IS 武道家は鬼神の如く   作:mizurahi

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 雷電Ⅴの発売が決まりました、うれしいです。
 steamで雷電Ⅳがサントラ付きで売ってます、ただゲーム自体に問題があるらしくて起動しない人が多いみたいですよ、私も起動しませんでしたし。
サントラ目当てなのでどうでもいいんですけどね

というわけで久々ですがどうぞ!!


5話 解放

「ぜりゃああああああ!!!」

 

少女だった者と共にロケット弾の様に壁を壊しながら研究所を離れた黒鷹は地下にある広大な空間である試験場へと到達した。

 

「破ッ!!」

 

それと同時に距離を取るために自身の身体と少女だった者の間で圧縮された気を炸裂させ吹き飛ばす。

 

「ぐぎぎぎぎ.....あ、あがががが」

 

勢いそのままに試験場の壁まで吹き飛ばされた少女だった者は衝撃で部品や体の一部をばらまきながら呻き声をあげる。

 

おかしい....いくらなんでも体が持たないはずだが....

 

「あっ....い、いたい.....たすけ.....て」

 

「!!まだ意識があるのか....いや意識があるだけか。何と忌々しい物よ....」

 

「たすけ....て....」

 

顔を歪め助けを求めるが少女だった者はその意思に反して背面のスラスターを吹かして黒鷹へと向かう。

 

「たすけて....たすけて....よ」

 

肉薄する少女だった者の振りかぶった拳を受け止め、黒鷹は真っ向から向かい合う。

 

「人の命を弄びおってからに」

 

黒鷹は触れあった拳から少女だった者の脳チップ(ブレインチップ)から情報を引き出す為にマインドハックを仕掛けるための座標(アドレス)を引き出し、桜井博士に送る。

 

『やぁ、黒鷹』

 

『中将閣下!?』

 

 桜井博士に座標を送ってすぐ黒鷹に直接通信(チャント)が送られてきた、相手は特自の最高責任者であるディオニシオ・ウルセライ。

 

 元はSAS州政府のPANDRAという六万人規模の州政府委任軍のTOP

 先の大戦でお役御免となったPANDRAを桜井博士が引き抜き現在は自衛隊の特殊機動兵器自衛隊の戦術顧問として活動しているが実際には自衛隊の枠から外れた部門である特自の最高責任者として活動しているのは暗黙の了解である。

 

それと同時に一つの影が領域内へ侵入し勢いそのままに少女だった者へと食らいつく。

 

 「加勢しよう」

 

 「マクシーム大佐!?助かる!!」

 

 少女だった者に食らいついてきたのは10式強化外骨格シュミクラムパッケージ、ドロギブ・ドゥカッターを身に纏ったマクシーム・バルシュタイン。

 

 PANDRAの創立以前からシュミクラムに乗る全身義体の老練のシュミクラムユーザー。

 元はPANDRAで近衛として良人の義体を使い戦っていたが先の大戦で良人の敵討ちを終え今では元の義体に戻り、ウルセライと同様に特自に所属している。

 

 シュミクラムパッケージ

 

 SAS(東南アジア州)と言う長きに渡り世界から隔離されていたこの地域ではネット(仮想)空間が異常発達し、現実世界と変らないほどに精巧な仮想世界が形成された。

 現実(リアル)仮想(ネット)が混ざり合ったSASでは人類の滅亡をかけた様々な出来事が起こり、それと共に生まれたシュミクラム(戦闘用電子体)はその様々な出来事とは切っても切り離せないほど親密に関係しており、それを操るシュミクラムユーザーはお互いの正義のために命をかけて泥沼の戦場を駆け抜けた。

 

 そして現在の日本では、その優れた能力を現実世界でも発揮する事が出来ないだろうかと考えた桜井博士が強化外骨格として段階的に実戦投入し一部のシュミクラムユーザーに試験的に運用し始めたのが10式強化外骨格シュミクラムパッケージ。

 これはシュミクラムユーザーが持つシュミクラムのデータを模倣し、外骨格を組み換える事が可能となった物で、この型式からは量子転送技術が搭載され、一たび撃ち上げられれば、そいつが落ちるまでに機体を破壊し尽くされるだろうと言われる熟練のシュミクラムユーザー(腕利き)(ホットドガー)が使うコンボも再現可能になっている。

 

 それでもPICを使い空を自在に飛び回るISには機体性能で大きく差を開けられているが大戦を生き延びたホットドガーには大した意味はなく、たった一手入ればシールドエネルギーが切れるまでコンボを叩き込まれISの操縦者は絶対防御を発動させ意識を手放すことになる。

 

 「黒鷹、必要な情報は手に入れたよ、ご苦労さま、彼女を楽にしてあげて。鈴も無事だ、終わったら戻ってきてくれ」

 

 桜井博士からの通信に黒鷹は胸をなでおろす。

 それと同時に周囲の気の流れを活性化させ禍々しい程の気の固まりを生成する。

 

 「マクシーム大佐、彼女を楽に」

 

 「ポーニョ(了解)

 

 「滅!!」

 

 マクシーム大佐が吹き飛ばした少女だった者へと黒鷹から放たれた禍々しい気の固まりは吸い込まれるようにゆっくりと進んで行き、マインドハックされ体の自由を奪われた少女だった者は逃れるすべ無く気の固まりを受け止めると一瞬にして不気味な粒子となり消え去った。

 

 気巧波・滅

 

