今回は、話の性質上メタ発言が多めです。
…メタ発言というか、危険な発言というか…。
いろんな意味で消されないか心配です。
「おーうキンジ!死んじまえー!」
「るせー夏海。お前こそ俺よりコンマ一秒でも早く死ね。」
「ようキンジ!とっとと死んでくれマヌケ!」
「マヌケに言われたかねーよお前こそ死ね三上。」
今日は強襲科に訓練に来ていました。
…遠山君、アリアさんを連れて。
というのも、アリアさんが普段私たちがどんな訓練をしているのか気になったから、だそうです。
…さっきから物騒な単語がやり取りされていますが、この『死ね』というのは強襲科特有の挨拶なのだそうです。
初めてここに来たときはかなりびっくりしましたが、もう慣れてしまいました。
…え?
私に挨拶が来ない?
当たり前じゃないですか、やだなー。
「…それで、えーっと…訓練、でしたっけ?」
「そうよ!あんた達の訓練内容、かなり気になるわ!」
…いえ、いたって普通なのですが。
「さあ、見せてみなさい!」
訓練終了後…。
帰路に三人で着きます。
「…地味だったわね。」
「そりゃそうだろ。」
アリアさん…。
一体何を期待していたんですか…。
「…にしてもキンジあんた、人気者なんだね。ちょっとびっくりしたよ。」
「あんな奴らに好かれたくない。」
…遠山君、その気持ちは少し理解できます…。
確かに少し凶暴というか…怖いですよね。
強襲科。
通称、『明日無き学科』。
この学科の卒業時の生存率は97.1%。
つまり、100人に約3人は任務または訓練で死亡しています。
…常に死と隣り合わせ。
そんな恐ろしい学科なのです。
「あんたって人付き合い悪いし、ちょっとネクラ?って感じもするんだけどさ。ここのみんなは、あんたには…なんていうのかな、一目置いてる感じがするんだよね。」
…言われてみれば、確かにです。
みんな、私のことは
「…っは!Dランクとかww」
みたいな目で見てくるのに、遠山君のことはどこか尊敬しているような目で見ていました。
「…気のせいだろ。」
「でも、キンジが皆に囲まれて歩いてるの、かっこよかったよ。」
あ、アリアさん、ずるいです…。
…ん?
何がずるいんでしょうか?
でも…遠山君のことを褒めるのは、どこかずるい気がします…。
「あたしなんか、強襲科では誰も近寄ってこないからさ。実力差がありすぎて、誰も、合わせられないのよ…。まあ、あたしは『アリア』だからそれでもいいんだけど」
「…『アリア』。独唱曲、ですね?」
「そう。1人で歌うパートのこと。あたしは、ロンドンでも、ローマでも…。」
アリアさんは寂しげに瞳を伏せ、どこか遠くを見ながら言います。
「ひとりぼっち…。」
私のぼっちとは、性質が違いました。
私はただ、努力をしなかっただけの自業自得。
アリアさんは…。
周りとそもそも、合わせられなかった。
Do notではなく、Can not。
それはあまりにも過酷で、あまりにも容易に想像できる悲しさでした。
「でも、これからは俺と茅間がお前に加わるから、『トリオ』になるな。」
クスクス、とアリアさんは遠山君の発言に笑いました。
…どこに笑える部分があったのでしょうか?
「あんたも面白いこと言えるんじゃない。」
「面白くないだろ。」
面白くないです。
人の笑いのツボはわからないものです。
「俺はゲーセンに寄ってく。お前らは先に帰れ。」
「ゲーセンですか…。私もついて行っていいですか?」
ゲーセンなんて最近は行ってませんでしたから、この機会に行きましょう。
…久々に腕がなります。
「…来たければ来い。」
「はーい。」
「ねぇ、詩穂。『げーせん』って何?」
おっと…。
アリアさんはイギリスに住んでいたから知らないかもです。
「ゲームセンターの略です。たくさんゲームが置いてあるんですよ。」
「ふーん…。じゃあ、あたしも行くわ。」
「…なんでだよ、帰れ。」
「なんであたしだけダメなのよ。」
「…っくそ、勝手にしろ!」
私についていくことを許可した手前、アリアさんがついていくことも断れないようです。
かくして、私たちはゲーセンに向かうのでした…。
「じゃあ、2人は好きにまわっててください。私はちょっくら全部やってきます。」
「え、おい全部って…。」
「では、また後ほど!」
ゲーセンにつくと、早速私はゲームの世界へと旅立っていきました…。
まずは定番のヤツからですね!
…ドドドドドドドド!…
…フルコンボダドーン!
