東方桃悪魔   作:這い寄る劣等感

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劣等感はね。嬉しくなるとつい殺っちゃうんDA☆
サブタイトル詐欺をね!


永琳と 共闘するは 桃悪魔

「ふ、む……。今までに女の身体を模した事はそれなりにあるが、その中でも格別に能力が高いようだな……」

 

 

黒い靄が模ったのは、八意永琳そのものであった。

身体を慣らすかのように、首を二、三回横に振り、腕をグルッと回す。

それからカービィにデデデ、永琳に輝夜、妹紅にバンダナワドルディを見る。

 

 

「この模した身体の女。八意とか言ったか?貴様の推測は全て正しい。

第一の推測。我は現状永らく封印されていたせいか、力が衰えている。マスターハンドにクレイジーハンドの能力も元はと言えば我の物。だがそれすら十全に扱えないときている。

第二の推測。小さな世界がどうのこうのだが、それもある意味では正しい。やろうと思えば全ての世界を破壊するなど造作もないが、それではつまらんだろう?故に、そいつらにとっての世界。それを破壊する事により、我は喜悦するのだ。

第三の推測。当て馬云々は兎も角として、巨人、獣、剣。アレらは確かにお前達をじっくりと観察するための前座に過ぎない。アレらでもそこそこの力はあるが、力が弱まっていた事と相まってそこまで強くはならなかったな。

さて、これで満足しただろう?冥土の土産と言うやつだよ」

 

「……あぁん?冥土の土産だぁ?また随分と余裕なもんだなぁ、オイ」

 

「当たり前だ。貴様らの中で我が模したこの女がこの中での一番の強者。如何に貴様が不死であろうと、対処するのは容易だ。

例えばこのように、な」

 

 

マスターコアは食ってかかってきた妹紅の背後に壁を創り出し、直後に手に持つ弓で妹紅を射抜いた。

妹紅は矢を視認できずに壁に肩を縫い付けられる。そこにダメ押しとでも言わんばかりに次々と矢が射出される。

 

 

「どうだ?これで貴様は動けなくなった。だが安心しろ、すぐには壊さんさ、すぐには、な」

 

「なぁにがすぐには壊さないだよ。こんなもん、私の炎で燃やせば……あれ?」

 

 

妹紅が炎を出そうと集中するが、一向に炎が出る兆しを見せない。いくら力んでもそれは変わらなかった。

 

 

「貴様は人の話を聞かないタイプか?クレイジーハンドが言っていただろう。『何でも破壊する程度の能力』とな。

弱っている現状、貴様の根幹を成す能力は壊せんが、それ以外なら壊す事が出来る。故に貴様は力が使えなくなったのだ。尤も、流石にいつまでも壊したままにしておく真似はしないさ。

いつかは掛けているそれを無くし、心が壊れるまでサンドバッグとして丁重に扱ってやろう」

 

 

マスターコアは口角を吊り上げてくつくつと不気味に笑う。その笑みは、見る者に恐怖心を植え付けるかのような笑みだった。

 

 

「……ち、ちょっと!妹紅を虐めていいのは私だけよ!貴方なんかに好き勝手させるわけないわ!」

 

「何勝手な事言ってやが……あがああああああっ⁉︎」

 

「妹紅⁉︎」

 

「既に敗退した者が喋るな。興が削がれるではないか。

さて、ではそこの小娘。貴様に一体何が出来ると言うのだ?貴様の実力は、我が模したこの女未満。どう足掻いても貴様には勝ち目が無いのだよ」

 

 

輝夜がまあある種身勝手な理由でマスターコアに食ってかかり、それに妹紅がツッコミを入れようとするが、それをマスターコアにより口の中を矢で射られて、あまりの痛さに苦悶の声を上げる。

 

 

「……そ、んなの!やってみなきゃわかんないでしょ!」

 

 

輝夜は能力を用いて、マスターコアに目にも留まらぬ異様な速さで接近する。

輝夜の能力は『永遠と須臾を操る程度の能力」である。一見わかりにくい能力だが、要は固定化と超スピードの事である。

その速さたるや、如何に八意永琳を模したとは言え、決して見切れるようなものではなく----。

 

 

「見切れずとも、推測は出来るのだがな」

 

「ぐっ……!あ、ああっ……!」

 

「輝夜!」

 

 

輝夜がマスターコアに至近距離からの攻撃を加うようとした瞬間、彼女の頭がマスターコアに鷲掴みにされる。マスターコアの指は彼女に頭に食い込み、ミシミシと嫌な音を立てていた。

