ、間違いない…!」

 

キンジ君は驚きの表情を浮かべながらも…確かに、肯定しました。

 

「遠山くん、神崎さん、茅間さん。しばしお別れの時間です。その前に、少しだけ…イ・ウーについて、教えてあげましょう。」

 

強烈な威圧感の中…小夜鳴先生は、語り始めます。

彼がイ・ウー関係者であることは明白でした。

 

「イ・ウーはお互いの技術を教えあう場所。そう、4世かジャンヌ・ダルク30世から聞いているでしょう?しかし、それは低級階層たちのおままごとに過ぎません。イ・ウーの上層部では、もっと高次的な能力のコピーをしているのです。」

 

彼の『講義』は続きます。

その間にも…どんどん、小夜鳴先生の存在感が、膨れ上がっています…!

 

「ブラドは、今まで優秀な能力をコピーして生きてきた。その技術を私がただ単に一般化し、人工的にしたまでです。」

「…聞いた事があるわ。イ・ウーでは、人の能力をコピーする新しい方法を持っている、と。」

 

アリアさんの発言に、しかし彼は首を横に振ります。

 

「技術自体はブラドが600年も前から行っていたことです。他者の優秀な遺伝子を奪い、進化する…『吸血』という、方法でね。」

「…『吸血』…!」

 

その言葉で、確信しました。

ブラドの、正体は…!

 

「やはり、ブラドの正体は…『ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ』…!」

「その通り。茅間さん、正解です。」

 

小夜鳴先生はおどけたように答えました。

そしてそのまま、話を続けます。

 

「それからというもの、私は優秀な遺伝子を集めることも仕事になりました。この前武偵高に行ったときも血を集める予定だったのですが…遠山くんのせいで失敗していましたね?」

 

…それは、きっとオオカミが窓ガラスを破ってきた時のことを話しているのでしょう。

おそらく、彼は…血から遺伝子を回収して、その能力をコピーする技術まで持っている…!

 

「そして、この力は…ヒステリア・サヴァン・シンドロームは、遠山金一武偵から拝借したものです。」

 

これで、更に遠山金一…その人が、イ・ウーにいることまでもが確定しました。

しかしこの発言に対し、キンジ君は首を横に振ります。

 

「いいや、そんなはずはない…!兄さんの能力をコピーしたなら、なぜ…理子を、傷付ける事が出来るんだ…!?」

 

…そう。

ヒステリアモードの性質の1つは。

『女性に対して優しくなること』…!

今、理子ちゃんを足蹴にしている彼の姿とは矛盾してしまいます…!

 

「…良い質問ですね。最後に、答えてあげましょう。」

 

小夜鳴先生は理子ちゃんからようやく視線を外し、私達に視線を向けます。

もう…理子ちゃんを虐げるのは充分だと、言わんばかりに。

 

「はるか昔…『吸血鬼』という生物がいました。彼らは他の生物の血を『吸血』することによって進化し無限に生きる…そういう生物でした。しかし、無計画で野蛮な吸血鬼たちは次第に無計画に他の生物の血を吸い続け…結果的に、滅んでしまったのです。ただ1人、『ブラド』を除いて。」

 

小夜鳴先生の話など、もう頭に入ってこないくらい…彼の存在感が、圧倒的なものになっていきます…!

 

「ブラドは『ヒト』の血を偏執的に吸ってきたことによって知性を得ました。そして計画的に吸血を行うことで、屈強な固体として生存し続けてきたのです。」

 

まるで昔話をするかのような彼の口調はおどけています。

 

「しかし、ブラドは知性を保つために…『ヒト』の血を吸い続ける必要があったのです。やがて彼は『ヒト』の血を吸い続け…私という殻に閉じこもることでしか生活できなくなってしまったのです。」

 

彼は…小夜鳴徹は。

ブラドの、仮想人格(タルパー)に近い存在…!

これから、起こることは…つまり。

 

「ブラドが私の中から出現するためには…激しい興奮、すなわち神経分泌物質が脳内に大量に分泌される事が条件でした。そして、そこに現れたのが…遠山金一武偵、でした。」

 

いつの間にか、空は暗雲に包まれています。

…まるで、これから起きようとしている悪夢を示唆するかのように…。

 

「…遠山くん。先程の質問に答えて差し上げましょう。私はそもそも人間ではありません。よって、人間のメスは…生殖対象ではないのですよ。」

 

ガッ!

と、理子ちゃんの頭をひと蹴りすると…小夜鳴先生は、恍惚とした表情で両手を大きく掲げました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 さぁ かれが きたぞ 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の存在感が、人間のものではなくなった。

そんな感覚すらあるくらい、強烈な感覚に支配されます。

生物的な…恐怖を。

 

バキッ…!バキバキ…ッ!!

 

「なんだ…あれは!」

 

キンジ君の驚きの声が上がる中、小夜鳴先生の体は。

 

『変化』していました…!

 

バキバキッ…!

 

肉体は膨れ上がり、身に纏っていたスーツは裂け。

瞳は黄金を示し、巨大な…3mはあるんじゃないかというぐらいの巨体。

 

まさに――化け物。

 

「はじめまして、だな…人間ども。」

 

低く、聴いた者を萎縮させるような…不気味な声が響きます。

 

「今のオレは、ブラドだ。」

 

もはや、疑いようのない事実。

私達の目の前に立つのは…化け物!

 

「4世。久しぶりだな…イ・ウー以来か?」

「う…っ!」

 

太く、巨大な右腕で…ブラドは理子ちゃんを持ち上げます。

 

…そして、その瞬間。

 

ガン、ガン!

 

アリアさんのガバメントが火を噴きました。

ブラドの一瞬の隙を突いて放たれたその銃弾は正確にブラドの腹部・右腕を1発ずつ撃ち抜きます。

 

…しかし。

 

「なっ…!」

 

呻いたのはアリアさんでした。

彼の腕を貫通したはずの銃創は…シュウウウウ、と赤い煙を上げ。

何事もなかったかのように完全に塞がってしまいました。

同様に腹部も即座に修復され、まるで傷1つ付きません。

 

ブラドの黄金の瞳が…アリアさんを見据えます。

 

「ホームズ…。お前は、リンゴを握り潰せるか?」

「そ…それがどうしたって言うのよ…?」

 

…いけるんですか、アリアさん…。

 

「人間の頭なんぞ、オレにとってはそんなもんなんだよ。だから…こんなチャチな武器(モノ)に頼る必要なんざねぇ。」

 

ブラドは理子ちゃんを持っている手とは別の手で…。

クジールを、メキメキッ…と握り潰してしまいました…!

 

鋼鉄で出来た拳銃を、まるで紙で出来た玩具を握り潰すかのように…。

こんなとんでもない握力…。

理子ちゃんの頭も、それこそリンゴの如く潰されてしまうでしょう。

 

「…檻に戻れ、繁殖用牝犬(ブルード・ビッチ)。お前の居場所は…狭くて汚い、檻の中にしかないんだよぉ!」

 

ゲゥゥアバババババババ!!

 

明らかに人間のものでもない、ブラドの嘲笑が響きます。

理子ちゃんは瞳をキツく閉じ…しかし、その涙は止まることはありません。

 

「少し放し飼いにしてみても面白いと思ったが…結局、無能を証明しただけだった。お前は本当にマヌケで無能だが…良い遺伝子を持っていることには違いねぇ。交配次第ではいい5世が生まれるだろうよぉ!!」

 

ゲハハ、グァババババ!!

 

ブラドは笑う。

理子ちゃんを、4世と、ただのDNAだと罵ります。

…理子ちゃんは、だからナンバリングされていたものが嫌いだったんでしょうか…?

 

「…理子ちゃん…!」

 

私は、情けない声で…それでも、理子ちゃんを呼びます。

 

「理子ちゃん…!理子ちゃん!」

「…し………ほ……!!」

 

理子ちゃんは、涙を堪えきれずに泣きながら。

しかし、しっかりと。

 

「あり…あ…!きんじ…!」

 

震える声を、絞り出すように。

 

 

 

 

 

 

「…たす……け…て…!!」

 

 

 

 

 

 

「言うのが遅い!!」

 

理子ちゃんの声を聞いてすぐに、アリアさんはロケットの如く飛び出しました。

左右のオオカミの足を2丁のガバメントで打ち抜き、即座に無力化します。

そしてブラドに突っ込んでいきます…!

