艦隊これくしょん~みらいの未来~   作:エラー猫

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前回はマジで初歩どころか小学生レベルの凡ミスかましたのでまたそんなミスが無いか戦々恐々としつつ投下していきます。

ミス等有りましたら感想で教え頂けると助かります。

*故あってちょっと作者ネーム変えましたけどあんまり関係ないので気にしないでください。それとあとがきに告知が有ります。


2話:どうやら先輩方のようです

電が部屋を出てから司令官である彼はいつも通りに執務をこなしていた。

 

ふと見れば、この部屋もずいぶんと賑やかになったと少しだけ顔をほころばせる。

 

 

一番最初、彼と電が来た当初は執務用の机なんてものはなく、段ボールの上で書いていたのすら懐かしい。

 

 

今では沢山の仲間を引き連れ、少将という地位にまでのぼりつめ・・・大切な伴侶と一緒に日本を守っている。

 

 

でも彼はロリコンとは認めない。ただ好きになったのが電だったと言い訳をしたりする。

 

 

 

と、盛大に話がそれた辺りに控え目に執務室のドアがノックされた。

 

 

このノックは間違えるはずがない。電だ。

 

 

 

「どうぞ、電」

 

「はい、失礼します」

 

「司令官、私もいるわよ!・・・ほら、みらいさんも」

 

「あ、はい。失礼します」

 

 

 

控え目な声と、元気な声。それと聞きなれない声。

 

どうやらどこかで雷と合流し、そして目が覚めただろう艦娘・・・みらい、という艦娘と共に訪れたようだ。

 

 

 

「電、お疲れ様。雷もありがとう・・・それで、君が新しい艦娘かな?」

 

「え、あっと・・・艦娘?」

 

「司令官さん、どうやらみらいさんは自分が人間になった理由もまだ気がついてないみたいなのです」

 

「私たちで説明しても良かったけど・・・司令官からの方が説得力があるから先に連れて来たの」

 

 

「・・・なるほど。ではまずは艦娘に関することから話すことにしようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、ソファに座るように言ってくれる司令官さん。

 

とても若くてびっくりしたけど・・・それよりも階級、少将じゃない・・・

二倍びっくりだよ。

 

それにしても服装が海上自衛隊のものじゃない。あれは・・・草加少佐みたいな日本海軍の服装だよね。

ってことは、今は昭和なのかな?

 

 

 

「さて、まずみらい、といったかな?」

 

「あ、はい」

 

「最初の確認だが、君は元の艦船の記憶を持っているかな?」

 

「っ!?」

 

 

 

・・・この人、一体どこからその情報を?

って、よく考えたら私を保護したらしいし考えれば当たり前、か。

 

 

 

「はい、覚えています」

 

「そうか。簡潔的に言えば、元々艦船だった存在が轟沈、撃沈した後に人の形をとり我々の前に現れたのが、艦娘だ」

 

 

 

そう言って、司令官さんは今までの歴史を私に紐解いてくれました。

 

・・・そうか。じゃあ、わたしも艦娘、ってわけですか。ただなんで女の子なのかきになりましたけど、気にしたら負けなんだろうなと漠然と思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、他にも色々と説明されようとしてるんですが、正直今全く気が気でないんです。

 

 

・・・なんでって?

 

 

 

 

「あの、司令官さん。ひとつ質問があるのですが・・・?」

 

「ん、どうしたんだい?」

 

「先ほど艦娘とは元々艦船だった存在が人の形をとって現われた存在だとおっしゃいましたよね?」

 

「ああ。そのとおりだ。そこに居る電や雷もまた艦娘だ」

 

 

 

 

ぴしり、とわたしの中の時がとまったきがしました。

 

 

 

 

「あの、みらいさんだいじょうぶなのです?」

 

「なんか顔色が悪いわよ・・・どこか具合が悪いの?」

 

 

 

可愛らしい姉妹が、私が変なことに気がついて心配してくれます。

 

けど、違うんです・・・違うんですよ・・・!具合が悪いわけじゃないんです・・・!

