(おかしい……)
妖夢はウィズと名乗った奇術師を相手取って違和感を感じていた。
まず先に仕掛けたのは妖夢。一応様子見を兼ねて少しばかり力を抜いて斬りかかるが、難なくヒラリと躱された。
今度はウィズがシルクハットを叩き雷雲を呼び出す。雷雲から雷が放たれそれは妖夢へと向かうが、刀が避雷針の役割をするため意味がなくなる。
先程からこのような攻防を続けていたのだがそれに違和感を覚えていた。
(さっきは霊夢さんにも私にも気付かれることなくいきなり霊夢さんの後ろに現れてみせた……。何故今使おうとしない?いや、それとも使えない?)
奴は奇術師を名乗っていた。ならば何らかの奇術を用いていきなり後ろに現れるなんてマネが出来たのだろう。
だがそれを使ってくる気配が一向に感じられない。今は警戒しているとはいえ、アレを使われれば軽くはあるだろうが一撃もらうだろう。
「立ち止まってちゃ何も始まりませんよ?今度はこちらのターンですかね!」
再びシルクハットを叩き、今度は車を呼び出す。
車と言っても牛車や馬車などではなく、外の世界を走る自動車。
それが猛スピードで妖夢に突っ込んでくるが、刀で斬る。
縦に真っ二つにされた車は妖夢の脇を通り暫く真っ直ぐ進んだ後に地に伏した。
「ふむ、凄まじい斬れ味。持っている刀も中々の業物と見受けますが、それを扱う貴方の腕前も一級品と言うべきか」
「私なんて師匠に比べればまだ弱い」
「ご謙遜を……。まあ私は貴女以上の腕前の剣士を一人知っていますがね。彼は強いですよ。20cm程度の大きさしかないはずなのに私には彼の存在はとても大きく感じられた」
「20cm?それって……」
妖夢が思い浮かべたのは博麗神社に置いてきたカービィのこと。カービィも恐らく20cm程の大きさだった。性別がわからないが多分男だろう。
ならばカービィがその剣士……?と考え、即座に違うと頭を振った。
確かにカービィは何らかの力を有してはいるようだが、それが剣に繋がるものとは思えなかった。よしんば繋がるとしても剣士といった表現になる理由がわからない。
「名は……明かさない方がいいでしょう。まあ冥土の土産程度には教えてもいいですが。おっと、既に半分冥土に突っ込んでましたね」
「安い挑発には乗りませんよ」
「おや、それは残念……。では再開しましょうか。私、奇術師ですがこのようにタクトを用いますので貴女に送りましょう。死への行進曲を」
ウィズはシルクハットを取りそれをタクトで叩こうとする。
(今っ!)「人符『現世斬』‼︎」
妖夢はこの瞬間を見計らい一気にウィズへと詰め寄る。
今までウィズの行動を見ていたがシルクハットを叩き、何かを出す際にはその場から動いてなかった。動けなかったが正しいかもしれない。
直線且つ短い距離であるならば幻想郷の中で最速と謳われる鴉天狗の射命丸文でさえ一瞬見失うほどのスピードから繰り出される一撃。それはシルクハットを美事に捉えーーーー斬ることが出来なかった。
「なっーーーー⁉︎」
斬れ味に秀でる楼観剣。それに妖夢の腕が合わされば本人の言葉通り斬れないものはほとんどなく、斬れないものと言っても時だとか空気だとか言ったもので実際に形ある物ならば斬ることが出来る。
それが絹製の帽子を斬ることが出来ないなど本来ならありえないのだ。だが現にこうして斬れなかった。