「…やべぇぞあの子…!」
「めちゃくちゃうまいじゃん…。」
くそう、やはりハタラクは全良取れないですね…。
ていうかなんですかこの新曲のドンカマって。
初見でクリアギリギリ…。
2クレつぎ込んでもフルコンすら取れないなんて…!
うぅ、もういいです!
次は別のをやりましょう!
…タカタカタン!タカタカタン!タカタン!タカタカタン!タカタカタン!タカタン!…
…フルコンボ!ランクダブルエス!
「…なんだよあの子…。」
「フレグラをグレ1とか頭おかしいだろ…。」
…なまりましたね。
フレグラぐらいオルパ取れてたんだけどなぁ…。
そしてやっぱり新曲おかしいです。
なんですかこの…なんて読むのか知りませんがヴェルなんとか!
やっぱりフルコン取れません…。
くそう、もう音ゲーはいいです!
次は峠でも攻めてやるです…!
しばらくすると、遠山君たちが迎えに来ました。
「…詩穂、そろそろ帰るぞ。」
「…わかりました。このクレが終わったらでいいですか?」
今私は一週回って達人にいそしんでいました。
…ドドドドドドドドド!
「に、人間の動きなの?これ…。」
「さぁ…。」
…フルコンボダドーン!
「…よしっ!」
ようやくドンカマがフルコン出ました…!
まだまだ全良はきつそうですけども。
「明日また来ましょう。」
「…詩穂、アンタなんか凄いのね…。」
「…お前の手どうなってんだよ…。」
ドン引きされてしまいました。
…ぐすん。
「…あれ?2人とも、携帯についてるストラップが一緒ですね。」
「うぐっ!」
遠山君がなぜかギクッとした感じで携帯を隠しました。
アリアさんも少し顔を赤くして携帯を隠してしまいました。
「…それ、下のクレーンゲームの…なんでしたっけ?」
「ど、どうでもいいだろ!さっさと帰るぞ!」
そういうと遠山君はさっさと行ってしまいました。
アリアさんもトテトテと遠山君についていってしまいます。
「ま、まってくださいー!」
急いで2人を追いかけると、3人で仲良く帰宅しました。
さて、帰宅後…。
「ってなんでまだいるんだよ!」
「いいでしょ?あたし、この部屋が気に入ったの!」
なぜかアリアさんもいました。
アリアさんは初めてこの部屋を訪れたとき、パーティを組むまで帰らないといって無理矢理泊まっていきました。
しかし、今は仮とはいえパーティを組みました。
つまり、アリアさんがここに泊まる理由が消えてしまったのです。
「帰ってくれ…!俺は女が苦手なんだ!」
「じゃあ詩穂は何でいいのよ!」
「うぐっ…。そ、それはだな…。」
…まあ、そうなりますよね…。
私に女の魅力が無いからですよ、アリアさん…。
「…くそっ、もう勝手にしろ…!」
「そうそう。それでいいのよ。」
アリアさんがふふん、と胸を張ります。
今日の遠山君はアリアさんに言い負かされてばっかりですね。
大半の原因は私なのが心苦しいです…。
「…はぁ。茅間、そろそろ飯にしてくれ…。」
「はーい。」
もうそんな時間でしたか。
ではご飯を作りましょうか。
「「…ごちそうさま…。」」
「おそまつさまでした。」
…さて、お皿を洗いましょう…。
食事のたびに心が…。
なんであんなにテンション低くごちそうさまって言うんですか…。
「じゃああたしはお風呂入ってくるから。…覗いたら殺す。」
「覗くかっ!」
アリアさんはまだ遠山君が服を漁っていたことを根に持っているようです。
遠山君曰く誤解らしいですが…。
遠山君、アリアさんに誤解多くないですか?
アリアさんは着替えを持って、さっさとお風呂に行ってしまいました。
…この機会です。
遠山君に聞いておきたいことを聞いておきましょう。
「…遠山君。事件を1つ3人で解決する…って、たとえどんなに小さくどうでもいい事件でも1つですか?」
「ああ。そして、どんなに大きな事件でも…な。」
…本当に大勝負ですね。
「…正直、こうでもしないとアリアは多分分かってくれないだろうな。俺たちが…いかに、期待はずれか。」
「…そう、ですね…。」
まあ、そもそも私はカンで選ばれたわけですから…。
私には期待など一ミリもしてないでしょうけど。
「…どうなることやら、です…。」
そして次の日。
その約束の『事件』が起きるとは予想だにしていませんでした…。
ぴりりりりりり…。
「んぅー…。」
目覚ましが鳴ります。
今日も一日、がんばりましょう!
