艦隊これくしょん~みらいの未来~   作:エラー猫

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これで書き溜め的なものは全部・・・でもやっぱり展開が遅いのは許してください。なんでもはしませんけど。




5話:みらいの実力と・・・

「うみなりがこえをーふんふふんふーふー♪」

 

 

思わず歌がこぼれてしまうほど今の私は上機嫌でした。

 

今は横須賀の鎮守府沖、数キロといったところでしょうか。

 

任務の関係とか、あのタイムスリップとかで自由に走りまわることなんてできやしなかった護衛艦時代。

 

今、私はかなり艦娘を満喫してると断言できます。

 

 

なによりも、こうやって風を直に感じれるのがいいです。

 

 

何もない海原を、颯爽と切り裂くように駆け抜ける。

 

それが、とても気持ちいいんです。

 

 

そう言えば、一応わたしって人間態ですから、こんなに早く走ったら水しぶきで大変なことになるなぁ、なんて思ってたらそこは流石は艦娘。

 

なんと艤装をつけてる間は汚れないトンでも状態でした。

 

でも、攻撃を受けると服が破けるそうです。なんだか世界の悪意を感じます。

 

 

 

「・・・ま、いいか。こんぱすだけーを(ピピピ)・・・ん?」

 

 

 

ちょっとだけ考えて、でもやっぱり風が気持ちいのでまた歌を歌い始めたあたりに、通信が届きました。

 

どうやら司令官さんらしいです。丁度いいので、速度を緩めることにしました。

 

あんまり全速前進も機関によくないですからね。

 

 

 

「こちらDDH182・・・と、みらいです。どうしましたか?」

 

《やあ。どうやら満足してくれたようだね?》

 

「あはは・・・ついはしゃいじゃいました」

 

 

 

それは良かったと応える司令官さんは、コホンと一つ咳払いしました。

 

 

 

《では、ついでだ。今のうちに一つ指令をこなしてしまおう》

 

「指令・・・ですか?」

 

《ああ。先ほど元帥閣下と連絡が取れてな。指令内容は『みらいの力量を測れ!』だそうだ》

 

「それはまた直球な・・・了解しました。具体的には何をすれば?」

 

 

 

聞けば、ここは演習区域だそうで、ちょうどここから近い場所からスタートして、目標物を撃破、ゴールを目指すものだそうです。

 

 

ちなみに攻撃機もちょこっとだけ出るらしいです。ま、そのあたりは全く問題ないです。

 

 

 

《ちなみにこの攻撃機は演習機でな。妖精さんの素敵仕様のおかげで演習でしか使えないかわりに撃破しても堕ちない仕様になっている。

おかげでうちの航空隊のエースを乗っけることが出来たんだ。今回はうちの空母、『加賀』からの12機3個小隊が出撃することになっている》

 

 

・・・それ、なんとかして実践配備したら戦い終わるんじゃないですかね。

まあ、そんな事は置いておいて。

 

 

「わぁ・・・あの一航戦の加賀さんですか。なかなかに手が抜け無さそうな相手ですね」

 

 

《ふふ、ずいぶんな自信だな。うちの加賀の航空部隊は錬度が高いぞ》

 

 

 

・・・それこそかかってきてください!です。

 

 

 

「おまかせあれ!イージス艦の極意、見せてあげますよ」

 

《そうか、楽しみにしておこう。今そちらに大淀が判定員として向かっている。ちょっとだけ待ってくれ》

 

 

 

大淀さん・・・確か連合艦隊の旗艦になった艦でしたか。

あの時は大和に目が行ってましたけど、軽巡にしては大きな船でしたね。

 

・・・と、あれかな?

 

 

 

「お待たせしました。軽巡、大淀です。よろしくお願いします」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

「どうですか?艦娘の状態にはなれましたか?もしもまだでしたら少し慣らしの時間をとりますが」

 

「大丈夫です!これでも、緊急時に備えて訓練とかは護衛艦時代に飽きるくらいやってますから!」

 

 

 

そう言うとふふ、と素敵に笑う大淀さん。

 

今思うと、艦娘って美人さんかかわい子ちゃんしかいないですね。

 

大淀さんも、メガネが似合う知的美人、って感じですし。

・・・それなりにおもちがありますね。

 

でもスカートは明石さんみたいな感じなんですね。寒くないんでしょうか。

 

 

 

まあ、その辺気にしても無駄なんでしょう。

 

私自身、コスプレとしか思えないような服装にミニスカニーソなんですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・それでは任務を開始します。よろしいですね?」

