艦隊これくしょん~みらいの未来~   作:エラー猫

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新たなる作戦が発令されました!

作戦名は【あ号群撃滅作戦】戦闘海域は北太平洋MI海域となります。

すでに赤城、蒼龍、飛龍は先遣艦隊と共に先行しています。

みなさんは当鎮守府在籍、正規空母「加賀」を、護衛。先遣艦隊と合流しあ号群を撃滅してください!

今回の戦闘は非常に厳しいものと推測されます。しかし、みなさんの実力を全て発揮すれば決して遅れることなどあり得ないと断言します。

全員の無事の帰還を祈っています。

さあ・・・暁の水平線に勝利を刻め!

難易度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



※一回こういうの作ってみたかった。と言うわけで本編です



12話:あ号群撃滅作戦、その1

翌朝。0630を以ってみらいを含めた6隻はMI海域で合流し空母船団の護衛任務に就くために、一糸乱れず抜錨した。

 

朝も早いと言うのに残っていた全艦娘。そして全妖精と司令官が見送りをしてくれた事に。

思わずみらいは笑顔となってしまう。

 

 

「どうしたみらい?」

 

「いいえ・・・ただ、見送りがあるのは嬉しいなって、思ったんです。わたし、過去に跳んでからそう言うの無かったから」

 

 

みらいはまだ自分の事をあまり話さないために、長門はその話に首をひねった。

 

・・・みらいが日本海軍と共に行動したのはほんの一時期、それ以外は単独行動だったのだ。

 

実はこうして艦隊を組んで行動出来る事を嬉しいと思っている事は、誰も知らない。

 

 

「夕張さん、単装砲の調子はどうです?」

 

「好調好調絶好調!出る寸前まで微調整してたしね、大丈夫!」

 

 

秋月の問いに答えた夕張の目には隈が出来ていた。秋月は気づいていないが、一緒にいた木曽は溜息をついている。

 

 

「夕張、それはいいが大丈夫か?今までの武装とだいぶ勝手が違うだろうに」

 

「ぐぬっ・・・き、木曽、痛いところを・・・まあ、使いこなせるとは言えないよ」

 

元々の夕張の武装は14cm単装砲。事実上の武装試験艦だったから使えないわけではないし、それ以前に自分のものより経口が小さな装備だ。実戦で使うのが初めてではあるが大丈夫だろう。

 

 

ただ。単装砲としてはただ速射出来るシロモノで重量が増えた為に砲塔の回転に時間がかかるなど問題点はある。

 

そうでなくても夕張にはみらいのようなイージスシステムはない。だから夕張は使いこなせるとは言えなかった。そこに助け舟を出したのはみらいだ。

 

「確かに使いこなせるかは別だけど、それでも分間で数十発撃てるのは伊達じゃないよ、木曽」

 

 

戦艦級はともかく、今回は空の敵が多いとみらいは知っている。

対空機銃と違い、単装砲ならば例え当てられなくても爆風に巻き込める分、弾幕を張れるだけでも敵には大きなプレッシャーとなるだろう。

 

 

「だから夕張、わたしと秋月ちゃんに任せないで頑張ってね?」

 

「う・・・も、もちろんですよ!」

 

「は、頼もしいな・・・そっちは任せるから対潜は任せろ」

 

 

そう言って木曽は新調された魚雷発射管を優しく撫でた。

改二になったのはつい昨日。まだまだ馴染んでいないものの木曽もまた闘志を滾らせる。

 

 

「頼りにしてるよ、木曽。まあわたしも対潜は出来るから危なくなったら直ぐに言ってね?」

 

「へえ、みらいも対潜出来たんだな?それじゃもしも出てきたらオレと勝負するか?」

 

(木曽、みらいさんの魚雷はお利口さんレベルじゃないよ)

 

 

夕張が心の中でポツリと呟いた時、何故かみらいの艤装から一人の妖精さんが出てきて一言。

 

 

「ソンナニ ボクタチノ チカラガ ミタイノカ・・・」

 

 

どうやら出番を間違えたようだ。直ぐに他の妖精さんにたんこぶを付けられてご退場。

みらいは溜息を吐いて、それが面白かったからか夕張と木曽は少しだけ笑い声を上げる。

 

 

と・・・

 

 

「おい、お前たち。まだ海域についていないとはいえ作戦行動中だ。私語は慎めよ?」

 

「「「了解・・・」」」

 

 

完全に旗艦モードとなった長門から注意の声が飛ぶ。

 

よく見れば加賀もジト目だ。流石に話しすぎたかなと自粛する。

 

 

そう。既に敵が近くにいても不思議ではない。注意するにこした事は無いだろう。

 

 

(・・・まあ、わたしのレーダーから逃れられるとは思わないけど)

