魔法少年ロジックなお   作:SIERU空の友人

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前回の投稿からだいぶ時間が経ってしまいました。
様々な他の趣味に割く時間が多かったのが原因です。申し訳ありません。


第2話

:新暦65年3月 ミットチルダ・B-3廃棄地区とクラナガンの境界線上

 

 砲撃魔法を撃ちだし、ボロボロの壁を突き破る。いとも簡単に崩れてしまったところを見ると、よほどこの施設もガタがきている・・・

 

「いや。その場凌ぎに崩壊寸前のビルを使ったのか。鉄格子すら無いようだしな」

 などと正也は思考する。まず先決すべきはこの建物からの脱出だ。

 

 

 出張のためにミッドチルダを訪れた風原夫妻は、大規模テロに巻き込まれ人質になってしまった。もちろんそんな程度で死んだりするようなタマではない。

 あえて捕虜収容施設に連れて行かれたあとで、すぐにでも衛兵を殴り倒し脱出を図った。鍛錬を怠らずにいてよかったものだと心底思う。

 連れて行かれる最中で、夫婦は別の場所に連れて行かれたが、まぁ心配はしていない。

 

 通路を慎重に索敵しつつも駆け抜ける。正面はT字路。脱出経路は先程確保した。まずは別の檻に収監されているであろう妻のミドリを助け出して、愛機であるデバイスを奪還しなければ。

 愛機は戦闘補助に長けた機体ではないので、デバイス無しでの魔法行使は慣れているが、やはりデバイスがあると無いとでは効率の面で雲泥の差だ。

 T字路に左側から悲鳴ともつかぬ呻き声。警戒しつつ、歩を緩める。うめき声のした方から人影がゆったりとした歩調であらわれる。

 敵では困る。どうやって対応してもいいように徒手で構える。

 

「あら、丁度良かった」

 両手に拳銃型デバイスを携え黒い髪を肩甲骨までで切りそろえた女性だ。武装隊の装甲服にも似たバリアジャケットを纏っている。

 

「なんだミドリ。驚かすな」

「あはは、ごめんごめん」

 驚きつつ構えを解いた正也に女性はあっけらかんと笑う。

 

 そう。彼女こそ雅也の愛する妻、風原ミドリだ。自分と同じように別の牢を脱出していたのだ。

 

 するとミドリは服の胸元の下から銀色の結晶をあしらったペンダントを取り出す。見覚えがある。それどころか常に手元にあった存在だ。自然と正也の視線は釘付けになる。

「はい、これ」

「さんきゅ」

 軽々しく放り投げられたそのペンダントを正也は難無くキャッチする。

 

「その子が居ないと安心できないでしょ?」

「ああ。まったくだ。"アイツ"が帰ってくるまでこの抜け殻はとっておかないとな」

 

 クリスタルを強く握り締める。すると光が放たれ、それは一本の直刀型デバイスとなる。名はS-1cT。プロパティを参照すればメインプログラムはパーソナルAIネーム「エクエス」、つまりラテン語で「騎士」を意味する名が表示されているだろう。 だが今は物言わぬただストレージタイプのアームドデバイスであった。

 

 

 

 

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 :同日 第97管理外世界「地球」日本・海鳴市

 

 逃げる。そうしなきゃ殺される。まだ死にたくはない

 

 私はどうしてこんなところに居るのだろう? 腕の中には、何故か喋るフェレットを抱えて逃げる。動物病院の敷地から道路に飛び出す。周囲は夜の闇に包まれ、空はなんとも言いがたい不気味な色に染まっている。後ろから真っ黒い物体が追いかけてくる。必死で逃げるが、あちらのほうが圧倒的に速い。

 

「きゃあっ!」

 

 足を挫いた。身体が空中で一回転する。追いつかれる。真っ黒い物体が迫ってくる。目の前の恐怖から意識をそむけるために目を瞑る。もうだめだ。私は、たぶん死んじゃう。

 

「あとーさん、おにーちゃん、おねーちゃん!」

 

 死への恐怖のあまり、家族の中で最も頼りになる三人の名前が口からこぼれる。瞼をよりきつく閉じる。目の前の恐怖から逃れるかのように。

 

 少女に真っ黒い物体が襲い掛かる。少女の真横から飛び込んだ光がひらめき真っ黒い物体にぶつかった。

 

 

 ――耳を劈くような、金属同士を叩きつけたような音が響く。

 

 

 あれ、何も来ない? わたし死んじゃったのかな・・・?