「…がんばりたくないです。」
「何を言っているんだお前は…。」
外は結構強めの雨がザーザー降っていました…。
雨ってテンション下がりますよね…。
朝ごはんを食べた後、出発の準備をします。
制服に着替えて…っと。
いつも思いますが、何で皆さんはあんなにスカートが短いんでしょう?
防御できる面積も増えるし、長いほうが見えないし便利だと思うんですけど…。
そうこうしているうちに、いい感じの時間になりました。
「ほら、さっさと行くわよ!」
「…あ?まだバスには早いだろ?」
自分の腕時計を見ると…まあ確かに最終バスの7時58分には早いですが…。
いつもこんなにギリギリのバスに乗っているのでしょうか?
「ほら、まだこんな時間だ。」
「…あら、あたしの時計が間違ってるのかしら?」
遠山君がアリアさんに腕時計を見せます。
アリアさんも男子寮からの通学に慣れていないためか、遠山君の言葉を信じています。
…まあ、確かに男子寮からは遠山君が一番通い慣れてるはずですし…。
彼に従い、もう少しのんびりしましょうか。
「おかしい…。」
「ちょっと、どういうことよ!」
さて、バス停まで行くと。
7時58分のバスがすでに来ていました。
遠山君もあれ?という顔をしています。
「やった!乗れた!やったやった!おうキンジおはようー!」
ひときわ大きな声がしたのでそちらのほうを向くと、大柄な武藤君がバスのタラップのところで万歳していました。
「の、乗せてくれ武藤!」
「そうしたいが満員だ!女の子2人と仲良く歩いてきなっ!」
ぷしゅー…。
そう叫ぶ武藤君を乗せ、バスは行ってしまいました…。
……。
遅刻、確定です…。
「…あーあ、一時間目はサボりじゃない。どうしてくれんのよ…。」
「…スマン。」
「遠山君…。仕方ありません、歩いていきましょう?」
「それしかないわね。」
というわけで、3人で歩いていくことになりました。
プルルルルル…。
無駄に長い学校までの道を歩く途中。
誰かの携帯が鳴りました。
「あ、ごめんあたしだわ。」
どうやらアリアさんのようです。
アリアさんは電話を受けると、電話の主とぼそぼそと話し始めました。
「…スマンな、茅間。俺のせいで遅刻になっちまって…。」
「いえ、遠山君のせいではありませんよ。時計がたまたまずれていただけでしょう?」
「…そういってもらえると助かる。」
遠山君は苦笑とともに返します。
その姿に、何故かあのかっこいい遠山君が重なってしまい…。
「…あぅ…。」
そしてそのときの出来事を思い出してしまいました…。
うぅ、人生初のお姫様抱っこを彼氏でもない人に取られてしまいました…。
「……どうした?茅間?」
「ご、ごめんなさい遠山君…。しばらく話しかけないでください…。」
「あ、ああ…すまない。」
赤くなっている顔を見られたくないから、話しかけるなといってしまいました…。
でも遠山君はなんだかよくわかっていない様子でしたが、無理矢理納得したようです。
はぁ、それにしても…。
あのときの遠山君、いつもより声も仕草もかっこよかったなぁ…。
なんだか芸能人と会ってるような…。
でも、いつもの遠山君とは全然違いました。
なによりも、普段遠山君からは感じない知性?というか…。
そういったものを感じました。
つまり、なんだったのでしょう?
一番ありうる可能性としては二重人格ですが…。
でも、二重人格なら記憶は引き継がれない場合がほとんどです。
つまりまぎれも無く彼であるということになるのですが…。
…って、なに真面目に考察しているんでしょう。
遠山君にあのことは忘れろと言われたはずなのに…。
「…わかったわ。すぐ行く。」
どうやらアリアさんの電話が終了したようです。
…すぐ行く?どこへでしょうか…?
「ちょうど強襲科のそばで良かったわ…。」
アリアさんは立ち止まると、何がなんだかわからない私たちに向き直りわかりやすく端的に告げました。
「あんたたち、事件よ!」
…約束の、最初の1つの事件。
それは、私たちにはあまりにも大きい事件でした。
読了、ありがとうございました!
今回は少し短いかもです。
でもキリがいいので切ってしまいました。
ご了承ください。
ちなみに自分は音ゲーは好きですが、全然うまくありません。
あと詩穂の「料理の味が普通」という特徴が使いやすすぎて…。
なんだか毎回詩穂の普通な料理が出てきそうです。
感想・評価・誤字脱字の指摘等々を、全身全霊お待ちしております。