その事実に妖夢は驚愕したのである。
「ここは奇術師的にこう言うべきなのでしょうね。タネも仕掛けもありませんが、私は何かを出す際には一切のダメージを負いません!喰らいなさい!」
ウィズがシルクハットから出したのは光るリンゴ。それは放物線を描きながら妖夢へと落ちる。
リンゴといってもその大きさは妖夢の頭より一回りほど大きい。スピードこそ遅いがマトモに当たれば昏倒する危険がある。
そこで妖夢は白楼剣を抜き放ち片手でリンゴを斬る。その際に果汁が妖夢の顔にかかったが大した問題ではない。
「何かを出す際はダメージを負わない。ならば今ならダメージを負……う……?」
妖夢は突如として膝をつく。頭は朦朧とし、視界はボヤけてくる。
「ああ、そうそう。言い忘れてましたが、さっきのリンゴには催眠作用がありましてね。そんなリンゴの果汁を浴びた貴女は今酷い眠気に襲われているはずだ」
事実妖夢は足元が覚束なく、焦点が定まっていない。眠りに陥ってないのはひとえに妖夢の気力がなせるものだろう。
だが気力で保たせても動きが良くなるはずもなく、妖夢はウィズにあっさりとその大きな手で掴まれてしまう。
「ぐ………!」
「剣士的にはこういった卑怯な行為は唾棄すべきものですか?それともそんな手に引っかかってしまう方が悪いといった感じですか?まあどちらにせよここで貴女は終幕です」
ウィズは手に力を込め、妖夢を握り潰そうとする。
ミシミシと骨が軋む嫌な音が響き、それに合わせて妖夢の顔に苦悶の色が浮かぶ。
もう駄目かと思われたその時に空の彼方から何かが飛来してくる。
それはウィズの手を攻撃し、ウィズが思わず手を離したところで妖夢をさらう。
「ああ、また貴方ですか。久しぶりですねえ、カービィ!」
ピンクの戦士はウィズの前に立ちはだかった。
「ーーーーた⁉︎」
霊夢はウィズに飛ばされて自由落下するが、持ち前の飛行能力で体勢を立て直す。そして辺りを見回す。
「ここは……博麗神社に近いとこね。割とそこまで遠くに飛ばされなかったのは不幸中の幸いってやつ?」
取り敢えず霊夢は一旦博麗神社に戻ることにした。この場から人里に向かうのは簡単だが、妖夢の言い付けで残されたカービィを見に行ったのだ。
博麗神社に着くとそこにはカービィがいた。どうやら律儀に言い付けを守っていたらしい。色んな奴に見習わせたい行動である。
「あんたカービィって言ったっけ?あんた自身に飛行能力とか戦闘能力は無いの?」
カービィは霊夢の言葉を聞き、体に空気を取り入れ浮かぶ。そのまま手をジタバタと動かし、上昇下降、左に横に前に後ろに動いたりする。
だがそのスピードは遅く、弾幕をばら撒けば簡単に撃ち落とせそうであった。
「飛行能力はあるけど遅いわね。こんなんじゃ囮には使えないか。じゃあ盾かしら?それでも的が小さすぎるわね……」
「ぽよ⁉︎」
霊夢の物騒なセリフに思わず空気を吐いてしまい、そのまま地面に落ちる。
カービィは見た目通りの柔らかさでポヨンと弾んでから着地する。
「面倒だけど私一人で人里に行くしかないか。流石に盾とか囮に使うのは忍びないし」
先程までそのように使おうと思っていた者が忍びないなどという言葉を使うというほど恐ろしいものはないだろう。何かに取り憑かれたのだろうか?
