ーーー誠凛高校新学期練習初日ーーー
景虎「よーし、次、ショートォ!」
甲高い打球音が鳴り響く。今は1年も含め、シートノックか行われていた。火神はセンターに着いていた。
火神「あの…白州先輩。」
白州「なんだ、火神。」
火神「さっきからずっと気になってたんですけど、遅れてグラウンドに入ってきたのに、ベンチ前でずっと柔軟や軽めの練習を入念にやってるあのでかい人、誰だ…ですか?」
白州「あゝ、あれは2年の木吉鉄平。うちの正三塁手だよ。中学の時から活躍してて無冠の九将と呼ばれていた天才だよ。………まあ、春前に怪我してて、今は試合や練習を普通にこなせそうはないんだけど、春の関東大会途中からは復帰出来そうだから問題はないよ。」
火神(木吉……どうりで……)
「てか、関東大会って?」
白州「え?」お前知らないのか?夏の予選前に行われる大会で予選のシード獲得に関わる重要な大会で、関東の各県から選出された4チーム、計28チームで関東の頂点を争う大会だよ。5月にはもう始まるんだ。」
火神「マジすか⁉︎」
白州「あゝ。それより、次、お前の番だぞ。」
火神「あ、はい!よしこぉい!」
景虎のノックバットが放つ甲高い打球音と同時に火神が走り出す。
部員「うわっあの打球はいくらキセキの世代でも厳しいんじゃ……」
火神「うぉぉっらぁ!」
右中間のかなり深いあたりだったが、火神はダイブして好捕した。
部員「おぉっ!あれを捕りやがった!」
「すげぇ!」
火神は鼻で笑った。
火神「こんぐれーヨユーだっつーの。」
その後も火神はフェンスに登ってホームラン級の打球を捕ったり、内野との連携が重要なテキサスヒット性の当たりを捕ったりと、次々と好捕を見せた。
部員「すげぇ……」
「やっぱ身体能力がちげーぜ…」
「次のバッティングも絶対やベーぞ!」
グラウンド中に打球音が鳴り響いていた。
火神「うわっ、すげぇ…」
だがその打球音は火神だけのものではなかった。
その主は、結城哲也。誠凛高校野球部の主将にして、絶対的4番打者。彼もまた、中学時代に鳴らした天才打者である。そしてその打棒はキセキの世代にも引けを取らなかった。
しかし、キセキの世代たる火神も負けじと快音を連発していた。
小金井「凄すぎだろ……」
伊月「まったく…こういう奴ら見てると、自分の非力さを痛感させられるよ…」
木吉(凄い2人だなぁ…こういうの見せられると、早く野球がやりたくて仕方がないよ……)
こうして、推薦入部の1年を加えて始動した誠凛高校野球部
その後、一般入部の1年を加えて練習に励むこと、1ヶ月近くが経とうという日……ついに試合の機会がやって来た‼︎
津川「いよいよだな」
火神「あゝ。俺たちの緒戦だ…相手は海常……不足はねーぜ‼︎」
ーーー1週間前ーーー
景虎「おっ、帰ってきまたか、リコ、結城。どうだった?」
リコ「あ、パパ。こりゃぁ夏大前に中々ハードな経験が積めそうよ。」
結城「でも、自分としては初戦から強豪校と当たって、嬉しい限りですね。それに、このチームの力を測れる良い機会ですし。」
景虎「そうか…相変わらずだな、お前は。」
景虎「…と、いうことで、関東大会初戦の相手は、海常高校だ。」
小金井「海常って…あの、神奈川の名門の海常ですか?」
リコ「ええ、そうよ。しかもただでさえ甲子園常連の実力校が、今年はキセキの世代のショート、黄瀬涼太を獲得し、かなり強くなっているわ。しかも、仮にここに勝てたとしても、おそらく2回戦は秀徳、3回戦は霧崎第一と強豪が続くわ。」
小金井「マジかよ…」
結城「かなり手強い相手だが、面白い…やってやろうじゃないか。」
伊月「あゝ、結城の言うとおりだ!」
火神「あの…海常ってどんなチームなんだ…すか?」
リコ「あゝ…火神君たち1年生は知らない子もいるかもしれないわね。海常は全体的にバランスの取れたチームで、走攻守それぞれの部門で定評のある職人選手や、すべての部門で活躍できるオールラウンダーが揃っているチームよ。そこに、キセキの世代指折りのオールラウンダー、黄瀬涼太が加わったことで、チーム力が一段階アップしたわ。」
降旗「え?黄瀬って、オールラウンダーなんですか?」
火神「あゝ、あいつはなんでもこなせる奴だぜ、怖いくらいにな…」
津川「怖い?」
火神「あゝ……」
津川「どういうことなんだ、怖いって…」
火神「まあ、試合をやればわかるさ…」
早くもキセキの世代同士の対決が実現した。
しかし、火神の言う怖いとは一体どういうことなのか…
次回、黄瀬と火神が早くも激突‼︎