 

 

 

 

 

 

 

「あ、の・・・もしかして。もしかしてなのですが・・・貴女方は、もしやあの特Ⅲ型駆逐艦3番艦の雷さんと、4番艦の電さんなのでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ、そうよ!よくわかったわね」

 

「なのです。確か艦船の時も出会った事がなかったので初対面だと思ったのですが・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、やっぱりそうなんですね。

 

 

ここで少し前のわたしの言葉がこちらになります。

 

 

 

 

―――まるでわたしたち護衛艦や、はたまたわたしたちにとって先輩で、そして目標でもある、あの特Ⅲ型駆逐艦3番艦と4番艦、雷さんや電さんみたいな名前です。―――

 

 

 

 

ええ、ええ。そうなんです。

 

このお二方、わたしにとって大先輩にあたり、そして目標なんです。

 

 

 

そんなお二方にわたし、気安く頭をなでなでした挙句、キラキラネームだのなんだのと脳内で言いたい放題だったわけです、はい。

 

 

 

 

そんなわたしがとれる、たった一つの解決策、それは。

 

 

 

 

 

「・・・申し訳ありませんでした先輩方!あんなふざけたことしやがったこのわたしをお許しくださいぃ!!」

 

「はにゃ~!?みらいさんがいきなり土下座を~!!?」

 

「ちょ、ちょっとみらい?いきなりどうしたのよ、ふざけたことって何もしてないじゃない!?」

 

「いいえわたし調子のってましたすんません!たかだか護衛艦ごときがあの有名なお二方にたいして頭をなでる?脳内でいろいろ?これは切腹ものなんです!ちょっと身を清めに行って参りますううううぅ!」

 

「ちょっと落ちつけぇ!?」

 

 

 

 

 

 

わーわー!ギャーギャー!!

 

 

 

 

 

 

~司令官が鎮圧に乗り出しました。しばらくお待ちください~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません、お騒がせしました」

 

「ようやく落ち着いたわね・・・」

 

「みらいさんが大変なことにならなくてよかったのです・・・」

 

「うん、まあ・・・なんであんなに取り乱したのか分からないけど、思い直してくれたのなら良かった」

 

 

 

うう、とても恥ずかしいところを見せてしまいました。

 

それにしても、なんで取り乱したかって?そりゃきまってますよ!

 

 

 

「あたりまえです!お二方は、わたしにとって目標といってもいい方たちなのですから!」

 

「・・・目標?」

 

「なのです?」

 

 

 

はい!と大きく返事をして、あの出来事を思い出す。

 

それは、2003年。とある観艦式の時の出来事。

 

わたしたちは第二次世界大戦のときに起きたとある出来事を知る事となります。

 

1942年3月、スバラヤ沖海戦。沈みかけていたイギリスの重巡洋艦エクセターと、駆逐艦エンカウンター。未だ乗員達が乗っており、絶体絶命の危機に現れた一筋の光。

 

それが、このお二方、雷さんと電さんになるんです!

 

 

と く に ! 今でもあの、雷さんの艦長であった工藤艦長の再現VTRは記憶に残っています。

 

 

『敵兵を救助せよ!』

 

『敵とて人間。弱っている敵を助けずしてフェアな戦いは出来ない。それが武士道である』

 

 

そして最後。士官を甲板に集めてのあの宣言!

 

 

『諸官は勇敢に戦われた。諸官は日本海軍の名誉あるゲストである』

 

 

今でもしびれる一言です!憧れです!!

 

 

 

「それまで公式的な記録は全くと言って残っていませんでした・・・工藤俊作殿は、まったく自分の事に関して記録を残していませんでしたから。

でも!その助けられた士官の一人、サー、つまり貴族の称号を持つ外交官にまでのぼりつめたサムエル・フォール卿のおかげで私たちは知ることが出来たのですっ!」

 

 

 

 

わたしたち護衛艦は、ご存じの通り海上自衛隊に所属しているわけです。

その根幹にあるのは、もちろん敵を攻める事ではありません。自国を守り、弱きものを助けることこそ、わたしたちの本懐なのですから。

 

 

 

「フォール卿は工藤艦長、そして助けてくれた雷、それに搭乗されていた乗員すべてに感謝をしておられました。それだけではありません。

時を同じくしてエセクターの乗員を救助した電さんもまたわたしにとって・・・いいえ、日本にとって誇るべき英雄なんです!」

 

 

「英雄なんて、そんな・・・」

 