 

「ガキが…遊び方を教えて欲しいみたいだな。」

 

ブラドは笑いながら、アリアさんを無防備に迎え撃ちます。

やはり…彼は。

 

自分が決してやられないことを自覚している…?

 

「…っち!」

 

アリアさんがバスバスッ!と銃弾を理子ちゃんに当たらないように正確に当てますが…。

先程当てたときのように、赤い煙を上げて即座に回復してしまいます。

アリアさんはそれでも諦めず、様々な角度から立ち回り撃ち続けます。

 

…私が、今出来ることは…!

 

「…キンジ君!薬を飲んでください!」

 

役に立たない私に出来ることは。

キンジ君に…正確にはヒステリアモードのキンジ君に頼ることでした。

 

「あ、ああ!」

 

今回は緊急事態だからか、キンジ君も即座に対応してくれます。

錠剤型のHSS促進剤を…ゴクリ、と飲み込みました。

 

…よ、よし。

あとは、えっちい事を…!

 

「きっキンジ君!」

「………!」

 

キンジ君もこれから私がやろうとしていることを理解しているのか、少し身構えます。

 

…キスとかは恥ずかしくて出来ませんけど…!

言葉を…言うくらい、なら…!

 

「…帰ったら、理子ちゃんと一緒に…ご奉仕してあげても、いいんですよ…?」

「ご…ご奉仕、って…。」

「その…キンジ君の、好きなことを…させて、あげます…っ!」

 

顔を真っ赤にして、軽く理子ちゃんを巻き込みつつ…なんとか言い切ります。

キンジ君は内容を理解したのか…一瞬顔を赤くし、そしてすぐに。

 

「…そういうことを、軽々しく口にしてはいけないよ。詩穂はレディなんだから。」

「キンジ君…お願いします。理子ちゃんを、助けてください…!」

 

キンジ君は軽く頷くと、アリアさんとブラドのほうに…即座に駆け出しました。

私は今行っても…というか、いつ行っても足手まといになるでしょうから…。

悲しいことですが、戦いの場で無駄な判断ミスは死を招きます。

ここは、保険役(セーバー)としていつでも手助けが出来る位置で身構えるべきです。

 

そう思って背中の刀と銃に手を伸ばし…。

そして制服のポケットに何かが入っていることに気付きました。

 

「…これって…。」

 

取り出してみると…小指の先程しかない、小さな黒い機械でした。

…叶さんからもらった、小型発信機兼盗聴器…。

 

『何か厄介ごとに巻き込まれたら…起動してくれ。』

 

叶さんの言葉。

今、これを起動したところで…叶さんは、明音さんは助けに来てくれるのでしょうか?

ブラドはイ・ウーのナンバー2。

叶さんと明音さんもまた、イ・ウーのメンバー…。

つまり、スパイとしてイ・ウーにいる彼女たちは、助けに来てくれないかも…。

 

…いえ。

今は、どう考えてもマズイ状況です。

私はそっとスイッチを起動しました。

 

お願い…叶さん、明音さん…!

私の大切な人を、助けに来てください…!

 

「…ぐっ!?」

 

向こうで、ブラドの叫び声が聞こえました。

見るとキンジ君はブラドの手首をバタフライナイフで切り裂き、理子ちゃんを救出していました。

 

…今、彼が斬ったのは手首の筋肉。

短掌筋や長掌筋などの握力を司る筋肉です。

そして、その行為によってブラドの握力が緩み、その隙に理子ちゃんを素早く救出したみたいです。

 

…つまり、ブラドは吸血鬼といえど、人間と筋肉の位置は変わらない、ということでしょうか…?

人間の血を偏執的に吸った所為なのでしょうか…?

 

「…詩穂っ!」

 

キンジ君の鋭い声に、反射的に体が動きます。

理子ちゃんを抱きかかえるキンジ君のほうに駆け寄り…。

しっかりと、理子ちゃんを預かります。

 

「…理子ちゃんを看病しています。」

「ああ、任せる。」

 

短いやり取り。

しかしお互いの意思は通じ、お互いに背を向けます。

…キンジ君はアリアさんの援護に。

私は、理子ちゃんと共に…。

 

この状況を何とかするために、一旦退きます。

 

 

 

 

 

 

 

ヘリポートの大きな段差の陰。

そこに抱きかかえていた理子ちゃんを降ろすと、即座に簡易的に理子ちゃんに処置を施します。

 

「ごめんなさい、理子ちゃん…。看護科(メディカ)ではないので簡単なことしか出来ませんが…。」

「し…詩穂…。」

 

とりあえず、スタンガンの分の痺れは引いているようなので…。

目立った外傷がないことに安堵しつつ、ブラドに掴まれていたことで出来ていた爪の痕のような傷を止血します。

…本当に大した傷が無くて、よかったです…。

 

「理子ちゃん、動けますか?」

「う、うん…。そんなことより…!」

 

理子ちゃんは力無く起き上がると、震える声で訴えかけます。

 

「アリアとキンジを、退かせて…!ブラドには、勝てない…!」

「理子ちゃん…。」

「過去、曾お爺さまでも勝てなかったんだ…!どうやっても、ムリなんだよ…生き延びるには、ここから逃げないと…!」

「理子ちゃん。」

 

怯える理子ちゃんの言葉を遮ります。

 

きっと、無謀なのでしょう。

きっと、危険なのでしょう。

きっと、無様なのでしょう。

 

…でも、それでも。

 

「理子ちゃん、そんなことはありません。なんとか、なります。」

「そんな無茶な…っ!」

「今から考えましょう。なんとかする、方法を。」

 

理子ちゃんはおそらく、心の底からブラドに縛られている。

これを何とかするためには…逃げては、いけない。

 

「理子ちゃん、信じてください。理子ちゃん、負けないでください。私に、キンジ君に、アリアさんに…力を、貸してください…!」

 

理子ちゃん。

強くて、可愛くて、でも実は照屋さんで怖がりで…。

でもやっぱり、私よりも強く生きている、理子ちゃん。

 

そんなあなたを、心から助けたいから。

私では、力になれないかもしれないけれど…。

 

あなたを、助けたい…!

 

「詩穂…。うん、私…!」

「…理子ちゃ、うあっち!?」

「え!?な、なに、どうしたの詩穂!?」

 

折角良い感じのシーンの中。

唐突に背中に熱湯でも入れられたかのような熱が走りました。

急いでその熱の原因を探り…取り出してみました。

 

「…こ、これって…。」

 

――私としては、この前のように色金鎮女が光っているものだと思いました。

…しかし。

 

「…私の、銃…?」

 

それは確かに、私の銃でした。

ワルサーの銃身を長くしただけ…みたいな、変な形の銃。

その長くしただけの銃身が…。

 

青く、蒼く、揺らめくように光っています…。

 

「…ねぇ、詩穂。」

 

理子ちゃんはこちらを、真剣な表情で見つめます。

その瞳に、意思を宿して。

 

「やっぱり、『理子』は詩穂を信じたい。私がこの世で、一番信頼していて、一番好きな人で…一番、頼りたい人だから。」

「…はい。」

「…その銃、光ってるね…。」

 

理子ちゃんは視線を私の銃に移します。

…どこか、懐かしむように。

 

「…見て、詩穂。」

 

理子ちゃんは首から下げた青い十字架をそっと持ち上げます。

 

「…ほら、おんなじ色。」

「…はい。同じ、色です…。」

 

その輝きは私の銃とそっくりそのまま、同じ輝きを放っていました。

青く、優しく、包み込むように…。

 

「お母さまがくれた十字架が、光ってる…。」

「…はい。」

「がんばれ、って。優しい…お母さまの声が…聞こえる、気がするの。」

「…理子ちゃん。」

 

理子ちゃんは十字架を握り締めます。

その顔は…もう、怯えも不安も躊躇いもありませんでした。

 

「…詩穂。ブラドを倒す方法を、1つだけ知ってる。」

 

理子ちゃんはもう、迷わない。

私ももう、迷わない。

そう、信じましょう。

 

「ほら…あいつの体に目玉模様があるでしょ?」

「…本当だ…。」

 

アリアさんとキンジ君がブラドを相手に立ち回る中…。

私は、ブラドの体を注意深く観察します。

すると…見えました。

左右の肩と右の脇腹に、白い目玉模様のようなものが。

 

「あの模様の下に、『魔臓』っていう吸血鬼独特の臓器があるの。それがアイツの無限回復能力を支えている。」

「…そんなものが…。」

「ただ、『魔臓』はよく出来てる。『魔臓』が1つでも残っていると、他の『魔臓』も1秒以内に修復しちゃうんだ…。」

 

…つまり。

同時に、破壊しなければいけないということ…!

