空母オバサンの所を無傷で通過したら猫りました。あと一隻だけなのに(泣
とりあえず遠征これくしょんするので、しばらくは筆が進みそうです。
I have control.とI trust you.で反応する方。
趣味が合いそうですね(笑
―――提督さん。なんでそんな事をしてまで、私を助けるのよ
「ヴェル。あなた分かってて、黙認してたの!?」
「秘書艦だから、当然じゃないか。最終的に司令官が判断した事だ。命令に従うだけだよ」
それでも納得出来ない私にヴェルは呆れた―と呟く。それこそ氷のような冷たい目で。
「何か勘違いしているね。瑞鶴。私達は軍人であり兵器だ。そこに一切の私情は挟んじゃいけない」
艤装の魂とは、工廠妖精が大戦中の艦艇からサルベージしたものだ―そう前置きをし
「Верныйの経歴は知っているかな?響として大戦後まで生存したわずかな艦だ。ソ連へ譲渡され、最後には標的艦として生涯を終えたんだ」
でもね、それは幸せだけじゃないんだ。瑞鶴。
「“生き残る”って言うのは、何よりも辛いことなんだよ。身の回りの物全てが、自分より先に消えてなくなるんだ」
「私の艤装Верныйは囁くんだ、こんな事はたくさんだ“もういい早く殺してくれ”ってね」
艤装にはそれぞれ艦艇の記憶を持っている。今の私の艤装に記憶はないけれど、瑞鶴として横須賀にいた時は“彼女”には世話になったものだ。
そもそも艤装に惹かれて艦娘として適合するのは、この記憶が一番影響する。艤装に認めた者だけに、艤装は力を貸すのだ。
「幌筵泊地に配属されて最初の戦闘。あの時司令官の指揮がなかったら、今頃私は水底にいるだろうね」
―――また一度、死に損なったんだ。救われた命は、彼の為に使うと決めたんだ。
「だから私は司令官の為になら死ねる。例え司令官の選択が間違っていても、それに最後まで尽くすんだ」
―――瑞鶴は司令官が、なんで君にそこまで固執したと思う?という問いに対して首を横に振る。
分かってたら、あなたに聞きに来てないわよ
どうやら顔には出ていたらしい。Верныйが続ける。
「君と同じで、私と司令官も今まで結構無茶な作戦をやってきたんだ」
「じゃあ聞くよ。瑞鶴は、命令で死ね―と言われてその通りにするかい?」
いくら提督さんに恩はあっても、私には出来ないと思う。例え瑞鶴として “生き残るという因果”を記憶から植えつけられていたとしても、私自身が思う―――私はまだ死ねない。
「そうだね、それが君と私達との最大の違いなんだ・・・。最後まで、生き残る覚悟があるかどうかがね」
「だから司令官は、君を助ける事を選んだ。きっとそれが残していく仲間を守ってくれるってね。君を艦隊の最後の保険にしたかったんだよ」
酷い話だよね、Верныйは―そう自嘲する。
ポツリ、ポツリ、とヴェルと話をした。
駆逐艦響として彼女が姉妹艦より先に竣工し、提督さんと二人で戦い続けた事。
私の知らない幌筵泊地での、龍驤さん達との話。
姉妹艦の艤装が全て完成した時。それにあわせて、響として戦い続けた相棒と別れた事。
Верныйとして提督さんを支える事に、後悔はない事。
他にも色んな話をした。
瑞鶴は何かある?という問いに対して、私は分からないと答える。
横須賀で加賀さんに絞られた事。次は負けないと奮起した事。
赤城さんの買い食いに門限まで、付き合わされた事。
二航戦の先輩に連れられた時にはロクな事がなかった事。
血は繋がっていないけれど、ほんの少しの間だけ翔鶴姉の妹になれた事。
―――そっか、気付かなかったな。あそこにいた私は、もういないんだ。
今頃翔鶴姉の妹さんが、加賀さんに指導されてるかな?
