センダイ=サンも進水日おめでとう、瑞川もっと増えて欲しいなぁ。
それでは、どうぞ。
「ちょっとローレンベルグ中佐?一体いつまでお荷物抱えて泳いでりゃいい訳さ」
『――――あー、ゴメン。うちの委員長が失敗したっぽいね』
敵艦隊と自軍の艦載機の猛攻に耐えながら、艤装の強制ロックをかけられた景鶴の首根っこを掴み回避する川内。
電子戦で対抗する十分な時間は稼いだはずだ。しかし景鶴の意識が戻っていないことを見るに、クラッカーの干渉は続いているともいえる。
夏祭り期間中のオーバーホールのタイミング。その一瞬の隙を利用した、艤装への不正アクセス。おまけに基地のホストにも侵入され、警報ですら情報操作を許してしまっている事態。応援を呼ぼうにも情報網を封鎖され、横須賀港の目の前でありながらも迎撃する戦力を集めきれない。
クソったれ――――舌打ちした川内もまた、大口を開けて飛びかかかる敵駆逐艦を、小太刀朧月で斬り伏せる。
敵の後続には戦艦、巡洋艦部隊。こちらに砲塔を旋回し、斉射の構えをとっている。
「水雷戦隊じゃ、埒が明かない。中佐、後退しながら目視で味方に発見して貰うのを祈るのはどうさ?」
『――――うーむ、敵空母の射程に港湾が入るから却下。軍人はいくら死んでも誤魔化せるけど、一般市民に被害が及んだらそうはいかないね』
「言ってくれるねぇ、上等ッ!」
両舷最大船速。輪形陣の外野に位置していた、輸送艦に肉薄する。魚雷発射管全門展開。横並びの蒼い牙が放たれる。
回避行動をしつつも被雷する輸送艦。撃破の喜びを顧みることなく、次の獲物へと足を向ける。
――――しかし、川内の勘が警告する。足を止めたら死ぬ。背筋が凍り、頬に冷や汗が流れる程の危機感。
ローレンベルグ中佐も理解したのだろう。川内の推進系を強制ロック、つんのめるようにバランスを崩された直後反対方向に舵を反転される。
『――――全艦回頭、北北東へ離脱、回避行動っ。輸送艦に近づくなっ!』
火砲の少ない輸送艦は、本来であれば撃破の容易い相手だ。だが、なぜ守るべき輸送艦が艦隊の最も外側にいたのだ?
示し合わせた訳でもなく、朝霜達もまた件の輸送艦への攻撃は終えていた。
突如として、沈みかけていた輸送艦の全てが破裂する。周囲の海水を引き込みながら、渦を作っていく。
そのとき川内は、自分の目を疑うことになる。夜目が利く自信もあるし、何より夜戦に挑むために視覚や電探の重要性は誰よりも理解している。だからこそ、今の事態に誰よりも戦慄した。
轟沈した輸送艦から爆風と共に、腐敗したガス状の物体が拡散した。視界を覆う程の意図的に生じられた霧。光が一切差さない外洋での戦闘で、目視戦闘が出来なくなったのは痛手だ。
同時に、合間を縫って煌めく物体も垣間見える。金属片に見える物体が戦域を舞い、埋め尽くす。
「チャフ……深海棲艦も頭使って嫌な手を使ってくるね!」
『――――大方あらかじめアルミやらスズやらを、大量に蓄えてたんだろうね。それを起爆した、私たちの判断ミスって訳だ。酸化金属と組み合わさって、テルミット爆発ありきの特攻艦じゃないだけましかな』
しかし視界は封じられた。電探も封じられた。文字通り闇夜に取り残された格好だ。こちらから相手を探る術がない。夜偵を持っていても、制空権を相手にとられている状況では全く機能しない。無重力と違って大気圏内であるなら人工霧が作られようが、上に上り続けるか。それか海面直上に広がり続けるかの二択である。上空から覗き込むことができないならば、時間経過で視界が回復するのを待つしかない。
そんな中でも、相手の砲から響く音は絶えず続く。長射程を活かして、この濃霧の中でも所構わず撃ってくる。砲弾の風切り音を頼りに、回避行動をとるが徐々に追い詰められていく。
「向こうだって見えないはずなのにどうして……」
『――――
波を蹴りとばす音すら拾うように改良されているとしたら、なおさら性質が悪い。聴音機は海中艦という規定概念があるからこそ、艦娘側が踏み込まなかった技術になるはずだ。
しかし問題は統合された敵位置のデータを、誰が艦隊に共有させているか。あまりにも統率された砲撃。司令部クラスの能力を持つ艦が相手側にいるとでも?
