艦隊これくしょん~鶴の慟哭~   作:エーデリカ

11 / 71
とりあえず名前しか出してなかった龍驤と朝雲を出しました。
イベント前に一区切りをつけたかったので。

朝雲に帽子ぃ?という方。
朝雲と帽子の件はオカルトっぽい話ですね。
「朝雲 エラー」と打てば、多分出てきます。

4/17追記:一章-8の一部を移動。各艦娘のオムニバスでまとめ直しました。


一章-9 明日はメンテのち、猫が降るでしょう

「……で逃げてきた訳だ。提督」

「いつもスマン」

 

 幌筵泊地から付き合いの長い巡洋艦組、北上はどうせそんな事だろうと思ったと呟く。

 

 明石の話が長くなりそうな時は、執務室よりも避難するには此処と決まっている。

 

「提督っていつも口調が丁寧なのに、地が出ると”自分”じゃなくて“俺”って言うもんねー。“お前ら”とかお偉いさんの前じゃ言わないもん」

 

 それだけ私らが信頼されてるってのは、嬉しいけどねと北上。

 

 北上。意識して抑えてはいるんだ。同期の前とかでは普通に地で話すけどさ。

 

「最初から俺で良いじゃないの?前に立つはずの提督なら胸を張っていいと思う」

 

 少なくとも、足柄や摩耶の方が絶対に男前だよ―とは口が割いても言えない。

 

「でも、そんなやわな甲板で叩き斬れるの?」

 

 そんなバトルマニアは足柄。でもお前なら素手で殴りに行くんじゃないのか?

 

「当たり前じゃない!勝利はこの手で掴むのよ!」

 

 だめだ、藪蛇だコレ。うちの艦隊は誰もかしこも、一癖二癖はあるからな……。

 

 それにしても改大鳳型航空母艦。いくら未完成のものだからって、改造しまくると艤装も怒るんじゃないだろうか。

 

「なら足に魚雷発射管付けちゃいましょーよ」

 

 なんかもうフルアーマー景鶴みたいになってるぞ、それ。

 

「飯田大尉には済まない事をしたな……」

 

 お前が送ってきた艤装。申し訳ないが、マッド・メカニックの手に渡ってしまったのだが……せっかくの艤装が壊れない事を、切に願っている。

 

 

 

 

 

「……で今度はウチの所に来た、ちゅーわけか」

「いや、だって神様に戦闘狂だろ。碌な意見が出ない事は最初から知ってたさ」

 

 景鶴とかつて交流があった龍驤なら、あいつらを止められるかなと思ったんだが……。

 

 ジッポライターで葉巻に火を点けた、龍驤の溜め息と共に紫煙が空に向かう。

 

 中佐も一服どうや?嗜好品が限られるこの世の中。最前線にいるからという面もあるが、艦娘達には優遇されている面も多い。煙草や酒もその一つ。危険と隣り合わせの戦地では、こういったものだけは配給されやすい。

 

 逆をいえばそう言ったものに頼らねばならない程、追い詰められているという現状をも表しているのだろうか。

 

 正直に言おう――艦娘はともかくとして、提督には代わりは幾らでもいる。

 そんなこんなで、意外とブラック企業にも引けをとらない物なのだ。提督業というのは……。

 

「頼られるのは嬉しいけどなぁ、あいにく式神以外の事はさっぱりやわ」

 

 だろうな……。となると他に頼れるのは「ヴェー「ヴェルは論外だ」

 

「酷いじゃないか、司令官。まだ自分の名前しか言っていない」

「ヴェルが行くと悪化しそうだから却下!こういうの楽しむタイプだろ!」

 

 そうだね――そこで肯定するな、悪戯大好きっ子め。お前のその性格は篠華に似たんだろうが。

 

「まぁそういうのは、実際に副砲やら機銃やらを振り回す艦娘に、聞いた方がええんんちゃうか?」

「副砲っていっても使う事があるのは北上くらいだからな。重巡組の最近は主砲と偵察機による観測射撃の方が主流だろう?で、その北上は魚雷厨……ここまで言うが、察してくれ」

「甲標的と艦首魚雷の論者積やね。そりゃ、まったく参考にならんわ」

 

