艦隊これくしょん~鶴の慟哭~   作:エーデリカ

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ついに燃料と弾薬が尽きました。

空母オバサンの所を無傷で通過したら猫りました。あと一隻だけなのに(泣

とりあえず遠征これくしょんするので、しばらくは筆が進みそうです。



I have control.とI trust you.で反応する方。

趣味が合いそうですね(笑


二章-5 I trust you, my admiral.

―――提督さん。なんでそんな事をしてまで、私を助けるのよ

 

 

 

 

 

「ヴェル。あなた分かってて、黙認してたの!?」

 

「秘書艦だから、当然じゃないか。最終的に司令官が判断した事だ。命令に従うだけだよ」

 

それでも納得出来ない私にヴェルは呆れた―と呟く。それこそ氷のような冷たい目で。

 

「何か勘違いしているね。瑞鶴。私達は軍人であり兵器だ。そこに一切の私情は挟んじゃいけない」

 

艤装の魂とは、工廠妖精が大戦中の艦艇からサルベージしたものだ―そう前置きをし

 

「Верныйの経歴は知っているかな?響として大戦後まで生存したわずかな艦だ。ソ連へ譲渡され、最後には標的艦として生涯を終えたんだ」

 

でもね、それは幸せだけじゃないんだ。瑞鶴。

 

「“生き残る”って言うのは、何よりも辛いことなんだよ。身の回りの物全てが、自分より先に消えてなくなるんだ」

 

「私の艤装Верныйは囁くんだ、こんな事はたくさんだ“もういい早く殺してくれ”ってね」

 

艤装にはそれぞれ艦艇の記憶を持っている。今の私の艤装に記憶はないけれど、瑞鶴として横須賀にいた時は“彼女”には世話になったものだ。

 

そもそも艤装に惹かれて艦娘として適合するのは、この記憶が一番影響する。艤装に認めた者だけに、艤装は力を貸すのだ。

 

「幌筵泊地に配属されて最初の戦闘。あの時司令官の指揮がなかったら、今頃私は水底にいるだろうね」

 

―――また一度、死に損なったんだ。救われた命は、彼の為に使うと決めたんだ。

 

「だから私は司令官の為になら死ねる。例え司令官の選択が間違っていても、それに最後まで尽くすんだ」

 

―――瑞鶴は司令官が、なんで君にそこまで固執したと思う?という問いに対して首を横に振る。

 

分かってたら、あなたに聞きに来てないわよ

 

どうやら顔には出ていたらしい。Верныйが続ける。

 

「君と同じで、私と司令官も今まで結構無茶な作戦をやってきたんだ」

 

 

 

 

 

「じゃあ聞くよ。瑞鶴は、命令で死ね―と言われてその通りにするかい?」

 

いくら提督さんに恩はあっても、私には出来ないと思う。例え瑞鶴として “生き残るという因果”を記憶から植えつけられていたとしても、私自身が思う―――私はまだ死ねない。

 

「そうだね、それが君と私達との最大の違いなんだ・・・。最後まで、生き残る覚悟があるかどうかがね」

 

「だから司令官は、君を助ける事を選んだ。きっとそれが残していく仲間を守ってくれるってね。君を艦隊の最後の保険にしたかったんだよ」

 

酷い話だよね、Верныйは―そう自嘲する。

 

 

 

 

 

ポツリ、ポツリ、とヴェルと話をした。

 

駆逐艦響として彼女が姉妹艦より先に竣工し、提督さんと二人で戦い続けた事。

 

私の知らない幌筵泊地での、龍驤さん達との話。

 

姉妹艦の艤装が全て完成した時。それにあわせて、響として戦い続けた相棒と別れた事。

 

Верныйとして提督さんを支える事に、後悔はない事。

 

他にも色んな話をした。

 

 

 

瑞鶴は何かある?という問いに対して、私は分からないと答える。

 

横須賀で加賀さんに絞られた事。次は負けないと奮起した事。

 

赤城さんの買い食いに門限まで、付き合わされた事。

 

二航戦の先輩に連れられた時にはロクな事がなかった事。

 

血は繋がっていないけれど、ほんの少しの間だけ翔鶴姉の妹になれた事。

 

―――そっか、気付かなかったな。あそこにいた私は、もういないんだ。

 

今頃翔鶴姉の妹さんが、加賀さんに指導されてるかな?

