艦隊これくしょん~みらいの未来~   作:エラー猫

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本当に申し訳ありません。
前回の更新から音沙汰無く5か月程度…何とか戻って来れました。

いや、4月からの生活環境の激変でですね(言い訳

はい、マジすんません。正直なところまだ日常も忙しい状態ですが、ちょこちょこ更新を再開していきたいと思っています。

それと前回からだいぶ経ちましたが、みらいちゃんの艤装に変更点というか追加点をば。

いやですね、ハープーン討つためのキャニスターをどこにするか書いてませんでした(汗

なので、肩には対空機銃とコンテナがありますので、その下・・・腰部に隠れる形である感じで訂正します。

相も変わらないガバガバ設定ですがどうかよろしくお願いします。


14話:あ号標的群撃滅作戦、その3

少しだけ時間を戻して、先遣艦隊。

 

赤城、蒼龍、飛龍をはじめとしてそうそうたる面々が集っていた。

 

 

 

「・・・うん、時間どおり。上々ね?」

 

 

先遣艦隊で、加賀と同じく一航戦をはる赤城が一つ頷いた。

 

既に作戦開始時間まで後少しで、さっき合流を急いでいる加賀達に向けての連絡機を飛ばしたところだ。

 

 

「蒼龍!久しぶり!」

 

「飛龍も元気そうで何よりだよ〜!」

 

 

目の前にははしゃぐ自分の後輩(?)の姿が見える。無理もないか、と苦笑いする。

何せ、こうして一航戦、二航戦が集うのは本当に久しぶり。大規模作戦でもなければ彼女たちは日本を防衛するために各地へと配分されているのだ。

 

 

(・・・まあ、加賀さんが来たら怒られそうだけどね)

 

 

あの生真面目を地で行く彼女であれば、多分今頃ジト目を飛ばしてくれるだろうと考えて。

赤城もまた相棒とも呼べる彼女の到着を待ちわびていることを感じていた。

 

 

 

「赤城さん、どうしたの?」

 

「ああ、陸奥さん。いいえ、ただ加賀さんが待ち遠しいなと思いまして」

 

「うふふ、その気持ちわかるわ。仕事といえ、私も久々に姉さんと会えるって聞いたら嬉しかったもの」

 

 

ふふ、と笑うのは長門型2番艦の陸奥。空母達を守る護衛艦隊として加わっているのだ。

 

 

「・・・でも、油断はダメよ?あなた達は」

 

「『引かれている』、でしょう?」

 

 

 

そう。加賀も気がついていたように、赤城もまた自分が『引かれている』事に気がついていた。

蒼龍や飛龍がどうであるかは知らないが・・・もしも知らないのならばあえて言わない方が高いポテンシャルを出せるだろうと考えていた。

 

・・・やはり艦娘にとって撃沈/轟沈はあまり思い出したくない出来事だ。出来るだけプレッシャーはない方がいい。

 

 

 

「わかっているならいいわ」

 

「はい、警戒は怠って・・・!?」

 

 

 

そう、警戒は怠っていなかった。だからこそその異変にいち早く気がついたのだ。

赤城の雰囲気が変わる。

 

 

 

「・・・陸奥さん、警戒体制を」

 

「まさか敵が?」

 

「はい・・・うちの子がもう・・・っ多い!蒼龍!飛龍!!第一次攻撃隊飛ばします!」

 

「え、はいっ!」

 

「嘘、こんな近いなんて・・・!」

 

 

 

 

慌ただしく動き始める状況。

 

読めなかったわけではない。が・・・

 

 

 

「何もこんな状況で来なくていいじゃない・・・!」

 

 

 

思わず陸奥が舌打ちをする。あたりまえだ。後少しで味方と合流するという矢先だ、愚痴も言いたくなる。

 

 

(違う・・・この状況だからだ・・・!)

