では、どうぞ。
あの後、古城達は凪沙から質問攻めにあい、やり取りが終わる頃には購入してきたアイスも全部溶け、浅葱も帰宅していた。途中、悲鳴のようなものが聞こえたが、気にせずに浅葱は帰宅した。
~藍羽宅~
浅葱は帰宅早々、父、藍羽仙斎に会いに行くために書斎に向かった。ドアの前に勢いよくドアの扉を開けるとそこに仙斎がいた。
「なんだ浅葱。どうかしたのか?」
突然、部屋に娘が押し掛けに対して仙斎は黙々と仕事をこなしていた。
「昨日の話の件よ!なんで、私と古城がお見合いしなきゃいけないのよ!古城も知らなかったみたいだし!」
浅葱は仙斎に対して抗議し始めたが仙斎は落ち着いた態度でいたのである。
「落ち着け。この件はお前と古城君の為でもあるんだ」
「私と古城の?」
「そうだ。彼は将来、この島の王となる存在。当然そんな彼の下に甘い蜜を吸おうとする輩和も集まる」
浅葱も当然その事についてはわかっていた。浅葱自身も仙斎の部下に何度か言い寄られたことがあったが、当然、仙斎がその事を許すはずもなく、浅葱に近づいた部下たちは次の日、職場に姿を現わすと「二度としません。二度としません」と何度も呟いていたそうだ。
「牙城殿の話だと、ここ最近、古城君のお見合いを持ち掛けてくる輩が多くいるそうだ」
「え!?」
浅葱はその話を聞いて驚いた。まさか、すでに実行している輩がいるとは思いもしなかったらしい。
「そこで浅葱、お前だ!」
ピシッと浅葱に指を指した。
「浅葱。お前は古城君のことが好きだろ」
「なぁ!ちが・・・」
突然、確信をつかれ浅葱は取り乱し始めた。
「隠しても無駄だ。前に彼が家に来た時に確信したよ。彼にならお前を預けられる」
「だから、ちがう・・・!!」
「それに彼が王となった時に私の派閥を彼に預ければ政治的主権も握れ、お前も古城君と一緒にいられて幸せになれる。まさに一石二鳥。いや、もしかしたら孫の顔も見れるかもしえないから、一石三鳥か。ははははっ!!」
仙斎が一人で舞い上がっている様を見て、浅葱の中の何かが語り掛けた。「この男には死を与えるべき」と。
「・・・アズール」
その名を呼ぶと、鋭い牙をもったボクサー犬が部屋に入ってきた。先ほどまで舞い上がっていた仙斎もアズールが部屋に入った途端に顔を青ばめた。その時、自分は踏んでわいけない地雷を踏んでしまったことにやっと気づいたのである。
「ま、待ってくれ。あ、浅葱」
仙斉は何とか浅葱を落ち着かせようとしたが、もはや手遅れだった。
「GO!!」
浅葱が仙斉に向けて指をさして合図するとアズールは獲物を狩るかのように仙斉に向かっていた。
「ぬおおおっ!?!!」
その夜、屋敷全体に仙斉の悲鳴が響いた。
~浅葱の部屋~
「まったく。あのバカ父は!!」
浅葱がベットの上で横になって仙斎の愚痴を言っていると、部屋の一角にある大型PCからアバターがらしきキャラクターが画面に出てきた。
『これまた、ご機嫌斜めじゃねーか。嬢ちゃん』
「うっさいわね、モグワイ」
声の主は、モグワイと呼ばれる絃神島を制御する人口知能であった。
『しっかし、理由はどうあれ、親父さんのことも一理あると思うぜ。嬢ちゃんは他の嬢ちゃん達よりも付き合いが長いのに、今だに発展しないてんだから、これを機に第四真祖の兄ちゃんとくっついちまえよ』
「ほっときなさいよ!!」
浅葱がモグアイに怒鳴っていると
「-浅葱さん」
部屋の外から女性の声が聞こえ、モグアイは画面から姿を消し、浅葱もベットから立った。
「浅葱さん。入るわよ」
そう言って、長い黒髪を結び上げた、素朴な風貌の若々しい女性が入ってきた。
「菫さん」
その女性の名は藍羽菫。浅葱の継母にあたる人物だった。菫は部屋に入るとベットに座った。
「な、何の用ですか?」
「う~ん、そうね。浅葱さんは古城君とのお見合いは嫌なの?」
「な!?」
いきなり、お見合いの話を切り出され浅葱は動揺した。
「いや、そうゆうわけじゃ・・・ないですけど・・・」
顔を俯きさせながら小声でしゃべると、菫は満面の笑みとなっていたのである。
