異空生物―喰種―イクーセイブツ―グール―   作:中2病人間M

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解凍

大昔の喰種(グール)の世界。 

 

 

そこにとある女性の科学者がいた。

 

 

「すごいなー、この細胞」

 

 

その科学者は何かの細胞を研究していたのだ。

 

 

そこへ、

 

 

「先生っ、そんなにそれすごいんですか?」

 

 

科学者の助手の男性がやって来たのである。

 

 

「うん、すごいよー、この細胞、うまく行けば人の体の治療とかできるかも」

「えっ、すごい……もしかしたら生物兵器も」

「それはだめ」

「ですよね、先生、僕らは平和のために研究してますからね」

「うんっ!!万が一に備えて消滅させる薬品も作るつもり」

 

 

科学者と助手、互いに考えは一緒で平和のための研究だった。

 

 

そこへ、

 

 

「よっ」

「あ、きたきた」

 

 

科学者の婚約者がやって来た。

 

 

「研究はどう?」

「う~ん、まだまだ時間がかかるかも……」

 

 

科学者の婚約者はとある事故で腕が欠損していたのだ。

 

 

そのため科学者は婚約者や他の人々のためその細胞を研究し続けていたのである。

 

 

 

 

 

そんなある日。

 

 

「あなたは……誰ですか?」

「とある世界の科学者じゃ」

「……とある世界?」

 

 

別の異空の未来からある老人が科学者の前にやって来た。

 

 

老人は言った、その細胞の研究を進めるために手を貸すことを、そして、その老人は違う異空に向かう科学力を見せて興味を持たせその製作方法を与え姿を消したのだった。

 

 

 

 

 

一方、当時、この世界の政府は軍事利用を目的としてその細胞を生物兵器として利用できるよう研究するように指示したのだ。

 

 

「……これは治療目的に研究している細胞で軍事利用には研究しません……」

「……そうか」

 

 

納得したように政府の人間は去って行ったのである。

 

 

 

 

 

しかし、

 

 

「どうして……」

 

 

ある日、科学者の婚約者は政府によって虐殺されていた。

 

 

「……これは見せしめだ……あの細胞の研究はお前の専門だ、すぐに軍事利用できるように研究しろ、今度拒否をすれば助手、知り合い、全て殺す、お前の命ももちろん奪う」

「………殺す」

「何をするっ!?……ぎゃぁぁぁ!?」

 

 

科学者はその場にいた政府の人間を惨殺したのだった。

 

 

「はは……はははははははははは!!楽しいー、人間をみんな殺してやる……人間をみんな改造してやるっ」

 

 

そして、科学者は表から姿をくらまし細胞の研究に没頭し生物兵器に転用したのだ。

 

 

 

 

 

「……できたわ」

 

 

そこには数十体の細胞を元に作り上げた怪物がいたのである。

 

 

「こいつらを世の中に……」

 

 

その怪物は世の中に放たれ人間を見つけると細胞を寄生させその寄生された細胞が人間の心臓を別の心臓に作り変え人間を改造人間にした。

 

 

 

 

 

その後、山の中にあった科学者の研究所に助手だった男が入りこみ科学者が製作していた細胞を死滅させる薬品の配合を方法を持ち出したのだ。

 

 

「……あいつ薬品の配合方法持ってたか……まぁ、あれ未完成だから無意味だけどね」

 

 

科学者は細胞の研究をしながら政府に軍事利用されることを恐れて薬品を作っていたが未完成だったため助手が持ち出した配合方法はまったく無意味な物だった。

 

 

そして、科学者は自分自身も特別に作成した細胞で改造人間にし研究所を地中に埋め冷凍装置で眠りについたのである。

 

 

一方、怪物は人間たちの抵抗により殲滅されるが寄生され改造人間にされた人々と人間が対峙する世界となった。

 

 

後に細胞はRc細胞、改造人間は喰種(グール)と呼ばれるようになったのだった。

 

 

 

 

 

そして、時は流れ地中のエネルギーを吸い取り長いこと冷凍装置が稼働していた科学者の研究所に光が灯ったのだ。

 

 

『……解凍率0……』

 

 

 

 

 

NI地区の騒動から月日は流れ僕は高校の卒業式だった。

 

 