霊夢が飛び立とうとした時にカービィが宙を見上げる。すると見上げた方向から何かが飛来してくる。
それはカービィの目の前でスピードを落とし、その全貌が露わになる。
それは妖夢が霊夢に説明した船も似通った形をしていた。つまりは星型である。違うところといえば半球状のガラスが付いていないところだろうか。
その星の名前はワープスターと言い、カービィが扱う乗り物である。
カービィはそれに乗ると、ワープスターは一気に人里の方へと飛ぶ。
「……飛行手段があったのね」
暫くポカンとしていたが、気を持ち直して霊夢も人里の方へ向かう。
「本当に久しぶりですね、カービィ。また私の前に立ちはだかると言うのですか」
ウィズは妖夢の前に立つカービィを睨みつける。
ウィズとカービィはある意味知り合いである。知り合ったのは今と同じで敵としてだが。
「ですが、どうやって戦うというのです?今の貴方はノーマル。戦闘能力といえば吸い込んだ物を吐き出した時に出る星型弾のみ。ならば随分となめられたものですね。握り潰しますよ?」
言葉の節々に怒気を滲ませながらカービィに言う。
だがカービィはそんなことを一切気にせずに妖夢の方を向く。そして妖夢を吸い込み、飲み込んだ。
「……っ⁉︎まさか妖夢さんからコピー能力を⁉︎」
気付いた時には既にカービィはコピー能力を発現させていた。
その姿はカービィが妖夢が付けていた黒いリボンを巻いているというもの。見た目だけだとここまでしかないが、腰と思える部分には二振りの刀が差されてあった。
それは妖夢が持っていた楼観剣に白楼剣。それを見た目そのままサイズを小さくしたような刀であった。
「ソードカービィ!」
カービィの声が響き渡る。いや、声というよりは頭に、心に響いてくるかのようなテレパシーの類だった。
ソードカービィとはカービィが有するコピー能力の一つである。
本来の姿は緑の帽子をかぶり、その名の通り剣を持ったものである。
だが今のカービィはソードカービィと言うよりはカタナカービィとでも言うべきであろう。
そんなことは兎も角、カービィは楼観剣を抜き放ち、構える。
その姿はまさしく剣士そのもの。思わずウィズは後ずさる。
「……ハハ。これはしてやられました。まさか妖夢さんからコピー能力を発現させるとは。ですがだからと言って私が退く理由にはなりません。さあ、まずは小手調べとさせていただきますよ!御出でなさい、ブロントバード!」
ウィズはシルクハットを叩き、そこからブロントバードと呼ばれる生き物を呼び出す。
その生き物はバードとつきながらも虫のような翅を持ち、カービィ目掛けて体当たりをしてきた。
「おいィ?まさかカービィが相手だとは聞いていないんだが?流石にパンチングマシンで100とか普通に出すおえrでもこれには驚きが鬼なるんだが?汚いなさすが奇術師きたない」
何か変な言語を喋っているような気がするが気のせいだろう。
カービィはその言葉に耳を貸さず刀で斬りつける。
「まさか俺がハイスラァ!されるとは……」
本当何言っているんだろうこいつ。
「やはりブロントバード程度では話になりませんか……。ではこれならどうです?」
ウィズは今度はシルクハットから車を出してきた。
先程の妖夢の時と同じく猛スピードでカービィに向かって突っ込んでくる。
それに対しカービィは、
「人符『現世斬』‼︎」
妖夢が用いたスペルカードを使い、擦れ違いざまに横に真っ二つにする。
そのままの勢いでカービィはウィズに走って行き、勢いを乗せながら斬り上げる。
「グッ…………!」
ウィズは避け切れずに斬られてしまう。だが咄嗟に後ろに引いていたようで傷は浅いようだ。
「ならば……!次はリンゴをサービスしましょう!」
シルクハットからリンゴを出してくる。
リンゴは放物線を描きながらカービィに向かって落ちてくる。
カービィはそれを見て刀を大きく上に掲げた。すると刀身が光り出し、それを振り下ろせば斬撃の軌跡が光る刃となってリンゴを斬り裂いた。
だが斬られたことにより果汁がカービィに襲い掛かる。マトモに浴びれば眠ってしまうだろう。
「竜巻斬り!」