「彼、モテる上に鈍感でしょ」
「は、はい!」
またしても、確信をつかれて動揺していった。
「そんな子にあなたの気持ちが気づいてもらえる?」
「うっ!」
菫の言葉は動揺している浅葱を更に追い込んでいく。
「いい浅葱さん。好きな男性を落とすのにルールなんてものは存在しないの。そんな事をいつまでも気にしていると他の子に古城君をとられちゃうわよ!それでもいいの!?」
菫の態度が急変して浅葱は困惑していたが彼女の言葉も一理あった。菫の方は追い込んだ獲物に止めを刺すために、最後の一言を放った。
「使える物は使って彼を手に入れなさい。大丈夫よ。もし、あなたの前に障害があれば私や仙斎さんがどうにかするから。頑張って浅葱さん」
「菫さん」
こうして浅葱は菫に上手く言いくるめられ、お見合いをすることを決心したのであった。
~おまけ~
古城はベットの上で横になっていた。ことの発端である牙城は用があるといって逃げるようにその場を去って行き、凪沙の相手を古城一人に押し付ていった。浅葱も牙城と同じようなことを言って帰宅したのである。その後、凪沙はアイスを買いに行くべく買い物に向かった。つまり今、この家には古城一人なのである。
「ハ〜、静かでいいわ」
先ほどまでのことが嘘だったかのような静けさだった。
「やばい。このままじゃ寝ちまうな」
そう言って古城はベッドから起き上がり、那月から出された課題に手をつけようとすると
ー ピンポーン -
突如、インタホーンが鳴り、古城は部屋を後し、直接玄関に向かった。
「アスタルテ」
「教官から第四真祖に伝言です」
「また、那月ちゃんからの伝言か」
「肯定」
今回も、また課題か何かだろうと思って尋ねると、
「それで今回はどんな用件なんだ?」
「仙都木優麻の件についてです」
「優麻の!!」
思わぬ答えにアスタルテに近づいた。するとバランスを崩して前に倒れた。当然、前にアスタルテがいるので彼女も巻き込まれる形となる。何とか腕で体を支えたが、アスタルテの上に覆いかさぶる形になってしまていた。
「第四真祖の接近を確認」
「す、すまん!」
そう言って上半身を上げた時、悲劇が始まった。
「古城くん・・・なにしてるの?」
「先輩・・・なにをしているんですか?」
最悪のタイミングで姫柊と凪沙に出会ってしまったのである。何とか誤解を解こうと頭を使ったが、古城自身も理解していた。この状況を見れば誰がどう見ても、幼女(?)に襲い掛かっている変態青年にしか見えないことを。しかし、それでも古城は誤解を解こうと努力をしたが、
「いや、これは違うんだ! そう、これは事故なんだ!!」
「このエロ!変態!!ドスケベ!!!」
「いや、だから・・・」
「この状況で言い逃れするなんて吸血鬼としても最低だよ!!!」
「ちょ、凪沙さん」
誤解を解こうとしても凪沙は涙を流しながら自宅に戻っていった為、どうすることもできなかった。何とか姫柊だけでも誤解を解こうと顔を向けると・・・・
姫柊の顔は鬼の形相となっていた。
古城は忘れていた。彼女はこのような状況の時、一度たりとも許してくたことがないということを。
「先輩」
「は、はい!!」
震えながら返事をしすると、彼女が一歩一歩近づいていき、古城もその場を離れるように後ろに下がっていた。
「なにか言い残すことはないですか?」
姫柊が発言すると、背中に背負っていたバックから雪霞狼を取り出した。古城の目からは、まがまがしいほどの赤い何かが雪霞狼に帯びているように見えていた。
「ま、待っ・・・・・・・・」
「雪霞狼!!!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!」
本日二度目の叫び声が島全体にまで響いたのだった。
今回は、浅葱の家族に少し触れてみました。菫さんのところは、殆どオリキャラ化してしまってすいませんでした。
次回は、別のヒロインに触れていきたいと思いますので、次回も暇な時があればお読みください。