艦隊これくしょん~鶴の慟哭~   作:エーデリカ

24 / 71
何だろう。書きたい話が、自分のイメージ通りに表せない。
瑞鶴の所をもっと伸ばしたかったけど、文章に書き起こせなくて変な風に。後で書き加えよう。

アニメ七話感想。
見えましたか、皆さん?えぇ見えましたとも(何がとは言わない

瑞鶴「吹雪はちょっとっていうか、かなり危なっかしいけどね」
東郷「お前が言うな。南方棲戦鬼にソロで挑む馬鹿が何処にいる」
ここにいます。

それではどうぞ。


二章-10 The die is cast

指揮系統の存在しない前線は地獄だ。摩耶にとって東郷は軟弱に見えるが、その指揮は高く評価している。スクランブルに慌てて艤装を背負い急行したものの、その東郷からの指示がまったくないのは普通じゃない。

 

「ったく。話し込むにしても、よりによってВерныйと瑞鶴を持っていくかよ」

 

この泊地の要は、指揮能力の高いВерныйと、航空戦力の中核瑞鶴だ。

 

「埒が明かないわねっ。ぼやいてる暇はないわよ、摩耶。敵を攪乱してくるから、北上と五十鈴、由良を借りるわよ」

 

トラック泊地には大口径主砲を搭載出来る艦娘はいない。だからこそ足柄達の兵装で戦艦クラスの撃破は難しい。だがそれでも向かわせなければ、敵の攻勢に押し負ける。

 

「龍驤!制空権確保出来ねえのか!?対空砲火があるとはいえ躱しきれねぇ!」

「直掩隊すら交戦中や。最初から全力尽くしとる!」

 

あんの猫型め――舌打ちする龍驤からの報告を聞きつつも歯噛みをする。

いくら場数を踏んでいる龍驤でも、物量に押し負けているこの戦況を変えられない。

 

「まずいっ」

 

弾幕をすり抜けた敵機が、再び泊地に爆弾を投下していく。木々は勿論、人工物の家屋が吹き飛ぶ。これ以上は捌ききれないが、それでも泊地を守らねばならない。

 

「摩耶さん!連装砲の砲身ストック、残り4本です!」

 

秋月の対空砲火も精一杯。空母ヲ級は確認しただけで9隻。

 

「ちっ、私も先行するっ」

「ちょっと、磯風!?対空砲火どうすんのよ!」

 

朝雲の制止を聞かず、業を煮やした磯風が突撃する。摩耶自身の三式弾の残りも僅か。そろそろ敵の頭数を減らさなきゃジリ貧だ――そう思っていた所だ。どうせ足掻くなら、少しでも道連れが多い方が良い。

 

「上手くやってくれよ、足柄」

 

戦友の無事を祈る、摩耶の願い。それは硝煙と共に、明け方の空に消えて行った。

 

 

 

 

 

瑞鶴が落ち着くのを、待とうか待たないかで考えていると。青葉からの通信が東郷に入る。

 

『――――結構盛大な花火が、宿舎で上がったような気がしますけど……無事ですか、東郷中佐?』

「結構……無事じゃないね」

 

正直、痛み止めが欲しいけど。現在執務室は、身の丈ほどある消火器を背負った妖精達によって、無事鎮火している。

 

「いやー とうごうちゅうさも ひあそびがだいすきなようで」

「しつむしつえんじょうとは なかなかやりますな」

「きっとずいかくさんをつれこんで いちゃいちゃしたのかと」

「ぜんきばくそう もくひょうしつむしつとは このことですな」

 

言いたいだけ言うのは大概にして欲しい。妖精どもよ、後で吊るすから覚えてろ。

こんな状況でも、自由気ままな妖精達気をとられていたら、目を離した隙にヴェルが蹲っている瑞鶴にチョップ。

 

「えい」

「イタッ」

 

おい、止めろ!折角落ち着いたのに、余計ややこしくしてどうする。

 

「悲劇のヒロインを気取るのも良いけど、私達は艦娘だ。せめて兵器としての役目を果たしてから、死ぬべきだと思う」

「……何それ。私を慰めてるつもりなの?」

「いや。瑞鶴で遊ぶのが楽しいから」

 

ニヤリと笑って言い切る様は子鬼そのものである。それも、ちょっかいを出す事に生き甲斐を見い出しているという、性根がアレだと来たものだ。やはりこの悪戯っ娘は、人に対する加虐性で満ちているんじゃないだろうか。