「中佐っ、こっちが不利だ。少なくとも霧から抜けるべきだ!」
被弾することへの焦り、一方的に相手の砲雨に晒されると言うプレッシャーが襲う。
ところが、現在の艦隊指揮権を預かっていた篠華の対応はそっけないものだった。
『――――Без труда не выловишь и рыбку из пруда. (虎穴に入らずんば、虎子を得ず)。むしろ、自軍への誤射を恐れて部隊が散開しているのが好機だ。各個撃破がしやすくなったから都合がいいね。討って出るよ』
”女帝”の名は伊達じゃないんだ――――そういって、通信の奥で笑った声がする。
『――――お互いがサイレントでもない限り、戦域にはたくさんの情報が転がっている。いいかい? 敵が攻撃してきているのならば、そこに敵はいるんだよ』
至極当然とばかりに篠華は言う。そして展開された、戦闘海域のホログラム。各艦の現在位置と、敵艦隊すべての配置がマッピングされている。
砲撃が通り過ぎるたびに情報が更新され、敵艦隊のアイコンもまたあわせて修正が続けられていく。戦艦からの弾道予測、発射元の特定。危険範囲の塗り潰しなど、まるで未来を予測するようなブリーフィング図のようだ。
「ローレンベルグ中佐……なんなのこれ!?」
『――――昔っから、私は覚えるだけが取り柄だからね。だから君達や敵艦隊の航行や、回避行動や砲撃の癖を全部把握しただけだよ? 敵がスモーク焚く前の位置と、航行予測をしただけじゃん』
ケラケラと篠華の笑い声が木霊する。大笑いというよりも失笑という声色だが。
『――――さて川内、皐月、浦風。キミ等はもともと私の艦隊の子じゃない。借りものの君達とは、正直信頼関係なんてないようなものだ。成功を確約することは出来るけど、ワタシを信頼する以外にそれを証明する手段はないけどね。どうする……このゲームにのる?』
「……でなきゃ、ここから生きて帰れないんでしょうに?」
『――――良い返事だね。景鶴ちゃんはそこら辺にポイしていいから行こうか』
撤退の二文字はない。そう先程明言されたのだから、自分は指揮官の指示に従うだけだ。
『――――川内、左舷の出力を臨界まで引き上げ。面舵、2時の方向を叩く。接触は3セコンド。斬り伏せたらその場で8時方向に転進、魚雷を一斉射。夜鷹仕込みのキミなら出来るでしょ?』
「中佐も結構スパルタじゃん!?目も見えない、電探も使えないのに無茶言うなぁもう」
叫びながらも指定されたルート通りに航行し、敵艦隊に砲火を浴びせる。煙幕の向こうから薙ぎ払うことだけで動いていた敵艦隊は、突出してきた川内に慄いたようだ。
『――――誤差が5mは仕方ないか。反省、反省』
予定調和の位置に、敵艦がいる。その驚きを飲み込み、再び小太刀を振るう。先陣を斬った川内が攪乱し、敵艦隊の足が止まった一瞬で駆逐隊が突撃する。予備の砲塔に切り替えた皐月と浦風も続く。
『――――皐月ちゃん。いつもより口径が大きい連装砲を使ってるから、上下マイナス2度のズレが出てる。ホロサイトで修正しとくからそのまま撃って』
「なんか、自分で気付いてない所を指摘されるとくすぐったいなぁ」
皐月のぼやきに対して528駆逐隊の面々は、苦笑するだけだった。
「だって”528駆逐隊にあの変態あり”って言われんだぜ?趣味は少女の人間観察とか、世の中に放り出したら、絶対に捕まるさ」
