艦隊これくしょん~みらいの未来~   作:エラー猫

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というわけで作ってしまいました。
ここまで来れたのも皆さんのおかげです。ありがとうございます。

※今回の、お話は本編とは関係ありません。


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EX話:みらいの1ヶ月・1週目

 

 

ストーリー:『マリアナ諸島沖』に突如南方棲戦姫が現れた。それに呼応するかのように深海棲艦が海域に集まりつつあった。

 

大本営は通称『アルペジオ異変』以来の特殊作戦発令期間『イベント期間』を発布。

各司令官/提督達に攻略を指示する事になった・・・

 

そしてとある鎮守府に、一隻の護衛艦が配属される・・・

 

 

 

「護衛イージス艦。みらいです。神の意志か悪魔の意志か。どちらであっても艦隊をお守りします!」

 

「護衛艦ねえ・・・」

 

今日配属されたばかりの新しい艦娘。

目の前でピシリと海上自衛隊式の敬礼をした少女に目配せしたあとに手元にある資料へと視線を落とす。

 

 

・・・曰く弾幕を張れる単装速射砲。

 

・・・曰く自動迎撃システムを搭載した、分間4500発の対空機銃。

 

・・・曰く戦艦娘の射程が子供のオモチャとさえ感じてしまえるほどの超射程を誇るミサイル兵装。

 

・・・曰く日本でもまだ実装していない、ティルトウィング式を採用した偵察機。

 

 

見ればみるほど、今の艦娘から大きく技術の差がある兵装。

 

彼女こそ異なる歴史から来た未来の艦娘。弾薬費に目を瞑ればこれ程使いやすい艦娘はいないだろう。

 

 

だが。彼女から感じる雰囲気は決して海上自衛隊の雰囲気ではない。

どちらかと言えば他の艦娘と同じ歴戦を思わせる『凄み』のようなものを放っていた。

 

 

「流石、あのミッドウェーなんかを潜り抜けた未来艦だな」

 

「・・・」

 

「・・・悪い、思い出させたか?」

 

思わず呟いた言葉にみらいが俯いてしまった事を感じて提督は、すぐ様謝罪した。

 

彼女が、戦いを嫌いと、している事は大本営から聞いていたからだ。

 

提督自身も、護衛艦だけに仕方ないと身構えていたゆえの行動だった。

 

 

「・・・いいえ、大丈夫です!いや〜まさかあんな体験するなんて〜」

 

「・・・無理はするなよ」

 

「・・・ありがとうございます。けど、戦えます。角松二佐や草加少佐が守った『未来』今度は私が守らないと・・・」

 

 

明らかに無理をしているように見えた。

だが、みらいがこの事に触れるな、という雰囲気を出してしまっている。

 

ここは話を、変えるべきかと切り替える。

 

 

「さて。それじゃあ次は仕事の話だ」

 

「了解です。私がやるべき事は新しくマリアナ諸島沖に現れた敵を、迎撃する事ですね?」

 

「 ああ。敵は強いが、君の力ならば突破も可能だろう」

 

「おまかせあれ!艦隊の防空はおまかせ下さい!」

 

 

ふんす!と力こぶ(つくれてない)を作ったみらいに、提督は苦笑いを浮かべながらも先程までの危うい雰囲気は無くなっていることにほっとする。

 

たとえ戦う事が使命であるといっても彼女達だって人と同じで感情を。そして意志を持っている。

彼女達の補佐もまた提督の仕事だ。

 

 

「さて、艦隊を編成しようと思うが・・・何かあるか?」

 

 

そう提督が聞いて・・・そして後悔した。

 

 

「ではーーー大和を同じ艦隊に入れないで貰ってもいいですか?」

 

「え・・・?」

 

 

はっきりとした拒絶。その表情は無表情に変わっていた。

 

 

「何故・・・かは、聞いてもいいか?」

 

「答えたくありません・・・でも。今、大和と会いたくありません。少しだけ時間を下さい」

 

「・・・分かったその様に手配しよう」

 

「ありがとうございます・・・でもっ!多分そのうち大丈夫になるんで気にしないで下さい!仕事もきっちりとこなして見せます!」

 

「・・・ああ、期待しているよ。私は少し艦隊編成を考える。案内は霧島に頼んでいるから、先に鎮守府を回ってくるといい」

 

 

ありがとうございます!と笑顔で出て行ったのを見て・・・提督は苦虫を潰したように顔を顰めた。

 

 

「編成をかえなきゃな」

 

 

机の中から取り出した書類。其処には艦隊の編成が書かれていて・・・大和とみらいの名前が書かれていた。

 

みらいの対空、対潜能力と大和の火力。そこに機動力に優れたフネや火力が高いフネを投入した打撃部隊。

弾薬費が嵩むがこれ以上ない編成だと自負していた。

 

だが・・・みらいはそれを望んでいない。

出来るだけ艦娘の意志は組みたい。今回は別にしようと決めた。

 

・・・多分資材のせいでは無い。

 

 

「しかし・・・重症だな」

 

 