 

「あの…3つの目玉を…一気に、ですか。」

「ううん。4つ…4つ、あるんだ。」

 

…4つ?

…改めてブラドの体を観察しますが。

 

…うーん、やっぱり3つしか見当たりません。

 

「…3つしか、見えませんけれど…。」

「最後の1個は、見えない位置にあるの。目で追うとバレるから…その1個は、私がやるよ。」

「…でも理子ちゃん、銃は?」

「あるよ。お母さまと同じ場所に、1つだけ、1発だけ隠してあるの。」

 

…やるべき事が決まりました。

そうすると、残る問題は…。

 

「アリアさんとキンジ君に、一体どうやってこれを伝えればいいんでしょう…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詩穂→アリア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…戦況は、芳しくなかった。

 

「…っく!」

「ゲハハハ!!オラオラどうした、威勢がいいのは最初だけかぁ!?」

 

キンジが加わることで何とかブラドを抑えているけど…。

無限の回復能力の所為で、ジリ貧もいいところ。

 

「キンジ!なんとか…何とかしなさいよッ!」

「アリア、落ち着いてくれ…おそらく詩穂と理子が動いてくれるはずだ。それまで何とか…っ!」

 

ガギンッ!ガギンッ!

 

あたしの両方のガバメントから嫌な音が鳴った。

…弾切れ。

すぐに新しい弾倉(マガジン)を取り出そうとして…気付いた。

 

「キンジ…!もう弾が切れたわっ!」

「…っく!」

 

あたしの銃はキンジや詩穂と違って.45ACPを使用するから、弾をもらうことも出来ない。

…あたしはもう、小太刀で戦うしかなくなった…。

けれど、明らかにブラドの巨体相手に接近戦を仕掛けるのはマズイ…。

万事休す、かしら…。

 

「アリア、一旦退こう!」

「わかったわ!」

 

降り注ぐブラドの巨腕を避け、少しだけ距離をとる。

 

「………ふん。」

 

ブラドはあたし達を一瞥すると…。

こちらに背を向け、大きなアンテナのほうへ歩いていった…。

 

…背を向けるなんて、よっぽどあたしたちは舐められてるようね。

 

「…アリア。ブラドには、4ヶ所の弱点がある。」

 

キンジは今のうちに作戦を立てようと考えたのか、あたしに話しかけてくる。

ブラドは依然…アンテナのほうに、歩いていく。

 

「弱点、ですって?」

「ああ。その4ヶ所を…同時に、攻撃するんだ。そうすれば倒せる。」

「ど…どこで、聞いたのそんなこと…。」

「ジャンヌだ。詳しくは、後でな。」

 

ジャンヌ…って確か、逮捕されたはずじゃなかったかしら…?

…今、そんなことを考えている暇は無い。

あたしはキンジの言う、弱点を探した。

…そして、さっきから気になっていた白い模様を3つ、見つけた。

 

「…もしかして、あの目玉模様のこと…?」

「ああ。間違いない…。」

「でも3つしかないじゃない。」

「最後の1個の場所は…わからないんだ。」

 

わからない。

…これじゃあ、弱点を狙えない…!

 

「…戦いながら探すしかない。アリアはブラドの攻撃を引き付けてくれ。」

「…うん。わかったわ、キンジ。」

 

…でも、キンジ1人では確実に4つ同時に破壊は出来ない…。

あたしが小太刀で2つはいけるにしても、失敗したらブラドの大打撃を食らうことになる…。

キンジのナイフとベレッタで残り2つをぴったりやれば…あるいは。

 

「…こんなことなら、弾を残しとくんだったわね。」

「今更悔いても仕方ないさ。なんとか…するしかない。頑張ろう、アリア。」

「…そうね!」

 

不思議と、『この』キンジなら信頼できる。

彼がなんとかする、って言ってくれれば…なんとか、なるかもしれない!

 

…よし、勝ち目が見えてきた…。

これで…!

 

バギンッ!!

 

ちょうどよく、ブラドのほうでも動きがあった。

5mはあろうか、巨大なアンテナを…。

へし折り、槍のように構えていた。

 

「…人間を串刺しにするのは久しぶりだが、コイツで充分だろう…。」

 

ブラドはニタニタ、と笑いながらこちらに話しかけた。

ズン、ズン…と地響きを鳴らしながら、こっちに歩いてくる。

 

「…だが、ホームズが相方といる時は警戒しろって昔聞いた事があるんでな…!」

 

ブラドはそういうと、大きく体を反らし…。

 

「ワラキアの魔笛に酔え…!」

 

ズォォォォォ…!!

 

と、息を大きく吸い込み始めた…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリア→詩穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブラドはアンテナをへし折り、アリアさん達の前で立ち止まりました。

…何かを2人に向けて言っていたようですが、詳細はよくわかりません。

 

…そして、途端体を大きく反らせました。

 

「……あ、あれは…!」

 

理子ちゃんが隣で小さく呟きます。

そして。

 

…ズォォォォォォ!!

 

こちらにまで音が聞こえるくらいのすごい勢いで、大きく、大きく…息を、吸い込み始めました。

胸が風船のように…膨らんでいく…!

 

「詩穂、耳を塞いで!」

 

両手で耳を押さえた理子ちゃんが、鋭く言い放ちます。

 

「え…えっ?」

「いいから!」

 

よくわからないですが、私も強く耳を押さえました。

 

…次の、瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

ビャアアアアァァアヴィイイイイイ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鼓膜を突き破るような、体全体を揺さぶるような。

…音なんて、生温いくらいの巨大な波動が。

強風よりも強い衝撃が。

全身を、襲いました。

 

「!!??」

 

その衝撃は恐ろしく。

私は瞼をきつく閉じ、眼球が飛び出さないように。

鼓膜が破れないようきつく耳を手で塞ぎ。

内臓がひっくり返らないよう、体を丸めて。

本能が体を守るように指示しているみたいに…。

 

…………………。

 

その巨大な音は、一瞬にも数十秒にも感じました。

音が、止み。

恐る恐る目を開き、戦況を確認します…。

 

アリアさんとキンジ君は…。

 

キンジ君は怯えたように顔を伏せ、その場に座り込み。

アリアさんは…倒れて、いました。

一目見てピンチだとわかる光景。

 

…よくわからない状況ですが。

私の体は、即座に動き出していました。

 

「しっ…詩穂!?」

 

理子ちゃんの制止の言葉も、今だけはスルーです。

ごめんね、理子ちゃん。

 

「…あぁん?お前は…。」

 

私は2人のところに辿り着きました。

キンジ君とアリアさんの前に、立ちはだかるように。

刀と青く輝く銃の一剣一銃(ガン・エッジ)で。

 

「……なんだ、よく見たら4世と仲良ししてるゴミじゃねぇか!」

 

グゥバババババ!

 

ブラドが巨体を揺らして笑います。

 

「4世なんかよりももっと価値のねぇ…無名のゴミが。ゴミはゴミらしく、ガラクタ(4世)と仲良く逃げ出したとでも思っていたぜぇ…!」

 

…とことん、血筋しか見ていないようですが…。

私が無力なのも事実。

私は、無力です。

…でも。

 

「…ブラド。あなたは1つだけ勘違いしていますよ。」

「…あんだと?」

 

普段の私だったら、きっと足が震えて縮こまっていたことでしょう。

…今だって、足はガクガクと震えています。

 

…でも、私は。

 

「理子ちゃんはそれでも、あんなにも強かったんです!あなたという存在に負けないで、今までもこれからも強く…!!」

 

 

 

「うるせぇ。」

 

 

 

ブォンッ!

