The Sweepers   作:インノケ

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美しい海の街、フォルテンツィア

ユウ、新たな出会い


6話

 フォルテンツィア。GBF内の高級住宅エリアでありながら大型ショップや賭博場などもありとても華やかなエリアである。戦闘エリアから直接行くことはできず、僕たちも宇宙から一度地球のセントラルエリアへと下り、そこからフォルテンツィアへとやってきた。アンダルシア風の白い街並みと青い海がここがゲーム内であるということも忘れてしまいそうな美しさである。僕たちはここに住んでいるという魔女の箒の支援者を尋ねに来たのだが、フォルテンツィアに着いてもその正体については誰にも教えてもらっていないためどこに行けばいいのかすらわからずにいる。魔女の箒の面々は着替えてから行くからという理由で来ていないため、一人で放り出されてしまったというのが現状だ。見回すとここの住人なのかアイスクリームを持って歩いている人や、おそらく賭博場で一山当てに来たバウンサー風の人などここが趣味の町であることを表すような風貌の人が目に着いた。

「ユウくーん!」

やっと他のメンバーがやってきたらしい。声のした方を向いて、絶句した。他にも変わった風貌の人は沢山いたが、彼らほど濃い集団はいないだろう。僕の目に写ったのは、思い思いの女装をした男たちであった。まず目についたビリーはいわゆるゴスロリ風の黒いドレスを身にまとい、同じカラーの日傘をさし、モトナリは紅いボディラインの浮き出るバブルを彷彿とさせるようなドレスを着、ジュウザブロウはTシャツにキュロットを履き丁寧にチョーカーまでつけている。ゲオルグはというと白いゆったりとしたワンピースに大きな帽子といかにも清楚なお嬢様風であったが、トレードマークの整えられた髭と初老の紳士風の顔と合わさってある種異様な雰囲気を醸し出していた。

「やっぱここではオシャレしないとね!」

モトナリが腰を強調するように腰に手を当て鼻を鳴らすが、持ち前のガタイの良さゆえに筋肉のラインが浮き上がりボディビルダーのようになってしまっている。結局僕が目的地を知らないため彼らについていくしかなく、目的地まで奇異の視線を浴び続けるという目にあったのだった。

 

 たどり着いたのは住宅エリアでも特に端、海に面した一件の邸宅だった。2階建てで海に向かってバルコニーがついている真っ白な作りで、リゾート地の別荘を思わせた。同じ白でも強烈な個性をもったゲオルグが呼び鈴も鳴らさずに敷地内へと侵入していってしまった。プレイヤーホームは持ち主が許可をしない限り立ち入ることすら適わないのだ。ゲオルグに続いて極彩色の三人もずんずんと家へ入っていく。

「ユウ君も許可だしてもらったはずだから入れるわよ」

ゲオルグに言われ全員が家へと入っていった。

「これは……」

広がっていたのは別荘のようなきれいなリビングダイニング、ではなく積み上げられた無数の端末にそこら中に張り巡らされた配線類と思い思いの場所でくつろぐ魔女の箒の『メンバーだった。

「支援者様はね、昼間は賭博場でお金稼ぎしてんのよ。勝率は1割5分」

ソファにひっくりかえったモトナリから初めての追加情報が与えられるもますます混乱する一方で、結局日が暮れるまで部屋の掃除をすることで心の平穏を保っていたのであった。

 窓から見える街並みが夕日で真っ赤に染まったころ、不意にドアの開く音がした。

「出たな怪物軍団……と、新入りのノンケってのはお前のことか」

現れたのはあちこちほつれてボロボロになってしまったタキシードを着た無精ひげの男性であった。

「あの、あなたが……」

「おう、俺がお前らの支援者様だ。ジャック・ヤマザキ、35歳。好きなタイプは元気な子」

「あ、えっと、ミヤナガ・ユウです」

人懐こい笑顔でがっちりと握手を交わしてくる何とも友好的な男性である。が、その笑顔は簡単に崩れ去ることとなる。

「ジャックくーん? 今日はいくらの儲けなのかしら?」

「やっぱりNPCのディーラーは絶対に仕込みだインチキだ!明日はちゃんとプレーヤー卓でやる!」

「前回来たときは全く逆のこと言ってなかったかしらん?」

「あの時はあの姉ちゃんが太ももばっか見せてきて勝負に集中できなかったのが敗因なんだよ!俺は成長するんだ!なめるんじゃねぇ!」

からかってきたモトナリに噛みつく様は大人げないという言葉がぴったりであった。

「ジャック君、そろそろお話してもいいかしら?」

ゲオルグが声をかけるとジャックは荒げていた息をひそめ、真面目な顔でゲオルグに向かい合った。

「ポーラースターズの連中がやられたそうで……。スイーパーに死者は付き物だが今回のはどうも変だってのがゲオルグさんの考えで?」

「ええ、バグかもしれないとはいえ戦術めいたものを使うミュータント、いるはずのない機体、こうも立て続けだと嫌な感じはするわよね」

「状況は大体把握しました。で」

ジャックが言葉を切りこちらを向いて口を開いた。

「ここでこいつを預かってほしいって話でしたね?」

 

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