重荷を斬る!   作:聖獅

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後篇

だがタツミはそれをかわしてその男の膝小僧に蹴りを入れ折り、絶叫が上がる!

 

「なっ!?」

 

「・・・ごめんね、御婆さん・・・知らない人からモノを貰ったらまず怪しめって教わってるの」

 

「イレギュラーだが、行き駆けの駄賃に片づけてから行くか!」

 

「OK!援護するよ!」

チェルシーはその老婆目掛けて仕掛け針を投げ付ける。

 

「ちっ、舐めんじゃないよ!」

老婆は服で捲ってそれを叩き落とし、懐から小銃を取りだしてチェルシーに放つ。タツミはチェルシーを突き飛ばし銃弾を胸に浴びる。

 

「タツミ!?」

 

「ちっ・・・一先ず撤退だ!」

 

「逃がすか、お前ら!」

 

チェルシーは煙幕を張り、二人は逃走する・・・

 

 

「追え―、逃がすで無いぞ・・・追えー!」

 

手下の男達が二人を探し回る。

残った老婆が部屋に置かれたモノを手に取る。

「んん・・・これは・・・?」

 

 

二人は辛くも逃げのび、小舟に身を潜めている。

 

「タツミ!・・・大丈夫・・・?」

 

「ああ・・・痛(つ)ぅぅ・・・、急所は外した・・・弾は貫通してないな・・・くっ・・・それを取りだす・・・」

 

「ごめんなさい・・・あたしのせいで・・・」

 

「何か布を貸せ・・・」

 

「う、うん・・・」

チェルシーは自身の服の片腕を破いて渡す。タツミはそれを猿ぐつわのように口で噛み、小刀で胸に埋まった銃弾を取りだす。

 

「うぐぐぐぐぐ・・・・っぐぎぎっぎぎっぎぎぎががあああああああ」

 

『・・・・・・見てられない・・・・』

 

「はぁはぁはぁ・・・・・・・、っちっ・・・・」

 

「良かった取れた・・・・・・とりあえずここから逃げよう?」

 

「駄目だ・・・あの部屋にシャンバラがある・・・」

 

「ええ?・・・あたしのせいだね・・・『撃たれた時に落とした・・・』」

 

「・・・俺がうっかり置き忘れただけだ・・・チェルシー、何かに化けて、見て来い・・・俺はここで待機している」

 

「一人で大丈夫?」

 

「良いから早く行って来い!!」

 

「・・・気を付けて・・・」

チェルシーは猫に化け先の部屋へと向かう。タツミは刀を引きよせ目を閉じ、傷口を布で覆い手を当て精神を集中し回復に専念する。

 

 

「これはなんの帝具だろうねぇ・・・?う~~む、まぁ帝国か反乱軍にでも売れば高く付くだろうし、ふふふふ・・・・・ふんっ!」

 

チェルシーが先程放った針を老婆はそれを窓に向かって放つ。

 

「・・・にゃ~ん」

 

「なんだ・・・猫か・・・まぁ良いさね・・・これは何の帝具か後でじっくり調べるとしようさね・・・」

老婆は部屋から出ていく。

 

「・・・・・・『不味い・・・』

 

老婆は屈強な男達を従え、道を歩いていく。

 

「お前達!まだあの小僧と小娘達は見つからないのかい!!」

 

「すまない、おばば・・・どうにもすばしこい奴らで・・・今全力で探している」

 

「夜になるまで探し出すんだよ!」

 

「ああ、判っている。・・・この村の周囲は既に閉鎖した・・・袋の鼠だ!・・・見つかってなぶるのも時間の問題だ」

 

 

 

集落内を探す一同

 

「いたか――!」

 

「もっとよく探せぇ!!」

 

「よぉしー!」

 

 

チェルシーは男達が一通りの廃屋や小屋を探した後、去って行くのを見届けタツミの元へ向かう。猫に化けたままの状態でタツミを小屋へと誘導する。

 

「・・・うん・・・大丈夫、ここならしばらく見つからないよ・・・傷の具合はどう?」

 

「・・・まぁな・・・」

 

『・・・いくらタツミでも・・・つらそう・・・』

 

「やはりシャンバラは取られてたか・・・」

 

「うん・・・この村も包囲網が引かれているから・・・夜になってあたしが何とか隙を見付けるからそれから逃げよう!」

 

「・・・恐らく乗って来た危険種も逃げたか、奴らに殺されたかもな・・・。とにかく、ここから虚六に向かうにしてもあの帝具を取り戻さなけりゃ話にならない」

 

「無茶だよ・・・、何人か帝具持ちらしき奴らいたし・・・それに、なんでそんな早く向かわなきゃいけないの・・時間掛ってもアジトに戻って体勢を立て直してさ・・・」

 

「いや、早く片付けないと・・・どうも嫌な予感がする・・・ただの俺の勘だが・・・早く帝都に戻らなければならない気がしてな・・・だから虚六での片を付けたら直ぐに戻るぞ・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

「ところでチェルシー、あいつら何者だ?」

 

「たぶん、一見普通の漁民だけど・・・強盗を生業にしてそうな連中だね・・・」

 

「確かにさっき俺達を有無を言わさず殺そうとしてたからな・・・そうか・・・そういう連中か・・・」

 

夜になるのを待ち、息を潜めていた。

 

「・・・・・・・!」

 

チェルシーが化けた猫が窓から入って来て元の姿に戻る。

 

「監視所を調べ始めたから今ならあの婆さんの居る、屋敷までは手薄だよ」

 

「よし・・・行くか・・・『動けるとしても通常時の6,7割か・・・』

 

「あたしがもう一回化けてなんとか取り戻してくるよ!」

 