 瞼をゆっくりと開く。

 

 目の前には、力強く両手を突き出し、真っ黒い物体を押さえ込んでくれている人が居た。

 

 

 背は自分と同じくらい。髪は黒かった。突き出した両手の先には魔法陣のようなものが広がって、真っ黒い物体を押さえ込んでくれている。

 

 真っ黒い物体はそれでもこちらへ来るために蠢きもがくけど、それでも白のようにも青のようにも見える光を放つ不思議な盾は、そんなことなんかものともしない様な力強さでこちら側を守ってくれている。

 

 なのはは理解した、この人が助けてくれたのだと。

 

 

「なのは、大丈夫!?あつっ、痛っ!」

 

 そしてその声には聞き覚えがある。なのははその人物の名前を叫んだ。

 

「直君!?」

 

 

 

 

 直は教師に頼まれて、資料室の片づけをしていた。そのためすでに陽は落ち、コンビニでの夕食購入を余儀なくされた。

 もちろん朝からコンビニ弁当を買うつもりだったので、近くのコンビニで購入してから家路につけば、近くで大きく活発な魔力反応。これは否応なく調べざるを得なかった。

 

「はぁぁぁあああああ・・・っ!」

 雄たけびを上げる。真っ黒の物体は予想以上の出力だった。全身で両手とその先に展開した、魔法陣型防御障壁魔法ラウンドシールドを支えても抑えきれない。

 ラウンドシールドにはいまにも罅が入りそうになり、それを修復しようとする魔力が大気に干渉して紫電が飛び散る。少しでも力を抜けば、プレス機にかけられたように押しつぶされてしまうだろう。

 

 

『マスタ、はやく私を起動して応戦してください!』

 

 直のピンチにウェントスが叫ぶ。むしろ、なぜバリアジャケットを展開しておかなかったのか自分でもわからない。

 勿論だ。こんなもの、デバイス補助無しの防御で抑えられるはずがない。

 

「わかってるっ ウェントス、おねがい!」

 直の言葉に呼応するようにウェントスが輝く。それは星のように、宝石のように・・・あるいは風のように。

 

『了解。全力戦闘行使準備、起動呪文を』

 

 簡易オーバーホールを行ったあとに必要な、再度の起動呪文を詠唱をしていなかった。余計なタイムラグが生まれることに直は歯噛みする。

 

「蒼の翼と勇気で翔けて、希望をてらせ月光よ! ウェントス・フォルティトゥード、セットアップ!!」

 

 空間中の魔力素と魔力が干渉し、高音を立てる。蒼白い粒子―直の魔力光―が溢れ出す。ラウンドシールドから発生する紫電は勢いを増し、龍のように空中を舞う。

 光り輝く魔力光が、眩く周囲を包み込む。

 

『内圧上昇。バリアジャケットを展開。中距離および近距離戦闘のためライフルエッジを選択。データロード、魔力フレーム構築開始』

 

 光が爆発する。黒い物体は驚きながら魔力流に押し流され、さらにウェントスが展開した術者の安全確保護用の防護障壁によって、数メートルを吹っ飛ばされる。

 

 蒼白い光が強さを増す。光は強くなり、やがて輪郭すら消えると、唐突に高速で旋回を開始。急速に何かの形を成していく。

 光が直を包む。それまで着ていた服が格納され、バリアジャケットが構築される。最初に紺のインナースーツ。そのうえにYシャツに似た、少し厚のある紺のアウタスキン。

 上半身を守るのは、裾が短く長さが胴の半分までしかないが、袖は手首まである青のジャケット。下半身は高機動に適した動きやすい紺のスラックスがあり、その上を守る放射状に末広がりに広がるスカートのような青い布。

 アウタスキンとズボンの手首と足首の裾は、フィットするように灰色の布によって締められている。ジャケットとスカートアーマーは斜めに走る白いラインで彩られている。

 デバイス形態も同時に展開されていく。ウェントスのクリスタルを核に、バリアジャケットと同様の理論で魔力が部品に変換されていく。そのシルエットは剣だ。

 しかし二枚の刃に挟まれた青い直方体の銃身と、柄には引き金が備わっている。構築が完了したと同時に銃身と柄の間で折れ曲がり銃の形を成す。その形状はスマートでありあがら直角的なフォルムは適度な無骨さを醸し出す。

 直がウェントスのデバイス形態のひとつ、<ライフルエッジ>の柄を掴む。構築完了の合図である。

 剣としての機能を備えているが子供用のサイズで調整されているため刃渡りは50センチにも満たず、グリップエンドを含めても全長は70センチ以下だが、しかし9歳の直が扱うには十分な長さである。

 

――この間、わずか0.005秒にすら満たない。圧倒的な速さはウェントスが持つ高い演算能力がなせる業だ。

 

 ウェントス・フォルティトゥードはインテリジェントデバイスから派生した「オールレンジデバイス」という機種に分類される。

 オールレンジデバイスは、バリアジャケットに使われている技術を応用して、魔力からフレームを造り出し、刀剣、銃、杖など臨機応変に姿を変えることできる。

 一言で言えば、あらゆる状況に対応したデバイスである。

 この機種は、幼少期の直がふと思いついた幼稚な発想を、両親の同僚のデバイスマイスター達が拾い上げたものだ。

 

 しかし一般的なデバイスでは50%で十分な魔力素の制御効率、つまり魔力素の粒子を安定化させる能力を100%以上まで引き上げるための演算機能強化の代償として、一般的なインテリジェントデバイスの数倍の価格になってしまった。

 そのうえ、シュミレーション結果では魔力の源である生態器官、リンカーコアの出力がS-以上の魔導師が使うと、現在使用されている素材では、過負荷に耐えられず自壊するという結果が出ている。

