IS 武道家は鬼神の如く   作:mizurahi

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非常に暗いお話になる

シリアス注意

原作開始は2030年とする


2話 闇に飲まれた少女

 

 

2029年4月19日

 

 

ゴボボボボボ

 

 

溶媒液で満たされた円錐状の分厚いガラスの容器の中に生まれたままの姿で膝を抱えるようにして眠る一人の少女がいる。

 

 

ゴボボボボボ

 

 

少女の呼吸と共に容器の中で気泡が吐き出される。

 

彼女の名前は 凰鈴音(ふぁんりんいん)

 

 

ゴボボボボボ

 

 

何度目かの呼吸の後、鈴音は目を覚ました。

 

 

どうしてこうなったんだろう

 

鈴音はおぼろげな意識の中、散らばった記憶のかけらを集めて思い出す。

 

最初はISの適正を上げる新しい技術だとか言ってたっけ?

黒鷹の強さに少しでも近づければと安易な考えで協力したんだよね

 

 

ゴボボボボボ

 

 

なんか眠くなってきちゃったな.....今日はもう寝よう

 

そして先程と同じ様に膝を抱えて眠りにつく。

 

 

 

 

 

 

2029年4月20日

 

 

ゴボボボボボ

 

 

鈴音が目を覚ます。

昨日と同じように記憶のかけらを集めて思い出す。

 

そういえばあたしの他にも何人か志願者がいたけどどうなったんだろ.....

 

黒鷹達は元気かな....料理の練習も沢山したのにな

 

鈴音の瞳から溶媒液とは違う液体が流れ出す。

 

寝よう

 

 

 

 

 

 

 

2029年4月22日

 

 

ゴボボボボボ

 

 

鈴音が目を覚ます。

記憶のかけらを集めて思い出す。

 

この研究はなんだっけかな、確かナノマシンがどうのって言ってたっけ

 

たしかドイツでもヴォーダン・オージェとか言うナノマシン関連の技術があったしそれと同じ様なものだと思ってたんだよね

 

こんなことになるなんてね

 

もう寝よう

 

 

 

 

 

 

2029年4月2-日

 

 

ゴボボボボボ

 

 

鈴音が目を覚ます。

記憶のかけらを集めて思い出す。

 

いくつかかけらが手の届かないところに行っちゃったな.....

 

大事なかけらじゃないといいんだけど

 

黒鷹達と別れるときに黒鷹に再開(サイツェン)って言ってくれたときは嬉しかったな

 

でももう.....

 

寝よう

 

鈴音の瞳から溶媒液とは違う液体が流れ出す。

 

 

 

 

 

 

2029年5月--日

 

 

ゴボボボボボ

 

 

鈴音が目を覚ます。

記憶のかけらを集めて思い出す。

 

 

またいくつかかけらが手の届かないところに行っちゃったな

 

どの記憶がなくなったのか解らないよ

 

このまま記憶がなくなっちゃうのかな

 

嫌だよ.....怖いよ.....助けてよ....

 

会いたいよ黒鷹......

 

会いたいよ..........

 

 

鈴音の瞳から溶媒液とは違う液体が流れ出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2029年-月--日

 

 

「試験体の様子はどうだ?」

 

「抵抗が強く適合が進みません」

 

「強情な奴め。薬を使え」

 

「は、強制適合準備開始」

 

 

 

ゴボボボボボ

 

 

鈴音が目を覚ます。

記憶のかけらをかき集める。

 

なんだろ、外が騒がしい......

 

あれ、どうして?かけらが離れていく

 

ダメ

 

行っちゃダメ!!

 

自分の周りから離れていくかけらを鈴音は必死で集めるが徐々に数を減らしていく。

 

どうして?なんで?あたしの大切な記憶を取らないでよ!!

 

鈴音は何とかしてかけらを掴もうとするが、その努力も空しくかけらは次々に手の届かない所まで離れて行ってしまう。

 

だが一つだけ鈴音の側を離れずゆっくりと動いているかけらを見つけ、それを優しく掴み胸元で抱きしめる。

 

黒鷹.....

