赤キ血統ノ忘レ形見 作:桐谷
非情に勝手ながら書く気力がなくなり、完全に放置していたわけですが、閃の軌跡Ⅲが発売間近になり私の中で沸々と意欲が戻ってきました。
なので、今後も不定期ながら少しずつ更新を続けていきたいと思います。
どうも、今日は厄日のようだ……とわたしは自分の中で結論付ける。
「言っちゃなんだけど……ある意味面倒ごとに巻き込まれてる感ある………」
「……まあ、否定はしないさ」
そう答えるリィンは苦笑していた。実際、彼だけが決めたことではない。皆の意見を整理して、自らも同意したのだから仕方がない。
―――わたしたちは今、大自然に囲まれている、且つとても幻想的な場所を歩いていた。理由は単純、この
今朝、リィンとラウラの和解の後に事件は起きた。昨日、大市の場所取りでもめていた商人たちの市場が破壊されていたのだ。当然の如く2人はお互いを犯人だと思い取っ組み合いの喧嘩が勃発。事態はまたもや我々の手で収集……されることはなかった。なんと昨日まで無関与であった領邦軍が突然強引な手法で場を修めたのだ。お互いがいがみ合っているという理由だけで商人2人が犯人だと断定。これ以上騒動を起こすのであれば拘束し連行するという、半ば脅迫にも似たことさえ言い放った。その言葉に商人2人も何も言えず、騒ぎは一度沈静を迎えた……。
だが、わたしたちは腑に落ちなかった。どうして無関与だった領邦軍が唐突に口出ししてきたのか?そもそも屋台が2つ同時に壊されるという事件……そんなこと果たして起こる得るのか?わたしたちはオットー元締めとの相談の後、事件の捜査を開始した。これも特別実習の一環……そう考えて調査を進めていった結果―――
「しっかしまあ、本当にこんな公園の中にいるのかなぁ、真犯人っていうのはさ」
「身を隠すには絶好の場所なのに違いはないさ、恐らく」
真犯人を領邦軍、さらにはそれらが雇った盗賊と思われる集団と推測。聞き込みよりここ《ルナリア自然公園》不審な人物が出入りするを見たという証言の元、現在に至る。
わたしたちの現在地《ルナリア自然公園》は前記した通り、人による造形物は安全のための柵や通路としての橋以外には見られない。見渡す限り木、木、木・・・読んで字の如く、本当に自然しかなく視界がよろしくない。リィンの言う通り潜伏場所にはうってつけなのも頷ける。
「とにかく急ぎましょう。早朝にあの事件が発覚したってことは、既に犯行からかなり時間が過ぎてるはずよ」
アリサがそう急かす。確かにそうだ。今は推理が外れたことを考えるよりも時間を有効的に使うことを考えたほうがいい。
自然公園とは言えど、これだけの大自然に囲まれているせいか魔獣もかなりの数が生息しているらしい。既に戦闘回数は10を超えていた。
「確かに急いだ方がいいかもね。でもだからって焦っちゃだめだよ」
「たしかにそうだが……言うは易く行うは難しだな」
そんなことを言いながらもちゃくちゃくと魔獣を討伐していくラウラを見てついつい苦笑してしまう。やはり名の通った武門貴族の娘なだけある。
「……!」
「そろそろ終点だね」
風の流れが変わったことを見切り、わたしとリィンが身を構える。まあ、ガイウスほど読めるわけではないがこれぐらいは朝飯前というところだ。
「……いたぞ!」
小さく声を上げるラウラの言う通り、
「――へへっ、何気にいい稼ぎになったなぁ」
「これでも連中が陳情を取り下げなきゃ、もうちょい稼げるってとこか」
「ま、程々にしとけ。報酬だって用意されてるんだ。普段の稼ぎからしたら十分だろ」
クロ確定、といったところか。会話する男たちの後ろには大量の商品が並んでいる。今、動けば言い逃れは不可能だろう。
「まあ、いつでもここから離れられるように準備を……」
「――甘いな」
その言葉を合図に全員が武器を手に飛び出す。入口を塞ぐように展開し犯人たちに詰め寄った。
「なっ、てめぇら昨日の!?」
「門は施錠したはずなだぞ!?」
「お生憎様。そんなものはたたっ斬ってきましけど?」
「は、はぁ!?」
皮肉たっぷりに込めた言葉で返す。まあ、斬ったのはわたしじゃなくてリィンなのだが。