「ソラ、おめでとう」

「ありがとう、シオン」

 

 

生屍(ゾンビ)の一件から暫く経過していたが僕もシオンも特に体に問題はなかったのである。

 

 

「よっ、ソラ」

「ダイチ」

「あっという間だったな」

「そうだな」

「ナグモ君はどうするの?」

「私と結婚するの!!」

「シオン、まだしないぞ」

「ほぅ、ソラ、これってそうだよな、カナちゃん」

「うんうん、ナグモ君とシオンちゃんはいつか結婚するってこと?」

「どうなのソラ?」

「いや、シオン、お前……とりあえずまだそんな年じゃないし、君はまだあと1年間、高校生だろ」

「はぁい」

 

 

 

 

 

『……解凍率10……』

 

 

 

 

 

その時

 

 

「「!!」」

 

 

僕とシオンは同時に気が付いた。

 

 

「どうしたソラ?」

「……ソラ」

「ああ、喰種(グール)の匂いだ」

「まじか!?ソラ」

「ああ、ダイチ、カナさん、みんなを安全なところにまとめてくれ」

「ああ」

「わかった、ナグモ君」

「……シオン、対策部に連絡を……それともし喰種(グール)を見つけたら教えて」

「うん!!……ねぇ、私も戦う」

「……いや、シオン、君には君のやるべきことある……みんなの安全を頼めるか?」

「……うん……でも、ソラ、無理しないでね」

「ああ!!」

 

 

 

 

 

『……解凍率20……』

 

 

 

 

 

そして、僕は校内を探しその匂いの元凶を見つけたのだ。

 

 

「……お前だったか」

 

 

僕は指を鳴らしたのである。

 

 

「……NIタワーぶりだな」

「クロー!!」

 

 

体育館の上にいたのはクローだった。

 

 

「あっちの世界とこっちの世界自由に行き来しやがって」

「……」

 

 

僕は指を鳴らした。

 

 

「今度こそてめぇを始末してやるよ、決着を着けようぜっ!!」

「そうだな、眼帯」

 

 

そして、僕とクローはそれぞれ赫子を出して激突したのだ。

 

 

いや、ここが高校であろうと本気でいくべきだ。

 

 

僕は指を鳴らして赫者になり大量の赫子でクローに攻めこんだのである。

 

 

……いける。

 

 

「……赫者になれるのが自分だけだと思っていたか?」

「!!」

 

 

クローから大量の赫子が噴出しクローは赫者となった。

 

 

「クロー……」

「たしかにお前は大阪で見たときより……」

 

 

僕はクローの赫者の赫子を受けたのだ。

 

 

「うっ……」

「断然に強くなった……けど、まだお前は俺には敵わない」

 

 

僕は大量の羽赫を受けたのである。

 

 

「……なめるなっ、お前の想像以上に僕は強くなった!!」

 

 

僕は全ての赫子をぶつけ合った。

 

 

 

 

 

『……解凍率30……』

 

 

 

 

 

長い間、ぶつかり合い校庭は荒れ果ており、また、対策部も何人か参戦していたがクインケを破壊され全員待避していたのだ。

 

 

そして、僕は校舎の壁際に追い詰められたのである。

 

 

「さて、そろそろ終わりにしよう……安心しろお前は大事な研究材料だ」

 

 

僕は赫者の甲赫を自分の体が見えなくぐらい開いた。

 

 

「その程度……」

 

 

クローは赫子で甲赫を突きひびを入れたのだ。

 

 

「守ったつもりか?」

 

 

そして、クローは甲赫を砕いたのだった。

 

 

「……!!いないだと……」

 

 

砕けた甲赫の後ろには建物の瓦礫しかなかったのである。

 

 

その時

 

 

僕は建物の2階から飛び降りた。

 

 

 

 

 

『……解凍率40……』

 

 

 

 

 

「ソラっ!!」

 

 

シオンは僕に到着した対策部から届けられたクインケ、かまいたちを投げ渡したのだ。

 

 

「切り裂けぇぇ!!」

「なっ……」

 

 

かまいたちはクローの肩から入り込み左腕と肩を切り落としたのである。

 

 

「あがぁぁぁ……」

 

 