 

この記憶だけは絶対に離さない

 

そんな鈴音の思いをあざ笑うように、かけらは鈴音の腕をすり抜ける。

 

「投与完了」

 

 

 

だめえええええええええええええ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鈴?.....鈴!!!!」

 

「何をぼさっとしておるか黒鷹よ」

 

ここは《対特殊機動兵器自衛隊》通称《特機自衛隊》の駐屯地内にある道場。

 

《対特殊機動兵器自衛隊》

近年頻発するISを使ったテロ行為に対応するべく作られた特殊部隊

甲冑と言う日本の桜井研究所で作られたパワードスーツや、対ISに特化した兵器を独自に運用する。

極秘事項であるが実際にISを破壊した実績がある。

 

ここでは黒鷹と黒鷹と同じ格好に赤い袴を来た《刻刀 奏(ときとう かなで)》の二人が修練を行っている。

師匠である奏の放つ鋭い蹴りが目の前に迫り、それを避けようとした瞬間今までに感じたことの無い不吉な気の乱れを感じると目の前に変わり果てた鈴音の姿が映し出された。

 

黒鷹の目の前に現れた鈴音は

手入れをしていないのか荒れ放題で白髪が混じる痛んだ髪

片目が潰れ、血の涙を流しとても辛そうな表情を浮かべ

ただでさえ小柄なのに骨が浮き上がるほどやせ細り

真っ白な肌に肥大化した血管が這いずりまわる

 

とてもまともな状態には見えない変わり果てた姿だった。

 

「師匠、師匠は不吉な気の流れと共に自分の大切な人が変わり果てた姿で目の前に現れた事、ありませんか?」

 

黒鷹の異変に気がついた奏は、上段蹴りの格好のまま黒鷹の目の前で止めていた足を下ろし姿勢を正す。

 

「見たのか?」

 

「はい、とても嫌な予感がします」

 

「待っておれ」

 

そう言うと懐から小型の通信端末を取り出し、耳に当てると誰かと話し始めた。

 

「わしじゃ、調べて欲しいことがある。凰鈴音.....そうじゃ黒鷹の同級生.....時間が無い急ぐのじゃ」

 

「師匠.....」

 

「桜井の下へ行くぞ」

 

「はい」

 

奏の短い通話の後、黒鷹と奏は駐屯地内にある桜井研究所と言う場所に急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ二人とも、待っていたよ」

 

黒鷹と奏が研究所に着くと白衣を着た一人の青年が待っていた。

 

「博士、鈴は!?」

 

白衣を着た青年の名前は《桜井 健一(さくらい けんいち)》ここ桜井研究所の主任であり、甲冑を初めとする様々な物の開発に携わった人物である。

青年と見間違うほど若々しい見た目だが実際には40歳近くで妻子もち。

 

《甲冑》

桜井研究所が開発した、74式、90式、10式強化外骨格の総称

ISと違い、完全に人型で自身の体を完全に覆うような全身装甲を持つパワードスーツ

PICやシールドバリアー、拡張領域といったものは無いが、アシスト機能で高く飛んだり壁に張り付いたり、壁を蹴って三角飛びと言った人の動きの延長線上を行く動きに重点を置いている。

その他にも背部に装備してあるジェットパックでの飛行が可能であり、各所に取りくけられた小型の推進装置で細かい機動制御も可能である。

甲冑の大きさは人と同じ大きさなので大型の兵装は装備できないがパワーアシストで重いだけの物なら持てる。

動力として公式では高性能バッテリーとなっているが実戦では小型化された熱核反応炉を搭載している。

 

「とりあえず落ち着いて.....もいられない状態だから着いてきて。部屋で詳しい話をしよう」

 

そう言って歩き出す健一の後を黒鷹と奏が追う。

健一は自身の専有スペースに移動しながらも次々と集まってくる鈴音に関する情報を纏め上げていく。

この桜井研究所では《(ブレイン)チップ》と言うものが開発されており、これを試験的に使用している者が何人かいる。

健一と黒鷹もそのうちの一人で奏は使用していない。

これにより人間同士でのデータのやり取りや、情報処理などを脳内で行うことが可能になる。

映像は網膜に直接投影される。

過去に脳チップ適合者の暴走事件が発生し、その際に黒鷹に特殊な脳チップが埋め込まれた。

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、これを見て」

 

