魔眼少女の池袋騒乱記   作:久美川

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三章

支基がテンションの高い謎の男女二人組への対応に難儀しているところに渡草の助けがはいった。

 

「お前たちなぁ、初対面の人間に対してちゃんと自己紹介ぐらいしろよ」

 

その助け船を利用してとにかく話を進めようと、渡草の仲介のもと支基の目の前の二人が自己紹介を始めた。

 

まずは随分と重そうなバッグを背負った目つきの鋭い金髪の男からだ。

 

「遊馬崎ウォーカーっす!それよりー君の眼帯は何ですかっ、もっもしかして封印した邪眼が疼いてるんですか?灼眼なんすか?」

 

強ち間違っていない、遊馬崎の妄想と願望の混ざった推測によりほとんど真実を指摘された支基は内心ドキッとしたが答える間もなく次の声が上がる。

 

次はその隣にいる黒のベレー帽のような帽子をかぶった女だ。

 

「私は狩沢絵理華!その眼帯もそうだけどさっ、その着物どうしたの?良家のお嬢様?コスプレ?コスプレなら私と一緒に楽しまない?」

 

支基は正直、このハイなテンションと遊馬崎ウォーカーという名前や狩沢のコスプレへの執着が気にかかったが相手に自己紹介された手前、遊馬崎と狩沢に自己紹介で返す。

 

「えっと……、私は今日から池袋で暮らすことになった七夜支基です。」

 

最低限の紹介で返した支基に狩沢が返す。

 

「ナナヤツカモト?なんか両方苗字みたいだね。少し発音しずらいし、でも何だかカッコイイ名前だね」

 

「そうっすね、珍しい名前っす」

 

 

(いやどう考えても、遊馬崎ウォーカーって名乗ってる人の方が珍しいと思います……)

 

支基は心の中でそう呟きつつも、こう呼んで欲しいという希望をのせて言った。

 

「変な名前ってよく言われます、良ければシキと呼んで下さい」

 

一応顔色を変えずに言ったつもりだったが少し照れた表情が隠し切れていない。

 

その提案に狩沢は一旦何かを考えるような腕を組むそぶりをして納得したように手をパンッと叩きウンウンと頷き、ニッコっと笑顔で答える

 

「そっかー、これからよろしくねシッキー!」

 

それに便乗して他男二人も支基に言う。

 

「よろしくっす、シキさん」

 

と遊馬崎。

 

「一応俺もアパートの管理人なんだしよろしくな、シキ」

 

と渡草。

 

 

今までこんなにもフレンドリーな態度で接してくる相手は中々いなかったので支基はなんだかむずがゆい気持ちと、初めてきた都会で何とかやって行けそうで安心した気持ちになった。

 

何とも言えない気分の少女は快活に答える。

 

「はいっ!渡草さん遊馬崎さん狩沢さん、今後ともよろしくお願いいたします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

支基の見せる元気ある表情と活気ある挨拶で話題は終わったと思ったが、まだ遊馬崎と狩沢は足りないらしく追撃をかけてくる。

 

「そういえば、まだ答えを聞いてないっすよー。その意味ありげな左眼の眼帯は何っすか!」

 

興奮気味の遊馬崎が体を前のめりにしながら尋ねる。

 

 

支基は言いよどむ。

まさか遊馬崎の想像どうりに左眼が空で「死」を視ることができる特殊な能力を持っているなんて言えるわけが無いので、話をやんわりと流そうとする。

 

「えっと、昔の事故でチョット無くなっちゃいまして」

 

 

 

 

 

間が開く。

 

 

 

 

 

その言葉に支基以外の全員がしゃべらず「やっちまった」とでも言いたそうな顔に変化する。

 

支基はなぜ彼らが重い空気になったのか分からないので理由を考えながら首をかしげる。

 

 

まさかそんな重い事故の話が出ると思わず軽いものもらい位のものだろうと思っていた遊馬崎が狩沢の肩をチョンチョンと指でつつき何かを催促している。

 