今一度編成を考えながらポツリと呟く。

大本営から聞いてだけに、大和との確執は予想の範囲内だった。

 

「歴史の改変、ジパング構想・・・・・・そして、原爆か」

 

 

執務の時も外さない帽子を目深く被り逡巡する。

 

みらいが辿った苦難の道のり。それを考えれば強くは言えない。が、ふと思ってしまったのだ。

 

 

 

「なあ、みらい・・・・・・・・・お前は、『未来』に進めているのか?」

 

 

 

提督の呟きは、空へと消えていった。

 

 

 

 

 

「案内を頼まれていた戦艦、霧島です・・・草加少佐がお世話になりました」

 

「いいえ・・・むしろ、ごめんなさい。私達があの人に未来情報を与えなければ・・・」

 

「そんなこと言わないで下さい。確かに歴史は変わりました。でも!助かった命があるんです、救われた未来があるんです!貴女は誇って下さい・・・それが、あの世界を知る者の使命です」

 

「ふふっ、ありがとうございます、霧島さん。少し元気でました」

 

 

その言葉に霧島も笑顔になる。

そうして二人で鎮守府内を歩き回る。食堂に港。資材置き場にと色々と周り。休憩の為に中庭へと来た。

 

 

 

 

 

其処には立派な桜の木が植えてあった。樹齢数十年だろうか、今はまだ葉しか無いが春はきっと見事な花が咲くだろう。

 

その木を見つめるように一人の少女が立っていた。

 

 

 

「あ、大和さん!」

 

「ッ⁉︎」

 

 

みらいが思わず息を飲んでしまったその言葉。

霧島の声に反応したその少女・・・大和はこちらを見て。

 

ぱあぁと花が咲いたように表情を輝かせる。

 

 

「みらい、貴女もこの艦隊に入ったのですね。嬉しいです!」

 

「大和・・・貴女は恨んでいないの?」

 

「・・・恨んでなんか居ません。あの人達の想いは、きっと尊いもの・・・でも、あんなものを日本が使うなんて考えたくもありません。だから・・・感謝を、伝えたかった。ずっと・・・」

 

 

そう言った大和にーーーみらいは、何処か苦しそうな表情へと変わった。

 

 

「でも、私は・・・すみません、霧島さん。ちょっとドック行きます。少し頭を冷やしたいから」

 

「あ、え、みらいさん?」

 

「みらい・・・?」

 

 

突然歩き出したみらい。二人とも頭の処理が追いつかずに思わず聞き返す。

 

 

「ごめん、大和・・・許してくれてありがとう。でもーーーわたしは、まだ貴女を許せそうにない」

 

「あ、まって・・・!」

 

 

大和は思わず手を伸ばしたが・・・みらいには届かず。

何も掴めなかったその手を下ろして・・・少しだけ悲しそうに俯いた。

 

 

 

 

 

「あ〜あ、ホント自分がバカみたい・・・なにやってんのかな、わたし」

 

 

誰一人いないドック。みらいは壁に寄りかかってコツリと頭をぶつける。

 

ーーー頭では理解している。大和は何も悪くない。

むしろ、最初に歴史を変えたのは自分。ジパング構想を、歴史の改変を止めたのは自分。

 

そこに悔いは無いが。それでも思ってしまう。

 

・・・どうしてあそこで大和は奪われたのか。どうして原爆なんて積まれたのか。どうして・・・自分が戦わなければいけなかったのか。みらいの乗員が犠牲にならなければならなかったのか。

 

誇りもあった。意地もあった。護らなければいけない矜持があった。

 

 

それでも心は理解をしてくれない。『未来』を知っているからこそ。

『IF』を考えてしまう。そこに答えは無いと言うのに・・・

 

 

こんなにも悩むのなら。こんなにも悲しい気持ちになるのなら・・・

 

「艦娘になんてなりたくなかった。艦娘って・・・人間って、辛いんだな・・・」

 

 

呟きは虚しく宙を舞う。未だみらいは大和を許す事が出来そうもなかった。

 

 

 

 

※続くかもしれない

 

 

 





はい、というわけで番外編。

「もしもみらいが、本編よりも艦これに近い形で鎮守府に着任したら」

という妄想ダダ漏れた結果です。
何故か本編よりも先に大和さんが出てきてしまいました。どうしてこうなった・・・
本編を楽しみにされてた方はもうちょっとお待ち下さい。


こっちのみらいちゃんは少しネガティヴ寄りです。

中々みらいちゃんと大和さんが仲直り出来ない中、時間だけが過ぎて行って・・・というかんじ。

こっちの方もストーリー的に面白そうですけど、長編でやると私がダークサイド堕ちる可能性大なシリアス風味なんで、本編は少し違います。

ふと霧島さんは沈めれそうだなとか考えたって事からお察し下さい(


こっちの方はまた気が向くか何かの記念があった時にでもふと上げるかも知れません。
ただあくまで番外編という事をご了承下さい。

最初は角松さんがみらいちゃんのお父さんで、ジパングに登場した人達が学校の先生とかご近所さんとかで、そこに艦娘達が通うっていう艦これ学園にしようか悩みましたが(

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