 

私の言葉を遮り、ブラドはその大きな鉄槌…折ったアンテナを、横薙ぎに振るいました。

当然その範囲内は私がいて。

咄嗟に右手の刀でそれを防いでも、吹っ飛ばされて。

刀は真上に弾き飛ばされ、銃だけはしっかりと手に持って。

 

まるで、ゴミを払いのけるかのように振るわれたその一撃は。

 

屋上から、宙に。

私の体を舞わせていました。

 

 

 

 

 

 

…もう何回目になるのでしょうか、落ちるのは。

私はよく高所から落ちますね…。

にしても、ブラドのあの一撃を受けても折れないなんて…。

流石は白雪さん公認のイロカネシズメです。

 

…ああ、私、死ぬんだなぁ…。

 

今度は上から助けてくれるアリアさんも、下で優しく受け止めてくれるキンジ君もいません。

 

…終わった。

私の長いようで短い人生は、幕を閉じます。

…せめて、理子ちゃんともう一度。

お話し、したかったなぁ…。

 

 

 

 

 

…屋上から飛び降りる、誰かの影。

その誰かはまるで忍者の如くビルの側面を走り…。

落下する私の近くに迫りました。

 

…その影はきっと、私の親友。

 

「詩穂ぉぉぉぉぉっ!!」

 

髪をバタバタと靡かせながら、ビルの壁面を走っていたのは。

…やはり、理子ちゃんでした。

自在に髪を動かす不思議能力で、おそらく上手くバランスを取っているのでしょう。

ものすごい安定感で、壁面を地面を走るが如く駆け下りてきます。

 

…とうとう私と並んだ理子ちゃんは。

ダンッ!と壁を蹴り、私のほうに飛んできました。

 

そしてそのまま…。

ギュ、と私と正面から抱き合います。

 

「…り、理子、ちゃ…。」

「…詩穂。今度は私が、助ける番だよ。」

 

理子ちゃんは微笑むと、制服のブラウスのヒモを引っ張りました。

すると。

バサッ…バサバサッ!

制服にあしらわれたフリルが音を立てて変形し…。

一瞬で、パラグライダーに変形しました。

 

…どうやら、上手い感じに理子ちゃんの背中に装着されているみたいです。

理子ちゃんは上昇気流を掴むと、グンッと高度を上げました。

 

「…詩穂。私は…どうすればいいの?」

「理子ちゃん…?」

 

理子ちゃんが私を抱きながら、困ったように私に問いかけます。

正面を向かい合っているから、距離が近くて…少しだけ気恥ずかしいです。

しかも理子ちゃんは制服をパラグライダーにしてしまったため、下着姿です。

…どこに視線をやったらいいものやら…。

 

「…このまま、詩穂と一緒に地上に戻れば…少なくとも、私と詩穂は生き残れる。それが1番…私は、それが…。」

「…理子ちゃん…。」

 

…確かに、冷静に考えたらそれが1番安全で、私たちだけは確実に生き残れる方法…。

…一瞬、心が揺らぎかけます。

ブラドは強い。

アリアさんは倒れ、キンジ君も戦意がなぜか喪失し…。

残るは武装ほぼなしの理子ちゃんと、明らかな戦力外である私…。

 

………………………。

 

…でも。

それじゃあ、いけない。

弱い私は、乗り越えなきゃいけない…!

倒す道は…あります。

…だから!

 

「…理子ちゃん。負けないでください。」

「……!!」

 

ここで逃げても、何も変わらないから…!

 

「理子ちゃんが理子ちゃんであるために。」

「…私が、私で…。」

「そして、理子ちゃんが私を信じてくれてるから。」

「私は…詩穂を…!」

 

パラグライダーの高度が、ビルの屋上のすぐそこまで来ました。

…あと、1歩。

踏み出すだけ。

 

「あなたは無能じゃない。あなたは5世を生むだけのモノじゃない!」

「私は…!」

「…理子ちゃん。こんな事言うのは不謹慎ですけど…。」

 

私は、理子ちゃんの瞳を見据えました。

正面から、すごい至近距離で。

 

「…生きていても死んでいても…絶対、私と理子ちゃんは一緒です。」

「……うん。」

「まだ…怖いですか?」

「…そりゃ、怖いよ…。でも、詩穂が一緒にいてくれるなら…。」

 

理子ちゃんの顔には、もう恐怖なんてありませんでした。

その表情は、少し照れたような…可愛らしい、笑顔でした。

 

「…大丈夫、だよ。詩穂と一緒なら、地獄だって怖くない…!」

 

――パラグライダーは。

屋上の縁を越え、戦場に舞い戻っていきます…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詩穂→キンジ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビャアアアアァァアヴィイイイイイ!!!

 

 

その強烈な音に…声に。

俺は何とかして耳を塞ぎ、防御していた。

間一髪ヒステリアモードのおかげで防御が間に合ったが…。

少しでも遅ければ、ショックで失神していただろう…。

 

……………………。

 

…暴力ともいえる大音波が去ったのは、その数秒後だった。

周囲の状況を確認しようと見渡し…。

 

「……そん、な…。」

 

気が付いてしまった。

自分の今の状態に。

―ヒステリアモードが、切れている…!?

 

ブラドがニィ、と口角を吊り上げる。

周囲を見渡そうとして…すぐ隣にいたアリアが、倒れていることにも気付いてしまう。

…失神、している。

ブラドの咆哮を防御し切れなかったのだろう…。

 

ズシン、ズシン…。

ブラドが近づいてくる音が聞こえる…。

しかし、俺にはどうしたらいいのかさっぱりわからない。

今の俺には、何もわからないのだ…!

 

アリアを抱きかかえて逃げればいいのか?

ブラドに立ち向かえばいいのか?

どうやって?

どうしたらいい?

 

俺は…。

顔を伏せ、恐怖に怯えることしかできない…!

 

たったったった…。

 

背後から、足音が聞こえる。

頼りなく、でも真っ直ぐに…。

足音は、俺たちとブラドの間で止まった。

 

「…あぁん?お前は…。」

 

…顔を、上げた。

その後ろ姿は…。

 

「……なんだ、よく見たら4世と仲良ししてるゴミじゃねぇか!」

 

グゥバババババ!

 

ブラドの嘲笑を前にしながら、俺の目の前に立つ少女。

…詩穂、だった。

 

「4世なんかよりももっと価値のねぇ…無名のゴミが。ゴミはゴミらしく、ガラクタ(4世)と仲良く逃げ出したとでも思っていたぜぇ…!」

 

詩穂が、刀と銃を構え…俺たちを庇うようにして立っている。

その銃は何故か…青く、揺らめくように輝いている。

 

「…ブラド。あなたは1つだけ勘違いしていますよ。」

「…あんだと?」

 

詩穂は立ち向かうように、ブラドに言葉を放った。

…俺たちのために、そんな…!

 

「理子ちゃんはそれでも、あんなにも強かったんです!」

 

…もういい、もうやめろ…!

早く退くんだ、詩穂…!

足だって…見てられないくらい、震えているじゃないか…!

 

「あなたという存在に負けないで、今までもこれからも強く…!!」

 

 

 

 

「うるせぇ。」

 

 

 

 

ブォンッ!

 

詩穂は、一瞬で宙を舞っていた。

ブラドの薙ぎ払った、無慈悲な一撃で。

詩穂が防御に使ったはずの刀は、頭上に高く弾き飛ばされ…。

ザクッ!と俺たちとブラドの間に突き刺さった。

 

詩穂は、視界からフッと消えた。

屋上の縁から…落下、していった…。

 

そして、次の瞬間。

 

「詩穂ぉぉぉぉぉぉ…!」

 

ヘリポートの裏で待機していたはずの…。

理子が、詩穂を追うように屋上から飛び降りた!

 

…そして、何の音も聞こえなくなってしまった。

どうなったのだろうか…それすらも、この状況下では関係ないことを思い出した。

 

俺は…!

 

「…アリアッ!」

 

即座に隣で伸びているアリアを背中に背負うと、ブラドからいくらか遠ざかった。

詩穂が作ってくれたこの隙を…逃したらいけない!

 

「…フン。興が冷めた。つまらねぇ、もったいねぇが…全員殺しやる。」

 

ブラドが完全に冷え切った目でこちらを見据えた。

…その目には、もう殺気しかない。

こちらを、完全に敵とみなしている…!

 

アリアを背負った背中から、アリアの体温が伝わってくる…。

…この期に及んで、俺って奴は…。

無理に背負ったからか、アリアの胸が背中に強く当たっている。

そのふくらみは、小さいながらもしっかりと柔らかくて…。

 

…気が付けば、なっていた。

連続でのヒステリアモードなんて普段なら相当な性的興奮が必要なはずだが…。

先程の咆哮でヒステリアモードは切れてしまったが、詩穂の『クスリ』の効果は切れていなかったらしい。

などと悠長に推理していると、更に驚くべき事が起こった。

 

「…キンジ君ッ!」

 

頭上から、可愛らしい声が響いた。

…詩穂、だった。

理子と正面から抱き合い、その理子は下着姿で空を飛んでいる…!