 おもにデバイスに使用されている特殊合金には「ミッドニウム」と「ベルカニウム」の2種類があるが、ミッドニウムは通常合金より硬質かつ柔軟で安価だが、高価なベルカニウムに比べて魔力伝達率や硬度で劣る。

 現在のウェントスは、演算装置の強化に予算が多く投資され、基礎部品にベルカニウムはあまり多く使われていないため、残念ながら伝達率があまり高くないため高ランク魔導師の魔力量に耐えられず自壊してしまうのだ。

 また、オールレンジデバイスの運用ドクトリンは複数機を使用しての並列コンピューター化を基本としており、それもさらに馬鹿げた高価格化する事に拍車をかけている。そのため先ほど言ったとおり生産された台数こそ二桁に達しているが、注文回数は片手で数えられる程度のものになってしまっている。

 しかしながら演算強化の技術は、バリアジャケットの強度や機能強化にも役立ったので、直の下には印税がそれなりに入っているうえ、管理局の次期主力トライアルでは真っ先に脱落したが、その性能と特殊性は評価され、生産ラインは確保されている。これはコアの耐久性が若干だが平均より低く、代替の筐体を用意する回数が多いからである。

 だがしかし、せっかくの「あらゆる姿のデバイスに変化できる」という特性も、あまり有効活用できるものでは無いという報告もあがっており、世の中そう、うまくはいかないものである。

 

 

 光が一瞬だけ強さを増し、次の瞬間には弾け飛ぶ。

 そこには、青を基調とした不可思議な衣装―バリアジャケット―を纏った直が立っていた。

 斜めに走る白のラインがシルエットを引き締めている。瞳に宿る光は、まだ幼子のそれであるが、それでも「戦わなければいけない」という強い意志を秘めつつある。

 

『フライアーウィング、テスト展開』

 

 背中から光の翼が広がる。 魔力によるフィールド制御用のものであり、風を切る翼では無いにもかかわらず、その力強さは、安心感すら覚える。

 

『内圧の安定を確認。バリアジャケット展開完了』

 

 夜の空気は、初春でも冷たく、肌を刺すような冷たい風が吹き、髪が揺れる。その神々しさすら感じ取れる威容になのはは言葉を失っていた。その姿は天使のようにも見えるが、力強い勇者のようにも感じられた。

 

 

 光の翼がその形を失い、光の残滓へと還る。眼を見開き、黒い物体を見据える。

 体勢を整えようとする黒い物体に対して、直とウェントスの最後通知、正しくは宣戦布告が響く。

 

「行くよ、ウェントスっ!」

『了解。敵性戦力に対し、全力戦闘を開始します』

 

 

―ヴァアァアァァァアアアアァアァアッッッ!

 

 黒い物体が、鳴き声にすらならないおぞましいほどの叫びを上げ、突撃してくる。

 

「・・・っ!」

 

 光の翼が消えた後の残滓を振り撒きながら、直は矢のように突撃し、銃口から柄までの軸が一直線になる剣の状態に戻し両手で構えたライフルエッジで黒い物体を受け止める。

 だが黒い物体は、刀身を自らの身に取り込み直の動きを封じ込めようとする。対した直は、ウェントスの演算による行動予測で見切っていた。

 

 こんな時のために、魔導師にとって基本的な魔法がある。その魔法をローディング。コイツを喰らえとばかりに直は睨み付ける。

 左腕に魔力が収束し小型のプロテクションを展開する。サイズこそ小型であるが圧縮された魔力は通常のプロテクションの2倍に相当していた。

 左腕を全力で打ち出す。プロテクションによって保護された拳は、痛みを案ずることなく魔力によって強化されたその腕力を遺憾なく発揮し、

 プロテクションに備わった跳弾を誘発する効果よって、攻撃対象を大きく吹き飛ばすことが可能だ。

 

 名付けて・・・

 

『チャージ完了、どうぞ』

「プロテクションパンチっ!」

 実に子供らしい単純明快な命名である。だが名前に反し威力は十分である。

 

 空気を切る風切音が鳴り、魔力運用をより効率的に行うための気合の声とともに、打ち出された拳が、黒い物体にめり込み、次の瞬間には実に十数メートルの距離を後退させる。

 黒い物体は、そのまま、背中からブロック塀にブチ当たり、目を回してしまう。

 プロテクションの基本機能である跳弾を誘発する効果の正体は、物質を反射するというものである。受け止めるかあるいは逸らすことで防御するシールドと違い、プロテクションは物理衝撃を反射し余剰魔力を受け流す事を重点においている

 プロテクションより展開公式が単純で、拡大縮小も楽なシールド系魔法を代用して大失敗をやらかす事例もあるが、優秀な緊急用の攻撃魔法である。

 魔法を使用して肉弾戦を行う人間にとっては常識レベルの魔法である。しかしながら普通の射撃メインの魔導師が使用することは稀であり、戦闘に対する才能も経験も無い魔導師である直は咄嗟の判断は出来ない。

