夢を、見ているようです。
それは、遠いようで近いような。
わたしは空を見上げようとしているんです。
・・・ここは暗いくらい海の中。沈んでいく気配に、なんとなく思い出す。
ああ、そうだ。わたしは任務を果たせたのかな?
もうわたしの船体(カラダ)はボロボロで、たとえ浮いていられたとしてももう戦う事は出来ないんだろうと思う。
―――もともと戦いは好きじゃないから、それはそれでいいんだけどね。
みんな退艦できたかな?角松二佐と草加少佐は出たから、大丈夫だとは思うけどね・・・
わたしには、二人の気持ちがわかった。
どっちも、国のため、人の為に戦っていたから。それはきっと、尊いことだと理解してたから。
それでもよかった。わたしたちにとって最悪の、『原爆を日本がアメリカで爆発させる』なんて結末にならなくて。
・・・一緒に沈んだ大和にはちょっと申し訳なかったかな。
それにしても、ここは暗い。
・・・いや、目をつむっていれば暗いもなにもないかな?
なんとなくわかるのだ。今、わたしは目をつむっているって感じが。
何か、包まれるような、暖かな・・・海の底を感じさせない雰囲気に、わたしはなんとなく目を開いてみようと思ったのだ。
「・・・はれ?」
変な言葉が出た。
・・・というか、言葉が出るっていうのは、何かおかしいかな。
わたしは【ゆきなみ型三番艦ヘリコプター搭載型イージス護衛艦:みらい】・・・とどのつまり艦船。海上自衛隊所属のフネなのだ。
声がでるなんて事はありえないんだけどな・・・
「・・・でもここってどこかな?ってあれ?」
やっぱり。自分の思った事が声に出ている。
・・・声に出ている?
未だ完全に覚醒しきらない頭でぼーっと周りを見渡す。
・・・艦船にも魂は宿る。そう言われるだけあって、私にだって思う事はあったし、感じることはあった。
でも、いま。完全に何かが違う。
データとして頭に送られてくる回りの景色とは違う、まるで肉眼で確認したような不思議な感覚。
ふと周りを見渡せば、どこかの部屋のような・・・でも、私が入れるような場所って言ったら、ドックだと思うのだけれど。
下を見れば、何か視界を遮るものが・・・?
あれですね。女性のおもちですね。なかなか大きいものをおもちのようで・・・で、そのおもちをお持ち(洒落ではない)の方はどうやらベッドに寝かされているようで、毛布が――――
ここで、ようやく頭の回転が良くなってきた。
「・・・え?なんでわたし、こんなおもちを上から見下ろすような視線なんだろう?」
さっきも言ったけど、わたしはフネのはず。
声を出すはずがないし、こんな場所がいるわけがない。
したがって、ここにいるわたしは『フネじゃない』。
「え、ちょ、冷静になりましょう。クールになるんだわたし・・・船じゃないってどういうこと?」
今さら嘘だなんて全否定はしませんよ。タイムスリップなんて経験したんです、そのくらいは柔軟性があります。
混乱しながらも、鏡がある事に気がついて、わたしは『立ち上がる』。
―――もう、大体の見当はついてたりします。
それでも、頭の中ではいやまさか。と否定している自分がいるわけで。
その答えを知るためにもわたしは―――そのやたらと大きい鏡の前に姿を映し出す。
・・・コスプレって、こう言うのを言うんでしょうか。
どこか、『彼女』の服装は女性士官を思わせる海上自衛隊の服装で。ただしミニスカートである。
日本人を思わせるその黒い髪は、縛りもしない長いそれは陽の光を浴びて、どこか幻想的にみえる。
瞳はちょっと茶色いかな?とは思うけど、全体的に整った、日本人といった感じの顔。
自己主張が激しいと思うおもちに、くびれたおなか、安産型なスタイル抜群さん。
なぜ二―ソックスなんてはいてるのか疑問に思うその『彼女』は、『わたし』の考えるようにその手を動かして、頬に手をあてた。
もう、否定する材料がないわけですね。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・わたし、女の子になってるうううううう~~~っ?!」
イージス護衛艦、みらい。
――――女の子になっちゃいました。
あとがき:
はい。というわけでやっちゃったぜ!
艦これSS・・・どうしてもアニメのあのたぎりを抑えることができなんだ。
みらいを男性にするか女性にするかですっげー悩みましたが、みらいちゃんに決定。
実は人格は、まったくフネにも艦これにもジパングにも関係ないところから引っ張ってきてます。と言っても、あまりその子に近づけすぎると残念娘になる可能性があるんで、少し残っている程度です。
服装とかは完全趣味、はい、妄想全開なのが窺えますね(