今回は……。僕が個人的にすごく書いてみたかったところなので、とても楽しく書けました。
それでは、どうぞ!
あれから、どれくらい経ったのだろう。大分時間が経っているのは確かなのだろうが、未だに妖忌と白夜の戦いは終わっていない。
妖忌が刀を振るえば、白夜が扇を上手く操って受け流す。斬り下ろしを繰り出せば、白夜は横へと避ける、等妖忌が攻撃して、白夜が避けるというのをただひたすら繰り返していた。
だがその状態が続いているのを、白夜以外の者は驚くか感心していた。誰一人として、白夜がここまで持つと思っていなかったのである。
そして、更に皆を驚かせるような出来事が起こった。
妖忌が刀を振るったその瞬間、白夜が懐に入って、妖忌の服を掴み、そのまま妖忌を投げ飛ばしたのだ。
妖忌の戦い方をある程度知っている筈の妖夢すらなかなか入れなかった、妖忌の懐に、白夜はこの一戦だけで入ったのである。しかも、白夜は笑って、
「ふぅ、やはり人は重いですねぇ。」
と余裕そうに言っている。霊夢は驚いて、
「何よ、あの幽霊って、そんなに強かったの……?」
と呟いた。その言葉に対し、妖夢は首を振って、
「以前、戦いは経験していた、とは聞きましたが、あれほどの力があるとは聞いていません……。」
と答えた。すると、妖忌が起き上がり、白夜へと斬りかかる。だが、白夜はまたかわす。そして、笑みを浮かべると、
「おやぁ?大分疲れてきたんじゃあないですか?」
と挑発するように言った。妖忌の方を見ると、確かに、僅かに息が乱れ、汗を少しかいている(この年齢で、ここまで疲れなかったのも大したものだが)。疲れているのは、なんとなく分かった。
「おい、いけるんじゃないのか、これ……。」
魔理沙が笑顔で呟いた。だが、次の瞬間、
「くっ……!」
という声を出して、白夜が膝をついた。見るとその体に傷が刻まれており、妖忌が刀を振るったあとのポーズで白夜の目の前に立っていた。
「いつの間に……!」
霊夢が呟いた。だが、白夜は何か分かってるのか、再び笑みを浮かべて、
「本当に、酷い上にずるいですよね、時をも斬る力は。」
と妖忌に向かって言った。
「時を斬る力……?」
シェイナが呟く。すると白夜が、
「時を切り裂き、再び繋がる前に移動できる……。一種の時止めと同じようなものです。」
と説明した。そして、体にできた、自分の傷を抑えると、
「さて、もう私では無理ですね……。妖夢、任せましたよ。」
と妖夢に向かって言った。だが、妖夢は首を振って、
「私には……無理です。」
と言った。白夜がポカンとした後、「何故?」と聞くと、
「私は……恐怖を感じています。もう、あの人の目の前に出て、刀を握るなんて、到底……。」
と答えた。白夜は、そんな妖夢を見つめていたが、溜め息を吐くと、
「妖夢。恐怖を感じていることを、私はどうとか言うつもりはありません。恐怖を感じることは、とても大切なことです。ただ、貴方は、それでいいんですか?」
と妖夢に言った。すると、妖夢は、
「よくはありません。でも……!」
と言って、一旦息を吸うと、
「今回は、とにかく勝たなくてはいけないんです!でも、私では、あの人に勝てない!」
と言った。白夜は、少し黙ったが、やがて口を開き、
「……妖夢。無理にやれ、とは言いません。どうしても無理なら、このまま私がやります。ただ、貴方はそのまま、恐怖で動けないままでいいんですか?それでは……。」
と言って、少しだけ息を吸うと、
「成長できずに、半人前のままですよ。」
と続けた。そして、刀を持つと、妖忌の前へと歩き出す。だが、その前に、
「待ってください!」
と、妖夢が言った。白夜が妖夢を見ると、妖夢は、
「私が……私が、やります!」
と言った。白夜は静かに、
「……いいんですね?」
と聞いた。妖夢は、何かを決意した目で、こくりと頷いた。そして、
「怖いですけど……。私が、この人に勝たないといけない気がします。なので、行かせてください。」
と言った。白夜は、じっと妖夢を見た。そして、笑みを浮かべると、
「分かりました。」
と言って、下がった。そして、妖夢が妖忌の前へ出る。
「……下がるよう、言ったはずだ。」
妖忌が静かに言って、妖夢を睨む。妖夢はたじろいだが、自分の頭を叩くと、
「敵である貴方に、そんなことを言われる筋合いはありません。私は、一人前の剣士になるために、自分よりも上の実力者である貴方を……。倒します!」
と言って、刀を抜いた。すると、妖忌も妖夢に刀を向け、
「なら、仕方がない……。今度はそんな言葉も言えぬよう、貴様の精神も斬ってくれよう!」
と叫んだ。
はい、というわけで……思ったよりも長くなりましたね。まぁ、多分、次で妖忌の方は終わりになります。
それでは、次もお楽しみに!