 これはウェントスという、柔軟性な戦術眼を持ったAIによる戦術予測の効果だ。

 なにより射程が短いのだ。ろくに使用するタイミングすら存在しない。今回は備えあれば憂いなしを通り越して「備えあればうれしいな」と言わんばかりの珍事であった。

 

 

 

 なのはが抱きかかえたフェレットことユーノは、彼は感嘆していた。あの魔導師は魔力量はそれなりを備え、デバイスの性能も良いようだ。

 まあ自分が苦戦したのは魔力不適合で全力どころか半分も出せなかったからで、本来なら一撃で封印できるのだが・・・。それにあのプロテクションの構成はまだ練り直せるように思える。

 プロテクションの物質反射効果を理解して防御以外に活用しているのは、珍しいといえば珍しい。実際にはそんな小技はほとんど必要としない魔導師が多いのだが。やはりあの技は格闘技向きである。

 魔法学院を既に卒業したユーノは、優秀な頭脳でそれらを一瞬で見極めた。

 

 彼から感じられる魔力はAランクほどだが、所有しているデバイスはどうやら高性能らしく知恵を使った戦闘もしている。

 頼れるかもしれない。一抹の願いを込め、ユーノは叫んだ。

 

「そこの魔導師さん! その化け物を止めてください!」

 

 それは必死の叫びでもあった。

 

「ふぇ、フェレットが喋った!」

 

 さっきもおどろいたよね、貴女。などと思考の片隅で感じながら、ユーノは言葉を捜す。

 

「ふぇ、フェレットさん、どうすればいい!?」

 

 直の返事にユーノは力強く答える。

 今、彼は強いとはいえ、必死でジュエルシードを押さえ込んでいる。全力でどうにかなる程度だ。早くどうにかしないと。

 

「そいつを封印してください! それはロストロギアの暴走体で魔力の塊です、大威力魔法に封印術式を添付すれば封印できます!」

 

「無理っ! 専用の術式が無いから!」

 

 ユーノの叫びに直はしかし、否定の言葉を放つ。黒い物体が回り込み、再びなのはを襲おうとするのを防ぐので精一杯だ。

 そして直の言葉の通りだった。慣れない魔法は基本的にデバイスに頼って発動することが常であり、しかしながら一般の魔導師のデバイスに封印用の術式がインストールされているほうが珍しい。

 誰もユーノのことは責められない。常に危険と隣り合わせでそういったことを生業にするスクライア族故に失念していたことだった。

 だが、自分のレイジングハートにはそれがある。だけどレイジングハートは僕に力を貸してくれない。どうすれば・・・!?

 ユーノが思考の海に溺れかけた時だった、救いの手が差し伸べられた。

 

「ねえ、フェレットさん!どうすればいいの?」

 

 自分を助けてくれた女の子だ。―さっき魔導師は「なのは」と呼んでいたか。彼女はこの状況に怖気づくことなく問いかける。恐らくジュエルシードと戦っている彼は知り合いなのだろう。彼の出現のお陰でだいぶ混乱が収まったようだ。

 そして、その視線はユーノが首に下げた真紅の宝玉<レイジングハート>に向けられていた。

 まるで磁石の、プラス極とマイナス極が惹き付き合うようにだ。その口調は、どう逃げればいいのかではなく、どうすればこの事態を打開できるのか、そういったニュアンスを含んでいた。

 

「これを!」

 

 一か八か、ユーノは迷わなかった。首に吊るしたレイジングハートの連結を解除し、なのはに手渡す。渡される深紅の宝玉をなのははアンニュイな表情で受け取り、ハッと目を見開く。

 頼む、レイジングハート。僕はどうでもいい。彼女に、生きるための力を貸して・・・っ!

 

「起動呪文を僕の続いて唱えてください!」

 

「・・・うん!」

 

 その頷きは、先ほどまで逃げ回っていた人間のものとは思えないほど、力強さを有していた。その瞳に宿るは不屈の心。

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「え、えと。我、使命を受けし者なり」

 

 やはり、初めてのことに少し戸惑うなのはだが、すぐに気を取り直し、詠唱を始める。

 

「契約の元、 その力を解き放て」

 

「・・・契約の元、 その力を解き放て」

 

 なんだろう、この呪文・・・不思議と力がわいてくる。

 

「風は空に、星は天に」

 

 なんだか、この宝石、暖かい。掌に載せた宝玉を力強く、だが優しく握り締める

 

「輝く光はこの腕に」

 

 とっても頼りになる。そんな感じがする。

 暖かさが身体に満ちていく。

 

 全身に滾るは戦士の力。

 

「不屈の心は、この胸にっ!」

 

 心が波打つ、鼓動が高揚する。とても安心する暖かさ。

 

 なのはは、最後の起動呪文を唱える。

 

「この手に魔法を。レイジングハート、せぇっとアップ!!」

 

 心に溢れるのは天使の優しさ。 

 

 

 宝玉から放たれた光が高速で旋回する。それはなのはを包み込み始める。

 

 ユーノが驚きながら呟く

 

―すごい量の魔力だ・・・。

 

 全快状態の自分の数倍以上の出力を誇っている。

 

