赤キ血統ノ忘レ形見 作:桐谷
待たせてしまった方は申し訳ないです…
12話目が投稿できました!
それと、今回から一話ごとに題名を書くことにしました。
その方が見栄えとしていいと思いましてね
それでは、本編へどうぞ
「ん~……むにゃむにゃ……」
なんて幸せそうな寝顔だろうか。まるで赤子のように無垢な表情……。いっそのこと、このまま永遠に眺めていたいと思うほどだ。
……寝ているのがサラ教官じゃなければの話だけどね
重要なことなのでわたし自身が心の中で付け加えよう。現在わたしたちは列車に揺られ、実習先であるケルディックへと向かっているところだ。
「全く……教官はのんきよね」
「あはは…なんていうか、何も考えていなそうだよね」
なぜ皆が彼女に呆れているかといえば、わたしたちに着いてきた理由に起因する。
『初めてなんだし実習先での最初の案内ぐらいはしてあげるわ』
『それは有難いんですけど……』
『……どちらかといえばB班に着いていった方がいいのでは?』
『えー?だってあっちはあからさまに面倒そうだし』
……最後の言葉さえ無ければ良い教官と思えたのに
残念そうな眼で彼女を見ながら心の底からそう思う。
「ま、まあ、いくらなんでも危なくなったら流石に動くだろう」
「うむ、そうだな。責任者としての最低限の心得はあるはずだ」
「そうかなぁ…?」
疑いの目を向けつつも、とりあえず今回の実習先について確認することにする。観光するわけではないので一応予習という形式でだ。
―――交易地ケルディック。
広大な穀倉地帯の中心に位置する、各種交易が盛んな町だ。大陸横断鉄道の中継駅もあり、毎週開かれる大市はかなりの賑わいとなるという。
「話によればクロスベルを経由して、共和国の物品もあるとか言われてるよね」
「へぇー、それは気になるかも」
「実習中に間を見て大市を見るのも良いかもしれないわね」
とまあ、実習地について話し合い、各々の現地でしてみたいこと等を長い時間語り合った。それでも、列車の旅の時間は余る。
「しかし、結構暇になってしまったな」
「うーん……やることがない」
そこでふとエリオットが思い付いたようにとあるものを取り出した。
「そうだ、みんなこんなの知ってる?」
「それは……カード?」
「うん、《ブレード》っていうんだけどルールもそこまで難しくないし結構面白いんだよ」
「へぇ、暇潰しにはちょうど良さそうね」
わたしたちは早速ルールを確認して始めることにした。
「―――うぅーーー!!!シルヴィア強すぎるわよ!!」
「そんなこと言われてもなぁ………」
数十分後、アリサの声が列車内に響いた。朝イチというのもあり、乗客がいなかったのが幸いして、その声を聞いたのはわたしたちだけだったが。
「はは……確かに強いよな」
「うーん……どんな手札でも勝てなかったよ……」
苦笑しながらそう相づちを打つ男子二人組。現在《ブレード》を開始して各々10戦ほど終えたところだが、その勝率は一人だけ群を抜いていた。
リィン:6勝4敗
ラウラ:5勝4敗1分け
アリサ:3勝6敗1分け
エリオット:4勝5敗1分け
シルヴィア:9勝1分け
「……これはひどい」
「自分で言わないでちょうだい!!」
理不尽とも言える勝率に自分でも引くレベルだ。自分はそう深く考えずにプレイしていると思っているのだが、どうしてこうなったのか……。
「なにかコツでも掴んだのか?」
ラウラがわたしに問う。まあ、無いわけではないが。だが、勝てる方法がわかったわけではない。わたしが理解したのは負けるリスクを
実はこの《ブレード》、先攻になったら高確率で
カードを出し合い、数字を上回らなかったら負け、先に持ち札が無くなっても負け。先行になってしまうと相手より先に持ち札を減らす挙げ句、最後のターンでは相手が自分のカードに上乗せする形になる。その状況下で勝てる方が希だ。では先攻とってしまった場合どうすれば良いか、それは―――
「―――カードの出し合いで勝負をドローにする?」
わたしの説明を聞いてエリオットが答える。
「そう、自分が後攻になって、相手の持ち札よりカードを多くするまでドローにし続けるの」
運要素を大きく孕むが、これが一番有効な手段だと思われる。まあ、その間何度も先攻に回ってしまえばアウトなのだが。
「例え運悪く手札が弱くても相手の手札を減らし続ければ、枚数差で勝てるってわけだな……」
「そういうことだねー、リスクは大きいけど」
そう言ってわたしは持っていたカードを切る。
「まあ、これ言っちゃうとドローのやりあいになって、《ブレード》がつまんなくなっちゃうかもしれないからさ」
わたしは人差し指を口に当てる。そして悪戯っぽく方眼を閉じ―――
「―――だから、5人の秘密ね?」
わたしによる軽いブレード講座が終え、列車は目的地へと到着した。
ここは、ケルディック―――。
「割と人通りがあるねぇー」
わたしは歩きながらそう呟いた。現在、今回の実習の宿屋としてお世話になる場所へと移動中だ。
「まあ、ほとんどが大市を目当てに来た客だろう。大市には外国からの商人も多いと聞く」
「なるほど、帝都とは違った客層が訪れているのね」
現地の様子を見て改めてどういう町であるかを把握する。やはり、聞くのと見るのでは大違いのようだ。
「ふんふんふ~ん♪」
……で、先ほどから鼻歌交じりに我々の案内を務めているサラ教官なのだが、なぜこんなにも嬉しそうなのか。
「あの、教官?何か良い事でもありましたか?」
恐る恐る聞くリィンにサラ教官は振り向いて答えた。
「んー??あったんじゃなくて、『
「?」
何のことかと首をかしげるわたしたち。
その『良い事』を聞いてガッカリするのはそう遠いことではない―――。
どうしてこうなった
ブレードの件は
「シルヴィアTUEEEEEE!!!」
やりたかっただけなんですが……
知ってる方は多いと思いますが、
本当にブレードは結構運ゲーですよねー……(笑)