クローは僕を蹴り飛ばしかまいたちは茂みの方へ投げ飛ばされた。

 

 

「……どうなった」

 

 

クローの心臓は左肩と共に切り落とされ左肩には赫者の赫包、残っている心臓には通常の赫包とくっきりと分かれていたのだ。

 

 

「……がっ……」

 

 

そして、クローの赫子はボロボロと朽ちていったのである。

 

 

「……終わったな」

 

 

僕は赫者から元に戻った。

 

 

 

 

 

『……解凍率50……』

 

 

 

 

 

「……さて、トドメをさしてやるよ」

 

 

僕は指を鳴らしながらクローに近づいたのだ。

 

 

「……まだだぁぁ」

「なに……」

 

 

クローは近寄った僕に噛み付き肉を引きちぎったのである。

 

 

「くそっ」

 

 

僕は噛みついてきたクローを弾いた。

 

 

「悪あがきを!!」

「……まだだ……」

 

 

そして、クローは今度は自分の肉をかじり食べたのだ。

 

 

「は?」

 

 

次の瞬間、残っていた心臓から大量の赫子が現れクローは赫者とも違う怪物のような姿になっていたのである。

 

 

 

 

 

『……解凍率60……』

 

 

 

 

 

「……なんだこれは」

「まだ戦えるぅぅ」

 

 

クローから無数の羽赫が放たれた。

 

 

「はっ!!」

 

 

僕は咄嗟に赫者に戻るがその羽赫を食らったのだ。

 

 

「なっ……ぎゃぁぁぁぁ!!」

 

 

その威力は凄まじく下手をしたら赫者の威力より高かったのである。

 

 

「おいおい、どういうことだよ……心臓が砕け散ってたのに突然……」

 

 

クローは再び羽赫を構えた。

 

 

「とりあえず駆逐するしかねぇ!!」

 

 

僕は指を鳴らして鱗赫でクローを突くがクローの体は赫子で作られたマントのような物に守られており肉体まで突くことができなかったのだ。

 

 

「まるで羽赫のマントだな」

 

 

そして、放たれる無数の羽赫を赫子で防ごうとするが防げなかったのである。

 

 

「弱ぁぁ」

「くそっ……」

 

 

僕は飛び出し赫子を振り回すが殆んどクローに弾かれた。

 

 

 

 

 

『……解凍率70……』

 

 

 

 

 

しかし、

 

 

「いでぇぇ」

 

 

鱗赫の一部がクローの顔をかすめたのだ。

 

 

「!!」

 

 

するとクローの赫子のマントが消えたのである。

 

 

そうか、奴に痛みを与えればあのマントは消えるのか。

 

 

「これでっ!!」

 

 

僕は赫子でクローの体を貫こうとするが再びマントが現れ防御された。

 

 

「残念ぅぅ」

「もう一度痛みを……」

 

 

しかし、クローも警戒が高まり隙がなくなっていたのだ。

 

 

「ソラっ!!」

「シオン、来るなっ」

 

 

シオンは加勢しようと甲赫で向かうがクローに弾かれたのである。

 

 

「食べようかなぁぁ」

 

 

クローは羽赫でシオンを貫こうとした。

 

 

「あっ!!」

「シオンっ!!」

 

 

僕はシオンを守り羽赫に貫かれたのだ。

 

 

 

 

 

『……解凍率80……』

 

 

 

 

 

「ソラっ!!」

「……あの時みたいに……」

「えっ?」

「クラーケンの時みたいに誰かを死なせるか!!うわぁぁぁぁ!!」

 

 

僕は赫子を使いクローを弾き飛ばしたのである。

 

 

「おっとすげぇぇ」

 

 

しかし、クローに空けられた傷が深く僕は再生してしまい大量のRc細胞を消費したことにより赫者の状態を保てなくなり元に戻ってしまった。

 

 

「赫者はぁぁ?」

 

 

クローはそう言い羽赫を乱射したのだ。

 

 

「こっちだ」

 

 

僕とシオンは何とかよけるも羽赫が当たった場所は破壊されていったのである。

 

 

「シオン、こっちだ」

 

 

僕とシオンは校舎の中へと入った。

 

 

「どこかなぁぁ?」

 

 

そして、クローも校舎の中へ入ろうとしたのだ。

 