咄嗟に永琳がマスターコアを攻撃しようとするも、輝夜を盾として扱われて攻撃が出来ないでいた。

 

 

「バカな娘だ。

我を遠巻きに攻撃していればまだ勝機はあったものを不意にしてしまうとはな。

だが運が良いな。我はあの女と戦うため、貴様を殺すのは後にしておこう」

 

 

マスターコアは無造作に輝夜を投げ捨てる。そこに永琳が駆けつけようとするが、足元に放たれた矢に牽制される。

 

 

「貴様にはこの我と戦ってもらう。別に断っても構わんが、その時はあのバカみたいに突っ込んできた娘がそこの縫い付けられた娘のようになるだけだ。如何に不死者とは言え、相応にキツイものがあるだろうなぁ?」

 

「くっ……!」

 

 

永琳はマスターコアの申し出を断れない。断れば輝夜がどうなるかわからないからだ。

肉体的な傷ならどうとでもなる。だが精神的な傷は蓬莱の薬とて癒せるものではない。

もし心を壊されたのならば、それは生きながらにして死んでいるも同然の状態となってしまう。

 

 

「……ちっ。

おい、八意。あいつらは俺様とバンダナワドルディに任せて、お前は戦いに集中しろ。

カービィ。お前は八意の戦いを見ておけ。八意から何らかの合図があるか、あいつが危なくなったら乱入しろ」

 

「うい」

 

 

デデデはカービィを永琳の方へ押し出し、自らはバンワドと共に妹紅に輝夜をどうにかすると言い出す。

 

 

「貴方は戦わないのかしら?」

 

「ふん、俺様は純粋な戦闘能力で言えば弱い方だ。バンワドも同じようにな。だからこそ俺様は俺様に出来ることをするだけだ。

さあ、とっとと行け。あんな奴、倒してしまえ」

 

 

デデデは輝夜を、バンワドは妹紅を助けに行く。

残されたカービィと永琳はマスターコアに体を向ける。

 

 

「随分と待たせてくれたようだ。それで、そっちのピンク玉は何だ?」

 

「保険よ。私が負けてしまった時のためのね」

 

「ならば割とすぐに……とまでは言わんが、必要となる時が来るだろうな」

 

「それはどういう----」

 

 

永琳がマスターコアにどういう意味かを問おうとした瞬間、矢が放たれる。

永琳はそれをしっかりと確認してから回避し、お返しとばかりに矢を放つ。マスターコアは余裕をもって躱し、再び矢を放つ。

永琳はそれも避けた上で相手に詰め寄り、右手の掌底を叩き込もうとする。が、左の手の甲でいなされてこめかみ目掛けて右足の鋭い蹴りが放たれる。

永琳は首を傾けて攻撃を外させ、膝蹴りを喰らわせようとする。それをマスターコアは右手で受け止める。

永琳は一旦仕切り直そうと、右足を勢いよく踏み込んでその場で跳躍し、矢を放つ。マスターコアはその矢に対して矢を放ち、相殺させる。

息もつけぬような激しい攻防の中で、永琳はあることに気がついた。

 

 

(まさか、こいつ……!)

 

「ふむ?ようやく気がついたようだな。

我には貴様とは違い、疲労の概念は存在しない。つまり、現状が千日手だとしても、いずれ貴様は疲労により動きを鈍らせ、最終的には我に倒されるというわけだ。

我は貴様を模した故、その能力も全く同じよ。さて、それを知って尚足掻くか?それとも、諦めるか?」

 

「まさか。私は今の生活にそれなりに満足しているのよ。それが壊されるのをみすみす見逃すとでも?」

 

 

とは言ったものの、このままでは彼女は負ける。

マスターコアが言った通り、彼女は死にはしないし、老衰もないが、疲労はある。

今のままただ戦っているだけでは彼女の体力が尽き、そこにつけこんでくるだろう。幻想郷においても屈指の実力を誇る彼女がやられてしまうとあれば、幻想郷内においてもマスターコアとマトモに戦えるほどの実力を持った者は、両手の指の数よりも少ないだろう。

何か一石。水面にほんの少しだけでも波紋をはしらせる何かがほしい。

そこで彼女は思い出す。彼女が仕える主である、輝夜が起こしていた行動を。

あの時は何気なくスルーしていたが、もしかすると、もしかするかもしれない。

 

 

「……カービィ!」

 

「あい!」

 