 

 

しかし、赤城だけはそうは思わなかった。攻撃隊を飛ばしながら思う。

味方と合流する手前。どうしても気は緩んでしまう・・・先ほどの蒼龍や飛龍のように。

 

 

それだけではない。心のどこかでは慢心していた。

敵も『引かれて』くれるはず、と。だが実際はどうだ。

 

引かれてくれるどころか更に悪化した状況へと変わってしまった。

 

 

ふと思ってしまうのは。

 

 

(・・・加賀さんなら、こうはならなかったのかな)

 

 

全てはたられば。だが、もしもこの場に彼女がいたのならば・・・

 

 

「———いいえ、そんな話は後でもいい・・・」

 

 

 

反省会はこの危機を乗り越えてから。敵の数は多い。

 

既に最初に偵察に飛ばしていた妖精はおとされた・・・接敵は近い。

 

 

 

「一航戦赤城、参ります・・・!」

 

 

 

 

日本が誇る、機動部隊の二枚看板、一航戦。その名に恥を塗らないためにも。

 

今はこの戦いにすべてをかけることを誓う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間を戻してみらい側。木曽とみらいは艦載機を飛ばした空母を迎撃するために進撃を開始した。

 

上空を見やれば、未だ数機の艦載機は飛んでいるのが見える・・・が。

 

 

「・・・来ないですねぇ」

 

 

「当たり前だろ?近づいたら落とされる、誰だって近づきたくないさ」

 

「外れるときは外れるんだけどなぁ」

 

 

 

一向に艦載機は降りてこない。それもそうだろう。実に8割の戦力が瞬く間に迎撃されたのだ。しかも、それを行ったのはたったの一隻。たかだか数機が束になったところで、シ―スパローをはじめとした兵装を解禁したみらいにはものの数ではない。

 

もちろん、みらいの言うように外れる確率だってないわけではない。が、その確率は限りなく低い。それほどまでの命中精度こそがイージス艦のウリなのだ。

 

そしてそれを知ったからこそ、木曽も上に居る機体に目も向けずに前を見て。

 

 

 

「・・・さて、敵さんのお出ましだぜ」

 

 

 

思わず緩んだ雰囲気を戻す。

 

目の前には、魚のような黒い物体が二匹、色白な、黒い武装を持ち金色の瞳の少女のようなモノが一人。そして、帽子のようなものをかぶり、杖を持った病的なまでの色白で金色の瞳の少女が見えた。

 

 

 

「おーおー・・・イ級にフラグリ級にフラグヲ級・・・よりどりみどりだな」

 

「データで見ました・・・フラグシップクラスは防御も攻撃も段違いだと」

 

「ああ、そのとおり・・・ヲ級を先に落としたいがそのためには・・・」

 

 

 

木曽がヲ級に目線を合わせた瞬間、二匹のイ級とリ級が壁のように立ちはだかる。

 

 

「アレをどうにかしないとな?」

 

「たはー・・・ただでさえわたし火力薄いのに・・・一つ聞きますけど、現状でもヲ級って艦載機を飛ばせます?」

 

「ああ」

 

「・・・あれだけ落としたのに?」

 

「アイツら艦載機は海からでも出せるんだぜ?」

 

 

 

つまり、そう言うこと。彼らには艦載量という概念はない。彼らにとっては沈んだ艦載機はすべて扱える・・・その物量こそが一番の敵なのだ。

 

 

 

「勿論あれだけ落としたんだ。すぐには出せないだろうさ」

 

 

唯一運がいいのは、みらいが情け容赦なく相手の攻撃機をほぼせん滅出来たことだろう。

 

例え相手が物量を持っていようとも、流石に一度に出せる量は限られているらしい。

 

 

 

 

 

「・・・なら、使うつもりはなかったけど先にひとあて行きますか」

 

「さっきのシ—スパローってやつか?ぶちかましてやれよ」

 

「あれとはちょっと違いますね———こっちはれっきとした対艦ミサイルですから」

 

 

 

動きを見せたみらいの艤装。

 

 

普段は隠れている腰の部分にある筒状の装備・・・

 

 

 

「弾数少ないんで使いたくないんですけど・・・そうも言ってられないですよね!目標フラグリ級、及びフラグヲ級!ハープーン発射、SALVO!」

 