 光は白から桜色へと変わっていき、より輝きを増していく。その輝きはとても暖かだった。まるで喜びを表すかのように。

 

 

 なのはは不思議な高揚感を味わっていた。まるで、死んだと思った戦友と再会したような。いや、これは正しくは無い。

 いや、その例えに適用するならむしろ「死んだ戦友」は自分だ。この高揚感は自分のものではない。この宝玉、レイジングハートのものだ。

 

『あなたが私のマスターですね』

 

「は、はいっ!」

 この声の主が宝玉であるといのうは、酷く可笑しい話のはずなのに、なのははそれを当然のように受け入れている自分に気づく。

 

『杖と防護服の形状のイメージをしてください。細部はこちらで最適なものを選択します。ご安心を、あなたなら負けはしません』

 

「わたし・・・なら?」

 

 なのはには不思議だった、たった今、出会ったばかりのこの宝玉に、そんなことがわかるのだろうか?

 だがそんなことを考えている余裕はない。頭の中で、自らの“正装”のイメージが一瞬で浮かび上がる。

 

 白く、ゆったりとした服。そう。

 

「これ!」

 

 なのはは頭の中のイメージを固め、声と共に出力する。

 それまで来ていた服が格納され、バリアジャケットが展開され始める。

 はじめはインナースーツ。最初に構築されるワンピース状につらなるロングスカート。腰には金属で出来た簡素なプロテクターがついていた。上半身に裾の短いジャケットにも似た布状のアーマー。

 袖はゆったりとしていて、精神統一がしやすそうだ。それらの色は、白を基調にし、青のラインによってあしらわれた、神聖さすら感じさせられるデザイン。最後に胸元に可愛らしい赤のリボンが蝶結びに巻かれシルエットを引き立てる。

 

 ・・・そう、聖祥の制服を不可思議にアレンジしたようなデザインだった。

 

「なのは、危ないッ!!」

 

 セットアップ時の保護用シールドが解除されると同時に目の前に飛び込んできた光景は、またしても自らに突撃してくる真っ黒の物体。同時に直の悲鳴。一瞬の隙を突かれ、接近を許してしまったようだ。

 

「きゃぁっ!」

 

 迫り来る黒い塊に対して、本能的になのはが驚き、反射的に目を閉じた直後だった。

 空で銀の光が、鈍く瞬いた。

 

「はぁぁああっ!」

 

 上空からは、また別の聞き覚えのある叫び声とともに、なにかの影が駆け下りた。

 

 その影は暴走体に深く突き刺さり、動きを足止めした。

 よく見れば、その影は人型である。だがその手に持つ武器が酷く奇妙な形状をしていた。格闘用の武器であるトンファーに似ている。しかしながら本来、相手の打撃を受け止め、相手を打撃するための鉄の棒であるべき部分は、鈍い輝きを放つ「刃」であった。

 しかも刃と柄の分割部分は明らかに、迅速に分解が行えるような構造になっており、その武器が、中に武器を収納した“仕込刀”のようなモノであることを全力で主張していた。

 そしてその刃は柄から伸び、切っ先より手前で直角に曲がり峰へと姿を消す黒いラインで彩られている。

 

 闇夜に少し低い少年の声が響く。

 

「面白そうな事をやってるじゃないか」

 

 その影がウィンクと共に右手の親指を天に突き立てて高らかに笑う。聞き覚えがある。そう、彼だ。

 

「イサム!?」

 日取イサム。風原直の親友である彼だ。夜風に黒髪の癖っ毛を揺らしながら彼はやってきたのだ。

 

「助かったよイサム! だけどどうして!? 」

 

 直が疑念と感謝を言葉にするのに対して、少年は頷く。

 

「いきなり結界に巻き込まれたからな、ちょっと索敵してたんだ。なのは、大丈夫か?」

 

 眼を弓のようにしてイサムが笑う。その間も暴走体から意識を逸らしはしない。相当、戦闘慣れしているのか、あるいは肝が座っているのか。実戦に対する経験が全くもって乏しい直には判断がつかなかった。

 その手に持つ武器は奇妙に歪で、元の姿は全く別のものだったことを暗に示していた。

 

「う、うん」

 クラスのトラブルメーカー、日取イサムは、奇妙なトンファーを構えなおし真っ黒い物体を全力で蹴飛ばす。蹴飛ばされた物体は今度は電柱に当たって目を回す。

 

「どうやら、コイツを倒すらしいな。手なら貸すぞ?」

 すでに黒い物体は体制を整えている。イサムは両腕に構えた刀剣式トンファー型デバイス―イサム以外は知らないがその名前をソードブレイカーという―を構え牽制する。その隣に並んだ直は会釈で言葉を交わす。

 

「うん、お願い。フェレットさん、注意することは?」

 

「あいつに下手に大きな魔力をぶつけないでください。ほとんどは魔力だけど本体はロストロギアで一種の高エネルギー結晶体です。なにが起こるか・・・」

 

 ユーノの言葉に、直の横に並び立ったイサムは口笛を返す。心底面倒くさい敵であっても、臆することは無く、両手の得物を正面でクロスして構える。

 