 

永琳の声に反応し、カービィは彼女のもとへ走り出す。

マスターコアはそれをどうするでもなく、ただ黙って見ていた。

それはカービィが乱入したところで勝てるという揺るぎない自信からか。はたまた小さき者の無駄な足掻きを嘲笑うためか。

カービィは永琳のもとまで行き、その勢いのまま彼女を吸い込んだ。

マスターコアは目の前で起こったことを呆然と見ていたが、すぐに笑い出す。

 

 

「ハ、ハハハハハハハハハハハハ!何をするかと思えば、仲間割れか?体を石に変化させるでもなく、ハンマーで殴りかかるでもなく、カッターで斬りつけるでもなく、仲間を吸い込むとは!

だが残念だったな。貴様のような行動を起こした者は数え切れないほどいたが、それらも含めて我は破壊した。つまり、貴様の行動は無意味な行動となっ----」

 

 

マスターコアの言葉は途中で中断させられる。それは、カービィの姿が変化したから。それと同時に八意永琳が出てきたから。

変化したカービィは頭に永琳と同じ赤十字のマークが入った帽子をチョコンとかぶり、弓を携えていた。

 

 

「スナイパーカービィ!」

 

「少しダメージはあったけど、試みはどうやら成功のようね。この子の能力が他者の能力の模倣とは、中々面白い能力ね。とても研究したくなってきたわ」

 

「解剖はするなよ、八意」

 

 

デデデが永琳を嗜める発言をする。

八意永琳ならしてしまいかねない。そんな感じがしたからだ。

 

 

 

「わかっているわよ。

さて、これで二対一になったわね」

 

「……ふ、ふふふ。二対一だと?何を馬鹿なことを。確かにそのピンク玉がそのような能力があったことは少々面食らってしまったが、だがこの中での最強であるのは貴様だ。そして貴様の能力を模した我にそのピンク玉が敵う術など----」

 

 

ヒュオッ!

マスターコアの左耳に風切り音の唸りが聞こえてきた。見れば、左腕に穴が空いていた。

視線をカービィ達に戻すと、そこには如何にも弓で矢を放ったと思われる後のカービィの姿が。

 

 

「バ、バカな!この我に気づかれずに矢を放ったというのか!そんなことがあってなるものか!」

 

「さっき私が言っていたでしょう?この子の能力は他者の能力の模倣、と。それなら、私の弓の腕前を丸々模倣してても可笑しくはないわ。でも、威力が私よりも高いようね。模倣からの強化が本当の能力かしら?」

 

 

永琳がカービィの頭を撫でながらマスターコアに言い放つ。

マスターコアは愕然とするが、事実を事実として受け止める。カービィは弓術においては八意永琳以上の腕前であると。

だが体術ならばどうだ?体術なら、あのピンク玉をどうにかできるのではないか?

そうとするならば早速行動に移さなくてはならない。

マスターコアは恐るべきスピードでカービィのもとまで一直線に----進めなかった。

 

 

「私の存在を忘れてもらっては困るわね。仮にも私を模したのだから、状況の把握くらいはしっかりしてもらわないと」

 

「女、貴様ァ……!」

 

 

カービィの前に永琳が立ち塞がり、マスターコアの動きは止められる。

能力が全く同等であるのならば、永琳にも同等の事が出来てもなんらおかしくはないだろう。

カービィは矢を放つ。永琳に当たらないように。横から、上から、後ろから。

次々と矢が刺さっていき、見る見るうちにマスターコアは萎んでいく。

 

 

「カービィ!トドメの一撃を放ちなさい!」

 

 

永琳がマスターコアを上に放り投げ、カービィに言う。

カービィはその言をしかと受け止めて

 

 

「マジカ・スターアロー‼︎」

 

 

溜めに溜めた渾身の一撃をマスターコアに向けて放つ。

一条の光の流星はマスターコアに突き刺さり、光の爆発を起こす。

マスターコアが模っていた永琳の身体は崩壊し、大量の黒い靄が放出される。それらはカービィ達の視界を奪い、目の前が文字通り真っ暗となる。

 

 

「こうなったら、貴様らは生かして返すものか!我が身体の中で朽ち果てるがいい!」

 

 

視界が晴れてきて、目の前に浮かび上がった光景には、黒く巨大な要塞が聳え立っていた。

 

 

「どうやら、これがファイナルラウンドのようね!」




みんなも一緒に殺ってみようよ。
逝くよ?乱爛盧ー!
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