 

 

 

身体を横向きとして露呈した筒状の武装。

まるで弓を構えるようなその姿勢のままに、2発の魔弾は放たれた。

 

 

 

弓なりに飛んだあと一段階目を切り離したその魔弾にヲ級を守る3隻の深海棲艦は動きを見せようとするが。

 

 

 

「悪いですけど———本家本元の『サジタリウス』は避けられないよっ!」

 

 

シ—スパローはあくまで対空兵装。

対艦ミサイルであるハープーンは一味違う・・・

 

 

砲弾のように、弓矢のように山なりに飛ぶのであれば迎撃も出来るだろう・・・が。

 

 

今飛んでいくハープーンはまさしく水平。海の上ギリギリを高速で飛来する姿は、その名の意味通りに狩人が放つ銛の如く。

 

 

しかも音速を超え迫る誘導兵器だ。第二次世界大戦しか知らない存在からして見たら、夢・・・しかも悪夢以外何物でもないだろう。

 

 

 

反応し切れないリ級と、それでもなお動こうとしたヲ級を容赦のない一撃が襲う。

 

 

 

「・・・よしっ!」

 

「よしじゃねぇよ。まーた俺の仕事とりやがって・・・何が火力薄いだよ」

 

「いやいや。狙ったとおりの場所に当てただけですよ」

 

 

 

 

 

フラグシップクラスのリ級は堅いと評判だ。それでも一撃で撃沈出来た理由。それはみらいの正確無比な目標選択によるものだ。

ピンポイントでの魚雷発射管を狙った事によって、弱点を射抜かれたリ級は撃沈したという事だ。

 

ヲ級も同じく弱点を狙ったはずなのだが・・・運がいいのか悪いのか。頭部の発着場となっている生物のようなものがヲ級を守った。

 

 

だがあれではもう発艦は出来ないだろうとは木曽の言葉。

理由は分からないが相手側も大破にまで持っていけば発艦は出来ないようだ。

 

 

 

みらいの放ったたった2撃は、覆すことが困難な最大の一手となったのだ。

 

 

 

 

 

「流石だな、みらい・・・やっぱ俺いらないんじゃないか?」

 

「まさか。ここで逃がしてもいい事はなさそうですし・・・全部ぶっ飛ばすよ、木曽!」

 

「了解!」

 

 

 

ヲ級は既に戦闘出来る状態ではない。であればと先に障害となりそうなイ級へと目標を定める・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グ・・・ア・・・」

 

 

 

たまったものではない。思わず叫びそうになるほどの激痛にヲ級は顔をしかめながらもどうやってこの状況を打破するかを考える。

自分を守るはずの盾を担うリ級はまさかの一撃落ち、自分もまた大破である。

 

なんとかして時間を稼いで今一度艦載機を・・・そう考えていた作戦も、たったの一撃ですべてが水の泡・・・

 

 

簡単な仕事のはずだった。どこで間違ったかなんてわからない。

 

 

こうなればすべてをかなぐり捨ててでも逃げきってやる・・・そうは思うが。

 

 

「オレの相手をしたいってバカはどいつだ?」

 

「木曽、援護します!」

 

 

あのバケモノと一緒にいた巡洋艦もまたかなりの猛者・・・イ級では歯が立たない。

今はなんとか逃げ回らせる事で時間を稼いでいるがそれが何時まで持つかわからない。

 

いや、あのバケモノがいるのだ。すぐにでも倒されてしまうかも知れない・・・

 

では、どうすれば逃げる事が出来るか。あの魔弾を撃たせずに、この状況から脱する方法———

 

 

ヲ級は空を見上げ・・・一人、ニヤリと歪に嗤った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦況に動きがある事に、わたし・・・みらいはすぐに気がつきました。

当たり前です。私のレーダーはそう簡単に欺けれはしないから。

 

けど・・・それは決していい事じゃ無かった。

 

 

「特攻!?」

 

 

空に待機していた攻撃機が動きを見せて・・・でも、その動きは先程までとは全く違っていました。

 

