ペーパードライバーだったはずが、ここ最近車に乗ってばっか……。
試しに、振り仮名機能を使ってみました。
ワードで普段下書きをしている物で、こういった特殊な使い方って慣れるまで時間が掛かりそうだな。
反撃のはずなのに、追い込まれている感がヤバい。
追記:いかん寝不足だ……ナンバリングが被ったorz
おまけに環礁棲鬼が何で出てきた……
それでは、どうぞ。
今でも、夢に見る事がある。私の司令は貴方だけなのだ……と。
それでも私は、今の司令と貴方を重ねて見てしまうのだと。
貴方がいなくなって、もうすぐ4年になってしまうのですか……見ていてくれますか、司令。
『――――機関部に浸水!ダメです……これ以上の作戦継続は困難です!』
『――――まぁ、そんな訳だ……。聞こえてるな?朝雲。ここでお別れだ……』
「司令!?まだ間に合います!今から、あきづきに向かいますからっ、司令を担いででも連れて帰しますから!」
『――――他に乗組員がいる中で、俺だけ尻尾撒いて逃げる訳にも行かねぇんだ。深海棲艦が固まってるこの海域だ……退艦したって、すぐに喰われるだけだ』
「それでもっ……生きて下さい!司令!」
『――――……幌筵から、俺の弟が来てる。賢しいあいつの事だ、まだこの海域でも生きてるはずだ。――中央コンピュータへ。516水雷戦隊司令、東郷颯少佐だ。特務艦あきづきの損傷により、作戦指揮継続が困難と判断される。よって駆逐艦朝雲及び随伴艦の指揮全権を562水雷戦隊司令補、東郷駈上級大尉に権限を委譲する――』
「そんな……司令!お願いです。私も最後まで、お供させて下さいっ!」
『――――朝霜!引きずってでも良い。朝雲を連れて離脱しろっ!悪いな……朝雲。最後に一つだけ良いか?……俺の名前……呼んでくれないか?』
「……はやて……さん」
――――頼りない弟だが、お前を生きて帰してくれるさ。じゃあな、後を任せた
彼のその言葉を最後に、北方の白けた空に閃光が奔る。
彼女の夢、その記憶はそこで途切れている。
結局返し損ねたロケットは、瑞鶴が首から提げる事になった。
秋月に返す訳にも行かないし、工廠になんか放置したらそれこそどうなるか分からない。
泊地も既に戦場になった今なら、むしろ艤装の防護機能を持つ瑞鶴自身が持つ方が安全だとも言える。
「だぁーからぁー。何で私の艤装が使えねぇんだよ。伏宮司令補!」
「馬鹿言ってんじゃねぇ。騙し騙し使ってきたお前の艤装だ。オーバーホールが必要だって時に主機に負担をかけ過ぎたんだ!今、コネクタを外して主砲や機銃だけでも撃てるようにする。最悪浮き放題での対空戦くらいは出来るようにしてやるから待ってろ!」
アタシを引っ込めて艦隊は大丈夫かぁ?摩耶の不安を他所に、明石は作業を再開する。
「命令は把握しているな。今回は朝雲を旗艦で戦闘を開始する。まぁ本陣でどっしり構える余裕がないから、1隻しか残せないのが仕方ないが」
虎の子のВерныйを前線に出すという事は、現場指揮の余裕がなくなる事も意味する。
幌筵時代から艦隊の中核を成している朝雲に旗艦とは適役と言える。
「瑞鶴と龍驤で航空隊を展開、北上の甲標的で頭数を減らす。後は好きなだけ暴れてこい足柄」
燃えてきたわ――といかにも闘志の塊な足柄。付き合わされる磯風も満更ではなさそうだ。
「五十鈴と由良にも大分無茶をさせるが堪えてくれ。秋月は泊地東側で対空防御。自律砲台の調子はどうだ?」
「はい、異常なしです。いつでも行けます!」
4基の長10cm砲台を従える秋月。彼女がトラックに押し寄せる航空勢力に対する、防波堤となる。
「あれ、ヴェルっちは何処に行ったのさ?」
北上の問いに伏宮。
「さっき血相を変えて飛び出して行った。あいつも第六感とか持ってそうなタイプだからな。東郷が指示でも出したんだろうさ」
俺らの事は気にするな。腹は括ってるさ――伏宮の呟きを最後に、部隊が出撃する。
他の皆が、出撃する中。浅瀬で敵を待つ朝雲は、東郷に通信をかける。
「聞こえてんでしょ、司令。何で私を、前線から下げたのよ?」
『――――朝雲。俺を恨んでいるか?』
「何よ、今さら。颯さんが死んだのは、あんたのせいじゃないでしょ?」
『――――悪い。つい兄さんの事を思い出したんでな……』
どーせ、秋月に持たせたロケットの件でしょ?今は瑞鶴が持ってったわ――報告に苦笑が混じる。
「対空戦の鬼。“
『――――あぁ。頼りにしている、朝雲』
――――颯さん。貴方の弟は、頑張ってるわよ。だから私がそっちへ行くまで、もうちょっと待っててくれる?
