皆さまのお目汚しにならない程度の作品であれば宜しいのですが……
投稿する段階で初めて気付きましたが、こちらにはチラシの裏があるのですね
とりあえずそちらに投稿したほうがよいのでしょうか
「やぁ小猫ちゃん、今日も君に会えて本当に嬉しいよ」
「……何時も同じ様なことしか言いませんね、ボキャ貧」
「うっ! ……は、ははは。そんな所も素敵だよ小猫ちゃん」
そういって彼は俯いて、あからさまな落胆の姿勢を取る。それが私の気を引くためのポーズなのだと何時からか気付いたので、心配はしなくなった。……契約者だから、契約が破談したら私が困ります、故の心配なだけです。……別に、彼が好きだとか、そういった感情は全くの皆無です。有り得ません。
そんな私ーー塔城小猫は、実は悪魔です。……もちろん、そんな事を言えば病院に連れていかれるでしょうが事実なのです。
詳しい説明は省きますが、今の私はいわゆる「悪魔の契約」に励んでいる。「お前の魂と引き換えに願いを~」というアレです、もちろん昨今は魂と引き換えだなんて人間はいないので、他のものを代価にするのが常ですが。
目の前に居る彼との出会いはある意味、私の生の中でも屈指の衝撃でした。
何時も通りに契約の魔法陣で呼び出され、現れた先は一見の男性。初めて会った時の彼は今と違い、とても暗かった。しかし現れた私を見た途端に雷に打たれたかのように驚愕の表情で硬直してしまったのです。
「……あの?」
思わず私が声を掛ければ、ハッとした様に瞬きを繰り返し、再び私を凝視。そして何を思ったか、私の眼前まで歩み寄り、私と同じ目線にしゃがみ込む。勢いよく私の手を取り、そしてーー
「一目惚れしました、僕と付き合ってください」
ーー唐突な、告白。
その後の事はあまり思い出したくないので割愛しますが、あれから彼は私のお得意様となった。別に交際やいかがわしい事を契約と称して強要するでもなく、他愛のない事で私と時間を共有したいのだと言っていた。……本当に、変な人です。
「それで……今日は何ですか? どうせまたくだらない事なのでしょうけど」
「今日はね、一緒に映画を見ようよ。面白そうなのを借りてきたんだ」
そういって懐から取り出したDVDを私に自慢げに見せ付ける。映画は、嫌いじゃないです。……まぁ、彼と一緒に見る、という点は些か不服ですが。
そして彼はレコーダーにディスクをセットして、何時もの優しそうな笑顔で手招いてくる。仕方ありません、これだけで満足してくれるお得意様は貴重。ここは素直に言うことを聞いておきましょう。
「ほらほら、僕の膝の上で一緒に見ようよ!」
「……死んでください、変態」
物悲しげな音楽をバックに、スタッフロールが下から上へと流れていく。……結局、なし崩し的に膝上に座らされているので少し首を動かせば彼の顔がある。号泣していた、いっそ清々しい程に泣いていました。
今私たちが見ていたのは、辺境の国の若者が外国の空港に閉じ込められるというお話だった。ラストは若者が「そんなの問題ねぇ」と、爪楊枝を片手にジャズバーに特攻を掛けて終わった。……何処に泣く要素が?
