The Sweepers   作:インノケ

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アクエリアスとまみえる

ユウ、討つ


16話

「その声……リク!?」

聞きおぼえなどという問題ではない。A標的はつい最近聞いたばかりの声で話していた。趣味の悪いシナリオが脳裏をよぎったが、それは裏切られることとなる。

『ひっ。おまえ、兄さんの知り合いか! ってことは兄さんに入れ知恵されてきたんだな。ひっ、出来そこないのクセにどこまでも邪魔しやがって!』

「兄さんだと? じゃあお前は」

『ひっ自己紹介してやろうか? 俺は宇宙軍所属、ヤマモト・ライ! 出来損ないのビルダーの双子の弟だ!』

言い終わらないうちにアクエリアスを囲んでいたうちの一機、ベルガ・ダラスがショットランサーを構えて突撃してくる。僕は脚部のスラスターを噴かせて回転、そのままベルガ・ダラスの真下へと回り込んでビームライフルを発射。ベルガ・ダラスはビームの奔流に串刺しにされ爆発とともに消える。

「宇宙軍だって!? スイーパーは宇宙側勢力の部隊だぞ。どうしたお前は攻撃した!」

スタークジェガンとタイミングを合わせて突撃するものの、ヒートロッドによる牽制でなかなか近づくことができない。

『ひっ、折角俺がNPC軍団を作ろうって言うのに、お前らスイーパーがどんどん駆除するせいで俺の取り分が減っちまうだろうが!』

親衛隊機がザクレロに向かって弾幕を張る。今まさに向かってこようとしていたザクレロは数発を受けてしまうもののすぐに体勢を立て直し、大回りで親衛隊の周りを飛び回る。

「そんな身勝手な理由でゲオルグさんたちを襲ったのか!宇宙軍とはいえ許されるわけがないだろう!」

『いるんだよ、宇宙軍にもお前らスイーパーばっか華々しく活躍してて疎ましく思ってるヤツがな! そいつはスイーパーがいなくなればハッピー、俺もミュータントがたくさんもらえればハッピー。ウィンウィンってやつだろ!』

「そんな……スイーパーが何のために戦ってると思ってるんだ!」

狙撃モードでアクエリアスをとらえようとするも射線上に親衛隊機のビルゴIIが入ってくるせいでどうしても撃ち抜けない。そのままビームキャノンを発射してくるがモトナリのビルゴによって阻まれる。

『そんなこと考えてるやつが宇宙軍にどれだけいると思う?ひっ、守ってやってると思ってたか? みんなから感謝されてると思ったか!?』

数が少なくなったせいか親衛隊機の動きが格段に良くなっている。これでアクエリアスの操縦までしているのだからライの操縦スキルは相当なものだろう。

「そのNPCコントローラも! おまえの腕も! みんなのために使えるはずなのに!」

『何がみんなだぁ!』

突然ライが絶叫し、残った3機の親衛隊機を引き連れて肉薄してくる。先頭のビルゴIIはビルゴに、ウィンダムとジンクスはスタークジェガンに阻まれ脱落し、最後尾のドートレス・ネオはザクレロのヒートナタによって寸断され撃墜される。それでも構わずアクエリアスはこちらに向かって猛接近し、ヒートロッドを放ってくる。運動エネルギーの乗ったヒートロッドによってシールドが溶断されるが、ダギ・エクス本体は逆噴射をかけることでのけぞり、アクエリアスを受け流す。

『馬鹿にするなよ! 兄さんだって本当はできたはずなのに周りに押しつぶされたんだ! そしたらアクエリアスだって!』

「なにを言っている!」

『周りが兄さんと俺の夢をつぶしたんだ! 俺たちの軍団を! それなのにみんなだと? ふざけるな!』

やみくもに振り回しているようで、的確にこちらの進路をつぶしてくるヒートロッドに苦しみながらも、ライフルで牽制しなるべく距離をとろうとする。今はまだその時ではない。

『そしたら兄さんが腑抜けることもなかったんだ! 俺たちのアクエリアスは無敵だったんだよ! よくも!』

ライフルを構え足を止めたところを狙って、アクエリアスがヒートロッドを一直線に突き出し突進してくる。ここだ! ダギ・エクスの腹部メガ粒子砲から目眩まし用のビームを発射すると同時に、フットペダルを最大まで押し込み機体を真横に飛ばせる。強烈なGがかかるが今はそんなことを気にしていられない。頭部のフェイスカバーが再び展開し、デュアルアイと金色のスリットが表出する。ライフルを投げ捨て、ビームサーベルをすれ違った瞬間のアクエリアスの背部を逆袈裟切りに振り抜いた。アクエリアスの大推力スラスターが爆発を起こし吹き飛んでいくのを、スラスターを全開にして追いかける。サーベルを持っていない方の腕を目いっぱいに伸ばしてアクエリアスを捕まえる。いつだったかに自分がされたように、コックピットの真後ろにサーベルを突き付け、通信を開く。

「僕の勝ちだ。ついてきてもらうよ。」

『まだだ、まだ終わってない……。俺たちの夢は……!』

通信機から聞こえる声はほどんど聞き取れないほどか細くなっており、先頭不能であることが伺える。

「こちらミヤナガ・ユウ、A標的を確保。作戦は成功です。全機帰艦後このエリアを速やかに離脱します」

ダギ・エクスの全身から冷却材が噴射され、戦闘が終わったことを告げる。通信機から無数の雄叫びが聞こえてくる。自分たちの手で作戦を完遂できたというのはこれほどまでに清々しいものなのか。喜びに浸っていると、ジュウザブロウのザクレロが接近してきた。

『予定通り……ザクレロでA標的をけん引してく……』

「よろしくお願いします。ダギ・エクスじゃさすがにウェルナーまでは運べないんで」

コックピットのモニターに映るジュウザブロウは笑顔だった。

『ユウは……本当に強くなった……。先輩として……鼻が高い……』

「皆さんがいてくれたからですよ。この機体だって誰かと連携することで初めて自分の得意なレンジで戦えるんです。皆さんから教わったことですよ」

ザクレロがけん引ケーブルを伸ばしアクエリアスを捕縛する。

『うん……。さ、ウェルナーに……帰』

その時機体を突如大きな衝撃が襲い、シートから投げ出された僕はそのまま気を失ってしまった。

 

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