その一言で肩を震わせ。一度落ち着いて。そして再び肩を震わす瑞鶴。

 

「……ほんっと馬鹿馬鹿しい。自分が情けなくて、笑えてくるわね。私は何かあるたびに落ち込んでばっかり」

「それが、人間らしくて良いじゃないか。感情があって、泣いて喚いて。怒って笑って。少なくとも君は、ただの歯車として生きてないんじゃないかな」

 

Верныйは続ける。

 

「確かに私達は兵器だ。けれど人間として感情を持ち、艤装を背負い銃をとる。君の手に取った銃は誰の為にある?」

 

Верныйの問いに対して、瑞鶴は残った右目を真っ直ぐ向ける。

 

「そうね……私が、私であるため。艦娘として皆を守る為。それ以外に理由なんていらない!」

「……その目が見たかったんだよ、瑞鶴。迷う事があっても、突き進む勇気。私と司令官が諦めた生きる為の意志を、君は持っている」

 

でも、今は悩んでいる暇なんてないからね――だから行こう

 

「解決したとは思わないけど、再起動した?瑞鶴」

「お陰様で、提督さん。まだ、燻ってて複雑だけどね」

「司令官、作戦命令を。トラック泊地を守る為に、私達を導いてくれ」

 

皆さん、準備は良いみたいですね?と青葉の無線が入る。

ヴェルと瑞鶴は工廠の艤装の元へ走っていく。

 

「青葉。状況は?」

『――――泊地東側の戦況は膠着状態ですね。ついでに、現在ノーマークの西側から多数の軽巡・駆逐艦が接近中。止めなきゃヤバいですよ』

「僕はここから視る事しか出来ない。それでも君達への指揮だけなら出来る。西側の部隊を叩いてくれ。ヴェルと瑞鶴を頼むよ、青葉」

『――――青葉。哨戒任務から敵艦隊の足止めに、任務を更新します。頼りにしてますよ。白鴉の東郷中佐?』

 

一体何処で聞いたんだ。そんな古いあだ名は……。おそらく、上司の高峰あたりだろうが。

 

少し時間が掛かってしまったが、泊地としての機能は取り戻した。自分は指揮官として、彼女達の活躍に応えなければならない。

 

 

 

執務室が使えない今、情報通信室の機能を使うしかない。各艦娘から、リアルタイムで送られてくる信号が戦況図に示される。まずは、交戦中の旗艦に確認を取る。

 

「摩耶。聞こえるかい?」

『――――おせーぞクソ提督が。こっちは手が一杯だって言うのに』

「すまない、ようやく指示が出せるようになったから。軽巡駆逐は無視して良い。戦艦の主砲や、空母の笠を狙ってくれ。中破まで持ち込めれば、敵の攻勢は少しまともに出来る」

『――――出来りゃぁ、最初からやってる!あたしらは何年、提督の指示で生き延びたと思ってるんだ』

 

いやさっき遅いぞ、って言ったの摩耶様じゃん。いても戦術が変わらないなら、僕の意味はなくないか?

 

摩耶の指示は的確だった。しかし、分断され各個撃破されるのが、一番最悪のケースだ。持ち堪えてはいるが、非常に危ない綱渡りをしている気分になる。

 

「やっぱり、絶大な戦力差には意味がないね」

 

摩耶達の奮闘が無駄と言う訳ではない。しかし、物量に押され防衛に限っての効率は芳しくない状態だ。敵戦艦や空母に有効打を与えられず。水雷戦隊に囲まれ身動きが取れていない。敵の侵攻を食い止められていない状態。

 

普段の防衛戦なら、龍驤による航空隊と北上の甲標的で、装甲の薄い軽巡駆逐クラスを撃沈させるはずだ。数の優位を崩す事――これは彼女達も理解しているはずだ。

 

しかし、今回は航空戦力の差が5倍以上。制空権を確保出来ず、龍驤は防戦一方になった。前線に出るはずだった摩耶達は、敵艦載機の取りこぼしを対空砲火で迎撃。これで手が回らなくなり、戦艦・空母クラスに有効打を与えられなくなった原因になっているのだろう。

 

足柄達も奮闘しているが、中口径主砲しかない巡洋艦クラス。戦艦の装甲までは削りきれない。最善を尽くしたが、劣勢という状態だろう。

 

考えろ、考えるんだ。ここから負けない為には、彼女達をどう動かせば良い?