今度はカービィは刀を脇構えにし、力を溜め一気に解放した。
カービィが高速で回転し、技の名前の通り竜巻が発生し、それによる暴風で果汁は吹き散らされてしまった。
「それも躱しますか……!」
ウィズはカービィがより強くなっているのを実感する。妖夢を基にしたソードカービィと言うのも要因なのだろうか。
このまま雷雲を出したり爆弾を出したりしたところで対処されてしまうのがわかる。体当たりなんて以ての外だ。
そうやって頭を悩ませていたところにカービィが新たな行動を起こす。
カービィから光の球が出てきた。それと同時にカービィのコピー能力がなくなる。
光の球はカービィの僅か上に浮かび、弾ける。
そこに現れたのは傷一つ付いていない魂魄妖夢その人だった。
「ふぅ……。油断したとは言えああもいいように翻弄されるとは……。まだまだ私は未熟ね」
少し愚痴ってからカービィの方を向く。それからカービィの頭を撫でて礼を言う。
「ありがとね、カービィ。貴方のお陰で助かったわ」
「てぃひひ」
カービィは頭を撫でられて嬉しそうに目を細め、笑う。それからキリッとした表情になり、カービィを光が包み込む。
光が消え現れたのは妖夢を吸い込んだ時に発現したソードカービィそのものだった。
「なっ……⁉︎コピー元が無ければ貴方はコピー能力を発現出来ないはず!それが一体どうして……⁉︎」
ウィズは余りの出来事に混乱する。
それもそのはず、彼が知っているのはコピー元を吸い込んで飲み込んだ時に発現するものだけだ。それがまさかコピー元無しに発現することが出来るとは夢にも思うまい。
その混乱は大きな隙を生み出す。そしてその隙を見逃す二人ではなかった。
「カービィ、今よ!」
「ぽよ!」
二人はウィズに向かって駆ける。
その手に持つのは長刀の楼観剣ではなく、短刀である白楼剣。
ウィズは自分が大きなミスを犯したことを悟り、すぐさま行動に移ろうとする。が、
「あんたはここまでよ。夢符『封魔陣』」
後ろにいた存在に気付いていなかった。
ウィズの足元から青白く輝く光の柱が現れる。それによりウィズはその中に閉じ込められてしまう。
後ろにいた者は、博麗霊夢だった。
「どうして貴女がここに……⁉︎私は貴女を遠くに飛ばしたはずだ!」
「だとしたら随分と近い場所に飛ばしたわね。博麗神社の近くだったわよ、飛ばされたとこは。つまり人里にも大分近い位置にね」
「くっ……!ランダム転移がいけなかったか……!」
ウィズは悔しそうに拳を握り締める。あるかは知らないが、それこそ爪が掌に食い込むくらいに。
そんな間にもカービィ達はグングンと近付く。対してウィズは封魔陣に閉じ込められて動くことが出来ない。勝負は決まったも同然である。
「「断迷剣『冥津慈航斬』‼︎」」
二人の刀が巨大な青色の刀となり、封魔陣ごとウィズを叩き斬った。
ウィズは大きく後ろに吹っ飛び、そのまま地面に落ちる。
人里における剣士と奇術師の対決は、幻想郷に星と共にやってきたカービィの介入により剣士側の勝ちとなり幕を閉じた。
「うっ……。ここは一体……?」
地面に倒れていたウィズが起き上がるとそこは見慣れぬ土地だった。
自分が知っている風景は氷と雪の世界だったはず。だが今いる場所はどう見ても人が住んでいるような場所であった。
「ようやくお目覚めね。随分と調子こいてくれたわね」
「は、はあ?貴女は一体……?……づっ……⁉︎いえ、博麗霊夢さん……?」
先程敵意を剥き出しに襲い掛ってきた相手にしてはどうも様子が変である。出会い頭に名前を言い当てた者にしては霊夢のことを知らないようだった。
「何?あんた私の名前すぐ言い当てたくせにもう忘れたの?」
「いえ、少し待ってください……。なんで私が貴女の名前を知っているのか、私自身が混乱しています……」
ウィズは本当に混乱しているかのように頭を振ってみせた。彼が演者でないのなら本当に上手い演技である。
「嘘を吐いている……ってわけでもなさそうね。ならこれは知っているかしら」
そう言って霊夢は下にいたカービィをヒョイっと持ち上げてウィズの前に持ってくる。
カービィはコピー能力を捨てておらず、それを見てウィズは悟ってしまった。
