『1回の裏、海常高校の攻撃は、1番、センター、森山由孝君。』
森山が右打席に入り、変わった構えを取る。
森山(黄瀬を見てるからキセキの世代がどれだけ化け物かはわかっているつもりだが、ここはお手並み拝見ってとこだな…)
景虎(さあ、見せてやれ、火神…お前のまっすぐで観客を驚かせてやれ…‼︎)
『プレイ!』
審判の声が響く。
大きなフォームから沈み込み、全体重を乗せたボールが火神の左腕から放たれた。
ドオオォン‼︎
『ストライーク!』
海常選手「な…速い…」
「てか真田より速いんじゃね?」
笠松「やっぱ、速えー球放るじゃねーか…」
森山(よくそんな悠長なこと言ってられんな、お前ら…打席に立たねーとわからねーのか…!ただ速いだけじゃなく、キャッチャーの捕球音からしてこの球は相当重い筈だ…それに、…1番厄介なのはこの圧力だ…!スピードや重さだけじゃない、ボール、いや、火神全体から発せられてボールに伝わっているこの圧力は半端なものじゃない…ちょっとやそっとじゃ打てんぞ、この球は…‼︎)
続いて火神が2球目を投じると、森山は振り遅れで空振った。
笠松(何…⁉︎あの森山が空振りだと⁉︎…森山はタイミングの達人だ…一球みたら大抵のボールには合わせられる。だが、そんな森山が振り遅れたってことは相当なキレもあるってこったな…)
森山は、3球目も火神のまっすぐに振り遅れ、空振り三振に倒れた。
火神「っしゃ!」
ベンチへの帰り際、笠松に話しかける森山。
森山「笠松…」
笠松「あゝ、わかってるよ…」
そう言うと笠松は打席に向かって行った。
森山(…こりゃ、大丈夫そうだな、キャプテン。笠松があういう顔するときは自信があるときだ。)
笠松は打席に入るやいなや、火神を鋭く睨みつけた。
火神「中々いい目付きしてんじゃねーか…少しは楽しめそうだぜ…‼︎」
火神は笠松に対しても初球直球でストライクを奪った。
笠松(ちょっと、こりゃ半端ない球だな…これじゃまず連打は厳しい…だが…)
火神が2球目を投じる。
笠松(こちとらついこないだ選抜でそのレベルの球と対戦してきたんだよ‼︎)
笠松が火神の直球をミートする。
森山(ミートした‼︎…だが詰まっているか…‼︎)
景虎(いや…詰まってる分、逆に落ち兼ねないか!)
火神「小金井先輩!」
だが、火神の呼びかけも虚しく、打球はセカンド小金井の頭を超えた。
小金井「くっ…!」
海常選手「よっしゃー!流石キャプテン!」
「早速出塁だぜ!」
笠松(くっそ…詰まらされたか…、だが…)
『3番、ショート、黄瀬涼太君。』
観客『来た!早くもキセキの世代対決!』
黄瀬「ようやく勝負出来るっすね、火神っち。」
火神「あゝ…待ち侘びたぜ!」
(むしろ1塁とはいえランナーが出てくれてありがてー…これでギア入れて黄瀬とやりあえる…!)
火神が投球動作に入る。
笠松「‼︎」
笠松が迷わずスタートを切った。
結城「スチール‼︎」
火神「‼︎」
一球目は黄瀬が見送り、ワンストライクも笠松が盗塁を決めた。
リコ「やられたわ…足のある笠松さんに火神くんが黄瀬くんに集中して、クイックが甘くなったところを見逃さずにみすみす盗塁を許してしまったわ…」
景虎「まあでも、こっちも都合がいい。俺がスカウトした中学時代からこいつはピンチになると、ギアが上がるからな。この方がよっぽど黄瀬を抑えやすい。」
黄瀬「へっ!まあ何にしろ俺が打つっすよ!」
火神「打たせねーよ!」
「うおおぉー!!」
火神が2球目を投じる。だが、その球は黄瀬に捉えられた。
火神「なっ⁉︎」
左打者の黄瀬がライト前に運ぶ
津川「くっそ…!しっかりしろや火神ぃ‼︎」
津川からホームへ鋭い返球がくる。
海常三塁コーチャー「笠松ストップ!」
笠松「⁉︎…おっと…危ねーな…中々いい肩してじゃねーか、あのライト…だが…次は四番の大前だぜ…抑えてみろや、火神!」
『4番、サード、大前くん。』