「まだ
来たわね――風切り音と共に迫る、無数の飛行体。
朝雲の目が細められ、艤装の火器が一斉に火を噴く。
銃弾と彼女の気迫で、成す術もなく落ちていく敵艦載機達。
秋月の様に、艤装が特化されている訳でもない。龍驤や瑞鶴のように、航空戦で敵戦力を漸減出来る訳でもない。それでも……仕込まれた技、対空戦の術、全てはこの為に。
「ここは通さないわ」
師を追う弟子が、弛まぬ努力の末に身に着けた技量。継いだその力を、今は亡き師の願いの為に振るう。
宵闇を背景に、夜空に炎の華が咲く。
上がった息を整えながら、響は戦艦棲姫から距離を取る。
「司令官には申し訳ないな……」
威勢良く飛び出したものの、駆逐艦対戦艦(おまけに姫クラスである)では勝機はない。
闇に乗じて、死角から魚雷を撃ち込んだりしているが、気を抜くとあちらは即死級の砲撃を放ってくる。
そもそもSTARDUSTは攻撃用の兵装ではないし、月刀の支援を受けられない以上脚としての機能だけで戦ってきている事になる。
防弾板は既に吹き飛び、主砲の一門はあらぬ方向へねじ曲がっている。
計器のアラートは、中破か大破のギリギリのラインで踏み留まっている。一発直撃しただけで、この威力である。
理不尽とは、まさにこの事だね――悪態をつくが、敵は手加減をしてくれるはずもない。
魚雷の残弾は4発。さっきの直撃で誘爆しなかったのが僥倖である。
自分が沈むというだけでなく、艦隊全体で火力が不足している現状。一発でも無駄にしたら、敵を沈めきれないかもしれない。
焦りと孤独感が、戦い続けている響を襲う。
戦艦棲姫の砲撃が夾叉する。一瞬の不意を突かれた形に肝を冷やし、大きく旋回する。
振り切れたか?そう思った所で、再び至近弾。
「まずいっ。司令官」
なぜ、こんな時に司令官の事が浮かんだんだろう。
敵の砲門がこちらを捉える。その動作がスローモーションで視覚に入ってくる。
あぁ、これが走馬灯ってものかな。
月刀の元で駆け抜けた、その記憶がリピートされる。最後に思い浮かんだのは、妹である電の事。そして、沈むのが私で良かった――という安堵。
電、司令官の事を宜しく頼むよ――命の危機に瀕しても、不敵に笑う響。
魚雷発射管に手をかける。咄嗟の事だから、撃てるのは左右一発づつ。
想いを乗せた、起死回生の一手が戦艦棲姫へ向かう。
戦艦棲姫が勝利を確信し、砲弾を発射するのと同時に。響は目を閉じた。
「 До свидания (ダスヴィダーニャ)……」
私は皆に会えて幸せだったよ。
「お願いっ。お願いだから当たって!」
「秋月!無理はしないで!」
目を充血させ、多方向からの敵艦載機を片っ端から落としていく秋月。
しかし瑞鶴が見る限り、その砲火はもう精細を欠いている。焦りとプレッシャー、そして疲労と過剰リンクの負担が秋月を襲っていた。
連れ従える4基の自律砲台も、精一杯の健闘を見せる。だがもう、操る彼女自身が限界である。むしろ今まで保っていたのが不思議なくらいだ。
汗が滝の様に流れ、息が上がっている秋月。基地の地下にあるコンピュータで補助演算をしているものの、平時の2倍の計算をしている事になる。また対空に意識を割く分、彼女自身も多く被弾している。その痛々しい姿をもう見ていられなくなった。
このままでは、秋月が持たない。しかし足柄達が先行し、龍驤がその対空護衛をしているとなると、動けるのは自分しかいない。
先の戦闘で仕留めそこなった空母ヲ級その部隊を追いかけて、瑞鶴は戦列からはぐれ始める。
「瑞鶴さん!?敵に誘われてます!」
「秋月!あんたは休みなさい!そのままだと再起不能になるわよ!」
艦載機の残りも潤沢とは言えなくて、おまけに夜であるが。
同室だったどこかの夜戦馬鹿には、訓練と称してよく付き合わされたものだから、夜目は利く方であるからまだマシな方である。
「全機爆装。お願い、妖精さん!」
隊列からはぐれた事で、瑞鶴は集中砲火に晒される。
まだ、まだあと少し。1隻2隻と空母ヲ級を落とし、振り返った瑞鶴に敵戦闘機の機銃掃射が迫る。
全身が白い身なり、飛行甲板を持ち雄たけびを上げるのは空母棲鬼。その矛先が瑞鶴に向く。
しかし、瑞鶴はそれ以外の事に気をとられた。
「加賀っ……さん」
サイドテールで純白の髪を纏めるのは、かつての先輩。加賀を思い起こすには十分だった。
「撃たなきゃ、こっちがやられるっ」
気持ちを切り替え、向き直る瑞鶴。
夜も更ける頃合い。空母同士の夜戦が開幕する。
「どうして、どうしてなの加賀さん!?」
敵艦載機の爆撃を躱し、戦闘機を差し向け機銃で薙ぎ払う。
