異空生物―喰種―イクーセイブツ―グール―   作:中2病人間M

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離脱

僕が高校を卒業して半年が経過した。

 

 

あの時、対策部が迅速に喰種(グール)の目撃者への対応をし、また、一部、撮影していた者もいたがSNSへの規制によりほぼ流出することはなかったのだった。

 

 

また、あの時のクローとの激突の影響は凄まじく僕を恐れ喰種(グール)たちがおとなしくなったのか喰種(グール)疑いの事件は減少し、また、自首してくる喰種(グール)までいたのだ。

 

 

 

 

 

「……って、わけで、事件数は減ってるね、行方不明者は……まぁ、どっこいどっこいかな」

 

 

僕は対策部でミウラ部長と珈琲(コーヒー)を飲みながら話していたのである。

 

 

「?ミウラ部長、行方不明関係あるんですか?」

「ほら、あれだよ、喰種(グール)も目立ちたくないから証拠を残さず捕食を行うやつが多いんだ、過去にも捕食事件が減る代わりに行方不明者が爆発的に増えることがある」

「……なるほど」

 

 

僕は以前戦ったペガサスの事件を思い出した。

 

 

 

 

その頃、

 

 

「なんだおまえ……」

「うっちゃいなー」

 

 

とある路地裏で大勢の喰種(グール)の死体が転がっていたのだ。

 

 

その喰種(グール)たちを惨殺したのはつい最近喰種(グール)の世界で目覚めた科学者だった。

 

 

そして、科学者は喰種(グール)の遺体をかじったのである。

 

 

「……やっぱまずいなー、こんなことなら細胞……何て言うんだっけ……あ、アールシー(RC)細胞、たしかこっちではそうだけどあっち (グールの世界)では喰種(グール)細胞とか呼ばれてたなー、う~ん……こんなに不味いなら細胞作るとき味覚には影響しないように作ればよかったなー」

「うわぁぁぁ!!」

「あ、逃げた……でも……」

「ぐはっ……」

 

 

科学者は逃げた喰種(グール)に飛びかかり頭部を押さえた。

 

 

「君ら僕の作った異空移動装置のお陰で喰種(グール)の世界からこっちこれて美味しい思いしてたんだろ?」

「……どういうこと……」

「君たちが使ってる移動技術は全部僕が作った装置が動力源さ」

「あんた何者なんだ……」

喰種(グール)を生み出した母かな?そうだね、母じゃ呼びにくいからこの世界で使われてる英語に因んでマザーとでも呼んでくれ」

 

 

科学者(マザー)はそう言いきる時には喰種(グール)の頭部を潰していたのだった。

 

 

 

 

その後。

 

 

「……これは」

「僕が言うのもあれですが酷いですね……」

 

 

通報を受けた対策部から僕とミトさんは大量の喰種(グール)の死体が転がった現場に来ていたのだ。

 

 

「ミウラ部長が言ってたが最近、喰種(グール)の犯行が減っていた……はずなのにこれは酷い……」

シニガミ(ミト)さん、これ赫子使ってないですよね?」

「……本当だ、少し噛ったあとはあるがまるで撲殺のようだ、いっけん、喰種(グール)じゃない殺し方のようだ」

「噛ったあとも捕食……というより味見のような……」

 

 

その時

 

 

ミトさんのスマホに連絡があったのである。

 

 

「……え?……わかりました」

「どうしたんです?」

眼帯(ソラ)、この場所で目撃者が見つかったそうだ

「本当ですか!?」

「ああ、早く府中駅前警察署に戻るぞ」

「はい!!」

 

 

 

 

そして、僕たちは警察署で目撃者から話を聞くことができた。

 

 

内容は大勢の人(喰種(グール))が女性一人に殺されていたのだ。

 

 

殺された人(喰種(グール))たちは怪物のように触手(赫子)を出していたなど喰種(グール)同士が交戦していたことで間違いないとなったのである。

 

 

しかし、証言者の話からその殺しまわっていた喰種(グール)は赫子を出していなかったようでもしかしたら赫子が出せない喰種(グール)の可能性もあった。

 

 

そして、最後の証言が非常に気になったのだ。

 

 

 

 

 

後日、僕はシオンと一緒に横浜の喫茶店で珈琲(コーヒー)を飲んでいたのである。

 

 

あの目撃者の証言の最後に女性は光に包まれて消えたとあった。

 

 

「どうしたの?ソラ」

「ん?」

「この間の喰種(グール)のこと考えてたの?」

「……ああ、許せないんだ」

 

 

さらに後の調査で分かったことだがあの殺された喰種(グール)たちは殆どが人殺しの犯行歴のない対策部に登録されている喰種(グール)だった。

 

 

「でも、今のソラならどんなやつが相手でも平気だよ、なんだって対策部おろかこの世界最強の喰種(グール)だし!!」

「……ふっ、そうだな」

「うん!!」

「よし、行くか!!悪いな、暗い話しさせちゃって」

「平気平気~」

 

