艦隊これくしょん~鶴の慟哭~   作:エーデリカ

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皆さん、冬イベお疲れ様でした。
作者は海色のE5アレンジがトラウマになりました。
良い曲だけど、心が折れる音がする。

筆が全然進みませんが、一応更新です。
理想郷ネットワークやMI撤退戦の話は、オーバードライヴ様の啓開の鏑矢を、ご参照下さい。

Ready?と聞いてGet Ride!と返してくれる方。アムエネルギーに満ち満ちていると思います。


二章-9 Ready?

「司令官?入るよ」

 

夜が明けようという頃、ウェーク島の執務室の戸を叩く音に、思考を巡らせていた月刀の意識は中断された。

 

「どうした、響?あと2時間もすれば、作戦開始予定時刻だが」

「……高峰中佐達との会話。電から聞かせて貰った」

 

図ったな、高峰。未来の即応打撃群の総旗艦には筒抜けにしていたらしい。

 

「今回の突破作戦で、スターダストの使用を要請する」

 

電から言われるだろう事は予想していた。その言葉に月刀は、さっきまで目を通していた印刷資料に目を落とす。

 

スターダスト=STrategic sea ARea Domination Unit SysTem(海域掌握用戦略システム)は、人間の士官が艦娘に積極的に干渉していくシステム=理想郷ネットワークという構想を元に作られている。

戦術リンク中の情報処理演算。司令官が艦娘のサブパイロットとして干渉し、より強固なリンクを必要とされたが為の追加艤装である。

 

勿論メリットばかりではない。本来戦場を俯瞰し司令塔になるべき指揮官が、一人の艦娘に対して注意を割くのである。また、艦娘の痛覚もフィードバックされ、その衝撃で意識を失う恐れもある。被弾すれば指揮系統の混乱も招く、まさに諸刃の剣である。

 

ポセイドンインダストリー社は、この問題を解決すべく艦娘に自身を守る盾と足を授けた。

艤装耐久値の使用限界まで負担をかけ、攻撃を回避する為の強襲用推進スラスター。自身やリンクを同調している司令官が操る6基のシールドビット。打たれ弱くなるならば、装甲と回避で補うという結論に落ち着いた。

 

戦場を翔け、全てを星屑のように置き去りする――そんな洒落で付けられた名前がSTARDUSTシステム。

だが月刀には、使用者が流星の様に燃え尽きてしまうような――不吉なイメージがよぎっていた。

 

「トラック泊地にいるのは、司令官の友人なんだろう?」

「……ただの同期だ。危険と分かってて、お前達にスターダストを使わせる程じゃない」

「でも、司令官が単騎で輸送するって言ってたよね?」

「泊地を救う為には当然だろう。あそこが落ちれば補給ルートだって、ここウェーク島にも影響する」

 

響は手の掛かる司令官だな――やれやれと手を左右に振る。

 

「私達の為だけじゃないよね、司令官。電が嫉妬してたよ。『東郷中佐の話をしていた時に嬉しそうだった』って。大事なんだろう、共に戦ってきた仲間が。なら助けるのに、理由なんかいらないじゃないか」

「……電にスターダストは使わせない。試運転すら済んでいないんだ。何もこんな時に使うべきじゃない」

「そうだね。だから、私が使ってトラックに行くんだ」

 

ギョッとする月刀を尻目に、響は続ける。

 

「Верныйって艦娘がいるって聞いたんだ。私が響という艤装を使って戦えるのも、彼女が戦い続けてくれたおかげなんだろう?私はその力で、司令官の矛となり盾となれたんだ。なら今度は私の番だ、彼女を救う力が欲しい。手を貸してくれないか」

 

その為のSTARDUSTシステムか――と月刀は呟く。

 

「勿論、司令官にも同調事故の危険を背負って貰う事になる。無理にとは言わない。でも力が必要なら、その力を振るえる人がやるべきだ」

 

どうだい?響の問いに対して月刀の答えは決まっている。前線に立つ部下が覚悟を決めている。ならば、指揮官としてその信頼に応えなければならない。

 

 

 

 

 

執務室に朝日が差し込む頃、ウェーク基地の艦娘が整列する。

 

「皆聞いてくれ。少し俺達の我儘につきあって欲しい」

 