 機銃といえば摩耶の気もするが、まぁ何だかんだ言って、抑えに回ってくれるだろうから後でにしよう。まずは……。

 

 

 

 

 

「機銃の使い方ですか?」

「秋月は、噴進砲とかそこらを空母が積んだら使いこなせるかってどう思う?」

「対空ですね。やっぱり弾幕ですっ!」

 

 秋月は真面目な面が非常に強いのだが、摩耶いわく対空馬鹿(褒め言葉)な面も強い子でもある。

 

 ……ここでも聞く相手と対象を間違えた。話を逸らそう。

 

 12月にハイフォンから転属してきた艦娘。防空駆逐艦やらハリネズミだかと言われる秋月が昼食がてら、浜辺で竹皮に包まれた握り飯を食べつつ応えてくれた。

 

 監査が強行して入る程の酷い食生活だったらしいが、離島の食事はそこまで豪華という訳ではない。トラック泊地も例に漏れず、かなり質素な生活をしているのは確かだ。

 

 しかし、将官以上の人間を招く場にもなる為に、食材が揃っている事も多い。突然の来客に対して、もてなしを出来る最小限ではあるが。

 

 その為に賞味期限がやばそうな食材がある時は、その日の夕食だけが豪華だったりする。

 

 ……何かを忘れていたと思ったら、自分達の生命に関わる事だったのに気付いた。

 

「あ……っと。今日の食事当番は磯風だったっけ?ゴメン様子を見に行ってくれる秋月?」

 

 食事――磯風というキーワードにピクッと秋月が反応する。

 

「しょ……食材は私がお守り致します!」

 

 一目散に宿舎へ駆けて行った。

 

 許してくれ、磯風。君は食材で遊んでいるつもりがないのは知っているが、さすがに食べ物を粗末にしちゃいけないよ。

 

 

 

 

 

「おっす、提督。生きてるかー?」

「いや……結構難易度が高いんじゃないかと思ってきた。今回の明石の暴走を止めるのは」

 

 ウェークから転入されてきた摩耶は、あっちでも相当の経験を積んだらしい。うちの泊地でもВерныйと並び、エースとして活躍してきてくれている。

 

 自分としてもラフな性格の方が、付き合いやすいというのはある。摩耶もその一人だ。

 

「十分感謝してるよ、提督。ウェークじゃ、轟沈覚悟の特攻じみたまねが日常だったからな。まぁ“あの1件”以来は後任の司令官が、手を尽くしてくれたみたいで働きやすくなったようだけどよ」

 

 電や天龍達は、元気にしてっかなぁ――――そういう彼女も、かつての部隊の面々を懐かしみたいのがあるのだろう。

 

「私は同僚すら上司から守れなかった、腰抜けだからさ……提督には、期待してるんだぜ」

 

 摩耶の鋭い双眸が、東郷を視線で射抜く。

 

「少なくとも、轟沈上等な作戦をする気はないさ……俺は幽霊とか信じている人間だからな。夜中に枕元に現れて“よくも沈めたな”なんて言われたら、金縛りで動けなくなるわ」

 

 現に白夜の鐘で、味方を見捨てた指揮官が何を言っているのだか……。

 

 そんな事を言ってっから、軟弱に見えるんだよ提督――――摩耶の呟きには、苦笑で返した。

 

「そういえば、摩耶。機銃や高角砲の扱い……景鶴にレクチャーしてやってくれるか?」

「別に構わねぇけどよ。守る為の力……か。少しでも手伝えるんなら任せろ!」

 

 だって、ここは“守りの東郷”が率いてるんだからなっ。快活に笑う彼女に東郷は、制帽を深く被り直して視線を逸らすのだった。

 

 

 

 

 

 良く鎮守府や泊地に表れる“抜猫”という猫。なんでも、こいつが電子経路に悪戯する事が多いと言われている。

 

 被害を被った指揮官は艦娘とのリンクが途切れ、撤退を余儀なくされるケースも多々あるらしい。

 

 噂では、深海棲艦の送り込んだ、猫型のスパイなのでは?とまで言われている。そんな不吉の象徴の猫を追いかけていく艦娘に声をかける。

 

