The Sweepers   作:インノケ

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異変を起こしたミュータント

ユウ、狙い撃つ


5話

「ダギ・イルス!? あんな高級機がなんでミュータントに!」

僕は急いで通信を開き伝えた。

「ミュータントの中心に目のいい奴、ダギ・イルスがいます! たぶん離脱時にミュータントの索敵円から出れてないんです!」

『なんですって? ミュータントといっても所詮は上位量産機の集まりのはずなのに』

『そんなことより今は対策を練るべきですわ!』

ゲオルグとビリーが怒号を飛ばしあっている中、僕は通信を続けた。

「僕がここからあいつを狙い撃ちます。この距離だとマニュアルだけど…やって見せます」

『ユウ君?でもあなたパイロット技能は……』

「周りのやつらは三人に着いて動くので、次のサイクル交代の時に射線が通るはずです!」

『任せたほうが……いい』

ジュウザブロウが同意を示してくる。

『一番攻撃力の高いゲオルグが固められている以上、あたし達じゃ倒しきれないわ』

モトナリがそれに続く。

『……わかったわ。ユウ君、できるのね?』

「やって見せます」

改めてライフルを構え直し、軸線を安定させる。狙うはコックピットのある腹部。ここを撃ち抜ければNPCでも撃墜判定となる。

『ユウ君、行くわよ!』

ゲオルグのゲルググJが転進しモトナリのビルゴが前に出た瞬間、ビルゴにつられて前に出る群と大きく迂回したゲルググJについていく群が逆方向に引っ張られ、ダギ・イルスの姿がスコープに写る。

「くらえ!」

エビル・Sの正確な観測データに基づき放たれた光線は、それでもわずかに逸れ、ダギ・イルスの頭部へと命中した。

『まだ……終わりじゃない……!』

しかしその胴体は体制を立て直す前に後ろから迫っていたザクレロのヒート・ナタによって寸断され、爆炎へと姿を変えた。

『このまま畳みかけるわ! 交代よ!』

ゲルググJを追いかけていたミュータントはその索敵範囲から急に目標がいなくなった、正確には索敵円が狭くなったことで捕捉できなくなったことで捜索行動へと移り、裏をかいたゲルググJによって次々と撃墜されていった。

 

 その後、数分ほど戦ったところでゲオルグより撤退の号令が出て僕たちは無事ウェルナーへとたどり着いたのであった。帰投するとその足でブリーフィングルームへと向かう。いつも通りデブリーフィングではあるが、今回のことについては話し合わないとならないだろう。ブリーフィングルームには既に他の4人が集まっていた。

「揃ったわね。とりあえずお疲れ様。急な戦闘だったけどみんな無事に帰投できてよかったわ」

ゲオルグの声に全員が頷く。

「ユウ君、あなたの助けがなかったら今頃どうなっていたかわからないわ。本当にありがとう」

にっこりとほほ笑むゲオルグに褒められて、顔が赤くなっているのが自分でもわかる。

「でもなんであんなところにダギ・イルスがいたのかしらねん?ヒストリカルクエストじゃあるまいし」

モトナリが至極もっともな疑問を呈する。

「しかも他のミュータントの指揮をとっているかの様でしたわ」

「ミュータントも……NPCにすぎないはずなのに……」

他の二人も続く。

「もう一つ、ポーラースターのPK(プレイヤーキル)が確認されたわ」

ゲオルグの言葉に全員が一斉に息をのむ。

「PKって、殺されたって!?」

僕も思わず声をあげてしまう。GBF内での死が現実世界での死とイコールである以上、PKは即ち本物の殺人である。以前僕を襲ったクライアントだって直接殺すのは気が引けたから逃がす猶予を与えたのだ。

「立て続けに良くないことが起きるときってのは、大体偶然じゃないのよね……」

モトナリの言葉に一層空気が重くなる。

「今私たちが考えても答えは出ませんわ。まずはフォルテンツィアに向かうべきでなくって?」

「その通りね。やらなきゃいけないことは沢山あるものね」

ビリーとゲオルグの言葉に重くなっていた空気もいくらか払拭され、デブリーフィングはこれにてお開きとなった。帰り際、ジュウザブロウに呼び止められ端末を開くように促された。

「渡そうと思って……君の手柄だからね……ゲオルグの許可ももらってる」

「これダギ・イルスじゃないですか! さっき倒した時に……」

端末に表示されたインベントリにはダギ・イルスの文字がしっかりと表示されていた。

「間に合わせのエビル・Sじゃなくて……そっちを使うといいわ……」

「ありがとうございます! ジュウザブロウさん!」

「ジュウちゃんって……呼んでくれないんだ……」

「え?」

そんなこんなもあり、ウェルナーは無事基地へと到着したのであった。

 

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