赤キ血統ノ忘レ形見   作:桐谷

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どうも、すぐ投稿するといっても5日ぐらいかかっちゃうんですね……w

はてさて、前回の修羅場の展開やいかに。
本編でお確かめください。

それではどうぞ


互いの心

現在、わたしは目の前の同期に睨まれている。別にこれといって悪いことをしたわけではなく、悪いのはタイミングの方であって……。

 

「ア、アリサ……」

「人がいる公衆の場所なのだから、そういうことは控えた方がいいと思うわよ」

 

あらぬ誤解をやっぱりされていらっしゃいますかこの人は……

 

「ち、違うんだアリサ。別にそういうことじゃ……」

「フンッ、前科のある人に言われても説得力がないわ」

「うっ……それは……」

 

流石、加害者と被害者。加害者の立場のリィンは何も反論ができない。実際のところ、あれの加害者はサラ教官で、二人が被害者なわけだが。

 

「アリサ、別にわたしたち恋人とかそんなんじゃないからね?ただ、あれは……」

「あれは?」

「えっと……何て言ったらいいかな……」

「……やましいことがあるから言えないんじゃなくて?」

「違うよー……その……」

 

唸るわたしに一方的なジト目が当てられる。ひどい誤解だ、本当に。

 

「まあ、別に言わなくていいわよ。人には言いたくないことはあるでしょうし?」

「違うって……」

「さて、わたしは早めの昼食を取りに来たの。特にもう聞きたいこともないから」

「ア、アリサぁ……うー………」

 

誤解が解けないままアリサはそのままおばちゃんから昼食を買い、スタスタと学生会館を出ていった。

 

「……………」

「……………はぁ……」

 

ため息はリィンの方。まあ当然だろう、さらにこじらせてしまったのだから。

 

「リィン……その……ドンマイ?」

「また、一段と誤解を深めたな……」

 

うわぁ……すごく凹んでる

 

苦笑というよりもうわたしの口元は完全にひきつった笑みとなっていた。だが、ふと思った。

 

「でも……アリサってそんなに引きずるタイプじゃないと思ったんだけどなー」

 

入学式の日、彼女は立ち尽くしているわたしに声をかけてくれた。きっと世話好きで優しい子なんだろうなぁって思った。そんな彼女がああも、頑なになるのは何故なのか。

 

「……リィン、手伝うって言ったけどちょっと行ってくるね」

「え……行くって?」

 

わたしは少し考えて答える。

 

「……アリサの誤解解いてくる!」

「え、ちょっ」

 

彼がなにか言おうとする前にわたしは学生会館を出ていた。

 

 

 

 

 

「はあ………」

 

ため息をついた。どうしてこうも自分の思ってることとは逆のことを言ってしまうのか。謝りたいだけ、ただそれだけなのに。

―――少女は上を向く。

 

「ごめんなさいって……たったその6文字がこうも言えないなんて」

「まあ、原因があれだもんねー」

「ひぃぁ!?」

 

おうふ、なんて可愛い反応

 

などと思いながらわたしは目の前の少女を眺める。

 

「アリサ」

「シ、シルヴィア……」

 

困惑っていうよりかは焦燥という表情だ。無理もない、心の内を聞かれてしまったのだから。

 

「その………ごめんなさい」

「? ………何が?」

 

わたしは首をかしげる。それに対して俯きながら彼女は続けた。

 

「さっきは酷いこと言っちゃったでしょ………?その、私、そんなつもりはなくて……」

「…………」

 

―――やっぱり、優しい子なんだね

 

彼女の声は少し声は曇っていた。わたしは黙って彼女を見つめる。そして―――

 

 

 

 

 

―――ギュッ

 

「………え……」

 

不意に声が漏れた。わたしじゃない。彼女、アリサの声。

―――わたしは彼女を優しく抱き締めていた。

 

「辛いよね……アリサは優しいし、責任感が強いから……余計にひとりで抱え込んじゃうんだよね……」

「………ぁ……」

「わたしも、早くアリサとリィンには仲直りして欲しいから……応援してるし、何かあったら手伝うから」

「……う…ん………シルヴィア……」

 

 

 

 

「グスッ……あり、が…とね………」

 

嗚咽を堪えながら絞り出した声。それをわたしは無言で頷きながら、彼女の背中をさする。

 

アリサにも様々な事情があるのだろう。

クラスでの振る舞いにしてもなんとなくそうだ。みんなから少し距離を取るようにしてる。人には言い難い、事情があるから。自分の核心に触れられたくない、だから壁を造る。ひとりで抱え込んでしまう。その気持ちは痛いほどわかる。だって―――

 

 

 

…………わたしが、そうだから(・ ・ ・ ・ ・)

 

 

―――なんとなく、彼女の姿はわたしに似ている。自分と彼女を重ねてしまう。辛さがわかる、だから寄り添ってあげたい。それが理由でさっきは学生会館を飛び出した。

 

「…………ん…もう、平気よ」

「………そっか」

 

そう言って、背中に回していた手を戻す。

 

「……ごめんなさい、急に泣いちゃったりして」

「いーよ、辛かったならしょーがないしさ。それに……」

 

わたしはほんの少し言うのを躊躇ったが、それでもやはり言葉にだす。

 

「わたしはアリサのことをあまりまだ知らない。けど、気持ちの整理が着いたら、状況が落ち着いたらでいいからさ………その時はアリサのこと、色々教えて?」

「え……?」

「こう言ったら怒るかもしれないけど……アリサ、あまり自分の事を語ろうとしないでしょ?これはただの憶測だけど……あまり人には言いたくないことなんだよね?」

「………そう、ね……。まだ人には言えないことだわ……」

 

アリサは少し俯いて、腕を抱く。わたしは更に続ける。

 

「でも、それは仕方がないよ。人なら誰だってそういうことを抱えてるものだし………わたしだって、そうだから……ね」

「シルヴィア………」

「…………でもね?わたしはさ―――」

 

 

 

 

 

「アリサとはこれからもずっと……《友達》でいたい」

「…!」

 

そう、これがわたしの本心。今は隠し事があっても、時間をかけて互いを知って、自らを打ち明けられる。いつかは、そんな仲になりたい。お互いの事情とか抜いてもこの気持ちだけは嘘じゃない。

 

「ダメ……かな?」

「……………」

 

言ってて自分で少し臭くて恥ずかしかったけど、後悔はしていない。誤魔化すように苦笑いする。

 

「………全く……貴女って人は……」

「お節介なのは自分でもわかってるよー」

「もう……ふふっ、でも―――」

 

 

 

 

 

「―――私も、貴女とは《友達》でいたい」

「……!」

 

 

 

ライノの花が散り始めを見せた、春の中旬。

そんなまだ温かい春の陽気の中、わたしたちは互いに穏やかな笑みを浮かべ合った。

 

 

 

 

 

 

士官学校に入学してから、初めて会って、初めて一緒に歩いて、初めて共闘して、初めてのクラスメイトになって………そして、今日―――

 

 

 

―――初めて、建前なく友と呼べる人ができた。

 

 

 






お疲れ様でした。

さあ……修羅場の後のこうなるとは誰が想像したでしょうか。
私も想像していませんでした|д゚)

なんか、書いてたらこうなっちゃったんですよね(;^ω^)


最近、一話一話の話の内容が重すぎる気がするけど
だいじょうぶですかね…w
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