ただ悪戯に時間だけが過ぎていく。

 

『――――こちらВерный。敵艦隊を視認した。これより交戦する』

「了解、戦果を期待する」

 

頼んだぞ皆――無機質な機械に囲まれた通信室で、東郷は呟く。艦娘ではない自分は、本当に何も出来ない。歯噛みするしかなかった。

 

「瑞鶴、紫電隊を貸してくれ。――I have control.」

 

敵艦隊との戦いはまだ始まったばかりだ。これから消耗戦になる事も覚悟しなければならない。

 

 

 

 

 

「威勢良く飛び出した所で、様がないわね」

 

敵の砲撃で吹き飛んだ主砲を廃棄し、足柄は敵艦隊に向き直る。

 

「どてっ腹、打ち抜くよっと」

 

北上の雷撃が戦艦ル級を2隻沈める。

 

「軽巡が敵戦艦と殴りあうって、どういう状態よ!」

「やっぱり火力が足りないわね」

 

中口径主砲では、駆逐や軽巡クラスを抑えるのが限界だ。ましてや、とっくに夜も明けている。接近戦が真価を発揮する水雷戦隊、昼戦になれば空母や戦艦の攻撃は熾烈を極める。こちらは疲労が溜まる一方、あちらにはそんな概念がないかのように、無限に湧いてくる様だ。

 

一体どれくらいの時間がたっただろう。ひたすら敵の攻撃を耐え続ける。磯風の加入により、一人あたりの負担が減った事もあり。チャンスが来るのをひたすら待った。

 

その時は来た。艦載機を放出し尽くし、無防備なヲ級に雷跡が奔る。

 

「ヲ級3隻轟沈!」

「よくやったわ磯風!」

 

機動力で攪乱し、隙を突いての一撃。だが、明らかに無理をさせ過ぎている。汗が滝の様に流れている磯風。彼女の艤装も限界のようだ。

主機が悲鳴を上げる中、足柄も戦艦タ級に肉薄する。魚雷を打ち込んでの一撃離脱。頼みの綱の魚雷もあと僅か。

 

「本当に、どっから湧いてくるのかしらね。でも餓えた狼の底力、思い知ってから沈みなさい!」

 

敵部隊が気迫に怯み、交代を始める。だが、それを見逃すほど甘くない。

足柄は最後の最後まで――と、獲物に喰らいつく。

 

 

 

 

 

敵航空隊の第一波は切り抜けた。足柄達の戦果を聞き、摩耶はひとまず僚艦に確認を取る。

 

「……秋月、朝雲。無事か?」

「予備の機銃も、使い物にならないわ」

「演算しすぎて、頭が痛いです」

 

得意分野といえど、対空防御を一人で引き受けていたような秋月の負担が大きい。

うちの提督は一体何やってんだ――そう毒突いた所で、東郷からノイズ交じりの通信が入る。

 

『――――良く持ちこたえてくれた摩耶。全艦帰投してくれ。今ここで皆に轟沈される訳にはいかない』

「最初にこっちへの指示なしだったってのに、言ってくれるぜ。そういうВерныйと瑞鶴は何処で油売ってるんだ?」

『――――こっちは西側の敵部隊を、撃退し終わった所だ。そちらの戦況報告を頼むよ』

「足柄、磯風が大破。後は全員中破って所だな。主な戦果は戦艦と空母を3隻ずつ。そっちは?」

『――――敵水雷戦隊が2つ分くらいかな』

「よく言うな。こっちは駆逐軽巡なんか、沈めた数覚えてる暇なんかなかったぜ」

 

だが、一度は凌ぎ切った。ならば、何度でも守り続ける。

 

「おい、お前ら。帰投命令だ!とっとと風呂入って休むぞ」

 

疲労困憊な味方の返事。欠けていない事が有一の救いだろうか。

 

帰ろう。帰れば、また来られるからな――だったけか?

帰る先が戦場というのは、どういうもんか。けれど、まだ戦える。

覚えてろよ深海棲艦ども。この借りは必ず返すっ――そう誓って、摩耶はその場を後にした。




登場艦娘が多いと大変です。誰が誰の役割だか何とかの。

私の場合、場面転換で誤魔化してますが……。反省、反省。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。