東方天眼史記~The Clairvoyant eye Historical Memoirs~ 作:水咲光
むっとするような粘つく熱気が体にまとわりつく。
この熱気をどこかに運んでくれるそんな親切な風も今はいなくて、早朝から降っていた思いやりの全くないジトジトとした雨は7時半頃に撤退してくれたものの、不快度指数をぐんぐん上昇させるだけの誠にありがたくない湿気という置き土産を置いて帰っていった。
自転車のペダルは体が疲れてきたせいか、ペダルが重い。
踏み込んでいく度に汗がじわりと吹き出す。
ミーンミーンミーンと、アブラゼミが鳴いてこの暑さを引き立てている。
セミはあんなに大きい音で鳴いて大丈夫なのかと少し心配になる。セミは1週間しか命を持たないというけど実際は1ヶ月程度は持つらしい、それでも短い命だと俺は思う。そりゃ人間とセミの時間の感じ方は違うだろうけど、あの合唱の声をちょっと抑えたらもう少し長生きできるんじゃないかなと思ったりもする。少しでも長生きしたいという気持ちがあるならよ・・・セミさん、あんたら合唱のボリューム落としてくれ、人間側はその真夏の大合唱で余計に暑さを感じたり、そのせいでクーラーを長時間付けて高額な電気代を払うハメになるんだ。弱者の為にもやめとくれぇぇぇぇ!!
そんな議論を頭の中でセミと交わしながら田舎道を右折する。
向かうは、永清高校、俺の住む県の中でも上位の偏差値を誇る進学校。といっても本当に普通の高校である。(変な所を上げるとすれば、変人が多い・・・個性派揃いの高校と言えば聞こえは良いけど・・・)
登校完了時刻は8時半、腕の電波時計を見たところ只今の時刻は8時十分。学校まではあと500mというところなので余裕である。
自転車をゆっくりと転がしながら、いつもどおりの通学路の景色眺めていく。
目立つような特色のある物ないけど、素朴なこの町を俺は好きだな。
俺がこの田舎町に来たのは三年ほど前、父さんの実家である天海家に預けられたのがきっかけだった、あの頃は12歳で爺ちゃんと、婆ちゃんとでいろんなところ回った。地元のお祭りにも参加したりしながらこの田舎暮らしに馴染んでいったんだよな。
三度目の夏に感慨を覚えながら自転車を漕いでいるとアゲハ蝶が併走?してくる。
そのアゲハが気になり目線をそちらに向けると突然高く浮上、雲ひとつない夏空にひらひらと舞うようにして飛んでいる。
なんとなくだけどアゲハの様子を見て今年は良い夏になるよと神様から暗示を受けた気がした。
数分後、学校の駐輪場に到着した俺は適当な場所に自転車を止めて、所属するクラス一年二組の教室に足を運ぶ。
今日は学校の一学期の終了式。つまり明日からはお待ちかねの夏休みである。(課題地獄でもあるが)
教室にはすでにほとんどのクラスメイトが集まっていた。
俺は数人と挨拶を交わし、自分の机にすごすごと座る。
黒板を見てみると「俺たちの夏が始まる!!!!思いっきり楽しめっ!!!!!」と砂浜やスイカのイラスト付きで、でかでかと書かれている。
クラスメイト達は明日からの夏休みの事で頭の中ヘヴン状態なのだろうと想像する。
俺も楽しみである。ゲームとネットと読書を愛する俺にとって夏休みはいろんなフリゲやまだ読めてない書物を一気に片付ける事ができてしまうスンバラシイ期間であるからな。
しかしながらやっかいな部活に参加・・・いやあれは強制的に入部させられ、否応なく俺はこき使われ、その上謎すぎる合宿もある為そんなに自由ではないんだよなこれが・・・
部活を思い出し、ちょいブルーな気持ちになる俺であった。
クラスメイトの一部は集団で旅行に行くらしい・・・山の中でキャンプ、海で海水浴などなどイベント満載の二泊三日を送るとのこと。基本インドア派の俺でもうらやましいや・・・
キーンコーンカーンコーンとお馴染みのチャイムが一学期最後のホームルームの始まりを知らせる。
ふぅ、初投稿でした〜後で見直したら主人公喋ってないじゃんww
主人公君の苗字は天海、名前や詳細は第二話で分かると思います。(多分ね・・・)