『――――部下の行動を覚えるのに、何の不都合があるのさ。この前、朝霜ちゃんは給料日にぬいぐるみ買って飾ってたでしょ?イメージとのギャップがあって可愛かったし』
「……そんなことやってっから、ストーカーと紙一重だろっ!?」
この百合提督が――と吐き捨てながらも、朝霜は爆雷を戦艦の腹に叩きつける。
朝雲と山雲もまた、ツーマンセルで敵艦隊に突入していく。
圧倒的に優位を保っていたと誤認した敵艦隊。思わぬ反撃に押され、徐々に被弾していく。気付けば散り散りに引き離され、敵の射程外から砲撃で漸減する敵の魂胆を完全に覆していた。
索敵とは違う、篠華・リーナ・ローレンベルグの適性。最もありえうる敵味方の判断を取捨選択し、未来図を予測し続けるのは一種のセンスという物だった。
攻勢をへし折ろうと、敵艦載機の爆撃が528駆逐隊を襲う。篠華の指示に対処しきりだった川内もまた、肝を冷やして現実に意識を引き戻す。
「……ちょっと待って。艦載機に関してまったく言われてないけど、それも把握してるんだよね!?」
『――――え?無理無理。航空戦はワタシ専門外だし。あんなうるさく飛びまわる蠅なんて、覚えるのなんて間に合わないでしょ』
「こんの女帝がぁ!」
吐き捨てながらも、機銃を展開し迎撃する。夜間とは言え、相手はヲ級フラッグシップ。気を抜けば、こちらが喰われる。
爆撃をすり抜け母艦に痛手を負わせるものの、お返しとばかりに戦闘機の掃射が川内の艤装を抉る。
ハッと視線を上げた先には、腹に巨大な爆弾を抱える敵の爆撃機。
回避を――この距離では間に合わないと、脳内が警告音で一杯になる。
歯噛みして衝撃に備えるが、その熱量は川内を襲うことはなかった。
鏃型の敵艦載機と違って、緑色の機体が宙を翔けるのを視界の端で捉えた。
獲物を見つけたらしく、制空に油断していた航空隊を内側から喰い散らかす。
「どうやら……東郷中佐が航空隊を取り戻した様じゃな」
浦風の呟きが回線に響く。3機の零式艦戦が、自軍を守るように展開する。今まで一方的だった制空権を取り戻そうと奮闘するが、消耗した敵航空隊とでも五分五分といったところだろうか。
暗闇の先には、硬直が解けた景鶴が右手で印を結びながら艦載機に指示を出していた。
「他人の頭の中まで土足で入って来るなんて、良い度胸ね。誰だか知らないけど、この借りはいつか返すっ!」
『――――ちょっと委員長。予定より6分40秒遅れてるんだけど?』
「すまん、イジェクトに手間取った。528を頼む」
『――――でも提督さんも無茶するわね。艦娘をアンテナ代わりに使って、自分から艦載機のコントロールを乗っ取るとかね』
「こうするしか手段がなかったのが頂けない。正直回線の脆弱性を鑑みれば、ラジコンを動かしてるのと大差がないくらいだ」
艦娘と違って艦載機の操縦にも適性がないただの人間は、外部演算装置の補助がなければ精々5、6機が限界だろう。零式艦戦が翼端灯を煌めかせ、敵部隊を追い払っていく。
「チャフが散布されてるとは聞いてないぞ、ただでさえこっちは制御しきれてないのに」
幸運なのは、霧の範囲が高高度にかかっていないことだろうか。
視界が悪かろうが、上空から敵艦の位置さえ覗き見ることが出来れば、さした問題ではない。
戦闘空域を見下ろす格好になるまで上昇した3機の流星が、残った敵戦艦に向かって機首を向ける。横から見えないのならば、上から狙えばいいだけだ。
本来であれば、雷装による攻撃を主軸としている機体ではとても急降下の負荷には耐えられない。しかし艦攻と艦爆のスペックを兼ね備えている流星であるなら、話は変わってくる。