 

 

過信するつもりはさらさらないが。同時に自分の索敵能力は伊達では無いと自信がある。

 

海上より上ならば、みらいは450キロ離れていたとしても見つける事が出来る。

相手が電子端末を欺瞞する装備でも持っていないのならば、まずみらいの『目』からは逃げられない。

 

 

 

 

会話の無くなった艦隊。ふとみらいは秋月の様子が気になってちらりと見やる。

 

 

「秋月ちゃん、大丈夫?」

 

「っ・・・み、みらいさん。はい、大丈夫です」

 

 

・・・緊張しているのが目に見えた。聞けば秋月は艦娘になってからこんな大規模作戦に参加するのは初めてになるそうだ。まだ幼い見た目の通り、精神的にはまだ子供に近い。怯えているのだと感じたみらいは安心させる為に笑顔を浮かべた。

 

 

「大丈夫だよ、秋月ちゃん。貴女の仲間はとても強いんだから」

 

「分かってる、つもりなんですけど・・・でも!この中の誰かが・・・もしかしたらって考えたら・・・怖くて・・・」

 

 

「・・・そうさせない為にわたし達がいるんだ。未来は、何時だって変える事が出来る筈だから・・・」

 

 

それは、みらいの経験から来ていた。

みらいは、確かに未来を変えたフネなのだから。

 

 

 

「そう、ですね・・・うん、頑張りますっ!」

 

 

どうやら秋月もまた覚悟を決めたようで。先程までの不安そうな雰囲気が消えていた。

 

 

「・・・どうやら秋月もどうにかなったようですね、長門」

 

「お前から話しかけてくるとは、珍しいな加賀・・・ああ。大規模作戦で緊張していたようだったから、良かった」

 

 

その様子をうかがっていた長門と加賀もまた少しだけ会話を交わしていた。

 

二人とも歴戦の艦娘、艦隊の雰囲気を察するのはすぐだったろう。どうにかして励ませないかと思っていたが。二人では逆に秋月が萎縮してしまいかねなかった。

 

だからこそ手が出せなかったのだが・・・どうやらみらいが上手くやったらしい。

 

 

「本当に情けなくなる。仲間一人から不安を取り除けないで何が旗艦かとな・・・」

 

「えてして旗艦とはそういうものよ。貴女に求められているのは沈まず決して折れずに私達の柱となる事なのだから」

 

「・・・ふふ、ありがとうよ加賀。しかしお前にしてはやけに饒舌だな?」

 

「あら、私がそんなに話すのが不思議?・・・まあ、私も奥底では滾っているのだと思うわ・・・それに。今度は沈まない、沈ませないと誓ったから」

 

「っ!お前・・・」

 

 

長門は気がついた。加賀には教えていなかったが彼女が『引かれている』事に気がついていると。

それでもなお、闘志をにじませている事を。

 

 

「大丈夫よ、長門。今の私はみらい以外に負けるつもりは無いわ・・・勿論、赤城さんにもね?」

 

「・・・ははは!お前がそんな冗談を言うんだ、緊張は無いらしい。そこまで言うんだーーー沈んだら許さんからな」

 

長門も加賀も、小さな笑みを浮かべるだけ・・・だが、それだけで二人にはよかった。

 

こうして横須賀鎮守府の艦隊は特に緊張も、慢心も無くMI海域へと直行する。

 

・・・不気味な程に敵の反応が無い。が既に赤城の連絡機が到着し、彼女達が先に到着していると報告があった。

 

「・・・よし、最後に確認するぞ。最初は単縦陣で先遣艦隊と合流。そのあとは輪形陣に変更して空母を死守する」

 

 

出撃前に司令官から下された命令から長門が作戦を考えて伝えていく。

と言っても今回の目的は『引かれた』艦娘の死守が大前提。

 

輪形陣を基本とし、対空迎撃能力の高い秋月とみらいを主力に固めていく・・・

 

 

 

 

ーーーその時だった。

 

 

 

「・・・っ!?嘘っ、すみません長門さん!ちょっと艦載機飛ばします!」

 

「どうしたみらい?」

 

「いきなり現れた・・・?反応は無かったのにっ・・・こっちにまっすぐ向かってる?シーパンサー、飛んで!」

 

慌ただしく動き始めたみらいに、長門は小さく舌打ちした。

どうやら敵も仕掛けてきたらしい。みらいが気がつけなかったのは、いつも通りに深海から現れたせいだろうと冷静になる。

 

むしろいつもなら発見する迄に少し時間がかかっていた。

流石未来の艦艇・・・と思わず頷いているなか。みらいが左腕を水平に上げる。並行となった左肩に装備された航空甲板には一機のヘリコプターが現れる。

 