どうやらハイジャックの時と同様、制服をパラグライダーにしてここまで戻ってきたらしい。

 

「キンジッ!今のお前に全てを任せる!」

 

理子の叫び声の聞こえてくる。

どうやらこの土壇場で決着をつけるつもりらしい。

…確かに、今ぐらいしか決着の瞬間は無い。

アリアは俺の背中で寝ている。

つまり銃は、俺のものと詩穂のものの2つ。

…でも、理子がああ言ったってことは…おそらく、理子には秘策があるのだろう。

おそらく、何らかの方法でブラドの弱点…それも、俺もまだ知らない4つ目を壊す、秘策が。

 

…ああ、いいよ。

女の子の期待には、答えなきゃいけないからね。

ブラドの視線が、理子の声に釣られ顔ごと上に向いた。

…今しか、ない…!

 

ガキュン!

 

上から、詩穂の銃と思われる銃音が鳴り響く。

ヒステリアモード特有の、スーパースローの世界が始まった。

詩穂の弾のルートは…狙っていたのかどうかは定かではないが、しっかりと右の脇腹の目玉を貫通するルートだ。

…詩穂はこういった絶対な場面では、外さない子だからね。

 

…さて、俺は。

理子を信じて残りの2つを…両肩の目玉を、撃ち抜かなくちゃいけない。

弾丸はまだ数発残っているが…セミオートだから1発ずつしか撃てない。

つまり、銃弾1つで両肩を狙う必要がある…ということだ。

こんなの無茶だ。

普通なら、な。

 

ガギュン…!

 

俺は、本当によく狙い…撃った。

その俺の銃弾の先にあるものは…!

 

先程詩穂の手にあった、刀。

ブラドにはじかれ地面に突き刺さった、刀だ…!

運良くブラドと俺の間に突き刺さり。

そして、またしても運良く刃がこちらに向いていた…!

 

銃弾は、見事その刃に真っ二つに斬られ…。

ブラドの両肩に、命中した。

 

以前ハイジャックのときにナイフでやった『銃弾切り(スプリット)』。

の、逆バージョン。

言うなれば…『銃弾裂き(ディビジョン)』。

 

そして、最後を飾るのは。

 

「よんせぇぇぇぇ!!」

 

ブラドが大きく口を開き、叫んだ。

 

バァン!!

 

理子のどこからとも無く取り出した超小型デリンジャーが火を吹いた。

…その弾丸は、吸い込まれるように…。

ブラドの、口内を直撃した。

 

「ぶわぁーか。」

 

下着姿のまま理子は詩穂と共に俺のすぐそばに着地。

そして、それを追うように…。

 

ズドォン、とブラドは倒れ伏すのであった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キンジ→詩穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…全てが、終わった。

 

なんだか良くわかりませんでしたが、終わったみたいです。

私は無我夢中で、ブラドの脇腹を狙い…上手く、当てた。

と、思います。

そして理子ちゃんは胸の谷間から取り出した超小型デリンジャーでブラドの口内…正確には、舌を撃ち抜き。

キンジ君…は、どんなトリックを使ったのやら、ブラドの両肩を撃ち抜き。

 

そしてブラドは…倒れました。

 

「や…やった…のか?」

 

キンジ君が呟きます。

ブラドは倒れ伏し、槍代わりの重そうなアンテナもブラドのすぐそばに転がっています。

 

「や…やった、やりましたよ、理子ちゃん…!」

「…し、信じられないけど…詩穂…!」

 

下着姿の理子ちゃんは、泣きそうになりながらも…。

喜びを顔中に浮かべ、泣き笑いのような表情を作っていました。

私達はお互いに向かい合い、お互いの努力を称え合います。

…アリアさんは、眠っていましたけど。

 

「…これで、本当に…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…終わりだと、思ってたのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………!!」

 

その場にいた全員が、その声に振り向きます。

不気味な、声。

もう倒したはずの…その声の主は。

 

立ち上がっていました。

目玉模様から血を流しながらも。

敵意と殺意に染まった目で、こちらを見据えていました。

 

「……ゲハハ…!まさか、こんな能力もあるなんてなぁ…!」

 

ビリビリ…!

と、強烈な緊張感がこちらに伝わってきます。

先程とは…桁違いの、強烈な威圧感!

 

「…そんな、まさか…!」

 

キンジ君は呻くように言います。

 

「これも…ヒステリアモード、なのか…!?」

 

キンジ君の目は驚愕に見開き。

理子ちゃんもまた、驚きのあまり固まっています。

かくいう私も…動けない。

強烈な気配に、身動きすら取れない…!

 

「…遊びはもう終わりだ、ガキ共が。」

 

ブラドはゆっくりと、息を吸い始めました。

しかし理子ちゃんもキンジ君も…動けない。

 

私は咄嗟に耳を塞ぎました。

 

 

 

 

 

 

 

 

グゥォォオオアアアアアアァァアヴィイイイイイ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強烈な、音波…!

先程よりも重く、強く、大きい衝撃が…こちらを襲います。

これほどまでに…ブラドは、まだ強い…!

まるで地表を揺らしているかのような、凶悪な振動…!

 

………………。

 

気が付けば。

音は止み、その衝撃も止んでいます。

…そして。

 

「…キンジ君、理子ちゃん…!」

 

私の横にいたはずの2人はアリアさんと同じように。

その場に、倒れ伏していました。

 

「……皮肉なもんだな。」

 

ブラドはこちらに近づいてきます。

ズン、ズン…。

足音さえも、大きく、恐ろしい…!

 

「圧倒的弱者であるはずのお前が、最も早く、確実に防御できるとは…。」

「あ…ああ…!」

 

恐怖。

もはや、それしか感じません。

怖い、怖い、怖い――!!

 

「…弱者らしく、無様に俺に命乞いしてみろよ。…ゴミが。」

「う…うあ、ああ…!!」

 

ゲゥバババババ!!

 

その嘲笑ですら、恐怖を生み出す兵器。

もう…おわり、です…。

これいじょうは、かちめなんて…。

 

 

 

 

 

 

――ぼぅ。

 

 

――青い光が、揺れる。

 

 

――理子ちゃん…!

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ、わた、し…は…!」

 

立ち上がる。

勝てなくても、不可能でも。

 

「み、みんなを、まも、まもるって…きめたから…!」

 

声が震えても。

足が震えても。

 

「…うあああああああ!!!」

 

銃を、撃つ。

それが武偵。

それが…私の生きる、目指す道。

 

みんなを助けたい。

みんなのために…!

 

バスッ!バスッ!

 

「………。」

 

心なしか、銃弾も青く光っている気がします。

でも、そんなことは、どうだっていい…。

私は、ただ撃つ!

 

ガキュン!バスッ!

ガキュン!バスッ!

 

「…ウゼェ!!」

 

ズガッ!!

 

「くぁっ!」

 

私は、ブラドに思いっきり殴られ。

大きく後ろに吹っ飛びました。

落下の衝撃で、骨が何本か折れる感覚。

そして…絶望。

 

「…かはっ…。うぅ…。」

 

でも、それでも、立ち上がらなくちゃ…!

みんなを、守って…!

 

「…ここまで根性のあるゴミは、初めてだ。だがな…。」

 

ブラドを良く見てみると…。

目玉模様から、血が流れていません。

まるで何事も無かったかのように…回復していました。

 

「所詮ゴミだ。俺に取っちゃ何の価値もねぇ。」

 

そん…な…!

どうして、もう復活して…!

 

「…じゃあな。ゴミはゴミらしく…潰れろ。」

 

私のすぐ目の前まで歩いてきたブラドは、その腕を振り上げ…。

 

 

 

 

 

「良く耐えたな。後は任せろ。」

 

 

 

 

 

ズガッ………!!

 

鈍い打撃音と共に、ブラドが()()()()()()()()()

な…何が、起こって…!?

