何が言いたいのかと言うとつまり「夢のない人間は存在しない」と言う事。
でわ___
人間が夢を失ったときどうなるか想像できるだろうか?
人は””人でなくなる”のだ・・・
「おい母さん!早よぉ支度して!遅れるやろ?」
「待ってーな!女の支度は時間かかるの!」
せっかちやなぁと小声で漏らす母に父が舌打ちをした後、徐に胸ポケットから煙草を取り出し火を付けた。父は短気でいつも自分が気に食わないことがあったら怒鳴って、暴力を振るって舌打ちをした後煙草を吹かす。
僕はそんな父が大嫌いで仕方無かった。優しくされた記憶は一度もない。記憶にあるのは怒った表情をした父の顔だけ。
反面母は穏やかで、お人好しで、騙されやすかった。こんな母と父が結婚に至ったのは母が騙されたに違いないと子供ながらに僕は密かに思っていた。
「さてと!準備完了!行こっか!かーくん!」
そんな父を気にもせず、母は僕の頭を撫でて車に乗った。僕も続いて乗り込んで車は走り出した。
夏休みの間の8月1日から5日の間、家族で父方の実家の山あいにある小さな村に帰省するのが毎年の恒例行事で、僕はそれが楽しみで仕方なっかった。
実家に戻った父の表情は穏やかで、普段家で見ることのない父と会えるからという内緒の事情は両親は知らないのだが。
しかし僕には禁じられていることがある。それは言葉を理解し出した幼少気の頃から両親にキツく言われている
”お前は全てを楽しみに思ってはならない”
”お前は理想や夢を抱いてはならない”
”お前は生まれついたバケモノなのだ”と・・・。
その教えに背いたのがこの年。最期の帰省。
去年見た父が忘れられなくて楽しみに思ってしまった、たった一度の過ち・・・
僕は5日後、後悔することも知らず、三時間半後、父の実家へと到着したのだった。
「いらっしゃい、かーくん!また大きくなった?」
「おぉ薫!久し振りやの!」
大きな扉を開くとお爺ちゃんとお婆ちゃんが明るく出迎えてくれた。内心、飛び付きたかったがそっぽを向いて居間へと向かった。それが親の教え。全てを拒絶し、関心を持ってはいけない。今思えば子供は子供らしく有るべきだったと心底思う。
そんな僕を冷めた目で見つめた後、後に入ってきた両親に僕の陰口を言われていた事は子供ながらに知っていた。
「美紀さんいらっしゃい。道彦ちゃんも。で?あれから何も無かっただろうな?」
「あぁ問題ない」
「ならいいけど・・・。」
美紀と呼ばれたのは僕の母だった人の名前で道彦は父だった人の名だ。
お爺ちゃんとお婆ちゃんの名前は記憶にすらない。僕の力を恐れてヒソヒソとしていた二人を僕は好いていなかったからだろうか。