 

「はい!」

 

 

 

みらいの元気な声に、ひとつ頷いて大淀は声をあげる。

 

 

 

「それでは、開始します!」

 

「護衛艦みらい、行きます!」

 

 

 

演習、開始。

 

今回の演習は海の上に存在している的に攻撃を当てつつゴールを目指すシンプルなものだ。

 

が、途中からはあの加賀から発艦した攻撃機、九九式艦爆を相手にしなくてはならない。

 

最初は流石に分が悪いのでは、と大淀も思ったが・・・

 

 

 

――彼女が本当にイージス艦であれば、加賀の方が苦戦するだろうね――

 

 

 

という言葉を司令官は発していた。

 

加賀は「頭にきました」とちょっと拗ねていたが。

 

 

最初は止まった瞬間からの機関起動。通常ならばそれなりな時間を要するのだが・・・

 

 

 

「・・・早い」

 

 

 

流石は未来の艦か、たったの30秒程度で機関が動きだしている。

スピードも、あの大きさの艦種にしては早い方に入る。

 

 

 

(そう言えば、イージス艦の武装って確認していなかったですね・・・ここから確認できるのは対空機銃と単装砲・・・あのコンテナは雷撃用でしょうか?)

 

 

 

最初大淀はその装備の少なさから軽巡などと同じなのかと思いもした。

 

・・・これからその考えはひっくり返されることになる。

 

 

一方、演習を始めたみらいは、少し思い悩んでいた。

 

 

 

「・・・これ、スタンダードミサイルとか撃ったらだめですよね」

 

 

 

そう。自身の最大武装である、スタンダードミサイルをはじめとしたミサイル兵装の使用だ。

 

まあ、命中させる事は容易いが、二つばかり問題があった。

 

(・・・補給できるか怪しいし、補給出来たとして値段凄そうなんだよな~・・・)

 

 

それは現在確認されている艦娘が第二次世界大戦中の艦しかいないということに尽きた。

 

 

みらいもタイムスリップした時に味わった苦痛。

ミサイルなんて技術の塊、しかも護衛艦に積めるだけ小型化したものなんて、あの当時の技術力で造れるわけがないのだ。

 

あの時も苦労したっけ、とちょっと思い出した。

 

更に言えば、妖精さんマジックで作れたとしてお値段どのくらい?となるのだ。

 

現実のミサイルのお値段はバカみたいに高い。

0が何個つくかなんて考えたくもない。

 

これは演習。使うまでもないだろう。

そう考えると、使用できる武装は限られてくる。

 

 

「単装砲と対空機銃・・・まあ、なんとかなるか」

 

 

ミサイルや魚雷以外となればおのずと使えるのはその二つしかなくなる。

 

―――が、みらいには不安はなかった。

 

 

「さて・・・CIC妖精さん、頼みますよ!」

 

 

艤装から、小さく「おー!」と聞こえたような気がして小さく笑う。

 

・・・目の前には、モニターのようなものが現れた。

 

 

どうやらCIC、つまり戦闘指揮所は正常に機能しているようだ。

 

 

現れたモニターには、この海域の今の状況、そして写し出された攻撃目標とゴールが示されていた。

 

 

 

「このままいけば南から順につぶしていけばいいかな?いくよ、妖精さん!」

 

 

 

 

目標と使う装備。決めたみらいは機関の出力を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

「敵の順次撃破目標を立てるのが早い!しかも迷いない・・・護衛艦ってみんなこんな感じなのかしら?」

 

 

その戸惑いのなさにむしろ大淀が驚きを隠せない。

この演習を行った艦娘は数知れず、だからこそ動きに乱れのないみらいに驚く。

 

中にはしっちゃかめっちゃかに動き回った挙句、的を残したままとか、途中で寝てしまったりとか、間違って的とごっつんこしてしまったりとかいろいろしでかす艦娘は、実は多いのである。

 

 

 

そう言う意味では、間違いなくみらいは優秀な部類に入る。

 

 

そうして、攻撃範囲に入ったのか、その武装に見える装備の中では一番使い勝手のよさそうな単装砲が動きを見せ・・・

 

 

 

「えっ。初射交叉!?しかも遠近・・・って3発目で命中?!」

 

 

 

おそらく、演習でここまで正確無比な攻撃をした艦はほかに存在しない。

 

初射で交叉させる艦娘は多々いる。が、そこから狙った的を瞬時に狙い撃てるのか、と言われれば疑問が残るだろう。

 