「貴方はカービィ……。そうですか、コピー能力を使っていると言うことは私は貴方に再び迷惑をかけたようですね。お詫びして許されるとは思いませんが、ここに謝罪を」
ウィズはシルクハットを取り、頭を深々と下げる。その様は本気で謝っていた。
霊夢と妖夢はウィズを詳しく知らないため、さっきまで敵対していた相手が急に殊勝な態度を取り出したかのように思えて少し複雑な心境だった。
「え……っと、私達は貴方のことをよく知らないんですが、誰かに操られていたのですか?」
妖夢はウィズに質問する。
その質問に対しウィズは、
「そう……ですね。操られてたと言えば操られていたと言えるでしょう。しかし、自由意志で行動していたとも言えます」
と、不明瞭な答えを返した。
「いや、どっちよ」
思わず霊夢が突っ込む。
「どちらも正しいのですよ。何者か、それは申し訳ありませんが忘れてしまいました。ただその何者かが私の中の悪意を増幅させ、人里を襲ったらいいんじゃないか?と言われました。私はそれに突き動かされてこのような行為に及んだ、というわけですよ」
「なるほど、だから操られていたとも自由意志とも言える、と」
このウィズには人里を襲うといった真似をするような悪意は持ち合わせていないのだろう。だが、大なり小なり悪意自体は持っていた。そこを何者かが増幅させて、人里を襲うように仕向けたのだ。
だが悪意を増幅させ、そうすればいいのではないかと言っただけで、その行動をすることを選択したのは紛れもないウィズ自身である。
故に操られていたとも自由意志とも言えるのだ。
「私は犯してしまった罪を償うために暫くこの人里で家を建て直す作業などを手伝いましょう。それで許してくださるとは到底思いませんが」
ウィズはそう言ってからフヨフヨと浮かび、人里に住む人達に謝っていた。
この調子なら人里の人間にも許されるだろう。
「そういや妹紅とか慧音とか白蓮とかはこんな事態になっていたってのに何処行ってたのかしらね」
「何か事情があったのでしょう。それよりもカービィって結構強かったのね」
妖夢が霊夢が持っているカービィを自分の手におさめて持ち上げる。
カービィは嬉しそうにキャッキャと笑っているが、これであそこまで強いとは妖夢達には予想がつかなかった。
「二人して楽しんでいるところ悪いけどいいかしら?」
突如眼の前に謎の隙間が開く。その隙間は中に多数の眼があり、不気味な造形をしていた。
そこから傘を手に持った金髪の女性が現れる。彼女は八雲紫。ウィズが言っていた妖怪の賢者である。
「あら、紫。起きていたの?」
「人を冬眠から目覚めた動物のように言わないでちょうだい。そんなことよりこの子が侵入者ね」
紫が カービィの方を向きながら言う。
「紫様。失礼ながらカービィは乗ってきた船が墜ちたためこの幻想郷に着いてしまったのですよ?侵入者という呼び方は適切ではないと思います」
妖夢がハッキリと物申す。
妖夢からしてみればある種命の恩人でもあるカービィが侵入者という呼び方をされたのが如何なものかと感じたのだろう。
その意見に対し紫は、
「ええ、そうね。この子をこの眼で見て確信しました。この子は侵入者ではなく被害者ね」
と返答。しかしその言葉に疑問を覚える。
被害者ということは加害者、或いはそうなってしまった原因があってこそようやく被害者として成り立つ。
となるとカービィが乗っていた船の突然の故障が実は人為的に起こされたものだったりするのだろうか。
「なんでカービィを侵入者とか言ったわけ?」
「それはね、霊夢。あまりにも偶然が重なり過ぎているからよ。ここに来る前に幽々子のところへ行ってきて、この子が乗ってきた船を見たのだけど月人の技術に匹敵する、或いはそれ以上のものと見受けたわ。そんな船が故障する確率なんてそれこそ万が一、いえ億が一と言っていいくらいに低確率よ。実際はもっと低確率かもしれないわね。それでいて宇宙からこのちっぽけな幻想郷に気絶したまま墜ちてくるなんてまずありえないわ」
と紫は言った。
幻想郷は広い。広くはあるが、この星全体で見ればあまりにも狭い。そんな場所に都合良く突っ込むというのはまずありえない。