「うぅ、ぐすっ……いやぁ、感動したなぁ。こないだ見たドゥラモンの映画も感動的だし……日本に産まれて良かったよ」
小猫ちゃんにも会えたしね、と涙を拭いながら彼は私に向けて微笑む。……この人は、涙腺が緩過ぎでしょう。今時、子供でもドゥラモンでは泣かないと思いますが。
しかし、まぁ。
「……私も、貴方に会えたのは良かったと思います」
「えっ? そ、それって……!」
「こんな簡単なお願いでたくさん報酬をくれる、大事なお得意様ですから」
ガクッ、と。天国から地獄に落とされた様に肩を落とす彼。地獄は私たち悪魔の領土なので、出来れば地上か天界にそのまま居てほしい所ですが。
そして今夜の契約も終わり、別れの時間がやってきました。……何時も何時も思うのですが、アレっぽっちの願いで貰う代価ではないと思います。
「一緒に映画を見て、私を膝に乗せて……それだけで宝石ですか。本当に羽振りが良いんですね?」
「あはは。お金なんて物は結局、使うためにあるんだからね。僕一人じゃあ肥やしにしかならないから、小猫ちゃんにあげた方がお金も喜ぶってものだよ。それに、小猫ちゃんとの時間を買うって、最高のお金の使い道だと僕は思うなぁ」
ニコニコと、何時も以上の笑みを携えて、私に色とりどりの宝石たちを差し出してくる。彼の厚意……いや、好意が伝わる。宝石には人の「想い」が宿ると言いますから、きっとコレには彼の気持ちが染み込んでいるのでしょう。
「それじゃ、また今度だね小猫ちゃん。グレモリーさんにもよろしくね、ばいばーい」
「……はい。今後とも、是非ご贔屓に」
魔法陣を介して悪魔としての拠点である狗王学園オカルト研究部室に跳べば、私の主である上級悪魔のリアス・グレモリー先輩だけが、優雅な仕草でお茶を飲んでいた。
カップをソーサーごと机に置いて、目線をこちらに向けながら口を開く。
「あら、おかえりなさい小猫。またあの人と楽しく過ごしてきた様ね?」
「……別に私は楽しくないです」
私に気付くとそんな事を言ってくるので、咄嗟に否定の言葉で返すも、先輩は苦笑して再びカップを手に取り傾けはじめる。
……納得できません。皆さん、私と彼の関係を勘繰り過ぎです。ただの悪魔と契約者であり、それ以下は有り得てもそれ以上は有り得ないです。
「ただいま戻りました、部長」
するとそこへ、グレモリー眷属悪魔の中での黒一点ーー正式には少し違いますがーーである木場祐斗先輩が帰還する。いわゆるイケメンです、彼とは月とスッポンどころかティラノサウルスとミジンコです、歯牙にすら掛けられません、どちらが上かは言わずもがな。ちなみに部長とはリアス・グレモリー先輩が、このオカルト研究部の部長なための呼称です。
そして最後に副部長である姫島朱乃さんが帰還して、今夜の成果報告。1位はギャーくん、彼はこの場には居ないのでやはり割愛します。2位は朱乃さんで、3位は私。最下位に祐斗先輩。ちなみにここに部長であり主の先輩は含まれていません。
「うふふ、やはりトップは不動ですね」
「うーん、僕が最下位か。なかなか脱却出来ないな……せめて小猫ちゃんを抜いて3位にはなりたいんだけどね」
「ギャスパーは時間関係なく顧客を取れる分、強いわね。朱乃は固定客が多いし、小猫はあの人が規格外に代価を支払うから。祐斗はその辺ムラがあるわね、稼ぐ時は稼いでくれるのだけれど」
部長により下される評価で、祐斗先輩は苦笑い。朱乃さんは相変わらず笑みを浮かべている、それが彼の顔に少し重なり……ふと眼が合う。私の視線に気付いた朱乃さんから何とはなしに眼を逸らし、机に置かれたアンケート用紙に視線を寄越す。
それは契約者に書かせる、契約に対する評価や感想を記してもらうためのモノだ。幾つか積み重なる書類の一番上がちょうど彼だったので、スッと彼の用紙に眼を通す。
『名前:瀬留 銀太郎
年齢:18
性別:男
指名悪魔:塔城小猫
感想:とても楽しかったです、小猫ちゃんと会う度に僕は優しい気持ちになり、生きる喜びを噛み締めることが出来て大変嬉しいです。また小猫ちゃんと会いたいな。』
……本当に馬鹿です。
話の中に出てくる映画は私自身がかなり好きな作品に、何故か某死亡フラグゲーをミックスさせた結果です、どうしてこうなった
主人公である銀太郎くんが、書いてから森……森沢? さんとあまりキャラが変わらない気がするので未だ森沢(仮)さんは契約していないとします。南無
感想、ご指摘、批判などなどお待ちしております
※「小猫」を「子猫」と書いてしまっていました……
今すぐには修正出来ないため、後々に直します
※11月25日12時04分、修正しました