「とにかく、言い逃れはできないぞ。その、盗品が動かぬ証拠だ」
「現行犯で我々にも逮捕権がある。おとなしく拘束されてもらおう」
そう言って詰め寄る全員。大概、袋の鼠のすることと言えば――。
「誰が捕まるか!」
「ガキどもが……ぶちのめして喋れないようにしてやる!」
最後の抵抗をする。そう来ることは予測はついていた。
「皆、行くぞ!」
リィンの掛け声とともにわたしたちは走り出す。相手の得物はライフル銃。射程はそこそこでおそらくアリサの導力弓と同等ぐらいだろう。
「やぁッ!!」
後方より気合の入った声が響き、弓矢がが放たれる。矢の軌道から見て、恐らく命中は期待していない。牽制として放ったものだろう。
「おわッ!?」
「チィッ!!」
期待通りの効果をもたらしたようで、弓を避けた4人組を2人ずつに分断することに成功。それを見てここぞとばかりにリィンとラウラが距離を詰める。近接武器を使う者において最も需要なこと、それは一瞬の隙で自分の距離に相手を置くことにある。
「お、おいっ!下がれ――」
「ん?ちょ、あぁっ!?」
距離を詰められることを避けようとした二人組が悲鳴を挙げる。そして盛大にひっくり返った。
「おー、フィーの言った通りだね」
わたしは転倒する二人を眺めながら手元でワイヤーをぐるぐる巻いていた。接近するリィンとラウラに気を取られている内に手早く足元にまいておき、下がろうと重心を後ろに傾けた瞬間を狙って勢いよく引いたのだ。
「おとなしくしてもらう!」
「ぐッ……」
そう言いながら倒れる犯人の首筋ギリギリに刀を添えるリィン。ラウラも同じく眼前に剣を添える。
「これで2人……残るは――」
そう言いつつ周囲を見回して残りの敵の動向を確認する。
「いない……?」
「いや、さっきまではいたんだ。恐らく周りの木々に隠れたか……」
「そうだね……例えば――」
手元に仕込んだダガーの先端をつまみ、振り上げ――。
「そことか……ねッッ!」
思いっきり飛ばす。それは吸い込まれるように左右の樹木に刺さった。
「うおッ!?」
「クソッ、なんでバレやがった!?」
至極当然の反応。聞けば誰もが驚愕していると分かる声が響いてくる。私がそこに投げた理由、それは至って単純明快。
「ただの消去法だよー」
そもそも彼らの後ろには盗難品が山のように置いてあった。リィンたちが接近する合間にそれらをまたいで後ろに退避する暇はなかったはず。とすれば、後は右か左かの2択になるわけだ。そして、一瞬のうちに味方2人が制圧されたのだ。多少は警戒して、こちらの動向を伺うのが自然。よって、すぐにでも奇襲をかけられるような距離に隠れてる……という仮説が立つ。後は、さも潜伏場所が分かっているように振舞いながら適当な場所にナイフを投げるだけ。
「まんまと引っかかって声をあげてくれたね」
「ッッ……このガキがぁッ!!」
手のひらの上で踊らされていたことに憤慨し、2人が両端の木々から身を乗り出して、ライフル銃を構える。その眼には私しか映っていない様だ。
「―――エリオット、アリサ、今だよ」
「うん!」
「任せてちょうだい!」
刹那、凄まじい風と水圧が彼らを襲った。その勢いを体で殺すことはできず、そのまま後方の樹木にたたきつけられた。
「がはッ!?」
「ぐえッ!?」
背中を打ち付けられた痛みもあるが、一瞬息が止まったことにより、眩暈を起こして容易に立てないようだ。2人ともぐったり地面に伏している。
その様子を見て、アリサとエリオットが手を合わせた。もうお分かりだろう。2人は初動の攻撃以降ずっと、アーツ詠唱をしていたのだ。そして、ここぞという場面でアーツを放った。
「上手くいったみたいだな」
「うむ、中々の策士っぷりだ」
感嘆の声を前衛2人が挙げる。わたしとしては、ワイヤー巻いて、樹木にダガー投げただけだからそんなに褒められても困るんだけどね……。
「まあ、とにかく彼らを拘束しようよ。色々と話も聞きたいわけだし」
照れるのをそう誤魔化し、のびている1人のもとへ走る。さて、いよいよ4人には真実を語ってもらおうかな―――。
書いていた感覚が戻らないので、文章の雰囲気とか違ってたらすみません。