それでは、どうぞ!
魔王の腕に集まる黒いもやが、どんどん大きくなっていく。
「あれは、やばそうなんだぜ……!」
魔理沙が、自分の帽子を押さえながら言った。その顔は笑っていたが、僅かに冷や汗が流れていた。
「あんなのに当たったら、堪らないでしょうね。」
咲夜が、冷静に呟いた。すると、ヒートファンが、
「ならば、あの力が溜まる前に、魔王を止めるしかない。」
と言って、チラッと善を見る。善が頷くと、
「行くよ!」
と叫び、魔王へと突っ込んだ。
「疾風怒涛!」
「タイタン・ハンド!」
善の連続攻撃と、瞬破の巨大な金属の腕が、魔王を襲う。しかし、魔王は血を吐いただけで、動じる気配もない。
「式神、十二天将!」
晴蘭がそう叫び、式神を出すと、魔王へと攻撃させた。しかし、まだ魔王が溜めるのは止まらない。
「奇跡「ミラクルフルーツ」!」
「……咲夜の世界。」
「今を越える力になるの!刻め、ラヴ・ビート!」
「気功砲!」
早苗の弾幕と、咲夜が時を止めてその間に準備したナイフ、イアハートの攻撃、翔太の気の攻撃が魔王を襲った。しかし、まだ動かない。
「轟け、雷よ!唸れ、天よ!これで終わりだ!!天地聖雷剣!!!」
「
「桜花閃々!」
シェイナ、霧葉、妖夢の三人がかりの攻撃をくらうと、流石の魔王も膝をつく。が、すぐに無理矢理立ち上がると、
「さぁ、もう完全に溜まったぞ……!」
と笑みを浮かべて言った。その手には、巨大な黒い塊がある。
「貴様らに、これが受け止められるか!?」
魔王はそう叫ぶと、翼を使い、羽ばたく。そして、振りかぶり、
「喰らえぇぇっ!」
と叫んで、その黒い塊を投げた。その黒い塊の進む速さ自体は、そこまで速くない。しかし、かすっただけでもまずい、というのは伝わってくる程の威力だ。すると、魔理沙と天零がその黒い塊の進路に立つ。そして、魔理沙は帽子をぐっと押さえると、
「これくらいの攻撃、私のパワーで消してやるんだぜ!」
と叫び、八卦炉を構えた。そして、力を溜め始める。
「止めて見せます!」
天零は、そう叫ぶと、自身の腕のいたるところに傷を付け、血を流した。そして……
「ファイナルマスタースパーク!!」
「惨劇の夜!」
と二人の攻撃を黒い塊にぶつけた。しかし、思ったよりも黒い塊の力が大きく、止まりそうにない。すると、飛燕が
「禁温「絶対千度」!」
と援護に入った。しかし、まだ止まらない。
「くっ、このままじゃ……!」
「はあっ!」
飛燕が呟いたその時、天零達より更に後ろから声がした。見ると、そこには、錫杖を手に持ち、法力を使って手助けしている、命蓮の姿があった。
「!止まったぜ!」
「……霊夢さん、今です!」
魔理沙が叫んだあとに、天零が霊夢に伝える。すると、霊夢は、
「……ありがとう。」
と静かに呟くと、魔王へと突っ込んで行く。そして、魔王に接近した。
「はあっ!」
魔王がそう叫び、刀を振るう。しかし、その刀の攻撃は、すり抜けてしまった。
「何っ!?」
魔王は驚きの表情を隠せない。しかし、霊夢は冷静に、結界で魔王の動きを止める。そして、
「……夢想封印!」
と叫び、魔王へと攻撃をした。その直撃を喰らうと、魔王は、
「ぐわあああっ!!!」
と悲鳴をあげ、そして……消滅した。それと同時に、黒い塊も消える。
「……終わったわ。」
霊夢が静かに呟いた。すると、天零が近くに行って、
「お疲れ様です、霊夢さん。……異変、解決ですね。」
と労いの言葉を言って、霊夢とハイタッチをした。すると、魔理沙も来て、
「んじゃ、あれだな。」
と笑顔で言った。霊夢と天零はそれを聞いて頷いた。すると、そこにスキマが現れ、
「お疲れ様、霊夢達。」
と言って、紫が現れた。霊夢は、少々嫌そうな顔をしたが、紫は気にする様子もなく、飛燕達を見る。すると、それだけで察したように、頷く。
「もう、お別れだね。」
イアハートが、少し寂しそうに言った。シェイナはそれに対して、
「元々は、この世界にいるべき人間じゃないんだ。」
と冷静に返すと、紫の用意したスキマへと入ろうとする。すると、瞬破が、
「どこの世界でも、死なねぇよう頑張んな。」
と彼なりの応援の言葉を言った。それを聞いた早苗が笑って、
「要するに、そちらでも頑張れって言ってるんですよ。」
と付け加えた。シェイナは、後ろ向きだが、手を上げて答える。イアハートは、しっかりと手を振ると、シェイナについていき、スキマの中へと消えていった。
「それじゃ、俺も元の幻想郷に戻るよ。」
霧葉もそう言うと、スキマの中に足を踏み入れる。晴蘭は、それを見ると、
「もしも、会える時があったら……ゆっくりと話しをしよう。」
と言葉をかけた。霧葉は、それに対して笑顔だけ浮かべると、スキマへと入った。
「それでは、俺も戻らせてもらう。」
ヒートファンもそう言うと、スキマへと入る。善が、クスクス笑いながら、
「色々頑張れ。苦労人。」
と言った。すると、ヒートファンは「嫌味か?」と返して、姿を消した。
「それでは、そちらも頑張ってください。また、機会があったら会いましょう。」
飛燕がそう言って、笑みを浮かべる。すると、天零も笑みを浮かべて、
「そうですね。もう、会えることはないと思いますけど……また、その時があったら、ゆっくりと話しましょう。」
と返した。そして、握手をすると、飛燕もスキマの中へ姿を消す。
「えっと、俺は……もう少し、ここにいていいかな?」
翔太が紫に言った。紫は、翔太をじっと見ると、
「貴方の世界の方は……大丈夫なのかしら?」
と聞いた。翔太は、こくり、と頷くと、
「心強い味方もいるから、大丈夫。」
と返した。すると、紫はそれ以上何も返さず、一旦スキマを消した。
「じゃあ、異変解決をした奴も、異変を起こした奴も、皆夜に博麗神社へ来なさい。」
霊夢はそこで一旦切って、息を吸うと、
「宴会をするわ。」
とはっきりと言った。
はい、というわけで……。次が、いよいよ日常話、最後のお話になります。
それでは、次もお楽しみに!