しかし飛行甲板で庇いつつ、空母棲鬼は攻める手を止めない。
舌打ちし、瑞鶴はわざと離れさせていた航空隊に指示を出す。
予想外の方向から攻撃され、怯む相手に。直上から彗星部隊が迫る。
艦載機の残りがもうないっ――砲火を躱し爆炎を駆けぬけた瑞鶴は、右手で握ったバヨネットを展開し、その白き鬼にの胴体に突き立てる。
その衝撃とダメージで、空母棲鬼の足元。その水面が揺らぐ。
勝った!?いやむしろ、ここで沈んで貰わなければ。私に打つ手は、これ以上残されていない。
しかし無情にも、敵の目が輝き羽化が始まる。
「そんな……嘘でしょっ」
計器が示すのは姫クラス。鬼から進化されて、目の前の敵の情報が更新される。
カッタト……オモッテイルノカ? カワイイナア……
業火にその身を焼きながら、後退する瑞鶴。しかし、敵の猛攻は彼女の撤退を見逃してはくれなかった。
不味いっ――左足艤装からのアラート音。元々、義足で誤魔化して戦っていたのだ。無理な扱いをしたせいで、悲鳴を上げ始めている。
獲物を捕らえた目をした空母棲姫。その8inch砲が火を噴く。
その弾丸は的確に瑞鶴を捉え、滅多打ちにする。
「空母が主砲を使ってくるなんて、聞いてないっ」
咄嗟の判断で瑞鶴の張った防護壁を貫通し、その体に浅くはない擦過傷ができる。
その痛みに一瞬気を散らした所で、他の敵艦船から放たれたであろう雷跡が迫る。
体勢を立て直せないっ。歯噛みする瑞鶴に対して。被弾はしているものの、余裕の笑みを浮かべる空母棲姫。
魚雷が足元で炸裂する。爆風に放り投げられた瑞鶴の体が、水面に叩きつけられる。
――――その場に残ったのは静寂だけだった
「電嬢の様子はどうだった、月刀?」
「通信が回復したのが、何よりの証拠だ杉田」
トラック基地――敵艦載機の空爆で大穴が穿たれた滑走路に不時着した所で、宿舎を目指さんと2人の提督は走る。
「おい、本当に生きてんだろうな!?委員長はよ」
「俺に聞いても意味がないだろ!?この惨状を見るだけには、何とも言えん!」
二人の目の前には、半壊した建造物が並んでいる。
「月刀大佐っ。杉田中佐っ!」
駆け寄ってくる姿は、見覚えがあり過ぎる人物。高峰の部下である青葉だ。
「どうしてここにっ!?」
「高峰に唆されて、この様だ。東郷中佐は何処に?」
「案内します。今は情報通信室が臨時の司令所です」
シェルターと同じ構造ですから、並大抵の攻撃じゃ落ちませんよ――そういって案内された先。ヘッドセットを被り慌ただしく指示を出す、同期の姿があった。
このタイミングの思わぬ来客に、彼がこちらを認めた時の反応はそれ程だった。
「月刀に杉田か!?何でこんな僻地まで!?」
「俺らもまさか、こんな事になるとは思っていなかったがな……」
「コンソールは空いてるな。おら、何ボサっとしてやがる東郷中佐」
「お前が、勝ち目のない戦いだって分かってても、部下を鼓舞してここまで持たせたんだ」
「“俺ら”がいりゃあ、不可能だって可能にしてやる。良いから早く指示出せよ、委員長」
俺らを誰だと思ってる、天下の黒烏様だぞ?そう笑う杉田に対して、月刀も返す。
「黒の二つに挟まれた白は、まぁひっくり返るな。今日ぐらいは、お前が黒を名乗っても罰は当たらんだろ。東郷」
「6人目の班員の登場って訳か。懐かしいな」
『――――東郷中佐。デコイの設置完了しました!指示通りに遠隔操作でいつでも魚雷発射可能ですっ!』
「……伏宮と明石にも感謝しなきゃな。秋月、よく耐えてくれた。もう下がって良い。青葉は撤退援護を頼む。未来の即応打撃軍のトップに指示出すのは気が引けるが……ついて来れるよな。月刀、杉田」
何を今さら――泊地のコンピュータの処理容量を、吹き飛ばす程度にはやるさ。
「杉田、レディ。おっこっちのお土産も、無事工廠に到着したようだぜ」
「月刀、レディ。指示される側は、久しぶりだな―――――ご命令を、委員長?」
「……チュークコントロールより、全作戦参加士官へ。戦術リンクフルオープン。反撃の鏑矢だ、遅れるなよっ!」
三羽は戦場を俯瞰し、それぞれの思う判断で指示を出す。
あぁそうさ、まだ負けちゃいない――隣に立つ戦友との作戦に、東郷には人知れず笑みが浮かんでいた。
気が付いたら7000字超えていたので、2分割です。
企業説明会が一段落したのもあり。
加筆したらまた投稿するので、次回の更新はちょっと早くなりそうです。
杉田の言ったお土産とは……何となく予想がつく方もいらっしゃるでしょう。
では、また近いうちにお会いしましょう!