 

そして、僕たちは喫茶店を後にしたのだ。

 

 

「やっぱ珈琲(コーヒー)はいいねぇ~、たくさん、飲んじゃったよぉ~……あ、お会計で!!」

「伝票をレジまでお願いいたします」

「はーい……はい、伝票」

「お会計、税込2500円になります」

「はい」

 

 

レジには喰種(グール)の世界の1万円金貨が置かれたのである。

 

 

「……えっと、お客様?」

「あ、お釣りなかった?……あ、そうか、同じ硬貨は500円までだったね……えぇと……」

 

 

今度は500円玉が5枚置かれたのだった。

 

 

 

 

その頃、僕とシオンは山下公園にいた。

 

 

「やっぱ山下公園はきれいだよな」

「なに、ソラ、ロマンチスト?」

「シオンと一緒だから……かな」

「もうソラったら!!」

 

 

そこへ、

 

 

「いや~、いいね、君たちこーゆーの英語でバカップルって言うんだよね」

 

 

突然、僕たちは女性に絡まれたのだ。

 

 

「いや、カップルは英語だけどバカは日本語じゃ……」

「ソラ、ジョークだよ、きっと」

「え?」

「そうなのかい、初耳だよ」

 

 

その時

 

 

女性の懐から硬貨が落ちたのである。

 

 

「あ、落ちましたよ」

 

 

僕は落ちた硬貨を拾った。

 

 

「……え?」

「どうしたの?ソラ」

「……シオン、これ……」

「!!これって……喰種(グール)の世界の10000万円金貨……」

「あれぇ?なんで知ってるのかな?……あ、君たちあっちから来たの?」

「……ソラ」

「心配するな、匂いはしない、相手は人間だろう」

「……君たちも匂いはしないね、あっちの世界の人間か?果てはあっちと関係を持った人間か?まぁ、味見する価値はあるかもね」

「は?」

 

 

女性の目は赫眼に変わったのだ。

 

 

「なんだと……」

 

 

そして、女性は僕に蹴りをしようとしてきたのである。

 

 

「くっ……」

 

 

僕は赫眼を発眼して蹴りを腕でふさいだ。

 

 

「なにっ……」

 

 

しかし、蹴られた腕は軽くめげて宙を舞ったのだ。

 

 

「ソラ!!」

「……シオン、連絡と周りの人の避難!!」

「うん!!」

 

 

シオンは避難のため走っていったのである。

 

 

「おや、君も喰種(グール)だったか、ほぉ、片目だけ赫眼なのね」

「……なんて力だ、蹴りだけでこんなにも……お前、何者だ」

「前にも喰種(グール)に聞かれたからー名乗ることにしてるよ、喰種(グール)の生みの母、マザーってね」

 

 

マザーは転がっていた僕の腕を拾うとかじりついた。

 

 

「!!げっ、うまっ、なにこれ、君、喰種(グール)なのにうまいねぇ!!よし、次だ次」

 

 

マザーは再び蹴りを加えようとしたのだ。

 

 

「二度も同じ目には……」

 

 

僕はマザーの蹴りをよけたのである。

 

 

しかし、

 

 

「残念、次はこっち」

「なっ……」

 

 

マザーは体制を変えて回し蹴りをし僕にそれが直撃した。

 

 

「がはっ……」

 

 

そして、僕は後方へと吹き飛ばされたのだ。

 

 

「くそっ……」

 

 

僕は赫子を出現させ何とか地面に着地したのである。

 

 

「この強さ……まさか、この間の事件の犯人はこいつか?」

 

 

その時

 

 

「たぶん、正解じゃない?」

「!?」

 

 

マザーはいつの間にか僕の背後にいた。

 

 

「この……」

 

 

僕は赫子を振りかざすが鱗赫はマザーに掴まれたのだ。

 

 

「ほらほら~」

 

 

マザーは掴んだ鱗赫で僕を振り回したのである。

 

 

「……このやろう……」

 

 

僕は赫者になり赫子を一斉にマザーに向けた。

 

 

「おっと!!」

 

 

マザーは赫子を全てよけると僕の腹部を殴ったのだ。

 

 

「ぐっ……」

「これが喰種(グール)を過剰に摂取した喰種(グール)に発生する効果か、赫者って言うんだっけ?」

「ハァ……ハァ……」

 

 

なんだこいつは今までの喰種(グール)とは文字通り次元が違う……いや、強いだけじゃないそれ以外にも違和感が……

 

 

「どうしたの?怖じ気づいた?」

「……さぁな」

 

 

僕は指を鳴らしたのである。

 

 

そうだ、あいつは赫子が出せないはず……全力でかかれば倒せるはずだ。

 

 

そして、僕はマザーに全力で赫子を振り回した。

 

 

「ほほ、さっきより格段に強いね」

 

 