「いや、駄目だ・・・お前の話じゃそいつに勘づかれる可能性がある・・・それにあの複数の奴らを相手にするにはお前には無理だろう・・・」

 

「けど・・・今回他の帝具持って来てないんでしょ?・・・そんな刀一本だけなんて・・・」

 

「・・・本当ならお前みたいな軽い女はその辺の男でも引っ掛けて普通の生活してりゃあ良かったんだ・・・今更もう遅いかもしれないが、それでも足掻いてみな・・・心配するな、・・・俺は必ず帰って来る」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・退け(どけ)・・・」

 

タツミは刀を取り、チェルシーを下がらせ小屋の戸を静かに開け周りの気配を窺う・・・。

 

遠くから聞こえる海の音・・・その音しか聞こえない暗闇の中、悠然と一人歩いていく。

 

「・・・・・?・・・・・おい、誰だお前・・・」

 

「・・・・・・まさか・・・」

 

タツミは無言のまま抜刀し、斬り捨てる。

 

「ぎゃああああああ」

 

「いたぞーーー!」

 

「斬れーーー!」

 

「殺せ―ー!」

 

「女も居たはずだ!」

 

次々と人が集まり、タツミを殺しに向かって来る。その怒声や悲鳴をチェルシーは固唾を呑んで見守っている。

 

タツミは襲いかかって来る敵を次々に斬り倒し、持っている刀が使えなくなれば敵から奪い、斧や槍に持ち替え応戦し突き進む。村の中でもひと際大きい屋敷へと目掛け、不利な状況を覆す為か、怒号を上げ斬り進む。

「どぉぉぉけぇぇぇぇえええええ!!!!」

 

その時斬り結んだ相手とせめぎ合うが強引に押し切り、そのまま斬り倒す

 

「てぇぇぇええええええいいぃい!!!うおおおあああ!!!」

 

後に居る者達も圧倒され、容易に後ろからでも斬り込みかねている。

 

チェルシーは自分の近くから声が聞こえなくなったのを見計らって小屋から出て駆けだした。

 

数時間後

 

屋敷中心部へと辿り着き、疲労困憊の態でタツミは無数の傷を負いながらも片膝つき息が乱れながらも生きていた。

 

「ふんっ・・・その体でよくここまで辿り着いたね・・・死に損ないが」

例の老婆が姿を見せる。

 

「お前がこの村の長か・・・何故こんな事をしてやがる・・・」

 

「昔・・・革命軍の一員だったんだが・・・、帝国に捕まった奴が裏切ってあたしの仲間が皆殺しさね・・・、それでもう帝国も革命軍も信用なんかしなくなった・・・世の中、力こそ全て・・・そう悟ったのさ・・・さぁ冥土の土産に教えてやったんだ、大人しく死にな!」

 

タツミはその老婆を怒りを込めた目で見据える・・・、

 

「!?」

危険を察知し飛びし去る・・・ズン・・・!

 

「・・・、あ・・・お前・・・、ぐ・・・」

 

後ろから心臓を刺される・・・。

 

「あ・・・あははは・・・お姉さん、だから言ったんだ・・・その男とはさっさと別れなと・・・ぐ・・・・・・・」

 

「・・・それってあたしの為じゃなく・・・御婆さん自身の為に言ったんだよね・・・」

 

チェルシーが背後から得物の針を抜き、そして倒れた老婆から落ちたシャンバラを取り戻した。

 

「・・・、お前・・・・・」

 

「ごめん・・・、約束破っちゃってね・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

タツミは彼女に手を差し出し、チェルシーは両手で掴み起き上がらせる。

 

「とりあえず、お前の命は預かっておこう・・・」

 

「利子の分は月々返してね・・・」

 

チェルシーはタツミを支えながら屋敷を後にし、漁村を離れある廃屋へと身を寄せた。

 

 

タツミは藁で敷き詰めた寝床に身を横たえ体力の回復を待った。

 

「傷の方は大丈夫・・・?」

 

「薬は塗ったんだ、1,2日安静にしてれば大丈夫だろう・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・どうした?」

 

チェルシーはタツミの手を取り、その手を自身の頬に寄せそして口付ける。

 

「・・・///・・・なにすんだよ・・・」

だがタツミも満更でも無く、顔を背けるだけで嫌がってはいない。彼は彼女に潤んだ瞳で見据えられ、微笑むその艶な唇にも注視せざるを得なかった。理性では目を背けようとしても疲れ切った体はそれを拒絶した。

 

「・・・タツミ・・・///」

 

最後の抵抗で顔を背ける。

 

「もぅ・・・」

抗議をするチェルシー

 

「いや・・・、その・・・、あんたは結構美人だと思ってさ・・・」

 

「・・・///・・・、そんな事言われたら・・・襲っちゃうよ・・・あたしがいつも飴舐めてるのはどうしてか・・・教えてあげるね・・・///」

 

 

 

 

2日後

 

虚六の街中を歩く二人

 

「うふふふふふ、ふふふふふうふ、いひひひひひひひ///」

 

「『なんだろ?この不気味な生き物は・・・』・・・あのー、チェルシーさん?いつまでも腕にしがみついてないで、少し離れて歩いてくれないだろうか?」

 

「えー、預けた(命の)利子は毎日返してよぉー///」

 

「さっさと離れろ!」

 

「人通りで腕組んでるのが恥ずかしいのぉ?良いじゃない、あたし達もう、そういう仲なんだから、ね?ほら・・・他のカップルとかもしてるじゃない?」

 

「こういう事したいなら、そういう事したい男の所に行け!俺は嫌だ!」

 

「はぁ~あ、貴方は本当むっつりなんだからぁ・・・昨日はあんなに・・・///・・・そしてその間優しくあたしの頭撫で続けてくれたじゃ無い?///」

 

 

END?

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