The Sweepers   作:インノケ

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増えすぎたミュータントの間引き。


ユウ、スイーパーの戦場を見る。


3話

 ブリーフィングルームに向かう途中、ビリーが状況の説明をしてくれた。

「ウェルナーはこの暗唱宙域のブロック9をぐるぐると回ってミュータントの発生状況をチェックしていますわ。全体数が一定に達するとさっきのように警報が鳴って間引きの時間を知らせる仕組みになっていましてよ」

「ということは、戦闘が始まるんですね」

「そういうことですわ」

ブリーフィングルームには既にゲオルグら3人が集まっていた。

「来たわね。じゃあブリーフィングを始めるわよ」

ゲオルグがモニターにエリアマップを呼び出す。

「今回は比較的まとまってミュータントが分布しているからうまくやればあっという間にお掃除が終わるわ。ビリーのジェガンがまだ未調整だから攻撃役はあたしが引き受ける。いいわね?」

ゲオルグは魔女の箒の面々と目を合わせ一度頷いてから僕を見た。

「ユウ君には予備機のエビル・Sに乗って索敵をしてもらいます。といっても円サーポッドからの情報をあたしに送るだけのお仕事よ。気を楽にしていきましょう」

ゲオルグの父親とも母親ともいえないやさしい笑みに自然と緊張がほぐれ、僕は頷いた。

「それじゃあ魔女の箒、出撃よ!」

 

あてがわれたエビル・SはCVの紋章の代わりに箒に乗って飛ぶ魔女が描かれたエンブレムに付け替えられたシステムモデルの機体だった。エビル・Sは「機動戦士ガンダム F91」に登場する偵察用MSだ。肩のセンサーポッドにより戦場の情報収集を行うことができる。カタパルトから射出されると遠くから無数の光点が迫ってくるのが見える。言われた通りセンサーポッドを射出し、僕は艦の直衛についているビリーのジェガンに機体を寄せた。

『15秒後に攻撃を開始するわ。準備はいいわね』

『『『おうっ!』』』

勇ましく野太い声が通信に響き渡り戦いの火ぶたが切って落とされた。ゲオルグのゲルググJはビーム・マシンガンを2丁抱え光点へと飛び、その少し後ろにモトナリのビルゴ、さらに後ろにジュウザブロウのザクレロがぴたりと続く。

『最初のサイクルは早いですわ。よく見ておきなさい』

ビリーが声をかけてくる。ゲルググJのビーム・マシンガンが一斉に火を噴いた。遠くでいくつかの爆炎が見え、数機が撃墜されたことが見て取れる。

『ミュータントの索敵範囲に入ったと同時に攻撃役は転進、攻撃を続けながら索敵範囲外に出ますわ』

その言葉通り、ゲルググJは撃ち続けながら脚部を大きく前に出し逆噴射をかけビルゴの後ろへと下がる。

『ミュータントの最初の攻撃は的が絞れる分正確で数も多いのですわ。だから、速度の遅い防御役が後ろから出て狙いをブレさせ、一部の攻撃を受け切る』

ゲルググJが通るはずだった進路にはおびただしい数の光線と爆発が集中するも、そこにゲルググJはおろか後続のビルゴもいない。いくつかの攻撃はビルゴに命中するが鉄壁のプラネイトディフェンサーに防がれ、機体に傷をつけることは適わない。

『ここでミュータントは二手に分かれますの。一つは最初に攻撃を仕掛けてきた相手を捜索する部隊、もう一つは新たに現れた相手を攻撃する部隊。この処理をするのにAIは少し時間をかけますわ。ここで更にもう一機、最も機動力の高い機体を投入しますの』

ビルゴの後ろからザクレロが飛び出していき、拡散メガ粒子砲を放つ。レーダー上では敵を表す赤い点が右往左往しているのが見て取れる。

『機動役の対処のために先ほど編成された二つの部隊から更に数機抽出されますわ。結果残されるのは中途半端な攻撃隊と追撃隊が二つ。対処はそう難しくありませんわ。』

ザクレロがいくつかの爆発を作りながらミュータントの集団を通り抜けると同時に、いつの間にか左翼に展開していたゲルググJが再び攻撃を開始する。

『ミュータントの弱点はNPCゆえに学習をしないこと。あとは同じことの繰り返しですわ。大事なのはかく乱を続けてヘイトを集中させないことですの。』

ビーム・マシンガンによってミュータントの集団の一角が抉り取られるが、レーダー上の赤い点は徐々にゲルググJの方へと集まっていく。撃墜数が増えるほど脅威度が上がっているということなのだろう。しかしまたも転進、後続のビルゴが受け止めザクレロが散らしていく。20分ほどして、ゲオルグからの通信が入る。

『そろそろ切り上げるわよ。20秒後に一斉に撤退、各自ウェルナーまで戻ってきて頂戴』

『『了解!』』

通信が切れると、三機はばらばらの方向へと転進していった。

「殲滅は……できないんでしたっけ」

『各機の負担も大きいですわ。防御役は攻撃を受け続けなければならないし、機動役は動き続けねばならないのだから。今回は敵の数も少ないしまとまっていたからあっさり終わったけれど、厳しいときはこんなものじゃないわ』

三機が帰投した後、僕とビリーもウェルナーに戻り今回の戦闘は幕を下ろした。

 

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