健一の専有スペースに着いてすぐ送られてきたデータを受信する。

受信し終わるとすぐさま視覚ウィンドウに表示し内容を流し読む。

脳チップを埋め込まれていない奏は先程使用していた小型の通信端末から映像を浮かび上がらせている。

 

「簡単にいうと凰鈴音、彼女の置かれている状態は非常に危うい。現在彼女は中国国内にある研究所で《ISとの親和性を強制的に上げる処置》を受けている」

 

データを確認すると確かに鈴音の名前があり、今年の初めから処置を開始した旨が記されている。

そして鈴音より先に処置を受けた者全員の死亡とも記されていた。

 

「これを簡単に説明すると。ISのコアネットワーク内に自分の分身を作り出し、そこで直接コアに指令を出したり受けたりして現実の自分に伝えると言うものなんだけど。ようは自分の身体が二つになる訳、だけど処理する脳は一つだから双方からの異なった情報にエラーが蓄積されて、その内脳がおかしくなって廃人になる。しかもこれの厄介な所は一度分身を作ってしまうとそれを元に戻す方法が無いって事」

 

健一の説明を聞きながらデータを見ていくと確かに致命的な欠陥として報告が上がっている。

それでも実験を繰り返し、すでに死人、というより使い物にならなくなって処理された者が何人もいることが記されている。

 

「処置にはかなり時間がかかるけど、この資料を見る限り最終段階、悪くて処置済みの可能性が高い。この処置と言うのがナノマシンを使って脳内に僕達が使ってる脳チップの様な脳とISコアネットワークを結ぶ接続点を作る必要があって、間違いなくチップ自体はもう作られてるけど僕が直接手をかければなんとかなる」

 

「しかし博士が危険な場所に行く必要は「ある」

 

「今回は完全に僕のミス。黒鷹君の想い人の危険に気がつけなかったのは僕に責任がある。それに特機自衛隊に援護を頼んであるから大丈夫」

 

すでに手遅れ、間に合っても健一がいなければ手に負えないと言われてしまっては黒鷹としては着いて来てほしいくらいだったのでそれ以上意見することはしなかった。

 

「博士、準備が整いました」

 

「ん、ご苦労。それじゃ黒鷹は先に雷電で鈴音君のところに向かってくれ」

 

「はい!!」

 

「鈴音を必ず救ってやるのじゃぞ黒鷹よ」

 

黒鷹は奏と健一に見送られ鈴音の下へと向かうため滑走路で発進準備をしているであろう雷電へと向かった。

 

 

《超高空戦闘爆撃機・雷電》

 

対IS用に開発されたマルチロール機

ISの技術を流用し、対G制御の問題を解決した。

既存の戦闘機を凌駕する圧倒的な機動性を発揮するこの機体は、あまりに性能が高すぎたためパイロットが二人しか存在しなかったがISの発展で対G制御の新技術が確立され少しずつではあるがパイロットが増えてきている。

桜井研究所で開発され、現在では少数であるが特機自衛隊に配備されている。

可変式ノズルを採用し、高機動でありながらホバリングモードという特殊な戦闘方法が可能で、その場に停止する事はもちろん前後退や上昇下降も自在に行うことが可能。

武装面も充実しており、メインウェポンにバルカン、レーザー、プラズマレーザー、プロトンレーザー、プロトンレーザー改を。

サブウェポンにそれぞれ性質の異なったニュークリアミサイル、ホーミングミサイル、レーダーミサイルを装備可能。

 

 

 

 

 

 






次は鈴ちゃん救出作戦です。

今回出てきた 超高空戦闘爆撃機・雷電ですが、これは20年以上前のアーケードゲームで非常に有名な縦シューの一つです。

設定資料手元に無いのでwikiと記憶を頼りに書いてあるので仕様が違うかもしれません。
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