 

「…よぉ、詩穂。来たぞ。」

「やっほー。」

 

私の前に立つのは…濃い藍色の髪の少女とピンクの髪の少女。

…叶さんと、明音さんでした。

 

バラララララ…。

 

そして、頭上の音にも気付きます。

…上空を、ヘリが飛んでいました。

それも…おそらく、東京武偵局のもの。

私は…2人が来たことによる安心感故か、脱力し座り込んでしまいます。

 

「…よくも、やってくれたじゃねぇか…。」

 

数メートル先に吹っ飛ばされたブラドは…。

やはり、あまりダメージがなさそうに立ち上がりました。

 

「…お前らは…確か。小夜鳴から聞いたぜ…。最近イ・ウーに来た、『お客様』だろ?」

「はっ。そういうこったろうと思ってた。どうも『お客様』なのに歓迎されてなかったみたいだな、オレ達は…!」

 

ブラドがニィ、と笑いながら。

叶さんもそれに答えるかのようにニヤリ、と笑いながら。

2人の会話は進みます。

 

「まぁ、それもここまでだ。オレ達はついさっきイ・ウーを抜けてきたところだ。お前んとこの親玉さんにももう伝えたぜ。」

「…で?そのお前らが…何の用だ?」

 

ブラドは依然殺気を放ったまま。

魔臓を撃ち抜いたはずなのに…何故か、傷はどこにも見当たりません。

 

「オレ達はもう、イ・ウーじゃない。オレ達は…東京武偵局だ。」

「こういうものですー。」

 

明音さんが東京武偵局の手帳をポケットから取り出すと、ブラドに突きつけました。

いつもと変わらない、のんびりとした口調で。

 

「アカネ…あんまり喋らないでくれ。お前が喋るだけでシリアスがほんわかする。」

「え、ええー!カナちゃんー、それはないよー…。」

 

…なにやらコントが始まりました。

いえ、確かに明音さんがコメントするだけで場の空気はのんびりとしてしまいますが…。

 

「…さて、ブラド…もとい、極悪犯罪者ドラキュラ・ヴラド!お前を…逮捕する!」

「…何を言い出すかと思えば!」

 

グァババババ!

 

ブラドの嘲笑が響きます。

 

「お前ら如きがそんなことできるわけ…ガッ!?」

 

ズドンッッ!!

 

一瞬。

ブラドが嘲笑する隙に、明音さんがブラドのすぐ前に立ち…。

そして、拳を振りぬいた。

それまでにかかる時間は…一瞬、でした。

ブラドはその衝撃でまた、同じように数メートル吹っ飛びます。

 

「…血吸いコウモリ風情がー…。」

 

明音さんは悠然と立ち、ゆったりと話し続けます。

今では気味悪いとさえ思う、笑顔を貼り付けたまま。

 

「本当の鬼ってモノをー…教えてあげるよー?」

「…お前、ただの人間じゃないな…?」

 

ブラドはそれでも無傷で、立ち上がります。

鋭いナイフのような歯を見せ…笑いながら。

 

「…わたしはー、人間だよー…。カナちゃんと共に永遠(トワ)に生きるー…人間だよー?」

「…おもしれぇ。殺す。」

 

今度はブラドが接近し、明音さんに向かって。

ブォン、ブォン!

と風圧を伴う強烈な腕撃を繰り出します。

明音さんはそれを軽く後退しつつ避け…。

 

「…ほいさー。」

 

隙を突いて、カウンターを入れました。

 

ドゴォッ!!

 

今度は、ブラドは吹っ飛ばず…モロにその衝撃を体で受けました。

しかしその表情は、余裕そうです。

 

「…ゲハハハハ…!確かに、少しはやるみてぇだが…俺には勝てねぇ。どう頑張っても…だ。」

「めんどくさいなー…。」

 

明音さんは今度はしっかりと構え…。

 

ズンッ!!

 

ブラドをまた、吹き飛ばしました。

今度は大きく、十数メートル程。

 

「…カナちゃんー、アレすごくメンドクサイよー…。」

「仕方ない…オレも出るか。アカネ、αチェインは?」

「あるよー。」

「よし、オーケー。後はオレが指示したらアイツを転倒させてくれ。」

「んー。」

 

短いやり取り。

しかし、その間にも2人の作戦会議は終わった模様です。

 

「…何度ぶっ飛ばしたって、無駄なもんは無駄なんだよぉ…!!」

 

ブラドが起き上がり、こちらにズン、ズン…と近づいてきます。

…幸い、倒れている理子ちゃんやアリアさん、キンジ君には目もくれません。

 

「…アカネ、頼む。」

「うんー。」

 

明音さんはブラドを迎え撃つように、また同様に歩き出します。

…お互いの距離が、どんどん近づき…。

もはや1mもない、そんな至近距離まで近づいた瞬間に。

 

「オラァッ!!」

 

ブゥン!!

 

ブラドの拳が振り抜かれました。

巨腕から織り成されるその強撃は、何度見ても恐怖を拭いきれないものです。

明音さんはそれをいとも容易くしゃがんで避けると…。

 

「せー!」

 

予備動作も無くその場でバク転するかのように、ブラドの顎を…。

サマーソルトキックで、ぶち抜きました。

 

「ぐッ…!?」

 

ブラドは衝撃でなんと数十センチ浮き上がります。

着地した明音さんはそのまま飛び、ブラドの頭を掴み…。

 

「うりー!」

 

ガァァァン!!

 

その頭を、地面に叩きつけました。

叩きつけられたブラドの頭を中心に、地面に薄く亀裂が走ります。

…直後。

 

バリ…ッ!バリバリ…ッ!!

 

叶さんが、ブラドの頭のすぐ近くに立っていました。

…彼女の武器である、長い(ランス)を持って。

その槍は…青白く、発光しています。

 

「…詩穂。これを見るのはアカネについで、人類で2番目だな。」

「…叶、さん…?」

「よく見とけよ。オレの超能力(ステルス)を。空も曇ってるし、正真正銘これを見れる奴はオレとお前とアカネの3人だけなんだからな…!」

 

叶さんは、青白く発光する槍を天高く掲げました…。

釣られて空を見ると、先程まであったヘリは姿も無く。

ただ、暗雲が立ち込めているだけ…。

 

「――雷の槍は、今解き放たれた…!」

 

叶さんが、呟きます。

同時に。

 

パリッ…!パリパリッ…!

 

先程も聞こえた何かが弾けるような音が、叶さんの槍から鳴り出しました…!

 

バリリ…ッ!バリバリ…!!

 

音が激しくなるに釣れ…。

叶さんの槍が…放電、し始めました。

まるで雷雲のように、青白い閃光が槍を包んでいきます…!

 

「…なぁ、ブラド。オレ達はずっと聞いてたんだが…。お前、『魔臓』とやらのおかげで死なないんだってな?」

「グ…グァ…!!」

 

叶さんはブラドを見下ろします。

限りなく…冷めた、目で。

対するブラドは、明音さんに頭を押さえられてもがきます。

しかし…明音さんの腕が、外れる気配はありません。

 

「じゃあ、こういうことしても死なないんだな?」

 

…グチャッ。

 

生々しい音が屋上に響きます。

叶さんは無表情に…ブラドの頭、脳の位置に槍を突き立てていました。

明音さんは手を離すと、叶さんの近くに寄り添いました。

グチュ、グチュ…と少し掻き回したあと。

 

バリバリ…ッ!

ジュゥゥゥゥ…!

 

…何かが、焼ける音が聞こえてきました…!

何が焼けているかは、考えたくもありません…。

しかし、叶さんは淡々と言葉を発します。

 

「…無限に再生するってことは、無限にお前の脳を焼けるんだよな…。かわいそうなこった。ここで永遠に…脳を、焼かれてろよ。」

 

ブラドは…何も、答えません。

ただビク、ビク…と体を痙攣させるだけ。

…ブラドほどのものでも、脳を焼かれ続けると…生物らしく、動けないみたいです。

 

「アカネ。αチェイン巻いてくれ。」

「りょーかいー。」

 

明音さんは叶さんから少し離れると。

ヘリポートの裏まで走っていきました…。

 

その間も、叶さんは槍を離しません。

…本当に、焼き続けています…。

 

「……なぁ、ブラド。永遠に生きることは、楽しいことなのか?」

 

叶さんは物言わぬブラドに語りかけます。

…なにやら、悲しそうな目で。

 

「永遠に生きる…それは、正しいことなのか?素晴らしいことなのか?」

 

叶さんは、1人。

語りかけます。

 

「…オレも、アカネも…永遠に生きるべきだと、思うか?」

 

…その内容はさっぱりわかりませんが。

彼女は今、何かを…何か、大事なことを語りかけている気がします。

もしかしたら、ブラドではなく。

彼女自身に。

 

「永遠は1人じゃ寂しい…。でも、2人ならどうだと思う?愛すべき親友と共に、永遠に生きる…それは、間違いなのか?」

 

叶さん…。

 

「…カナちゃんー。」

「アカネ…。」

 

明音さんが、戻ってきていました。

いつの間にか叶さんのそばに立っています。

 

「今はー、信じてー…進もー?」

「…ああ。アカネ、αチェインを頼む。」

「…うんー。」

 

明音さんはぶっとい鎖を、腕いっぱいに抱えていました。

これが…あるふぁ、ちぇいん…?