SH–60J、みらいが加賀達には見せなかった方の機体だ。

 

この機体の主な役割は対潜哨戒、捜索救難・・・そして護衛艦の『目』となる事。

 

護衛艦とのデータリンクによりまさしく空飛ぶレーダーサイトとなり。

その強力な索敵能力故に付けられた二つ名はみらいが言った『シーパンサー(大空を駆る豹)』。

 

すぐ様水平にとびたったヘリは直ぐに詳細な情報を示し出す。

 

 

「やっぱり・・・敵艦隊発見、数は4!距離17マイル、近い!速度は20ノット・・・え、空にてんてん?・・・なるほど、もう艦載機が出てるのか。数は・・・大隊規模、多いなぁ・・・」

 

 

「空母を抱えた艦隊!?なぜこんなところで・・・!」

 

 

あと少しで先遣艦隊と合流するという矢先。まるで図ったような・・・いや、謀られたのだろうと長門は悔しそうに顔をゆがめた。

 

 

「足止め・・・まさか、すでに先遣艦隊は接敵しているのか!?」

 

 

長門が思い描いた最悪の状況。それは先遣艦隊が既に敵の攻撃を受けているかも知れないという事。

よくよく考えればここまで敵が居なかったのももしかしたらこの為だったのかもしれない。

 

そして。もしも長門が感じた通りに足止めだとしたら。

 

 

「長門さんヤバイです!多分先遣艦隊が押されてます!・・・なんで反応無かったかなもう!」

 

「やはり・・・」

 

 

状況は最悪と言えた。みらいのレーダーのおかげで、当たって欲しくない予測は現実に起きていると知ってしまった。

ここでこちらに向かう艦隊を倒せば思う壺、足止めされて先遣艦隊は大打撃を受けるだろう。

そして逆に直行すれば挟み撃ち・・・取れる方法は、限られてくる。

 

 

 

が・・・

 

 

 

(その役割を私に命じろと言うのか・・・!)

 

 

ーーー囮。よぎった言葉はそれだった。誰か一隻、または二隻で後ろからくる艦隊を止めてもらって、先に先遣艦隊を救出し。戻って合流して、倒す。

 

振り切れない以上仕方のない方法かもしれない。だが、それは理想論だ。

 

最悪、誰か沈められる可能性すらある。

 

 

(ダメだ・・・そんな取捨選択、認められるか!なにか、なにか手は・・・)

 

 

最良の方法を模索する。しかしそんな手は無くて。これしか無いと弱気になってくる事を自覚してしまう。

いっそ自分が残れば、そうは思うが・・・旗艦が抜けては指揮系統に乱れが出てしまう。

 

結局、囮とするのならばだれを贄とするかを決めなければならず。

 

 

(私はどうしたら・・・提督・・・)

 

 

この場にはいない、最も信頼できる人にすがりたくもなった。

が、この場には勿論居ないし連絡は取れない。全ての判断は長門に任されているのだからーーー

 

 

 

 

 

 

「長門さん、先に行ってください」

 

 

 

 

 

 

その声が長門の思考を切り裂いた。

 

声をあげたのは・・・みらいだ。

 

その言葉の意味する事は、彼女が引き受けるという事に他ならない。

 

「わかっていってるのか!?自分で言ったろう、相手は4隻、しかも航空母艦つきで既に艦載機が出ている!それだけじゃない、お前は防空の要だ。そう簡単に切り捨てれなど・・・」

 

「でも現状それしかないでしょう?それに、これは敵を見つけられなかったわたしのミスです。対空は秋月ちゃんと夕張に任せる事になるけど・・・やらせてください」

 

 

 

 

 

 

(みらいさんなら、出来るかも・・・)

 

 

長門とみらいの会話を聞いていた夕張は、ポツリと心の中でつぶやく。

 

夕張はフネの時代の名残からか新しい装備に目がない。

それが護衛艦の、イージス艦の武装だというなら尚のこと。たとえ自分で使えなくともと解析して速射出来るようにした時は興奮したものだ。

 

そしてそれ以外にもなにか活かせないかとみらいの情報を少しづつ集め、イージス艦とは何かを知るために古い資料まで引っ張り出して何度も読んだ。

 

単純に演習を繰り返し知っている加賀を除けばスペック的な意味ではみらいを、イージス艦を一番知っていると豪語出来る。

 

だからこそ、思う。今まで加賀との演習で大立ち回りをして。危ないところこそあれども未だ被弾らしい被弾のないみらいを見れば。

 

 

(VLSを使うつもり?・・・確かイージスシステムで狙える最大数が128だから・・・本気でやったら、影すら残らないかも・・・)

 

 

今まで使わないと言っていたミサイル兵装。実戦だからその封印を解くと考えれば・・・飛距離、速度、誘導性能・・・全てを加味すれば深海棲艦では避けることは叶わないだろう。

 

だが、勿論長門はその事を知らない。いや、知っていたとして自分の目で見るまでは信じられないだろう。

夕張自身も実は誇張表現があるのでは?と思うほどなのだから。

 

長門に、言うべきか否か。それを考えて、見やる・・・

 

 

(っ・・・悩んでいるの?あの長門さんが・・・!)

