地図にもない場所で   作:TAoT

2 / 4
深夜テンションシリーズ第2弾!
続いた!しかもはやい!カルーアあめうめぇ!
全くはやくもないし、削ぎ落としただけ。
こんなくっさい短小じゃ誰も満足しないわ(笑)


第二夜:《貪欲者》

お宝を目の前にし、垂涎しながらお宝のある部屋へ入ろうとした俺は、今どういう訳だかスタート地点にいる。

リアルリルポルポル混乱状態から立ち直るのに少々時間が立った俺は、この不可思議な現象に一つの仮説をたてた。

 

 

(罠か)

 

 

そう、あの鉄扉そのものにテレポの罠がかかってたんじゃね?といったものだ。

一般的なゲームだと宝箱そのものにかける罠を、その前の段階、宝箱がある部屋の扉にかけてあったのだと。

 

 

(開発スタッフ、ひねくれてんなぁ)

 

 

どうすっかなー?一旦無視すっかなー?俺はそう思いつつ、通路に出て脳裏の装備アイコンから直剣の柄を装備しようとして、

 

 

(あ、あれ?)

 

 

そこに装備可能アイテムが何も無いことに気が付く。

慌てて、アイテムアイコンからも武器欄を調べても同じだった。

 

 

(あ)

 

 

思い出した。宝箱の間に入ろうとする前に松明もろともぽぽぽぽんと捨ててきたんだった。

いっけね、と頭を掻きつつ剣を棄てた鉄扉前に来た俺は、

 

 

(なんだ、これ?)

 

 

棄てた剣の代わりに血の痕を発見した。

それは、乾いているのかいないのかすら分からない血痕だった。

それと混じりあう緑色の可視性オーラがユラユラたちのぼっているから、ただの血痕ではない。

 

(お、このゲーム特色の新システムか?)

 

 

ひとまずそう決めつけ、当初の目的を捨てて俺はソレに触れた。

瞬間――

 

 

(!?何だよ、これ…)

 

 

俺の頭に見知らぬ俯瞰視点の光景が飛び込んできた。

一人の干からびた黒髪セミロング男が、鉄扉の蝶番をガチャガチャ開けている。

木乃伊の区別なんてつかないが、男が誰なのかは周囲に散らばる直剣の柄と松明で容易に推測がつく。

 

 

(俺だ。俺を誰か(オレ)が見ている。)

 

 

その男(俺)は、鍵を開けると、一心不乱に祷りを捧げ続ける第2村人や部屋の全体像には脇目もくれず、宝箱を目指し、その開口部に手をかける。おったっからちゃーん!というキモイ脳内アナウンスと共に宝箱を開けようと手に力をいれた瞬間。

 

 

―――ニョキ―――

 

 

そんな擬音が聞こえてきそうな感じで、突然細長い2つの腕が生えた。

何処からだって?

――宝箱の中からだ。

 

 

変化は次々に起こった。

まず、その腕たちは男を掴んだ。

次に、宝箱の中から生理的嫌悪を振り撒く、血液の涎でヌメヌメな長い舌が生えてきてそいつの胴体を腕ごとふんじばった。

止めに、抵抗出来ず身悶えする男に、いつの間にか開口部に生えていたギザギザの無数の歯をふりおろした。

何度も、何度も何度も執拗に。それの息の音が止まるまで……

 

 

(……――はっ?!)

 

 

脳裏に浮かんだ俯瞰の映像はそこで止まり、俺は我に返った。

俯瞰の映像にも関わらず、そこからは五感までもが今の俺に投影されていた。

ギザギザ刃で磨り潰され、身体からは止めどない血がながれていたのに、フィードバックされた痛みは電流がビリビリ走った位のものだったりとか。

中々お目にかかれないようなショッキング映像を見て経験したにも関わらず、呆然とはしつつもパニック状態に陥ってはいないだとか。

そんなことは正直どうでも良かった。

ゲームの世界で上手くやっていけるように神様かなんかがこの身体を弄ってくれてるんだ儲け儲け、程度にしか俺は捉えない。

 

 

問題は、俺が死んだかもしれないこと。

ではない。

 

 

可能性は極めて少ないと思ってはいるが、血痕が未來の俺が選びうる結末の1つを先んじて掲示しているのであって、まだノーコンティニュー状態かもしれない。

それに、直感に基づく推測通りあれが俺の失われた死亡前の記憶で、唯一のチェックポイントにデススポーン(死に戻り)したのであってもあんまり気にしない。

多くのゲーム同様にデスペナルティが存在するかもしれないが、今のところは記憶の欠落と装備品のロスト位しか気にかかるところはない。

なにより、ARPGでノーコンクリアをしたことが余りなかったため、俺はこんなんで一々悩んでても無駄な徒労だとさえ思っている。

基本的に楽観主義者なんだ、俺は。

 

 

では、問題はミミックがこんな最序盤に配置されていたことなのか。

――近い。ミミック関連だ。

 

 

こんな視界の操作方法をプレイヤーに教える段階で、ふと視線を巡らせた所に目に入る宝箱。しかもご丁寧に松明に照らされた先の場所にある。

チュートリアルで分かりやすい位置に設置された宝箱。

開けない奴(ゲーマー)なんてまずいない。

そこへミミックだ。しかも恐らく、即死トラップ的扱いの。

明らかに初見殺し。

終始殺しにかかってくる難易度のゲームだとこれから先が思い殺られる。

だが、今に限っていえば、無視して先に進むという選択肢がとれる筈――

 

(いや、もう無理だ)

 

 

でもなく、既に手遅れだった。

俯瞰視点の最後、アップで写し出されたアイツのグロテスクな口の中にあった白い靄が何故か俺の心を捕らえて離さない。

 

 

(……欲しい)

 

 

そうだ、これが問題だ。この抑えきれない厄介な衝動。

――冷静さを奪うコイツこそがおおよそ総ての事象に当てはまる最大の問題だ。

 

 

(コロシテでもうばいとる!!)

 

 

俺は《貪欲者》になった。

――この世界におけるミミックの名を彼が知る時は、そう遠くなかった。

 




一話後かも
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。