「《ブレイズファルコン》でダイレクトアタック!!」
「《ダークリベリオン》でアタック!!
『反逆のライトニングディスオベイ!!』」
二人の少年は迫り来る軍勢を相手に次々とその強さを見せていく。
あの日ハートランドに融合次元の兵士が攻めてきた。
力無き人々は崩れ落ちカードにされていく。
そんな絶望の日々は彼らの幼き顔から笑顔を奪った。
「ユート!!撤退するぞ!!」
「分かっている。《光の護封剣》発動!!
2時間そこでじっとしていろ!!」
融合次元の兵士たちの周りに巨大な光の剣が取り囲む。
その中で立ち往生している間に二人は入り組んだ水道管に逃げ込み暗闇の中に消える。
どれほど歩いたであろうか……冷たい下水が靴やズボンに染み込み地を蹴る足から感覚を奪っていく。
その時上から何かの音がした。
近くに地上へのはしごを見つけるとそこから地上へと登っていく。
少しずつ地上の光が見えてくる、邪魔な蓋をこじ開けるとそこではデュエルが行われていた。
1人は赤いコートを着た額にバンダナを巻いた青年、もう一人は左側の顔を包帯でグルグル巻きにした大柄な男。その包帯には赤々とした鮮血がにじみ出ていた。
「《獣闘機パンサープレデター》でダイレクトアタック!!」
半身が機械化した異様な黒豹の大男がバンダナの青年に向かって剣を振り上げた。
ザクッ!!
その剣は青年を切り裂く。
LP3200→1600
「若き青年よ、君の力は私には及ばない。サレンダーしたまえ。」
「そうだそうだ!!」
「隊長にかなうものか!!」
大柄な男の後ろで部下と思われる兵士たちが騒いでいる。
だがそれを見た青年はニヤリと笑った。
「2ターン目で相手にサレンダーを勧めるとは……自惚れだな。」
「なんだと!?」
「俺のターン……ドロー!!」
ドローしたカードを見た青年は高らかに笑い出した。
「我々レジスタンスのリベンジを見せてやろう!!」
「なんだと!?」
「《トレードイン》を発動、手札からレベル8モンスターを捨て2枚ドロー。さらにもう一度《トレードイン》。」
「手札を入れ替えたところで結果は同じ。」
(パンサープレデターが破壊されれば墓地から素材となったモンスターが復活する。そして俺が伏せたカードは《獣闘機自爆》。
獣闘機モンスターが破壊された時これを破壊したモンスターと同種類のモンスターをデッキ手札から全て除外する罠カード。
これで奴に勝機はない。)
「俺は銀河眼の雲篭を召喚、効果で手札から銀河眼の光子竜を特殊召喚。」
青年の目の前に現れた小さなドラゴンは光に包まれ神々しい巨大な竜に姿を変えた。
「これが《銀河眼の光子竜》……。えぇいだがそいつ一体で何になる。」
「罠カード2枚発動、《リビングデッドの呼び声》!!」
「まさか《トレードイン》で送ったのは……。」
「現れろ《銀河眼の光子竜》2体!!」
地面をぶち破り巨大な竜が2体フィールドに現れた。
その神々しく雄叫びをあげる竜こそ今戦っている青年、レジスタンスリーダー『双琉 英斗』のエースである。
「噛み砕け!!《銀河眼の光子竜》よ!!」
「くそっ(掛かったな)。」
「光子竜の効果発動!!バトルフェイズ終了時までこのモンスターと戦闘を行うモンスターを除外する!!」
巨大な竜と組み合っている半機械の黒豹は突如現れたブラックホールに飲み込まれ消えていった。
唖然とする男に2体の《銀河眼の光子竜》がダイレクトアタックを食らわせる。
男は叫ぶことなく空中に高く放り投げられた。
そして、地面に落ちると部下たちと共に光に包まれて消えた。
「英斗さん!!」
二人は英斗と呼ばれる青年に向かって駆け出した。
「ユート、隼、お前たちどこに行っていた!!」
二人は軽くゲンコツを食らった。
だがその顔は怒りというよりは安堵の表情で笑っているように見えた。
「帰るぞ。」
「「はい。」」
二人は元気よく返事をした。
レジスタンスのアジトはハートランドの中心部に位置する大きな廃ホテルの中にあった。
巨大な建物の中に避難してきた人々やレジスタンスとして戦う大勢が生活している。
このホテルは外から見れば小さなビジネスホテルのようであるがその多くの施設は地下に建設されている。
浴場も食堂も客室も地下に全員が生活できる分が揃っている。
どんなにボロボロで帰ってきてもそこにはみんなが待っている。
絶望の日々をみんなが癒してくれた。
「ただいまみんな。」
英斗が地下ホールに帰るとレジスタンスの面々が次々と帰ってきた。
「英斗さん作戦はどうでした?」
「ユート、見せてあげろ。」
ユートと呼ばれる少年は肩にかけていた大きな袋を下ろす。その袋の口を固く結んだ麻糸をナイフで切り落とすと中からアタッシュケースが5つほど出てきた。
アタッシュケースの鍵をバーナーで焼き切りふたを開けると中にはたくさんのカードが入っていた。
だがそのカードの入ったアタッシュケースには大きく『NOT USING』と書かれていた。
「すっげえ!!」
「《ハリケーン》、《サンダーボルト》に《強欲な壺》。」
その中のカードは協力故に使用を禁止されたカードであった。
「みんな聞いてくれ!!今の状況で常に新しいカードを制作する融合次元に勝つためには俺たちも禁止されたカードを使うしかない。
デュエリストとしてプライドが許さないかもしれない。
無理にとは言わないが危なくなったら必ず使ってくれ。」
全員が了解と目で合図をした。
彼のカリスマ性がリーダーたる所以かもしれない。
ベテランのレジスタンスが全員にカードを均等に配布する中、隼はポンと肩に手を乗せられた。
その手の主は英斗だった。
「隼、あとで俺の部屋に来てくれ。」
「わかりました。」
それだけ言うと彼は階段を上っていった。
「どうしたんだ隼。」
隼は声をかけられ振り向いた。
そこにいたのは金髪で髪の長い黒いマントを羽織った青年であった。
彼はコウライ。
サイバードラゴンを軸としたレベル5エクシーズを得意とする。
「あぁ、コウライか。実は英斗さんによばれてな。」
「なんだろうな?」
「わからない。そういえば瑠璃の調子はどうだ。」
「ただの風邪だ。心配すんな。」
「いつもすまないなコウライ。」
「いいさそれより行ってこい。」
隼はコウライに手を振って英斗の部屋に向かった。