重荷を斬る!   作:聖獅

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重荷を斬る!

アカメは跳躍し武器を無数に所持した男を袈裟懸けに斬る。

その隙を後ろに居たもう一人の刺客が平突きで刺しにかかる

 

「!?」

 

だがアカメを突き刺すであろうその刃は殺気が消え、重力に従い倒れる。

 

「これで最後か?」

 

アカメはふっと微笑み、倒れた刺客の後ろに居た男に手を差し伸べる。その男はアカメの手を取り起こして立たせる。

 

「ああ、これで最後だ・・・」

 

今度の相手は自分達のおかげで革命が成功したと騙り、近くの村民に暴虐の限りを尽くしたが為、二人が依頼を引き受けた形となった。

 

 

「全く・・・、何が革命は俺たちのおかげだ・・だ!頭にくる奴らだったな・・・なぁアカメ!」

 

「ふふ・・・そうだな・・・・」

 

「おい、何がおかしいんだよ?」

 

「いや、すまない。タツミがそうやって怒ってくれるから私が怒る気も失せてしまってな・・・」

 

「アカメって達観してるよなー、俺もまだまだだなー」

 

「ふふ、いや・・・そうでもないさ・・・」

 

 

 

エスデスがタツミと共に消え去ろうとしたものの、インクルシオがかろうじてタツミを守った・・・それを革命軍の一人が帝具パーフェクターを使って瀕死の状態から復活させた。

 

その後タツミは傷が癒えた後、レオーネの死をナジェンダから聞かされ愕然とする・・・だが、アカメが一人革命軍の闇の部分を背負い放浪の旅に出たと聞き、ナジェンダに別れを告げ、アカメを追いかけた。

 

 

「タツミ!?」

 

「よっ、姉さん何処に行くんだい?」

 

「・・・タツミ・・・、お前は私と一緒に来ることは無い・・・、お前には帰る村があるだろ・・・?」

 

「いやあ・・・帰ろうと思ったんだけどな・・・、アカメに俺の物盗まれてたからさ、それ返して貰いに来たんだ」

 

「私がタツミの物を・・・あ!?」

 

それはタツミがアカメと初めて会った時にアカメがタツミの心臓への一撃を放ったが彼を守ってくれた、村長から貰った安寧道という宗教の神を象った木彫りであった。アカメはタツミが瀕死の際にその木彫りを握りタツミの復活を祈っていた・・・その為、そのままうっかり持っていたままだった。

 

 

「・・・すまない、今返す・・・」

 

「あー・・・、良いよ良いって・・・、そのーあ―、駄目だ上手い言葉が見つからねー!」

 

「ど、どうしたんだ一体?」

 

「アカメ・・・、もう一人で背負いこまず俺にも背負わせてくれよ・・・今までは多くを失って多くを抱えきれないぐらい背負ってきたんだよな・・・一人じゃ大変だろ?俺も肩代わりさせてくれ、な?」

 

「タツミ・・・!」

 

「兄貴も姐さんも、シェーレもチェルシーもスーさんもラバックも・・・そしてマインも皆死んでった・・・帝国相手に闘ってた時は幾分忘れられたけどさ、こうして落ち着いたら悲しさで押し潰されそうになんだよな・・・、だからもう殺し屋として死んでいく仲間を見たくない・・・ボスは殺し屋としてでなくたぶん寿命で死んでくと思うんだ・・・だから最後に残ってんのはアカメだからよ・・俺と一緒に居たら生き延びる確率上がるだろ?」

 

「ああ・・・タツミが居てくれたら心強い・・・」

微笑むアカメ

 

「けどタツミのあのパワーアップしたインクルシオじゃとても暗殺向きじゃないけどな・・・ふふ」

 

「いや、そうかもしれねえけど、格好良くないか?」

 

「ふふふ、ああ格好いいんじゃないか?」

 

「おい、アカメ!絶対そう思ってないだろ!」

 

「でもあの時、どうやってインクルシオを強化出来たんだ?」

 

「あの時、兄貴の声が聞こえた・・・気がした・・・」

 

「そうか・・・ブラートが」

 

「自ら苦難の道を進んで俺達は選んだ・・・、俺達が汚れ役を買ってそれで世界を変えてやろうぜって、それが済んだら消えればいいのさ・・・ってさ」

 

「ふっ・・・、ブラートらしいな」

 

「・・・そういえばエスデスは俺と一緒に死のうとしたんだって?」

 

「ああ・・・」

 

「あの人、最後まで変わらない人だったろ?」

 

「ああ変わらなかった・・・だが、タツミを想う心に嘘は無かった・・・」

 

「そうか・・・、でも死んでまでエスデスに追われるのは勘弁して欲しいな」

 

「そうだな・・・、確かこういうのをデスストーカーと言うんだったかな?」

 

「?・・・う~ん?俺もあんまり語彙が豊富じゃ無いから・・・たぶんそうだったと思う」

 

「なるほど・・・まさにエスデスにぴったりだな」

 

「言えてるな、本当!」

 

 

 

こうしてアカメとタツミは行動を共にする事になった、殺し屋として生き、誰かの手に掛かるその日まで・・・。

 

 

 

「なぁ、アカメ・・・もう少し食べる量を抑えないか?」

 

「ん?そうか?」

 

「ちょっと食費がな・・・、旅の路銀も尽きるって」

 

「じゃあ仕方ない・・・その辺の食べれそうな危険種でも捕まえよう」

 

「へいへい・・・なぁそろそろ少しの間でも同じ場所で過ごさないか?」

 