 

大淀にはわからないが、みらいはイージス艦・・・ハイテクの塊なのだ。

レーダーをはじめとした、たくさんの精密機器を使い、波の状況、風の状況。的との距離すべてを瞬時に把握しそれを攻撃に運用することができる。

 

この程度は朝飯前なのだ。

 

 

むしろみらいは満足していなかった。

 

 

「・・・んーやっぱり的が小さいですねー。出来れば初弾命中させちゃって護衛艦って凄い!って見せたかったんですけど・・・」

 

 

 

動かない的を狙っているのだ。自分のスペックすべてを限界まで発揮させればその程度は出来るのだという自信と技術者達の努力の結晶を信じているからこその言葉だ。

 

伊達に自分は技術の国と呼ばれた未来の日本の艦艇ではないのだ。

技術自体がアメリカから貰ったものでも、本物に劣るわけがない。

 

 

 

その後も的を次々と撃破していくみらい。

 

さらに大淀はこのとき気づいた。

 

単装砲の攻撃速度がやたらと速いという事に。

 

この単装砲はイタリア製の127mm単装砲。第二次世界大戦時から使われてきた砲弾と同じ大きさだ。

 

が、もちろんそこは60年の未来格差。

 

この単装砲の恐ろしいところは、その速射性能にこそある。

 

一回に装填出来る弾の数は、実に45発。

 

そして。排熱の関係もあるが分間で44発発射できるすぐれものだ。大体3秒で2発撃てる計算・・・今でこそ世界平均程度だろうが、60年前の装備しか知らない大淀からしたら、この単装砲だけでドン引き装備である。

 

わからない人はこう考えて欲しい。「主砲で弾幕っておかしくね?」と。

 

 

 

 

そうして加賀が登場することによって、さらにみらいの・・・『未来』の力をまざまざと見せつけられることになる。

 

 

「おくれました。全機爆装、既に発艦しています」

 

「加賀さん。航空妖精達の様子は?」

 

「元気いっぱいです。みんないい子達ですから・・・」

 

 

大淀の元へと近づいてきた青を基調とした道着が映える女性・・・それが加賀だ。

いつも通りのクールさに、思わず驚きの連続で動揺していた大淀は一度息を吐く。

 

 

「どうやらかなりの速度で消化しつつあるようですね」

 

「はい。機関停止状態からの即時行動、順次目標の見定め方、単装砲の速射性能・・・どれをとっても見たことがありません。流石は未来の日本における主力です」

 

「・・・それでも、私の子達が止めます」

 

 

 

どこかむっとした加賀の表情にちょっとだけ笑みがこぼれる。

 

やっぱり先ほどの司令官とのやりとりが気に入らないようだ・・・結局のところ、彼女もほめてもらいたいだけなのかも知れない。

 

 

 

「と、そろそろ接敵ですか」

 

「はい。いーじすだかなんだか知りませんが、鎧袖いっしょ・・・?!」

 

 

 

おそらくここで働き始めてから初めて見ただろう、加賀の驚愕の表情。

一体何があったのか、そう思う大淀だったが・・・

 

 

「っ接敵数秒で4機撃破・・・?そんなのありえない、全機一旦体制を立て直して・・・またやられたの!?」

 

 

 

普段からは想像も出来ない、まさしく驚愕といった加賀の表情に、大淀はみらいが開始前に言っていたことを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「護衛艦の真髄、見せてあげましょう!」

 

 

加賀と大淀が驚愕に包まれている中、まさしくみらいは無双状態だった。

 

あたりまえだ。もともとイージス艦とは、ミサイルを使うことが前提であるが対潜だろうが対艦だろうが。まして対空だろうが対地だろうがすべてに対応することができるのだ。

 

特に対空は未来の艦艇だけあってかなりの強化がなされている。

 

 

例え相手が、第二次世界大戦で活躍した日本屈指の航空部隊、一航戦の部隊であろうとも一歩たりとも引かない。

 

 

正確無比なコンピューター制御におけるCIWSの攻撃と単装砲による迎撃はあっという間に7機を撃破してみせた。

 

 

 

だが、それよりも加賀の錬度にみらいは冷や汗を垂らす。

 

 

 

「・・・えー。たった数十秒しか攻撃してないのにこっちの間合いを見極めますか・・・この距離で単装砲当てれるほどやわな相手じゃないですし厄介です・・・」

 

 

 

そう。加賀の航空機が攻撃態勢に入り。そこをみらいが攻撃した時間はわずか数十秒。

 