最初はこちらに対するように。半数以上をやられてからは上から怯えるように。

 

―――けれども。その動きはどちらでも無かったんです。

 

 

こちらの戦力なんてとうに知っている筈なのに、蛮勇・・・いいえ。

文字通り『命を捨てて』かかってきたんです。

 

 

 

「・・・!た、単装砲!迎撃急いで!!CIWSもAAWオート!」

 

 

この距離ではミサイルはもう間に合いません。故に単装砲とCIWSで迎撃を開始する。

 

わたしの中に芽生える、あの時の記憶・・・。

 

それは、大事な乗員達が死に、怪我を負った、あの戦闘。

 

前に加賀さんと演習をした時に爆撃された時にも・・・ううん。それ以上に思い出した、あの出来事がまるで私を狙うかのように。

 

 

 

「あ・・・」

 

弾幕を、抜けられた。単装砲は仰角を取れずにCIWSは間に合わない。

 

 

———歴史に『引かれる』

 

わたしの頭によぎったその言葉とともに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・攻撃機は爆散した。

 

 

 

「・・・へっ?」

 

「おいおい、みらい。オレを忘れてもらっちゃ困るな?」

 

「え、あ・・・木曽?」

 

 

おう、と言う木曽の軽い声に思わず気が抜けました。

どうやらすんでのところで木曽が撃ち落としてくれたようです。

・・・今まで仲間がいる事さえ忘れるなんて、かなりテンパってたみたい。恥ずかしいなぁ。

 

 

「って駆逐艦級は?」

 

「はっ、あんな奴らに遅れをとるかってんだ」

 

 

そう言い放ち指差す場所には、イ級の残骸が残っているだけだった。

 

 

「それよりヲ級は?」

 

「へ?・・・あ、逃げられた!」

 

 

木曽に言われるまでは完全に頭から消えていた。けれども居ないヲ級に慌ててレーダーで探し出す。

 

どうやら今の瞬間に海に潜ったらしい。

 

 

「むむむ・・・!味方を置いて逃げるなんて卑怯です!」

 

 

こうなったらアスロックを発射してでもせん滅を・・・!

 

 

 

 

そう、考えたときでした。

 

 

 

「ダメッ!」

 

「あたっ!?」

 

 

 

ぽこん!と頭を何かに殴られた感覚に、思わずよろめいてしまいます。

 

一体何が、そう思って肩を見ると、わたしの妖精さんが怒った表情でそこに立っていました。

 

 

「あ、えと妖精さん?」

 

「ゴエイカン ノ キョウジ ヲ ワスレルナ!」

 

 

言われて。わたしは自分が熱くなっていたことに気がついた。

 

護衛艦の矜持。それは自衛隊の矜持でもあって。

 

 

・・・たとえ、戦う事が必要だったとしても、忘れてはいけないものでした。

 

 

 

「・・・そっか。ここでの追い打ちは、自衛艦じゃないって教えてくれたんだね」

 

 

 

敵の攻撃を感知出来なかったことから、この戦闘ははじまった。

 

・・・けれども、そんな言い訳の奥底には、わたしの暗い感情があったことは否定できないです。実際に、今までの戦闘に・・・あの時の。わたしが傷を負って戦死者を出したあの時を重ねてしまっていた。

 

でも、それはきっと違うんだ。やるべきは、ありもしない幻影を重ねて自己満足な復讐をすることじゃあ、絶対ない。

 

今、やるべきことは。

 

 

「・・・木曽。急いで本隊に合流しよう」

 

「ああ、それはいいが・・・あのヲ級はいいのか?」

 

「あれだけのダメージがそう簡単に治るとは思えないしね。それよりも今は先行した長門さんたちに追いつくことが先決だよ・・・こっちにこれだけの戦力が来たんだ。あっちだってそれなりに居るだろうしね」

 

「それには同感だ・・・そうだな、さっさと援軍に行こう」

 

 

 

木曽の言葉に頷き返して進路を変える。

迎うべきは傷ついた敵じゃない。今もなお戦っている、味方のほうです!

 

 

 

 


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