「それはちょっと大変だな。どうする? ちなみに俺は封印術式は持ってない。直もだろう? いまどき封印術式を保存領域に残してるほうが珍しい」

 

 イサムの疑問にうなづき肯定した直は憮然として、不機嫌そうに答える。

 

「うん持ってない。けどなのはのデバイスにはあるみたいだ。俺とイサムで消耗させよう。俺が遠距離、イサムが近距離。そのあとそのなのはが持ってるデバイスで封印。この段取りしか俺には思いつかないけど・・・」

 

 直は最後の一言では頭を振っていた。これしか思いつかないのが悔しいのだ。本来ならば、見る限り魔法の存在すら知らない様子のなのはに任せることは不安だ。

 しかしイサムは会話の間にもフォーメーションを整える。なのはが後衛で封印術式をチャージし、直とイサムは前衛で盾になり、剣で魔法で黒い塊・・・いや、「暴走体」を攻撃するポジションに付くという算段である。

 

「オレも同意見だな。よし、なのは、頼むぞ」

 

 よし、と気合を入れなおすイサムやウェントスを構え直す直になのはは完全に置いてけぼりになっていた。

 

「ふえ!? ちょっと!勝手に話を進めないでほしいの!」

 

 なのはには今の会話は一切理解できなかった。あたりまえだ。いったい何を話してるのかわけがわからないの・・・

 

『ご心配なく、マスター。あなたは私が守ります』

 

 なのはの持つデバイス、レイジングハートがなのはのフォローに入る。よくできたデバイスだと、イサムと直は素直に感心する。

 

―ヴァァァァアアアアアァァァァ!!

 

 黒い物体は咆哮を上げ突撃する。おそらく突撃するしか能が無いのだろう。直とイサムは素早くかわし、なのはは、転けそうになりつつもどうにかかわす。こればかりは身体を動かし慣れているかどうかの問題だ。

 かわした後に反転した直はライフルエッジの構築を解き、再構成する。使用デバイスの形状から近接戦闘が得意だと踏んだ直は、よりウェントスを遠距離戦に向いた形状に変化させる。

 

「ウェントス、ウィングスタッフを!」

 

『了解。ウィングスタッフモードで起動します』

 

 部品が構築され、外装が装着される。ライフルエッジを縮小したような先端ユニットから長い杖状の柄が伸びている。ミッドチルダ式にもっとも馴染む"杖"形態である。

 ライフルエッジが銃剣としての機能を備えているのは、再構築より変形する方が早いからである。つまりあくまで、近接戦からいきなり射撃へと発展した時に対応するためである。接近戦が得意な味方がいるのであれば、射撃のほうが得意な直としては、杖を使ったほうが戦いやすい。

 両腕で構え、先端に魔力を球形に収束。蒼白い光が夜闇に煌き、一瞬勢いを強め瞬きを強め、次の瞬間には一条の光の柱となって撃ちだされる。

 

「ウィング、バスター!」

 

 一般的なタイプの直射砲撃。突き進む光の矢は闇のように黒いその獲物を捕らえる。だが対して暴走体は気にしていないようにひらりと身を躱してから反転し、今度は直に狙いを定め突撃する。

 

 バシュウッと音を立てて余剰魔力と余剰熱を放出したウェントスと、砲撃の反動で身動きが取れない直では反応し切れなかった。だが、戦力は直だけではない。

 

「あんまり、油断しないことだな。俺も居るんだぞ? ゴーッ!ブレイカーァァアアッ!!」

 

 ざんばら切りの髪を揺らし、ソードブレイカーを前方で十字に交差させたイサムが直と暴走体の間に割って入り、魔力を練り上げる。リンカーコアが唸りを上げて魔力を出力、顕現した力は圧倒的な破壊力を主に託す。

 

「いくぞ、ブレイカー!」

 

 イサムは叫ぶと同時に持ち手を180度回転させ刃を暴走体に向けて突き立てる。 それが真っ直ぐに突き進んできた暴走体に刺さる。確かな手ごたえ。

 

「うおぉおおおおおぉぉおぉぉおおお!!」

 

 火事場の馬鹿力にも等しいパワーで暴走体を持ち上げ上空へと放り投げると同時に、声を出来る限り張り上げての、なのはへのタイミング指示を叫ぶ。

 

「やれ、なのはぁッ!」

 

 暴走体は確かに見た。夜に似つかわしくない桜色の魔力が収束して、最後の力をためるところを。

 

 

 

 

『私たちの魔法は、確立された理論で成り立つプログラムです。どうやら貴女は魔力の大きさだけでなく、数字に強いところも魔法に相性がいいようです』

 

 自分の持っている杖、レイジングハートというらしい。頭の中に響く声でいろいろと教えてくれた。そうなのだろうか。だけど褒められているのだ。悪い気持ちになるはずがなかった。素直に嬉しい。

 

『私は祈祷型のシステムなので、基本的には貴女の意思で念じるだけで魔法を起動できますが、強力な魔法には呪文が必要です。貴女だけの呪文が』

 