 

あの人の事だから、きっとスパルタなんだろうな。簡単に想像出来る。

 

そう思うと不思議と笑いが出てきた―――同時に涙も。

 

瑞鶴はあそこにいるのだ。艤装としてだけでなく、その魂。そして、皆との記憶と思いでも横須賀にあるのだ。

 

―――そこに、私はいないんだ

 

ごめん、ヴェル。ちょっと寄りかかって良いかな?ちょっとだけ。

 

あぁ構わない。そう返してくる。

 

泣きじゃくる私にヴェルは、ただただ付き合ってくれた。

 

 

 

 

 

そんな私が落ち着いた頃、ヴェルがハッと顔を上げる。

 

どうしたの?今日の食事当番は磯風だっけ?という私の軽口に対して、ヴェルは真剣な表情を崩さなかった。

 

「―――聞こえるんだ、嫌な音だよ。まるで艦載機の唸るような羽音が」

 

それと同時にヴェルの端末がコールされる。

 

「ヴェルか?今どこにいる?」

 

提督さんの珍しく焦った声。

 

『―――同期に言われた事が何か引っかかる。龍驤を連れて沖まで哨戒に出てくれ。最悪航空戦の可能性もある。あぁでも龍驤は今、入渠中か!?』

 

唸る提督さんに対して、ヴェルが返答する。

 

「大丈夫だ司令官、瑞鶴がいる。彼女を連れて行けば問題ないね」

 

ちょっと、私の事無視して話を進めてない!?

 

『―――直ぐに出撃してくれ。青葉の奴が気になる。何事もなかったら戻ればいい』

 

それでも間に合わない、なんて事にはさせたくない―そういって通信は切られた。

 

 

 

 

 

そういえば、提督さんの指揮で、戦場に出た事はまだない。

 

どんな指揮なの?という私の問いに対してヴェルは「世界が変わる」と答えた。

 

―――いたっ。青葉さん。

 

深い霧だけど、電探に感あり。身動きが取れないのか、回避しきれていないようだ。

 

『―――瑞鶴。紫電改二を飛ばしてくれ。コントロールを回して。あとは僕がやる』

 

戦術リンク中の提督さんから声が掛かる。

 

この濃霧での発艦は自殺行為かも知れないが、命令は命令。意味がなかったらボーキサイトが吹き飛ぶだけだ。

 

第一次航空隊、発艦始めっ!私の威勢と共に、ライフルから艦載機が飛び立っていく。

 

紫電隊が交戦距離に入った時。既に敵の艦載機から爆撃が行われていた。

 

「間に合わないっ。提督さん!」

 

私の叫びに対して、提督さんは冷静だった。―――I have control. Ready?

 

コントロールされた24機の紫電隊は着実に、迫りくる艦載機を落とし、敵の攻撃を阻害する。

 

挙句の果てには落下する爆弾に対して急降下、機銃を放ち離脱するなんて芸当も始めた。

 

ちょっと待って!?この人いったい何者!?

 

『―――これでも、全然駄目だよ。もっと恐ろしいエースが国連海軍にはいる』

 

これでもっ―て。その人って本当に人間!?

 

驚愕に対して、提督さんの返答は一言。

 

『―――あれは人間じゃない(笑』

 

この濃霧の中、紫電改二を一個小隊だけで制空圏を優勢まで取り戻す。

 

すごい―感嘆の声がもれた。その油断が命取りになる。

 

『―――瑞鶴っ!回避怠るな!』

 

提督さんの叱責に、操縦技術に気を取られていた私は、我に返る。

 

直掩隊が間に合わないっ。焦る私に対して敵機が迫る。

 

それを阻んだのはピンポイントの狙撃だった。

 

10cm連装高角砲を構えたВерныйが、戦場に躍り出る。

 

「不死鳥の名は、伊達じゃない」

 

不敵に笑う子鬼が、戦場を翔ける。

 

 

 

 

 

 

二人の鬼神は、圧倒的劣勢を覆す。




さて久しぶりに、ヴェルちゃんの出番です。

アニメ6話もかわいかったです。

響が普通にしゃべってて、残念だったと思う人もいるはず(オイ



正直ミリタリ関係はにわかです。

I have control.とは、複座式の戦闘機で使われる用語だそうですね。
操縦を代わる際の、権限を確認する為のコールだとの事。

今回は提督と艦娘の両方が、操縦権限を持つ事から使わせて頂きました。



誰か詳しい方、詳細を教えて頂けると助かります。
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