 

その時

 

 

「こっちだ!!」

 

 

僕は屋上から飛び出しクローのいる方へと降りていったのである。

 

 

「見つけたぁぁ」

 

 

クローが羽赫を放ち、そして、

 

 

「がっ……」

 

 

僕の胴体は吹き飛ばされた。

 

 

「……このまま貫けぇぇ」

 

 

僕は上半身のまま落下しクローの目の部分に残っていた赫子を突き刺したのだ。

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

そして、

 

 

「これで最後だぁぁ……」

 

 

最後の赫子でマントがなくなったクローの腹を突き刺したのである。

 

 

「あがぁぁぁぁぁ!?」

 

 

そして、クローと僕の赫子はほぼ同時に全て消滅しそれぞれ地面に転がった。

 

 

「……無理だ……再生が……」

 

 

僕はRc細胞の大量消費で致命傷であるにも関わらず再生が出来なくなっていたのだ。

 

 

その時

 

 

突如、見たことのない乗り物が現れたのだった。

 

 

 

 

 

『……解凍率90……』

 

 

 

 

 

「派手にやられたの」

「じ……爺さん……」

 

 

乗り物の中から人の大きさのカプセルが出てきてクローを収納したのである。

 

 

「生命維持装置じゃ、完治するまでその中で眠っておれ……さてと……」

 

 

老人は僕に近寄ってきた。

 

 

「クロー……を殺す……」

「……そんなことよりまず自分の命じゃ」

 

 

老人は銃のような物を僕に発砲し僕の体に注射のような物が刺さったのだ。

 

 

「!!」

「その中身は高濃度のRc細胞じゃ、お前さんならそれで欠損した肉体を再生できるはずじゃ」

 

 

そう言い老人は乗り物に乗り込むと乗り物は去っていったのである。

 

 

そして、僕は赫子が現れ失った肉体が再生された。

 

 

「ソラっ」

「シオン……あの老人、いったい何者なんだろうな」

「うんうん、それよりこのズボンはいて」

「あっ……」

 

 

 

 

今回、クローとの激突は凄まじい結果となったのだ。

 

 

クローの心臓を切り裂いたあと起きた現象は対策部いわく喰種(グール)は心臓に致命傷を負った際、人の肉と自分の肉を摂取すると致命傷を負っていたにも関わらずRc細胞が暴走するらしい。

 

 

「なるほどあの時もそうだったのかもな」

「ん?どういうことだ、ソラ」

「ほら、遊園地でダイチとカナさんを助けようとした時、たぶん、骨とかが心臓に刺さってたと思う」

「……でも、肉は……」

「人の肉と自分の肉……僕は僕だけで満たしてるんじゃないかな?恐らく負傷とした時に血とかが口から胃の中に流れたとか……」

「……そうかもな」

「……だな、けど卒業式の日に校舎を破壊しちまった」

「まぁ、対策部に直してもらおうぜ」

「そうだなダイチ」

「ソラはこれからも対策部に所属するのか?」

「ああ、まだまだ喰種(グール)はいる、それにクローがどうなったのかはわならない、まぁ、あいつはもう赫者にはまた共食いしなきゃなれないし、そもそも生きてられるとは思わない、けど、もし、見つけたら殺す」

「そうか……よし、頑張れよ、ソラ」

「ああ、ダイチ、また、会おうな」

 

 

後にクローから切断された心臓の赫者の赫包はクインケ『クローオーバー』SSSoverレートとなったのである。

 

 

 

 

 

『……解凍率100……』

 

 

山の地面が吹き飛びその中から研究所が現れた。

 

 

そして、研究所が開くと中から科学者が出てきたのだ。

 

 

「さぁ、楽しましてくれよ」

 

 

コールドスリープ状態だった科学者は解凍され目を覚ましたのだった。




この作品の喰種誕生の話を最初に入れました、『怪人』の回で老人が言ってたように老人が未来から介入してるので本来起きるはずだった歴史とは微妙にずれているって設定で、科学者は婚約者が殺されRc細胞を研究し喰種を作ることに変わりはないですが本来なら助手が持ち出した薬品の配合方法は完成されたものでしたが老人が異空移動を教えて研究を遅れさせたことで薬品は未完成となりました。

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