 呪文・・・?私に、できるの?いや、できる。やらなくちゃいけない。友達が戦っているのだ。

 レイジングハートを一直線、真正面に構える。暴走体が直君めがけて突撃してくるけど、イサム君がそれを防いで打ち上げる。

 

「やれ、なのはぁッ!」

 

 なのはのその小動物のように愛らしく、宝石のような輝きを持つ双眼が暴走体を睨み付ける。真っ直ぐに。すでにその瞳に迷いはない。

 その目に宿る光は戦士のものに限りなく近いが、すこし違う。それは今やるべきことをはっきりと感じ取り、それを果たそうとする勇士の眼光。

 

「リリカル、マジカル!」

 

 自然と浮かんできた言葉。自分だけの呪文。

 

『封印すべきは、忌まわしき器。ジュエルシードです』

 

 わかったよ、レイジングハート。

 

「ジュエルシード、封印!」

 

 レイジングハートの先端に桜色の光が集まる。あとで聞いたら、これが私の魔法の光らしい。

 光が幾重もの縄になって、暴走体へと突き進み縛り上げる。その額に浮かぶ・・・これは数字? 読める。読むことができる。レイジングハートが教えてくれる。

 

「ジュエルシード、シリアルXXI(21)! 封印!!」

 

 瞬く光の縄が縛り上げた状態で、幾つもの刃や杭となって暴走体に突き刺さる。

 

 

 

 

 

 

 封印魔法の光が消えたあと、残っていたのは暴走体の本体であるジュエルシードだけだった。ジュエルシードは綺麗な宝石の見た目をしている。これがあんなに危ないものだとは思えなかった。

 なのはは無意識のうちにその不可思議な宝石にレイジングハートを近づける。するとレイジングハートの三日月型のフレームに包まれた赤い宝玉にジュエルシードが吸い込まれる。どうやらこれで完全に封印できたようだ。

 

「ふう。どうなることかと思ったよ・・・ウェントス、ありがと」

 

『了解です。お疲れ様でした、マスタ』

 

 直の言葉に呼応するように、どこからか優しげな声が聞こえて、直の不思議な服、バリアジャケットというそれが、光になって消える。

 あとは学校の制服を着たままの直が居た。

 なんでこんな夜に制服を着てるんだろう。という疑問をなのはは抱くが、直はすっかり疲れきった様子で眼は据わって、肩をがっくりと落としているのが笑いを誘ってしまう。

 

「やれやれ・・・疲れたぁ・・・!」

 対するイサムはバリアジャケットを解いて、赤のセーターに動きやすいジャージの格好になると同時に地面に座り込んでしまった。

 どうやら私も解除したほうがいいらしいみたい。となのはが思ったところでレイジングハートが解除したため、普段どおりの姿に戻る。

 

 

「あ、ありがとう・・・」

 フェレットはそう言うと同時に倒れてしまった。なのはが慌てて抱えるが、どうやら気絶しているだけのようだ。

 

 

とすると、そこへ聞こえてくるのは悪魔の嘲笑。魔王の警鐘であり、破壊神の呼び声たる笛の音だ。

 

 

――ファンファンファン・・・

 

 合成された連続するサイレンが危険が迫ることを知らせる。

 

「・・・サイレンだね」

「ああ。パトカーのサイレンだな」

 

 直とイサムの表情が凍る。なのはもカチコチに固まっている。

 三人は周りを見回す。倒れた電柱、砕けたブロック塀。空はようやく普通の夜空に戻っている。この光景に対して「ここはなんだ、世紀末か?」と聞かれたら「間違いない、世紀末だ」と答えるしかない。

 

「もしかして私たち・・・ここに居ると大変アレなのでは・・・!?」

「に、逃げよう、俺たちは海鳴市の平和を守ったんだから。ね!? なのは、フェレットさんを拾ってこっちへ逃げるよ!」

「二人共、ちょっとまて!久しぶりに俺は疲れたぞ、主に気疲れで!!」

 

 蜘蛛の子を散らすがごとく、元から決めていたわけでもないのに三人とフェレット一匹は少し離れた公園へと逃げ込む。

 

 逃げた先の公園で、運動が得意ではないなのはは、ベンチに座り込み激しく息を切らして肩を上下させる。 対する直とイサムはそれなりに動かし慣れているのでいくらか息が乱れている程度である。

 すると、なのはの膝の上で気絶していたフェレットが目を覚まし、開口一番「すみません」と言った。

 

「あ、起こしちゃった? ごめんね乱暴で。怪我は痛くない?」

 優しい声でなのはが問う。なのははとても優しく、小動物の彼にも慈愛の表情を浮かべる。そこでフェレットは答える

 

「怪我は平気です。もう、ほとんど治っているから・・・」

 

 フェレットは頭を振り、少し身震いをする。するとどういう魔法を使ったのか、器用なことに胴に巻いていた包帯が解けて、なのはの膝から地面に落ちる。

 

「本当だ、怪我の後がほとんど消えてる・・・」

「傷跡が本当にほとんど無い・・・。すごいな」

 なのはが持ち上げて傷跡を見ているのを、横から覗き込んだイサムが感嘆の声を出す。

 