明音さんは淡々と、ブラドをぶっとい鎖で拘束していきます。

叶さんもまた。淡々とブラドの脳を暇そうに掻き回しています。

 

…数分後。

 

完全にぶっとい鎖でグルグル巻きにされたブラドの頭から…。

…グチュ、と嫌な音を立てて、叶さんが槍を引き抜きました。

 

…即座に、ブラドの頭が修復されていきます…。

 

「…ぐ、ぐぅ…動けねぇ…。」

「あたりめーだ。アカネ特製の最高に固くて太い鎖だぜ?」

「固くてー、太くてー、長いんだよー?」

「アカネ、ちょっと黙っててくれ…。」

 

ミニコントをしていました。

どうやら…ブラドは、本当に動けないようです。

 

「…ああ、終わった。ヘリを寄越してくれ…。ああ、屋上だ。頼む。」

 

叶さんは無線に向かってそう言うと、私のところに歩いてきました…。

 

「…詩穂。詳しいことは、あとで書類を送ってやる。気になる事があったら、また聞きに来てくれて構わん。今は…寝てて、いいぞ。」

 

…ああ、そういえば。

私は、ボロボロでしたっけ…。

叶さんは私のそばまで来て、ギュ、と私を抱きしめます。

 

…ああ…あったかい、です…。

…頑張って、よかった…。

…みんな、無事に…。

…ちょっと、眠いですね…。

…今くらいは…寝ても…。

 

 

私の意識は、温かさに包まれて…。

眠りに、落ちていきました…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言うと。

肋骨が数本イっていた私は、軽く入院。

キンジ君とアリアさんは、よくわからないけど即退院。

理子ちゃんは…相変わらず、何もかも司法取引で無事武偵高生徒のまま。

 

というわけでした。

ちゃんちゃん♪

 

 

 

 

 

…というわけにはいかず。

まず入院中の私のところに来てくれたのは…宅配便のお兄さんでした。

そして書類の詰まった箱を置くと、さっさと帰っていってしまいました…。

 

「…え、えぇー…。」

 

私は突然のことにもちろん困惑します。

とりあえず書類に目を通すと…。

 

どうやら、司法取引に関する資料のようでした。

要約すると…。

ブラドのことは他言無用。

その代わり、私達が働いた『紅鳴館』での悪事はお咎めナシ。

そして、ブラドのことは他言無用。

 

…そんな感じでした。

とにかく何でもいいからブラドのことは他言無用のようです…。

イ・ウーがこの国においてどんなにブラックなことなのか…身をもって理解しました。

 

 

 

 

 

 

 

そして、次にお見舞いに来たのは。

 

「詩穂ぉーーっ!!!」

「ぐはぁっ!り、りごぢゃん…。」

 

肋骨が折れていることは気にせずガッツリ私にダイブしてきたのは、当然の如く理子ちゃんでした。

頭から私のお腹に突っ込み、ぐりぐりと頭をこすりつけ…痛い!痛いです!

 

「りこちゃ、き、きびしい、きびしいですから離れて…!」

「おっと、そうだった…ゴメンね、詩穂?」

 

…その後。

とりあえず理子ちゃんに離れてもらい、ポツポツと語り合いました。

 

「…ブラドは、もう倒せた…んだよね?」

「…はい。叶さんと、明音さんが…。」

 

その時のことを掻い摘んで、理子ちゃんに話します…。

…脳を焼く云々は置いておいて。

 

「…そっか…。ブラドは…もういないんだね。」

「理子ちゃん…。」

「そっか…ひぐっ、そ…っかぁ…!!」

 

理子ちゃんは、泣き始めてしまいました。

今まで押さえていたものが…壊れて、なくなるように。

 

「うぇ…うぇぇぇん…!!」

「…理子ちゃん。」

 

私は、かける言葉も見つからないまま。

でも、言葉なんていらないと思い。

しばし、理子ちゃんの頭を撫でてあげました…。

 

 

 

…十数分後。

 

「…うぅ、ごめんね、詩穂…。」

「いえいえ。すっきり、しましたか?」

「…ん。」

 

理子ちゃんは、顔を上げました。

目の端は少し赤く腫れていましたが…その目には、もう希望が満ち溢れていました。

 

「詩穂。これからは、私も…自由に、生きていいんだよね?」

「はい…もちろん、そうに決まっています。」

「えへへ…全部、詩穂のおかげだよ。」

「そ、そんな…私なんて、ほぼ何もしていないに等しいというか、立ってただけというか…!」

 

急にお礼を言われて、しどろもどろになってしまいます。

理子ちゃんは改まったように、頭を下げました。

 

「…ありがとう、詩穂。私は詩穂に出会えて、こんなにも…救われたんだ。」

「り、理子ちゃん!頭を上げてください…!」

 

理子ちゃんは照れたように、顔を上げました。

 

「…詩穂。これから私は…詩穂のために生きようと思うんだ。」

「うえぇっ!?」

 

唐突に謎の発言が飛び出しました。

…いや、ええ!?

 

「どうか一生傍に置いてください…!」

「いやいやいやいや、理子ちゃん、それは違うといいますか折角自由になったんですし…!」

「これは私の意志なんだよ!邪魔といわれても家畜のように扱われてもいいから!」

「そんなことするわけないじゃないですか…っ!」

「あ、あんなことやこんなこともしていいから…!むしろさせてくださいお願いします。」

「それもしませんーっ!!」

 

…その後。

何とか理子ちゃんを宥め、説得し、一旦帰ってもらうことに成功しました…。

しかし、病院の看護師さんからは変な目で見られることになりました…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリアさんもキンジ君も、お見舞いに来てくれ…。

そして、その日の面会時間もあと1時間で終わろうとしていた時。

 

…叶さんと明音さんが、やってきました。

 

「…よぉ、詩穂。元気そうだな。」

「やっほー♪」

 

相変わらずの2人の姿に安堵しつつ…。

2人を、ベッドの近くのイスに座るよう促しました。

…その2人の姿は、武偵高指定の制服姿…。

 

「…叶さん、明音さん。まずは…あの時は、ありがとうございました。」

「どういたしまして。でも、お前がアレを起動してくれたおかげで…オレ達もブラドを逮捕できた。そこらへんは、こちらこそ感謝している。」

 

叶さんは真面目に私の話に答えてくれます。

明音さんは…持ってきたティーセットで、紅茶を入れていました…。

 

「はいー、詩穂ちゃんー。紅茶だよー。」

「あ、ありがとうございます…?」

「…アカネ。すぐに帰るんだぞ。」

「えー…?」

 

明音さんは少し残念そうに言いました。

しかし表情は一ミリも変化しません。

…おそろしや。

 

「…さて、まずはブラドのことだ。」

 

叶さんは話し始めました。

…確かに、気になっていたことです。

 

「アイツについて…何か、聞きたいことはあるか?」

「…ブラドは…結局、どうなったんですか?」

 

とりあえずは、理子ちゃんの不安の種であった…彼の行方を尋ねてみることにしました。

 

「アイツは今、東京武偵局が拘束している。そのうち長野のレベル5拘置所にでも送られるだろ。」

「…そう、ですか。」

 

…どうやらブラドが脱走して…とかいうことはありえなさそうですね。

安心です。

 

「そういえば、戦闘中確かにブラドの弱点を4ヶ所撃ちぬいたはずなんですが…。どうしてピンピンしてたんですか?」

「…それは、オレ達にもよくわからない。ただ、アイツは…あの時、極度の『興奮状態』にあったんだ。」

 