 

 

悩んでいる事を容易に感じれる程に長門が動揺していると感じた。

 

 

(今まで幾多の戦いを勝利に導いて来たあの長門さんが・・・)

 

 

思わず喉がなる。それ程までに状況は予断を許さないのだろう。

ある意味合いでは長門にとっての助け舟。しかし結果は死地にむかえというに等しい。

 

 

『出来るかもしれない』という可能性だけでは決して測れない。長門が悩むのも無理はなかった。

 

 

そんな長門を見て埒があかないとみらいは加賀に向き直る。

 

 

「加賀さん、敵の艦載機とかってデータでしか知らないんですけど、加賀さんの部隊より強い奴らっています?」

 

「舐めないでみらい。私の子達はあんな奴等、足元にも及ばせない」

 

 

 

その言葉にみらいはうん、と一つ頷いて。

 

 

 

 

 

 

「なら、大丈夫そうかな」

 

 

 

 

 

 

おそらく、加賀を除いた全員が唖然としただろう。

 

緊張感はなく過信の雰囲気もなく。ただ事実を呟いたといったみらいに反対していた長門ですら面食らう。

 

 

「お前・・・自分で何言ってるか理解してるか?」

 

 

頭を抱えた木曽か思わずつぶやく。

それに対してみらいはただ一言だけ放った。

 

 

「わたし、フネの頃に一隻だけで40機の戦闘機と空母一隻相手取って、勝ったことあるよ?」

 

 

単装砲壊されちゃったけどね、とただ淡々と喋るみらいに、誰かが息をのむ音が聞こえた気がした。

 

 

みらいは語らなかったが、その内の実に半分が。『1分程度』で撃墜したと聞いてしまえば。

単装砲を壊されたのがいわば護衛艦としての宿命で、平穏な時代から来た故の油断で・・・もしも、それが無ければ。完封勝利を手に入れていたと聞いてしまえば多分秋月らへんは気絶出来るだろう。

 

そのあまりにも次元の違う話に頭が追いつかないから。

 

 

「・・・はぁ。止めても無駄か。一応聞いておくーーーやれるか?」

 

 

とうとう長門が折れた。これ以上は時間が無駄になるだけだ。

それに、ここまで自信満々に言うのだ。任せてみてもいいだろう。

 

 

「おまかせあれ!加賀さんではありませんが・・・鎧袖一触に終わらせます」

 

「そこまで言うのね。だったら小破にでもなったら罰ゲームでも受けて貰おうかしら?」

 

「うわ、加賀さんが冗談言うの初めて見た」

 

加賀からの冗談に思わずここまで無言だった夕張がポツリとこぼし、加賀からのジト目にすぐ言い訳を伝える。少しだけ雰囲気が緩んだのは気のせいでは無いだろう。

 

 

「とはいえ多勢に無勢だ、みらいが無茶しても駄目だしな・・・木曽、行けるか?」

 

「ハッ、余裕だぜ長門さん。ちょっとばかしこの装備のお披露目には派手な舞台だか・・・まあ、危なくなったらみらいと逃げる位は出来るさ」

 

「二人とも酷いなぁ・・・大丈夫だよ」

 

 

そう言ってみらいは反転し、木曽も続いて敵を迎え撃つ姿勢を整える。

 

 

 

「・・・敵が人間じゃないのなら。亡霊だというのならーーーー全身全霊、全力全開でぶっ飛ばせるから」

 

「・・・雷がみらいが激情家って言った理由、初めて分かったぜ・・・」

 

 

既に長門達は先に進んだ。もう、後戻りは出来ない。

 

みらいと、木曽。2隻と敵艦4隻の攻防が始まる。




あとがき:


ぎゃあ〜!戦闘まで持ってけなかった!?

ここでやってしまいたかったのに・・・楽しみにされてた方々、すみません。

また三人称でやりましたけど、また読み辛いかな?
力足りず申し訳ない。

流石に3月近くだと忙しくて内容を纏める時間が無い・・・


じ、次回こそ!戦闘回になります。やぁっとだよ長かった・・・


PS、いつも通りのミスです。木曽の『」』が一つ足りませんでした。

・・・これできちんと確認した気になってるんだぜ←

佐武さん、報告ありがとうございました。
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