懸吊された魚雷は、機体の軋む音に合わせてその矛先を目標に向ける。ない物なら、ないなりに努力出来るものがある。魚雷を投下出来ない艦功は、ただの置物なのか? いや違う。抱えている得物が魚雷か爆弾かの違いだけだ。
サン、ニィ、イチ。上空から放たれた三本の魚雷。駆逐艦らの戦闘において、足を喪い鈍重になった戦艦。対空砲火をすり抜け、無防備になった天面に一発が直撃する。
対して敵戦艦も黙ってはいない。左半身を焼き払ったが、残った火砲を景鶴に向けるのを確認する。大破しているとはいえ、戦艦の大口径主砲だ。篠華と合流していた時点で大破判定の景鶴を討たせる訳にはいかない。
「敵砲門の仰角を確認。軸線合わせ、弾道予測」
海大時代に用いていた艦載機を盾とした防衛方法。咎める教官もいないし、やっても罰はあたらないだろう。射線に流星を割り込ませる。自分を追い詰めた機体に鬱憤を晴らすような形相でタ級の砲弾が放たれる。
機体が破壊される瞬間には、強い衝撃が東郷にも伝わった。ここで問題だったのは、本来仲介に入っていたCSCを飛ばして情報を得ていた東郷にとって、艦載機の感覚が自分自身と高い同調率を叩き出していたことだ。フィードバックは勿論、機体が爆散する衝撃も跳ね返ってきた。
『――――ちょっと、提督さんっ!?大丈夫!?』
「痛っ。まったく……無茶はやるもんじゃないな」
自艦隊の被害が軽微なことが有一の救いだ。東郷はパルスの逆流で焼き切れた中継器をバイザーから外しつつ、通信室の椅子にどうと体を預けるのだった。
以下、鶴姉妹の運用について雑談。
瑞鶴改二 28/26/26/13(4スロ目が大鳳より安定し、1スロ目の補正恩恵も十分)
瑞鶴改二甲34/24/12/6 (功*1戦*2爆*1の運用ができない。4スロに彩雲等を積む)
翔鶴改二 27/27/27/12(4スロ目が大鳳より安定し、1スロ目の補正恩恵も十分)
翔鶴改二甲34/21/12/9 (4スロ目で最悪艦爆の運用ができる。彩雲には向かない)
※甲運用では燃費の悪化が顕著になるのを留意されたし。ただし中破攻撃可能。
問題なのは甲運用では、少数スロの主な用途である熟練整備員の火力上昇の恩恵が少ないのが残念。最初からキャップ到達が楽で、彩雲しか積む必要しかないのは勿体無い。
缶?バルジ?積んでる余裕のある海域がイベントにあるとも限らない。
そうすると、翔鶴改二甲の利点は”中破状態の最低火力の維持”にある。どうしても瑞鶴改二甲では火力数値のスペック的に到達できない。
偏見であるが最低装甲空母1隻が欲しい場合、瑞鶴改二・翔鶴改二甲の運用だと考えた
人によって、艦爆が9機で十分か否かの判断はあると思う。だが少なくとも、瑞鶴改二甲の4スロ目は使い勝手が悪いのは確かだ。4スロ目の小数化は既に二航戦+雲龍型で足りているし、お札制が来ても瑞鶴改二甲の4スロ目をアテにする可能性は非常に低い。
翔鶴改二が運用を迷われる理由は、無印or甲どちらも空母の基本運用が出来るからだ。
瑞鶴改二はむしろ、彩雲を使いたいか否か?で運用が変わってくる。
(中破攻撃可が魅力でもあるのだが、燃費とのケースバイケースである)
とまぁ考察終了。いずれにせよ、スペック目当てでも鶴姉妹が使われるのは喜ばしいことだ。
結論=迷彩瑞鶴は譲れません(ぶっちゃけそれだけで甲にしない理由になる)