 うちの遠征部隊旗艦を務める朝雲だ、軽巡組はまだ遠出しているが、一足先に戻って来たらしい。というか何時帰ってくるんだ?あの娘らは……

 

 彼女も付き合いが長い艦娘であるが、“本当の意味”で司令と呼んでくれた事はないのだろう。元々は兄が率いていた艦娘で、ある1件以降に自分の艦隊で預かる事になっていた。

 

 正直に言うと、自分には手に余る子ではある。彼女が従っているのは自分の上司だからではなく、上司の弟だから仕方なくといった気がするのだ。

 

 それでも腕は確かであるし、信頼は置いているのだが。しかし彼女が自分と兄とを比べていると思ってしまうのは、我ながら仕方がないと考えている。

 

 ――――俺は、兄ほど優秀じゃない。

 

「朝雲、また帽子取られて鬼ごっこしているのか?」

「本ッ当、あいつは何で私の帽子ばっかり狙うのかしら?」

「もういっそ、帽子をあげたらどうなんだ?あれ私物だっけ?」

「支給品だから一度試してみたけど、御丁寧に翌朝返しに来たわ」

 

 意味不明な所で律儀だな、その猫。

 

「遊んで欲しんじゃないの?」

「でも、司令。コイツを野放しにすると危ないんでしょ?」

「まぁ、通称エラー猫って言われるくらいだからね」

 

 いわく抜猫が現れる時には、前兆があるらしい。一つは悪天候で通信に支障が出ている時。

 

 もう一つは……鎮守府と全泊地、基地の提督が一斉発起した時とも言われている。それは同時に、深海棲艦による予想外の強襲が行われている事も意味する。

 

 じゃあ、その猫は完全に真っ黒じゃないか?まさかね。

 

 ニャーという鳴き声。これから起こる何かを予見するような。そんな不吉なものだった。

 

 

 

 

 

 ―――結論を言おう。最善は尽くしたが、結局明石を止められなかった。

 

「背部サブアームに砲架型10cm連装高角砲と12cm30連装噴進砲。取り回しがしやすいよう25mm三連装機銃を左肩部の飛行甲板に。艦載機交換用のマガジンを甲板裏と腰部バインダーにマウント。これにより大鳳型一次改装と同等の搭載数を搭載可能。第一隊30機、第二、三隊24機、第四隊8機分、翔鶴型一次改装を超えました。推力機関は翔鶴型をベースにしましたが、背部主機の重量を極限まで削り速力は、翔鶴型と同等を維持。お待ちかねの携行型ライフルは、バリスタ型から砲身を変更。甲板部を延長し、バヨネットとして機能するように改良。近接戦闘もばっちりですっ!」

 

 どうだぁ!と言わんばかりの明石にパチパチと手を叩く。

 

 そして同時に、あぁやっちまった――と心の中で呟く。正直明石が何を言ってるか、さっぱり分からん。

 

 今は龍驤さんと演習中ですよ―との事。

 

「艤装が壊れてなくて、何よりだよ」

「私が壊すと、お思いですか?」

 

 プクーと頬を膨らませる明石。

 

「そういう訳じゃないけど、良くこの短期間で作ったと思うよ」

「まぁ景鶴さんの場合、義手と義足の分を考慮しないと。下手すると航行不能に陥りますからね」

 

 脚部装甲の足を覆う形を維持したのはその為ですし、視界の悪い左側をオートで迎撃する機能まで付けましたからね。

 

 まぁ、そうなるな。

 

 今まで作った艤装の中でも、最高傑作ですよ!その性能ゆえに、秋月や摩耶が“役割を取られた”と抗議しに来るのは、また別の話。




スペック説明長っ!?これで何とか瑞鶴の戦線復帰が見込めますね。

明日から冬イベ(明日ログイン出来るとは、言っていない)ですね。
第二章 迎撃!トラック泊地強襲編 は間章-1 冬イベ~のような、ギャグパートになりそうです。
この泊地にいない艦娘ばかり出てきそうな気がしますが、そこはどうにかします。
イベントに挑む都合上、2月7日以降の更新は絶望的な可能性が高いです。

読んで下さる方、気長にお待ち頂ければと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。