…確かに、ブラドが復活した瞬間に感じた威圧感は…。

ヒステリアモードのそれに、そっくりでした。

…ブラドは興奮によって脳内物質を媒介とし、小夜鳴先生の姿から変身する…。

彼が復活したとき、ヒステリアモードの気配を感じて…。

そして、撃ったはずの弱点が、回復した…。

 

うーん、なにか繋がりがありそうなんですが…。

…とにかく、この話はこれ以上進みそうに無いので、次に進みましょう。

 

「…そういえば、叶さんたちは…イ・ウーを、抜けたんですか?」

「ああ。それはもう完全に抜けた。」

「理由を…聞いても、いいですか?」

「ああ、構わない。」

 

叶さんはイスに座りなおします。

フワッと藍色の髪が揺れます。

 

「…オレ達はどうも、イ・ウーにスパイしている事が…バレていたらしい。」

「それは…誰に?」

教授(プロフェシオン)とか言う奴だ。」

 

…教授。

それは確か、イ・ウーの…頭領。

 

「というわけで、本部に潜入作戦(スリップ)は失敗と伝え…任務が、解かれたわけだ。」

「なるほど…。」

 

つまり…叶さんと明音さんの言葉を信じるなら。

どうやら…2人は、教授の手の平で遊ばれていた…ということになります。

 

「そういうわけでオレ達も晴れて、ただの東京武偵局のイチ武偵に過ぎなくなったわけだ。」

「…その割には、武偵高の制服を着てますね…。」

 

そう。

あくまで武偵高への潜入は『イ・ウーに命じられてやっていたこと』。

この2人はそれなのに…未だに、武偵高の生徒のようです。

 

「それは趣味だ。」

「趣味!?」

「ああ。別に年齢的にはオレ達もまだ余裕でJKだからな。」

「じぇ、じぇーけー…。」

 

この2人は大人びていたので、私たちよりも年上だと思っていましたが…。

まさか、タメだったとは。

 

「…話は、このぐらいか?」

「…うーんと…。」

 

頭の中で聞きたいことを整理します…。

…そういえば。

 

「叶さん。最後に…いいですか?」

「ああ、なんだ?」

「叶さんの超能力(ステルス)って…。」

 

そこで、叶さんの掌が私の口を封じました。

 

「…その話は、ここじゃ出来ない。また今度…オレの部屋まで来てくれ。」

 

…そういえば、ここは病院内でした。

このことはどうやら…叶さんの中でもトップシークレットの模様です。

 

「…じゃあ、オレ達は行く。体、早く治せよ。」

「はい、わざわざありがとうございました。」

「いや。オレ達の目的はブラドの件の礼だしな。…ほら、アカネ、起きろー。」

 

ペシペシ、と叶さんが明音さんの頬を叩きました。

明音さんはビクッ!と体を揺らすと…。

 

「…ね、寝てないよー?」

「ハイハイ。行くぞ。」

「うあー、待ってよカナちゃんー!!」

 

2人はコントをしながら、仲良く行ってしまいました。

それを生温かい目で見守ったあと…。

 

ふぅ、と1つ溜息をつきました。

 

…きっと、あのことも聞かないほうがいいのでしょう。

叶さんがブラドに対して言っていた…。

 

 

 

永遠の命、についても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詩穂→叶

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…病院を出た後、オレ達はさっさと部屋に戻った。

そしてすぐさま、アカネと向き合いテーブルに座る。

 

「…やっぱり、詩穂の銃からは瑠々粒子は感じられないな。」

「うーんー…じゃあー、アレは瑠々色金じゃないのかなー…?」

「そんなはずは無い…と思う。現に峰理子の十字架からは微量だが瑠々粒子を感じた…。同様の光を放った以上、アレも瑠々色金が関係しているとは思うんだがな…。」

 

アカネと2人、頭を悩ませる。

…しかし、悩んで出てくるほど簡単な問題ではない。

 

「…でもー、イ・ウーでは確かにー…あったよねー?」

「ああ。間違いない。強烈な緋々粒子を感じた。アレは相当デカイのがある。」

 

…アカネはフフ、と笑った。

その笑顔は…オレにしか見せない、本当の笑顔。

 

「…アカネ。そろそろ次の計画に移ってもいいか?」

「カナちゃんのー、お好きなようにー。」

 

アカネの無条件の信頼。

それこそが…オレの、希望。

オレの、原動力。

 

「…さぁ、次のステップに入ろう…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叶→詩穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後、私は無事に退院し。

アリアさんやキンジ君の待つ、部屋に帰ってきました。

 

…ドアを、開けると。

きっと、アリアさんやキンジ君がおかえり、と…!

 

ガチャ。

 

「詩穂ぉぉぉぉっ!!」

「ええぇぇぇーー!!」

 

扉を開けた瞬間に飛び出してきたのは…理子ちゃん、でした。

…いや、なんでですか?

 

「り、理子ちゃん、とりあえず離れて…!」

「うんうん!離さないよっ…!」

 

離してください!

夏場で暑いですし、ここ玄関先ですし!

 

「…ねぇ、詩穂…これ(理子)、どういうことなのよ…?」

 

アリアさんが私に抱きつく理子ちゃんを指差しつつ、玄関から出てきました。

…いえ、私が聞きたいんですが…。

 

とりあえず、理子ちゃんを何とか引き離し、部屋の中へ。

部屋の中はクーラーが入っていて涼しい環境でした。

そして、中には当然キンジ君もいました…。

 

「…理子ちゃん、結局どうしてここにいるんですか…?」

「そりゃあもう、詩穂に会いたかったからだよ!」

 

…ダメです。

会話がつながりません。

キンジ君に聞いてみることにしました。

 

「…キンジ君、どうなっているんですか?」

「…理子が、今日詩穂が退院だと聞いて…ここに来やがったんだ。」

 

どうやら、理子ちゃんは私を待つためにここに来てしまったようです。

…どんだけですか、理子ちゃん…。

散々お見舞いに来てくれていたので、毎日顔を合わせていたでしょうに…。

 

「…うん!決めた!決めたよ、詩穂!」

 

理子ちゃんが名案を思いついたが如く、バッと立ち上がりました。

…嫌な、予感がします…。

 

「今日から、私ここに住むねっ!」

「ふざけんな!」

「ふざけるんじゃないわよっ!」

 

理子ちゃんの爆弾発言にキンジ君とアリアさんが即座に反応しました。

…しかし。

 

「あは、ゴメンね、キーくん、アリア…。理子と詩穂の時間を邪魔することは、許されないんだよ…?」

 

理子ちゃんの超怖い微笑み(アリアさん談)で、理子ちゃんの同居が決定してしまいました…。

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、色々ありましたが。

何もかもが全て終わり。

夏休みが近づいてきていました…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆おまけ☆☆

 

 

 

横浜ランドマークタワー、屋上上空にて…。

 

叶「よし…ここで待機してくれ。いつでもいけるように…な。」

 

ヘリの操縦士「了解しましたっ!」

 

明音「ふふふー…わたし達が来たらー、詩穂ちゃんびっくりするだろうねー♪」

 

叶「…お、スピーカーから音がはっきり聞こえるようになったな…。」

 

スピーカー「詩穂、耳を塞いで!」

 

叶「…うん?」

 

スピーカー「え…えっ?」

 

明音「これはー…詩穂ちゃんの声ー?」

 

スピーカー「いいから!」

 

叶「…一体、何が起こって…?」

 

スピーカー「ビャアアアアァァアヴィイイイイイ!!!」

 

叶・明音・操縦士「「「!!!!????」」」

 

 

 

…数分後…。

 

叶「…あの吸血鬼野郎、ただじゃすまねぇ…。この世の地獄を味合わせてやる…!」

 

明音「…な、なんだったのかなー…?」

 

操縦士「……………(もう実家に帰りたいお…)」

 

2人の奮闘は今日も続く!

ガンバレ、叶&明音!!




読了、ありがとうございました。


今回の話ですが…。
なんとも格好が付かないというか、ご都合主義的な面が非常に残念な仕上がりになっていますね…。
なんで刀の刃が上手い具合にキンジの方向に向いているんでしょうか?
不思議な話です…。

そして、叶や明音を登場させる関係上、ややこしくなるため理子・アリア・キンジには途中で強制退場してもらいました。
…私の文章力では、これが限界だったのです…。
お許しください。


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