あの人の事だから、きっとスパルタなんだろうな。簡単に想像出来る。
そう思うと不思議と笑いが出てきた―――同時に涙も。
瑞鶴はあそこにいるのだ。艤装としてだけでなく、その魂。そして、皆との記憶と思いでも横須賀にあるのだ。
―――そこに、私はいないんだ
ごめん、ヴェル。ちょっと寄りかかって良いかな?ちょっとだけ。
あぁ構わない。そう返してくる。
泣きじゃくる私にヴェルは、ただただ付き合ってくれた。
そんな私が落ち着いた頃、ヴェルがハッと顔を上げる。
どうしたの?今日の食事当番は磯風だっけ?という私の軽口に対して、ヴェルは真剣な表情を崩さなかった。
「―――聞こえるんだ、嫌な音だよ。まるで艦載機の唸るような羽音が」
それと同時にヴェルの端末がコールされる。
「ヴェルか?今どこにいる?」
提督さんの珍しく焦った声。
『―――同期に言われた事が何か引っかかる。龍驤を連れて沖まで哨戒に出てくれ。最悪航空戦の可能性もある。あぁでも龍驤は今、入渠中か!?』
唸る提督さんに対して、ヴェルが返答する。
「大丈夫だ司令官、瑞鶴がいる。彼女を連れて行けば問題ないね」
ちょっと、私の事無視して話を進めてない!?
『―――直ぐに出撃してくれ。青葉の奴が気になる。何事もなかったら戻ればいい』
それでも間に合わない、なんて事にはさせたくない―そういって通信は切られた。
そういえば、提督さんの指揮で、戦場に出た事はまだない。
どんな指揮なの?という私の問いに対してヴェルは「世界が変わる」と答えた。
―――いたっ。青葉さん。
深い霧だけど、電探に感あり。身動きが取れないのか、回避しきれていないようだ。
『―――瑞鶴。紫電改二を飛ばしてくれ。コントロールを回して。あとは僕がやる』
戦術リンク中の提督さんから声が掛かる。
この濃霧での発艦は自殺行為かも知れないが、命令は命令。意味がなかったらボーキサイトが吹き飛ぶだけだ。
第一次航空隊、発艦始めっ!私の威勢と共に、ライフルから艦載機が飛び立っていく。
紫電隊が交戦距離に入った時。既に敵の艦載機から爆撃が行われていた。
「間に合わないっ。提督さん!」
私の叫びに対して、提督さんは冷静だった。―――I have control. Ready?
コントロールされた24機の紫電隊は着実に、迫りくる艦載機を落とし、敵の攻撃を阻害する。
挙句の果てには落下する爆弾に対して急降下、機銃を放ち離脱するなんて芸当も始めた。
ちょっと待って!?この人いったい何者!?
『―――これでも、全然駄目だよ。もっと恐ろしいエースが国連海軍にはいる』
これでもっ―て。その人って本当に人間!?
驚愕に対して、提督さんの返答は一言。
『―――あれは人間じゃない(笑』
この濃霧の中、紫電改二を一個小隊だけで制空圏を優勢まで取り戻す。
すごい―感嘆の声がもれた。その油断が命取りになる。
『―――瑞鶴っ!回避怠るな!』
提督さんの叱責に、操縦技術に気を取られていた私は、我に返る。
直掩隊が間に合わないっ。焦る私に対して敵機が迫る。
それを阻んだのはピンポイントの狙撃だった。
10cm連装高角砲を構えたВерныйが、戦場に躍り出る。
「不死鳥の名は、伊達じゃない」
不敵に笑う子鬼が、戦場を翔ける。
二人の鬼神は、圧倒的劣勢を覆す。
さて久しぶりに、ヴェルちゃんの出番です。
アニメ6話もかわいかったです。
響が普通にしゃべってて、残念だったと思う人もいるはず(オイ
正直ミリタリ関係はにわかです。
I have control.とは、複座式の戦闘機で使われる用語だそうですね。
操縦を代わる際の、権限を確認する為のコールだとの事。
今回は提督と艦娘の両方が、操縦権限を持つ事から使わせて頂きました。
誰か詳しい方、詳細を教えて頂けると助かります。