表情で台詞を考えて作るとしたら「狩沢さんどうかお願いします」だ。

 

それに答えるかのように狩沢が話をなげる。

 

「え……えーっと、じゃあその着物は」

 

「私のお世話になって暮らしていた浅神の本家では皆ずっと私服が和服だったんです一応引越しの荷物にも何着か普段着として持って来てまして、あっ私の苗字が七夜で暮らしていたのが浅神なのは、私が10歳の時に浅神の家の人に拾われて長野で……」

 

スラスラと自らの過去を明らかにする支基に狩沢が止めに入る。

 

「ストップ!今凄いこと暴露してるよシッキー、長野で和服で浅神って言ったらあの有名な資産家の浅神?」

 

「はい、確かに浅神の家は裕福だったのでそうだと思います。」

 

「ちょっとそれは普通じゃないっすね……」

 

狩沢と遊馬崎の言葉が心に刺さる。

(あれっ?私ってそんなに異常でしょうか)

 

そもそも生まれ事体が退魔一族の七夜で瞳に魔眼を宿している時点で普通の存在では無い。

 

 

支基は冷や汗をかく、自分を保護してくれた絶えた退魔の一族の浅神は彼女の思っていた以上にお金持ちだったらしい。

 

 

少女達の空気が一層何とも言えないものになって行こうがこの池袋の雑多な人混みと時間は容赦なく流れていく。

 

どうしたもんかと頭を悩ませる支基だったが取り敢えずここ池袋の拠点に移ろうと考えた。

 

 

「あのー、私明日からの生活の準備を始めるつもりなので、そろそろいいでしょうか」

 

 

「あっ!だったらメアド交換しよ!」

 

 

 

今日一番大きな狩沢の声が響く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その後、支基は狩沢と遊馬崎に別れを告げ渡草の乗ってきたワゴン車に乗せてもらい引っ越したばかりのアパートの一室に到着した。

 

支基の借りた部屋は畳の敷かれた和室一室で大きな荷物の桐ダンスとちゃぶ台以外まだ段ボールしか無い中で正座をしながら体を揺らしニヨニヨと嬉しさを噛みしめていた。

 

 

「初めてだなー、友達のメールアドレス」

 

 

支基は七夜にいた際は携帯電話など所持しておらず、長野の浅神の家にいた際は携帯電話を持たされていたが住んでいた町では支基が浅神の家の一員だと知られており誰もが浅神か恐ろしくて近づいて来なかった。

 

浅神のことも知ってから態度を変えなかった人も支基にとって初めての体験だった。

 

 

「それに約束もできたし」

 

狩沢とのメールアドレス交換後彼女が提案してきたのだ。

 

 

 

 

 

「ねえシッキーて明日空いてる?この街初めてなんでしょ、明日は日曜だし案内してあげるよ。それにドタチンにも新しい友達って紹介したいしさぁ」

 

「おっお願いします」

 

ドタチンという単語は理解できなかったが自分を友達と呼んでくれた人も、知り合いと街を歩く経験も無かった支基は二つ返事で了承した。

 

(たのしみだなー)

 

 

その気持ちか抑えられず引越しの荷物を片付ける仕事に手がつかず結果段ボール群れの中に座ることになっているのだが、そんなこと気にせず携帯電話を握りしめ小躍りでもしそうなほど落ち着きが無かった。

 

 

 

 

 

来たメールだ。

 

〈やっほーシッキー、明日のことだけど取り敢えず池袋駅集合でいい?〉

 

 

 

 

 

そんな確認のメールですら嬉しくて、

 

支基の携帯には、

 

 

 

 

 

〈はい、明日はお願いします〉




デュラララ‼SH面白いですね。
今まで十三巻までよんで満足していたんですが、最近SHを三巻まで一気に読んだらはまっちゃいました。
四巻はよ。
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