マザーは僕の赫子をよけていったのだ。

 

 

「チョロチョロしやがって……」

「チョロチョロ?じゃ私も少しだけ本気……出してもいいよね?」

「……え」

 

 

そして、マザーから赫子が6本現れたのである。

 

 

「……赫子……」

「もしかして私のこと赫子出せないと思ってた?」

 

 

その6本の赫子はまるで手の形をしていた。

 

 

 

 

「ハァハァ……」

 

 

私はソラに言われた通り人々を避難させて対策部に連絡もとった、だから急いでソラを助けに行かないと。

 

 

私はさっきの場所まで戻っていった。

 

 

しかし、

 

 

「え……」

 

 

私は見た光景が信じられなかった。

 

 

あの女性からは手の形をした赫子が6本出ていてそのひとつには腕足がなくなり赫子も崩壊したソラが掴まれていた。

 

 

「……ソ……ラ……」

「……シオン……来るな……」

 

 

マザーはそのまま僕の首もとにかじりついたのだ。

 

 

「ぐわぁぁぁぁ!!」

「ソラぁぁぁ!!」

 

 

シオンは甲赫でマザーに飛びかかったのである。

 

 

しかし、

 

 

マザーの赫子も甲赫に変わりシオンは弾かれ海に落ちた。

 

 

「シオン!!」

「あれぐらいで死なないよ、手加減したし」

「てめぇ……」

 

 

こいつの赫子はすべての赫子に変化できていた、赫者の赫子もそれができるけどこいつのはもってる赫子全部でそれができたいた……感じていた違和感はこれか……明らかに他の喰種(グール)とは違う。

 

 

「それじゃ今日はここまで」

「がっ……」

 

 

マザーは僕を地面に叩きつけたのだ。

 

 

「さっき喫茶店で聞いてたんだ」

「……」

「君はこの世界で最強の喰種(グール)らしいね」

「……」

「でも、全然強くなかったね、ま、ふたつの世界じゃ君の強さが限界だね、ふたつの世界には当たり前だけど喰種(グール)がたくさんいる」

「……知ってるさ」

「私はそのどの喰種(グール)よりも強い、なんだって喰種(グール)生みの母(マザー)だからね、それじゃあね」

 

 

そして、マザーは光に包まれ消えていったのだった。

 

 

 

 

 

後日。

 

 

「よっ、ソラ」

「……ダイチ」

 

 

僕は夜の公園にダイチを呼んだのである。

 

 

「ほらよ」

 

 

ダイチは僕にブラックの缶コーヒーを投げ渡した。

 

 

「ありがとう……ダイチ、どうだ大学は?」

「まぁまぁだな、そっちはどうだ、捜査官?」

「辞めることにした」

「……マザーか?」

「……シオンから聞いたのか?」

「ああ」

 

 

シオンはあの後海から救出されたがマザーが手加減してたのか傷は浅く問題なかったのだ。

 

 

「シオンのやつ喋りすぎだ」

「なんで対策部から離脱するんだ、その喰種(グール)だって対策部にいれば追えるだろ?」

「この世界じゃ限界がある、それに今の僕じゃ奴にはかなわない」

「今までだってそういう敵いただろ?」

「……今回は次元が違うよ」

「……で、離脱してどこ行くの?この世界にはいるつもりないんだろ」

「……」

「なんて面してやがる、対策部から抜けるならこの世界にいるつもりないってことだろ?」

 

 

無論、この世界で活動するなら対策部にいることが一番都合がいい。

 

 

「なんでもお見通しだな……地下を攻めようと思ってる」

「地下?」

喰種(グール)の世界のNI地区という場所の地下に喰種(グール)の街がある」

「……」

「詳しくは聞くな、だが、酷い所だ」

「……何をする気だ」

「……奴に勝てるほどの力をつける」

「どうやって?」

「共食いをする」

「今もやってるだろ」

「今以上にだ、今は対策部で駆逐したやつか、喰種(グール)の世界で鉢合わせたやつしか喰ってない、けど、その地下には殺してもいい喰種(グール)が山程いる、そいつらを利用する」

「ひとりでか?」

「地下に協力者はいるさ」

 

 

そして、僕は缶コーヒーを飲み干すと近くのゴミ箱に投げ捨てたのである。

 

 

「もう行くよ、心変わりする前にな」

「さては黙って去る気だな……シオンはどうする?」

「最後に君は一番気にしていることを……連れていけるわけないだろ、君も聞かなかったことにしてくれるとありがたいけどな」

「……それは無理かも」

「……まぁいい、地下までシオンひとりじゃこれないさ」

「……黙って行ったらきっと怒るぞ」

「だろうね、けど、言ったら着いてきちゃうしな、あんないい子、迷惑かけられねぇよ……またな」

「ソラ」

「ん?」

「行ってらっしゃい」

「……行ってくる」

 

 

こうして僕はこの世界から姿を消した(離脱)したのだった。


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