「・・・、よそ者として怪しまれないか?」

 

「大丈夫だって、こう見えても俺、鍛冶には自信があんだって!」

 

「家事?あータツミは料理も結構上手いからな」

 

「そうそう、俺にデザートバードのから揚げを作らせたら天下一品・・・って違うわ!そっちの家事じゃなくて鍛冶屋の鍛冶だよ!」

 

「あー・・・そっちの方か」

 

「これで一所(ひとところ)に落ち着いてその村の包丁とか直してたらそこにも馴染めるって」

 

「流石だな・・・タツミは順応性がある、私には無理だ・・・」

 

「お、おい、しょげかえるなよ・・・あのエスデス倒したんだろ!凄いって!」

 

「私は斬る事しか出来ない・・・、それにタツミはあの最強の帝具も倒したんだ・・・私なんてとても・・・」

 

「な、なんでそこで落ち込むんだよ・・・アカメらしくないぞ!」

 

「・・・ふっ、冗談だ・・・」

 

「冗談かよ・・・あんたから、冗談聞くなんて初めてかもな」

 

「ふふ、そうだな」

 

 

二人は辺境の村落に身を寄せ、言葉通りタツミは旅の鍛冶屋として土地、住まいを提供して貰った。

 

「zzzzzz」

 

「・・・・・・・、タツミ、ありがとう・・・私一人だったら、皆の思いを背負って、何も考えず笑いもせずにただ悲しみに沈んだまま生きていったと思う。お前が居てくれたおかげでどれだけ心が楽になった事か・・・ありがとう・・・」

 

アカメはタツミの頬に口付けた。

 

 

 

 

「兄さん、この鍋直してよ」

 

「はいはい、只今」

 

「ちょっとこの包丁、研いで」

 

「3日後にね」

 

「えー?そんなに?」

 

「すみませんね、ちょっと立て込んでまして」

タツミは村の道端で主婦達相手に商売をしている

 

 

それを遠くで見守るアカメ

「・・・・・・・」

 

 

「アカメー、今帰ったぞー・・・っていない・・・あれ、なんだこれ?」

 

『タツミ、今まで楽しかった・・・ありがとう、やはり私とタツミとでは住む世界が違う・・・。タツミはナイトレイドに入ってまだ日はそれほどじゃない。私のように子供頃から暗殺者として育てられた者とは違う・・・、タツミはこれから普通の人並みの生活を送ってくれ・・・私は私らしく生きていく・・・今まで本当にありがとう・・・来世が有ったらまた会おう。 アカメ』

 

タツミは読み終えた瞬間、外に飛び出した。

 

 

山中

 

「・・・・・・、タツミ、これで良かったんだ・・・・・・ん?まさか・・・」

 

「はぁ・・・、はぁ・・・、俺だってな・・・、お前程じゃないけどよ・・・、野生児なんだよ・・・お前の気配だって判ってんだよ。・・・はぁ・・・」

 

「タツミ!どうしてだ!なぜ追いかけて来た!」

 

「ばかやろー!もう仲間を失いたくないって言っただろ!」

 

「くっ・・・、私とタツミとでは同じナイトレイドでも歩いてきた道が違いすぎるんだ・・・だから・・・」

 

「なに、アカメらしくねえ・・・弱い事言ってんだよ!」

 

「・・・それに・・・、タツミにはマインがいるだろ・・・」

 

「マイン・・・確かにマインの事、好きだったさ・・・だけどよ、残念だけどよマインはもう死んだんだよ・・・、あいつだっていつまでも死んだあたしに構ってないで、自分の人生歩みなさい、あんた馬鹿ねーとか言いそうだろ?」

 

「・・・マインがか・・・ふふふ」

 

「だけどアカメはまだ死んで無い・・・生きてるだろ?・・・、俺はアカメを生きた屍みたいにしたくねえ!」

 

「タツミ・・・!」

 

「お前、俺と一緒に居た時もさ、笑う時もあったけどよ、ずっとどこかつらい顔してたろ?自分は一人で全部背負って不幸にならなきゃいけないみたいにさー、だけどそんな不幸、俺が許さねえ・・・!俺と一緒にその不幸を背負わせやがれ!!」

 

「あ・・・!!」

 

「・・・・・・・・・、あ、ちょ、ちょっと恥ずかしい事言ったかもしれないけどよー、ううん・・・!?」

 

タツミの胸に体を預けるアカメ。

 

「・・・タツミ・・・、ううう・・・」

アカメの肩をそっと抱く

 

「・・・・・・・・・」

 

「私はさ・・・、大食らいなんだぞ・・・」

 

「知ってるって、そんなの・・・」

 

「口下手だから・・・、上手く普通の人達と付き合えないし、タツミにも色々迷惑掛けると思うぞ・・・」

 

「知ってるって、そんなの・・・」

 

「タツミにお弁当作っても、きっと半分くらいついつい食べてしまっているかもしれないぞ・・・」

 

「知ってるって、そんなの・・・」

 

「私も何処かで恨まれていてひょっとしたら巻き添えで命の危機に晒されるかもしれないぞ・・・」

 

「良いよ、もう・・・全部判ってるって」

 

「ううう・・・、タツミ・・・、ありがとう・・・、マインでも、エスデスでもなく・・・私を選んでくれて・・・ずっと、ずっと、こんな自分は幸せになっちゃいけないって、いつも我慢していた・・・うう・・・」

 

アカメはいつまでもタツミの胸で泣いていた。

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