記憶の中の君の欠片   作:荊棘

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更新遅くて申し訳ないです。

俺ガイル10.5巻発売が18日に決まったそうで、とても楽しみです。
表紙のいろはが可愛すぎる…。

アニメのほうも楽しみです。

それでは第五話です。どうぞ。


お家。

 

 

現在午後の一時。

今日一日特に用事がなく、することもないので昼過ぎまで惰眠を貪り、十分に体の疲れを癒す。

 

癒すほど体に疲れは溜まってないんだが。インドアの大学生なんてそんなもんだよ?運動する機会とかマジ皆無だから。

おかげで、ちょっと走ったり階段を勢いよく上がったりすると若干息切れする。

若者とは思えないなこれ…。いやまぁ言うほど若くもないか。

 

一人、歳の老いを感じながらベットからのそのそと起き上がる。

いつも一人だろ!とかいうツッコミはいらないから。もうやりすぎて飽きたから!

 

 

いざ起きてみたはいいが、本当にすることがない。

 

部屋の掃除…は、する必要ないぐらい普段から綺麗にしてるし。

課題…は、もう終わらせてあるし。

読書…て気分でもないんだよなぁ。

 

え、マジでやることないじゃん…。

ていうか、俺のやることが少なすぎるだけなんだろうな多分。

 

 

とりあえず、空腹を満たすべく料理をしよう。どうせ暇ならめっちゃ凝った料理でも

作ってやるか。俺の専業主夫スキルをお披露目してやるぜ…!!

 

 

何を作ろうかと考えながら冷蔵庫を開けると、中には飲みかけのお茶と調味料が数種類しか入っていなかった。

 

さながらSEKAI NO OWARIのような絶望を感じつつも、渋々買い物え行く決意と支度をした。

 

 

 

× × ×

 

 

俺の住むアパートはかなりいい条件がそろっているにもかかわらず、家賃が安い。

まず、特筆すべき点は、近くにスーパーがあるところだ。これは普段自炊をする俺にとってはかなりポイントが高い。

 

さらにこのスーパー、品揃えがよくて、タイムセールで商品が安くなったりもする。

それに加え知り合いに会うことがほとんどないときている。

 

もしかして、このスーパーって俺のために存在しているんじゃないの?

 

一言で表すなら、最高。

一文字で表すなら、神。

 

俺の住む城の凄さが伝わっただろう。

 

 

心の中で高笑いをしつつ店内に入る。

買い物かごを脇に抱えながら商品を見てまわる。

 

 

どうやら今日はパスタの麺が安いらしい。

これは俺の昼飯のメニューはカルボナーラにしろという天のお導きかもしれん。

 

まぁ神とか信じてないんだけどな。

大体、神とかいるならもっとみんなのことを幸せにしろよな。

特に俺とか。俺とか。あと俺とか。

…まじで俺の願い事叶えてくれないもんかねぇ…

 

 

しかし現実はそう甘くないことを知っているので、せめてコーヒーぐらいは甘くしておきたい。

棚に陳列されている商品でひときわ目立つ黄色と黒のコントラストの缶をかごの中に数本入れる。

 

べ、別にマックスコーヒーのステマじゃないんだからねっ//!!

 

 

 

あらかた必要なものは揃ったのでレジに足を向ける。

 

すると、一色がレジに並んでるのを発見してしまった。

 

 

不幸中の幸いといったところか、向こうはまだこちらに気づいていないようだ。

ここは見つからないように細心の注意を払って行動しなければならない。

 

俺はスキル ステルスヒッキーを発動した。

いや、このスキル俺の意思とは関係なくオートで常に発動してるんだけどね。

俺の先祖は忍者か何かなんじゃないの?

俺に忍者の適性がありすぎるのはその所為だと思いたい。

 

一色の並ぶレジの2つ隣のレジに俺も並んで待つ。

 

しばらくすると俺の番になり、ものの2分ほどで会計を済ませてしまった。

 

これでは下手したら一色と出るタイミングが一緒になってしまう。

そう思い周りを見渡すと、ちょうど一色が店を出るところだった。

 

 

やはり俺のステルス機能は流石といったところか…。

これにてミッションコンプリートだな。

 

変な緊張感から解放され、安堵の息をつきながら店の外に出る。

 

 

「先輩遅いですよー!全く女の子をどれだけ待たせる気ですか!」

 

そこには腰に手をやり、頬を膨らませながら、ともすればプンプンという効果音が聞こえてきそうな格好で佇む一色の姿があった。

 

「は、いや、え。何おまえ気づいてたの?」

 

もちろんですと胸を張って仁王立ちする一色。あざとい。あざとすぎる…。

 

「ていうか、先輩きょろきょろ周り見過ぎです。怪し過ぎです。てっきり万引きでもしたのかと思いましたよ」

 

「いや、しないからねそんなこと。勝手な想像で俺を犯罪者にするな」

 

「まぁそんなことはどうでもいいんです」

 

えぇ…そっちが言い出したくせにどうでもいいとか酷過ぎでしょ。

確かに実際どうでもいいんだけどさ。いやよくないでしょ。

 

「先輩もお昼これからですよね?ご一緒してもいいですか?」

 

「まだだけど、家帰って自分で作るし。それに俺飯食った後アレだから」

 

「…そうですか」

 

一色は少し落胆の色を見せながら深々とため息をついた。

 

「はぁ……では、仕方ないですね。万引き犯にしたてあげてお店に突き出すしか…」

 

「おい待て。なんでそうなる。俺が社会的に死んじゃうだろーが」

 

「じゃあご一緒しても問題ないですよね?」

 

「…分かったよ」

 

渋々。本当に渋々了承した。してしまった。

なんで俺のステルス機能は肝心なところで役にたたないんですかねぇ…。

 

「で、どこ行くの?ファミレス?」

 

「いえ、先輩のお家でいいですよ」

 

なんのためらいも迷いも躊躇もなく一色はノータイムでそう返した。

つられて俺も二つ返事をしてしまいかけた。

何いまの。恐るべき技だな、おい。危うくめんどくさい展開になるところだった。

 

「いや、それはマズいだろ。ほらなに、いろいろと」

 

「何想像してるんですか先輩。…そういうのは徐々に段階を踏んでいくべきものだと思うのでまだちょっと無理です」

 

顔を俯かせながら頬を染めて早口で捲し立てるかの如く言う。

最後のほうとかゴニョゴニョ言っててよく分からんかったし。

 

「早口過ぎて何言ってるかわかんないから。で、どうすんの?」

 

「いえ、だから先輩の家でかまいませんよ?」

 

「だからそれだといろいろと困るだろーが」

 

「いえ、私は先輩の家でかまいませんよ?」

 

なにこれ。バグなの?それとも「はい」を選択しないと進まないRPGのチュートリアルなの?

 

どうやら一色は折れるつもりはないらしく、俺がイエスの返答をするまできっと同じセリフを言い続けるだろう。

それはそれでなかなかおもしろいな…。

 

しかしながら、俺の空腹もなかなかのレベルに達していたので、仕方なく家に上げることを承諾した。

 

「さすが先輩!それでは早速レッツゴーですよ」

 

 

そう言いながらこちらを見て微笑む一色。

 

……だからあざといっつーの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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