「そうよ。私達は、いいえ。工藤艦長達は、ただ自分の正しいと思ったことをしただけよ」

 

「・・・いいえ。だからこそ、ですよ電さん、雷さん」

 

 

 

てれてれと照れるお二方に、諭すように声をかける。

そんなわたしの声音が変わったからか、二人がわたしを見上げてきます。

 

 

そんな二人が見やすいように、視線を合わせるように私はしゃがみました。

 

 

 

「あの戦時中。きっと見捨てることだって出来たはずです。いや、もしかしたらそれが最善だったのかもしれません。

それでも、人としての尊厳を守る。たったそれだけの事をすることがどれだけ難しいことか・・・」

 

 

敵なのだ。もしかしたら、家族が、戦友が、上司が部下が。彼らにやられたかもしれない。

その憎しみを消してでも。困っている人を、それが敵であろうとも助ける。生半可な覚悟で出来ることではありません。

 

 

 

「だから、誇ってください。電ちゃん、雷ちゃん。貴女達は、もっと誇るべきです」

 

 

それが、あの戦いで散っていった英霊達にとっても、きっと最大の供養となるはずですから。

 

 

「・・・っとまた頭も撫でちゃいました・・・ごめんなさい」

 

「ううん。いいの。みらいの気持ち、キチンと伝わったから・・・」

 

「それに・・・その、撫でられるのも、嫌いじゃないのです」

 

 

 

・・・こうしていると、まるで二人のお姉ちゃんになったような気分になります。

本当のお姉さんはガダルカナル島海域の戦いで沈んでしまった暁ちゃんなのですが・・・どうやら、艦娘として蘇り響ちゃんと一緒に元気に働いているそうです。

 

 

 

わたしにも実は姉が二人いたりするんですよね。ゆきなみ型1番艦、ゆきなみ姉さんと、2番艦あすか姉さん・・・

 

まあ、二人はタイムスリップしたわけでもないですし、きっと最後まで護衛艦としての責務を果たしたと思いますが。

 

 

 

やっぱり姉妹が元気にって言うのは、いい事だよね。

 

 

 

 

そんなわたしたちを、ちょっとだけ離れたところで司令官さんが微笑ましそうに見ているのがちょっとだけ印象的でした。

・・・気を、使ってくれたのかな。

 

 

だとしたら、やっぱりここの司令官さんはいい人なのかもしれないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがき:

というわけで、みらいちゃん暴走編でした。


みらいちゃんが目標といった理由はこんな感じです。
護衛艦で、救助や救出。防衛といったものに力を注いでいる自衛艦だからこその想いってことです。

雷電姉妹を絡ませるにあたり、このお話はやってみたかったので出来て良かった。




と言う事で・・・また司令官達にみらいちゃんが護衛艦・・・イージス艦だという事を伝えられなかったよ・・・

え?みらいちゃんは護衛艦って言ってるって?あの騒ぎだと司令官も気がつかないんじゃないですかね(

次でなんとかして伝えて、な、なんだってー!?みたいにしたいですね。



*さて、ここで告知です。本来なら一番最初に言うべきだったことなのですが。

クロスオーバーですが、大分ジパング要素が薄れます。

・・・いやですね。プロットを構築してた時にジパング要素を沢山取り入れたらですね。
最終的にほぼ全ての艦娘が撃沈または轟沈。みらいも最後は・・・っていう、鬱展開になったんですよ。

熱血要素(オルタ的な意味で)は流石に勘弁してください(震え声



なのでこのSSのコンセプトは『艦娘となったみらいが、草加少佐も角松二佐も存在しない世界で、それでも彼らが目指したであろう最高の世界を目指し、深海凄艦と戦い艦娘を、そして人類を守る』となります。

なかなか『ジパング』の要素を出し切る事は難しいと言わざるを得ません。

原作のような展開を望んでいた方達にとっては恐らくコレジャナイと思われますが、どうかご理解の程をいただきたいと思います。

なのでSS紹介の文章をかえ、更にタグで『ジパング要素はフレーバー』を追加させていただきます。申し訳ありません。


PS、はい、何度目になるか判らないミスの報告です。暁ちゃんはキスカ島では無くガダルカナル島海域です。

一回調べ直さなきゃなー・・・

ダイダロスさん、ご指摘ありがとうございました。

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