 対象となる相手の気の流れと正反対の気を作り出しぶつける事によって対象の気の流れを消滅させ無に還す気巧術師の奥義。

 この大技には大きな欠点があり、正反対の気の流れを作り出すには相手の持つ気の量を数千倍上回らなければならないため並みの術者には扱えない。

 今回は特例で相手が気の流れを持たない無機物と同化していたため極端に気の量が少なかったために成功した。

 それでも黒鷹の異常に活性化した気の流れをもってしてもやっとといった所である。

 

 「これでようやく彼女も救われるであろう」

 

 「うむ、見事」

 

 『君たちにはまだまだ借りがあるからね、こっちも色々とやることが増えたから失礼させてもらうよ』

 

 「助かった、礼を言う有難う」

 

 マクシーム大佐が援護に来なくても倒すだけなら訳はないが最後の最後まで苦しめ続けてしまっていただろう、そうならなかった事に安堵しながら助けてもらった事に礼を言い、この場を去るマクシーム大佐に頭を下げると黒鷹は鈴音の元へと向かった。

 

 

 

 

 

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 「博士、鈴は!?」

 

 「ご苦労さま、もうすぐ終わるから迎えに行ってあげて」

 

 黒鷹は鈴音の安否を確認するや否や、桜井博士や甲冑を身に纏った特自隊員には目もくれず一直線に溶媒液の満たされた透明なガラスの装置の中で眠る鈴音の元へと駆けつける。 

 

  「鈴....」

 

  未だに目を覚まさず膝を抱えたままの姿で眠っている鈴音を見つめながらガラスに手をつくと、そこから温かな気の流れが鈴音を包み込むように流れ込む。

 

 「よし.....これでおしまい、黒鷹」

 

 桜井博士の言葉にゆっくりとうなずいた黒鷹は溶媒液で満たされた容器の内部で今まさに目を覚まそうとしている鈴音をやさしく抱くように気を張り巡らせ、その場に固着させると活性化した気を外へ向かって炸裂させ、カラスを粉微塵に吹き飛ばす。

 

 そうして黒鷹は鈴音をやさしく自分の腕で抱きしめる。

 その姿は鈴音の体温や息使いをその身に刻みこむ様であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 あぁ、あたしどうなっちゃうんだろう

 

 体は自由に動かない、記憶のかけらは手の届かないところに....

 

 もうあたしがあたしで無くなるのも時間の問題かな....

 

 大切なあの人

 

 名前はもう思い出せないけど強く、強く想ってたんだな

 

 記憶のかけらが無くなっても僅かだけどぬくもりが残っている

 

 こんなにも想える人に出会えてあたしは幸せだったんだろうな....

 

 

 

 「-----」

 

 

 何か聞こえる?

 

 声のする方へと何とか体の向きを変える鈴音。

 

 あれは....?

 

 暗闇の中で手の届かない所へと飛び散って行った記憶のかけらが徐々に一点へと集まって何かの形を作り上げていく。

 

 人の....形?

 

 そうして作り上げられた人型に鈴音が最後の最後まで大事にしていたかけらがゆっくりと吸い込まれていく。

 

 あれは....

 

 最後のかけらが吸い込まれると同時に鈴音のいる暗闇の世界が光を取り戻していく。

 

 あれ....

 

 光を取り戻した世界で鈴音が初めて見たのは自分と同じ人間の男。

 

 どうして....?

 

 記憶をなくしている鈴音その男が誰だかわからない。

 

 だが凍りついた心をゆっくりと溶かしていくような温かな気持ちと胸の奥底から湧いてくる感覚と止め処無く溢れてくる涙は鈴音を暗闇の世界から救い出した証。

 

 そうして完全に光を取り戻した世界で立ちすくむ男はゆっくりと鈴音へと向かって動き出した。

 

 烏の濡れ羽色の真っ黒で艶やかな髪をかき上げ、猛禽類を思わす獰猛で凛々しい顔つきにはやさしげな笑みが浮かべ鈴音をしっかりと見つめている。

 

 一歩、また一歩とその男は鈴音へと近づいて行く。

 

 「待たせたな鈴」

 

 鈴音の目の前までやってきた男はただ短くそれだけを言うをと鈴音の首へ腕をまわしゆっくりと引き寄せ、お互いの顔がゆっくりと近づく。

 

 ゆっくりと確実に近付く男の顔に何をするでもなく、ただそれを受け入れようとする。

 

 そしてお互いの距離がゼロになり唇が触れあうと無くしたはずの鈴音の記憶が温かな唇から流れ込んでくる。

 

 あ....こく..よう.....

 

「鈴よ、すまなかった」

 

 そのままやさしく抱きしめられた鈴音は黒鷹の腕の中でゆっくりと意識を手放した。

 

 だがその表情は不安から解放されたように穏やかであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「んっ....」

 

 「鈴、起きたか」

 

 「ここ、は?」

 

 「空母雷電の中だ」

 

 「くうぼ....らいでん?」

 

 「あぁ、いやすまない解りずらかったな。鈴が今いるのは俺の腕の中だ、よく無事でいてくれたな鈴。本当によかった」

 

 あぁ、温かい。座っているこの人の膝の上に座り胸元にもたれるようにしているあたしをやさしく抱きしめてくれている。

 

 温かさだけじゃなくて胸元に押し付けている耳から聞こえる力強い心音が気持ちを落ち着かせてくれる。

 

 「あたりまえじゃない、あたしを誰だと思ってるのよ」

 

 「そうだったな、お帰り鈴」

 

 「ただいま、黒鷹」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この後何話かはさんで本来の時系列に乗ります
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