もしもそのまま動揺してくれて間合い内にいてくれたのならそのまま全機撃破まで持って行けただろう。

 

が。相手はそうではなかった。

 

4機撃破された瞬間すぐさま退避、間に合わなかった3機は撃破出来たが、それ以外は単装砲で狙ってかわす事が出来るだろうギリギリのところでこちらに攻撃するタイミングを見計らっている。

 

 

例え残り5機全機が同時に攻撃しに来ても処理し切る自身が、先ほどまではあった。

 

 

しかし。

 

 

 

「栄光の一航戦・・・流石大日本帝国最強と名の高かった航空部隊。こりゃちょっとでも油断すればきっついですねー」

 

 

 

相手はコンピューターという正確無比な攻撃をすり抜けてくる、そう言いきれるだけの自信があった。

それだけの強敵であると、みらいは認めた。

 

 

 

それと同時にようやく加賀もいつもの調子を取り戻していた。

 

 

 

「加賀さん、大丈夫ですか?」

 

「ええ。ご心配おかけしました」

 

 

 

そう言って前を見つめ直す加賀もまた、ようやく慢心を切り捨てた。

たったの数十秒。たったの数十秒なのだ。

 

いままで敵に近付いて、自分の攻撃機がこんなにも早く落とされたのは今回が初めてだ。

 

 

相手がこちらに気づいていたのはまあ、まだ分かる。

 

が、あそこまで早くこちらの位置を割り出しすぐさま攻撃を当てるなんて芸当、考えてもいなかった。

 

 

 

と、このとき加賀は、出撃する前に言われた司令官の言葉を思い出した。

 

 

 

――加賀。きっとこの演習は君にとっていい経験となる・・・一度、『未来』を見てくるといい――

 

 

 

あの時は意味が分からなかったし、もっと自分もほめてほしいと拗ねていたのであまり考えてはいなかったが。

 

今ようやく分かった。きっと司令官はこう言いたかったのだ。「ありえないと決めつけるな」と。

 

 

そうだ。いつだって、人は人の予想を超えてくる。

それが自分たちから60年も先の未来を生きている存在であるのならば、それは当り前のはずだった。

 

 

ふっと、笑みがこぼれる。

 

大淀ですら驚いた、加賀の笑み。どれだけこの人笑わないんだろうと思ってただけにかなり驚愕のご様子。

 

 

そんな事にも気がつかず、加賀はポツリとつぶやいた。

 

 

 

 

「・・・認めましょう。みらい、貴女の実力・・・そして『未来』の力」

 

 

 

だから、全力で立ち向かおう。

今から自分は一航戦という、ひとつの頂点ではない。ただ、強大な力を持った『未来』に対する挑戦者だ。

 

 

最善では敵わない。ならば最良を手繰り寄せろ。

相手は平穏な世界の住人だ。此方は戦いを幾度も繰り返した戦人だ。

 

ならば。たとえ技術で劣っていようとも―――

 

 

 

「・・・経験で、補って見せましょう!」

 

 

 

 

 

 

「っと、これであと2つ!」

 

 

あれから加賀さんの攻撃機は時折フェイントかけてくるだけで、やっぱり攻撃範囲外に待機してます。

 

・・・なんだかんだで今、指示を下すのはわたしですし、レーダー見たり攻撃したりする最終的なところはやっぱりわたしなので精神的に疲れます。

 

この辺は流石第二次世界大戦を戦っていたフネだなぁ、と関心します・・・多分、私が精神的に油断する隙を狙ってるんでしょうねぇ。

 

 

ま、それでもCIWSはそう簡単に抜かせませんけどね。

 

 

 

と、最後に見えた的。

 

面倒なことに2個がほぼ等間隔にあるわけです。

 

ねらえないことはないですが・・・

 

 

経験なんかじゃない。わたしの直観。

 

多分。加賀さんがしかけてくるのなら――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・来た」

 

 

最後の的。そこは2個も的が等間隔にあり、ねらいやすい目標だ。

 

 

が、それは狙われていないときに限る。

2個ある、と言う事は勿論2個を狙わなくてはならないのだ。

 

人間は2個以上を同時にする場合、どうしても隙が生まれる・・・もしも加賀がしかけるとしたならば。

 

 

 

 

「「ここしかない」」

 

 

 

加賀と、みらいの言葉が重なった。

 

 

 

「全機、攻撃開始して―――撃ち負けないで」

 

 

 