月刀の声に、艦娘達は耳を傾ける。

 

「今回の作戦は強襲されているトラック泊地の救援、及び周囲をジャミングしている環礁棲鬼の撃破にある。現状、杉田の鷹の目が使えない状態だ。大和、武蔵の支援砲撃を有効にする事――それが第一目標だ。というよりも、使えなきゃ勝てないと見ている」

 

グレイハウンドで急行している杉田や支援艦隊が到着するのは、早くても今日の夜。それまでに環礁棲鬼のジャミングをどうにかする必要がある。

 

「電を旗艦に天龍、龍田、暁、雷の水雷戦隊で索敵範囲の影になる、ミクロネシア本島東側から強襲する。大鳳、龍鳳は航空支援。睦月、如月は護衛を頼む」

 

「でもしれーかん。響はどうするの?」

 

雷の問いに対して、月刀は続ける。

 

「第二目標のチューク諸島突破戦は、俺と響でいく」

 

あぁ、やっぱりという艦娘達の反応。様子を見ると、電は全員にブリーフィングの内容ばらしたな、これは。

 

「司令官さん、ごめんなさい。でも電達は司令官さんのお友達を助けたいのです」

「何言ってるの?しれーかんの友達の為でしょ。雷達に任せなさいっ!」

「俺らがその為に、支えてやるだけだ司令官。ちびっ子どもの引率は任せろ」

「あっ、暁だって背は伸びてるんだし、ちびっ子言うなー!」

「天龍ちゃんが、そう言うなら行くしかないわよねー」

「月刀航空隊の名にかけて、必ず勝利してきます!」

「そ……そうですね(月刀大佐の名前を冠すると重すぎる)私の航空隊の力、お見せしたいと思います」

「提督のためなら、睦月達はいつでもいけるよっ」

「司令官ったら水臭いんだから。友情の為なら、全てをなげうってでも行くべきでしょ?」

「司令官……御覧の通りだ。揃いも揃って月刀艦隊はこんなだからね。少しと言わずに、我儘に付き合ってくれるさ」

 

だからご命令を、司令――部下の期待には応えなければならないな。

 

「……本当に、良いんだな。厳しい戦いになる」

 

言葉に対して艦娘達は頷き返す。

 

「悪いが付き合ってくれ」

 

 

 

 

 

「で、どうする気だ司令官?一筋縄じゃいかねえんだろ?」

「まるでMI撤退戦みたいねー」

「だがあの時よりも簡単か、難しいかすらも分からない。敵の数すらジャミングのせいで把握出来ていないからな」

 

だからこそ、最優先に環礁棲鬼を無効化すべきだ。

 

「俺は杉田達グレイハウンドと空中管制だ。ウェークの距離からじゃ通信が届くかも分からない。直接泊地に乗りつける。響はジャミングが解除されたたら、新装備のスターダストを使って合流。ここまでで質問は?」

 

新装備という言葉に、目を輝かせている何人かを除いては問題なさそうだ。

今度はアンツ環礁の方だな――

 

「確かに環礁棲鬼のジャミングは脅威だ。だがアレ自身の索敵能力だって、山の反対側までは見えないだろうさ」

「だから敵が集中していない、ミクロネシアの東側から回り込む訳ね」

「ん、誰が回り込むって言った?」

「艦娘は海を走れるんだから、当然じゃないのっ」

 

暁達の疑問はもっともだ。だが、彼女達は艦艇ではなく人型である。

 

「別に艦娘だからって訳じゃない。グレイハウンドと言えば覚えがあるか?」

「まさか、また空輸されるって訳!?」

「横須賀の艤研から、新装備を届けに来た輸送機がある。腕は確かだし、作戦海域まではお安い御用だ――と言ってくれたよ」

 

だが、あくまで作戦海域の手前までだ。

 

「なぁ、司令官。島を回り込まないってどういう事だよ。ティルトローターが俺らを島に下ろした後は、島の中を歩けって言ってるのか?」

「海でもない、空でもない、陸でもない……どういう事?」

 

少し考えれば簡単な事だがな。それは――




こっちでもスターダストを早く使わせないと、啓開の鏑矢での出番が終わってしまう(汗

イベント終わったんで、なるべく早く更新したいです(早く更新するとは言ってない
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