「助けてくれたおかげで、残った魔力を効率的に治療に回せました」

 

「よくわからないけど、そうなんだ。ねぇ、私も、直君達もフェレットさんに自己紹介してないよね。してもいいかな?」

 

「え、あぁうん」

 

 フェレットが頷くとなのはは、一つえへん、と可愛らしく咳をして自己紹介をはじめる。

 

「私、高町なのは。小学校三年生。家族とか、仲良しの友達は"なのは"って呼ぶよ。次、直君」

 

「ん。俺は、風原直だよ。なのはと同じクラスでミッドチルダ式の魔導師なんだ。みんな"直"って呼ぶからそう呼んでくれると気楽かな。それでこっちがパートナーのウェントス・フォルティトゥード」

『ウェントス・フォルティトゥードです。よろしくお願いします』

 直はそう言って胸元のペンダントを軽く掲げる。クリスタルの部分がキラリと一光した。

 

 そして挨拶を終えた直は次を指名する。

「次イサムね」

「了解。俺は、日取イサム。まぁ俺も二人と同じでイサムって呼ばれるな。あと、デバイスはこんなゲテモノだがミッド式」

 イサムもまた胸元のペンダントを軽く掲げた。先程のブレードトンファーの刀身を模した形状をしている。

 

「僕は、ユーノ・スクライア。 スクライアは部族名だからユーノが名前です」

 それまでに倣い、ユーノも自己紹介をした。フェレットの体で、器用に頭を下げている

 

「ユーノ君か。かわいい名前だね」

 なのはが鈴のような可愛らしい声で笑った。

 

「フムン・・・?」

「どうしたのイサム?」

 イサムが握りこぶしを顎に当てて、すこし考えこむ仕草をした。疑問に思った直が問う。

「オールレンジデバイス・・・か、聞いたことあるぞ。確か、少数生産の高級デバイスだろう?」

「たしか正確には、高級デバイスというより、演算性能を強化しすぎて高価になってしまっただけのはずでしたが。あってますか?」

 イサムの発言に、少しユーノが訂正を入れる。

「うん。ユーノ・・・でいいよね。その通り。オールレンジデバイスも名前が知られてきたんだなぁ・・・うれしい」

 自ら手がけたも同然のオールレンジデバイスの知名度が上がっている事に直は朗らかに笑う。

 

 そんな中、フェレット改め、ユーノは頭を垂れる。

 

「すみません・・・僕はあなた達を、巻き込んでしまいました」

 心の底から申し訳なさそうに言葉を紡ぐユーノに呆気にとられた三人は、皆一様に首を横に振る

 

「あぁ、その・・・。えっと、たぶん。私平気だよ。ユーノ君怪我してるんだし、ここじゃなんだから私の家に行こう? 後のことはそれから。ね? 直君達からもいろいろ聞きたいけど・・・明日にしたほうが良いかな?」

 小首を傾げ、ユーノに問うたなのはに、直も軽く頷き同意する。

 

「そうしてくれたほうがありがたいよ。俺はもう疲れちゃったから事情説明はなのはの言うとおり、明日にして欲しいし・・・ふ、ぁ」

 

 そう言い切ったあとに、我慢していた欠伸を噛み殺して直は背伸びをする。本当に疲れているようだ。

 

 

「なら、おひらきにしましょうか。なのはは家族からの"事情聴取"とかあるだろ。な?」

 イサムもそれなりに疲れたようで、言葉の節にキレが無い。が、なのはにとっては少々痛いセリフが合った。

 

「にゃはは・・・」

 イサムの指摘になのはは空笑いをかえすしかない。とそこでなのはがふっと気づいて直とイサムに向き直る。

 

「あぁ、言い忘れちゃうところだった。直君もイサム君も助けてくれてありがとうっ!」

 朗らかな笑顔で礼を言われて気分を悪くする人間は居ない。直もイサムも笑顔で返す。

 

「どういたしまして。そりゃ助けるよ。 目の前でクラスメイトが襲われてるんだもん。ね、イサム?」

「ああ、当たり前だな。いたいけな少女が襲われていれば助けざるを得ないだろうよ、誰でもな」

 

 

 




 暴走体さんはテレビ版でも劇場版でも1ターンで封印されてたので、これでも全員にターンが回ってきたのは、頑張ったほうです。
 ユーノ君の出番が殆どレイハさんに取られてしまったのは、レイハさんなら描写がセリフだけで楽だったんです。ユーノ君は私も大好きです。出番削ってごめんなさい。

 ちなみにリリカルなのはFroceでソードブレイカーという篭手が出てくるのは知ってます。
「別に同じ名前のデバイスが出てきてもいいじゃない」というふうに考えてこの名前で決定しました。
元は現実の中世の武器の名前ですし、現実でも同じ名前のついた別の兵器とかもありますからね。
 私としては少年時代のバイブルのネタが出来なくなったので登場当初はガッカリしました。 あ、そっか。ヴォルフィードにすればいいんだった(マテ
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