「気絶ってのは博麗大結界のことを言っているの?でもカービィが外の世界で否定されていたのなら気絶とか関係ないんじゃないの?」
「否定というのは知られてからようやく出来ることよ。その点この子はそもそも知られていないのだから否定しようがないわ。この子を仮に宇宙人としても、外の世界では宇宙人はそれほど否定されていないしね。故にこの子が幻想郷に着くためには気絶しておく必要があるのよ」
つまりカービィが幻想郷に着くためには、
①月人の技術以上の技術で造られた船が故障する(億分の一、或いはそれ以下の確率)
②気絶する
③上記二つ合わせた状態で星全体として見れば狭い幻想郷に突っ込む
の三つをこなす必要がある。
確かにこうして見てみればあまりにも偶然が重なっている。
この上でカービィを被害者とすると、妖怪の賢者である八雲紫以上の頭脳の持ち主が加害者側にいないと成り立たなくなる。つまり……
「カービィを幻想郷に墜とした犯人がこの幻想郷にいる……?」
「つまりその犯人が今回の異変の犯人でもあるというわけね」
「いや、流石にそれは早計じゃ……」
「そうとも言い切れないわよ?最近幻想郷に現れ始めた……そうね、仮に『魔獣』と称することにしましょう。魔獣はここ最近になって現れ始めて、そんな折にカービィがやって来た……。これも偶然と片付けるには厳しいわ。魔獣を幻想郷に呼び込み、人里を襲わせた者とこの子を墜とした犯人は同一人物。その可能性が極めて高いわ」
霊夢に妖夢に紫。この三人が話し合っている最中にいつの間にやらコピー能力を捨てていたカービィは退屈だったのか足下をゴロゴロと転がっていた。
それを紫が抱き上げる。
カービィは紫の豊かな双丘に顔を埋める形となり、ここに男性がいたならば嫉妬と殺意のこもった視線で見られること不可避な状況になる。
「この子の能力、あの奇術師はコピー能力と言っていたわね。コピー……確か模倣といった意味があったわね。この子の能力は幻想郷的に言うのなら『模倣する程度の能力』ってとこかしらね」
「模倣する、ねえ。確かに妖夢を模倣してたわね。スペルカードも使っていたし」
「そう言えば筆を飲み込んで帽子をかぶったと思ったら急に美事な水墨画を描いてましたね……」
三人が先程の会話から一転、思い思いにカービィについての会話になる。
そんな中紫は、
(『模倣する程度の能力』だなんて言ったけど……多分この子の能力は『模倣し昇華する程度の能力』が正しいわね。この力があればあの月人どもに更に一泡吹かせられるかもしれないわね。まあ、流石に第三次月面戦争だなんて起こす気は今は無いけど)
とまたぞろ暗躍しそうな雰囲気を醸し出していた。
何はともあれ、カービィは仮にかもはしれないが、幻想郷の一員となった。
これから先、カービィは幻想郷でどう過ごすのか。それは誰にもわからない。今はほんの少しだけ、幕を閉じよう。
「クックック……。やっぱりウィズ程度ではカービィは倒しきれなかったのサ。まあボクが適当に悪意……狂気を増幅させただけだからねえ、こうなるのも当然なのサ。ああ、疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼く疼くのサ!カービィ?早くボクのとこに来るのサ!」
うーん、最後紛らわしい気がする。まあ気がするだけか。
少し幕を閉じようだなんて書いてますが鋭意創作中ですよ?休載の予定はないです。バカですから。
妖夢をコピーしてソードカービィになりました。スペルカードなんかも使えたりします。原作コピー名ってのはまあこういうことですな。
これも二次ネタに左右される時があるかもしれません。能力とか二次ネタとかでみて該当する能力名がなかったらオリジナル能力になります。今の所一つだけオリジナル能力になりそうなんですよー。
最後誰でしょうかねー(棒)まあ多分犯人なんじゃないかなー(棒)
次の話は閑話休題みたいな感じで清く正しい射命丸の出番ですね。こんなおいしそうなネタほっておくわけないと考えてますので私は。
では次は何週間後になるかわかりませんがこれでー