みらいの単装砲が、1個目の的を狙った瞬間。まるで爪を研いでいた鷹が獲物を狩るように動き出す。

 

珍しく挑戦者という立場故に、加賀は思わず熱くなっていることに気が付いた。

 

 

「さすがに気分が高揚します」

 

 

思わず呟いたその言葉と共に笑みを深める。

 

高い壁。それを乗り越えられずに何が一航戦か。

 

乗り越える。絶対に。

 

 

 

 

「っ、本当に面倒なタイミング・・・!CIWS、AAWオート!」

 

 

それと同時にみらいもまた動き出す。

 

正確無比な未来の武装。作りだしたその思いは、攻めることにあらず。全ては守る為に。

 

故に、守り切る。絶対に。

 

 

 

みらいにとって一番の恐怖は、艦爆に装備されている爆弾だ。

それさえ回避してしまえばあとは取るに足らない。

 

―――その、はずだった。

 

 

 

「なんで避けれるのよ~!?」

 

 

思わず愚痴がでる。

あたりまえだ。コンピューターは人間以上に正確で、無慈悲だ。

だというのに、弾幕の雨もものともせずこちらに迫りくるその様はまさしく肉食獣。

 

そこに重い爆弾を背負っているのかと――――

 

 

そこで、気がついた。

 

 

 

「あの子たち、爆装してない!?」

 

 

 

そう。今CIWSが狙っているのは爆装を外した攻撃機だ。

一体何を。そう思った瞬間に、気がついた。

 

 

今目に見えているのは4機・・・後1機は?

 

 

「CIC!後1機は!?・・・そんな、直上っ!?」

 

 

気がつかなかった。目の前の敵に必死で、真上に最大最強の一手を持ってきているという事に。

 

 

 

「・・・みんなの決死の一撃、手向けとしてください」

 

 

 

5機のうち4機を囮にするという、一航戦として、そして母艦として屈辱の一手。

それでも。これしかないと決めた。これでなくては勝てないと思った。

 

全機ともに必死に働いてくれた。後は―――運。

 

 

 

見上げるみらい。

 

既に撃ち落とすには時間がなさすぎる。

 

 

そして―――機体からその一撃は切り離された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・やった?」

 

 

 

大きく上がった水しぶき。

どうやら切り離された爆弾は、キチンと起動したようだ。

 

 

手ごたえはあった・・・が、どうなったかは見えなかった。

 

 

 

 

 

 

徐々に静まりつつある水しぶき。

 

その中から一つの砲撃の音を聞いた。

 

 

 

そして、最後の残っていた標的を撃破されて、加賀は静かに目をつむった。

 

 

 

「ぺっぺ・・・うぇ、思いっきり水飲んじゃった・・・でも!なんとか回避成功ですよー!」

 

 

 

少し服が焼けたような跡こそあれ、みらいは無事だった。

 

決死の攻撃も、あと一歩届かなかったという事だ。

 

 

 

 

「今回は私の負けね、みらい・・・でも、今度は負けない」

 

 

 

意気揚々とゴールへと駆けるみらいに、聞こえなくてもポツリと呟いた。

 

 

最初こそ駄々をこねてしまったが・・・今、加賀は司令官に感謝していた。

 

 

新たなる好敵手との出会いに。

 

 

 

 

こうして、演習はみらいのS判定で終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがき:


Q、加賀さん強すぎね?

A、一航戦=全員メビウス1と聞いたらこうなりました。



正直、加賀さんの爆撃機を強くし過ぎた気がしてならない、どうも。私です。

本来こんな事は起こり得ないものでしょうね。実際300~400キロしか出ないレシプロ機で、音速出せる戦闘機すら撃ち落とせるイージス艦の攻撃を避けれるわけないんですけどね。

そこはアレです。演出と、一航戦補正と、みらいの錬度の低さのせいと言うことで。

ちなみにみらいは、というかイージス艦は紙装甲なんで、多分爆撃一発で中破か大破まで行くでしょうね。



ただ皆さん知っての通り、イージス艦の主兵装はあくまでミサイルです。

使ってたら一航戦の加賀さんの艦載機でも瞬殺です。
原作でも20機を1分で撃墜してましたし。
きっとそのことを知ったら加賀さんもドン引きしてくれるでしょう。


あと、うちの艦娘達は割と好戦的です。
と言うよりも熱血系です。艦これのアニメがちょっと3話がアレだったんで、そっちとは違う展開の方がいいかなぁと。

まあ、アニメの方はこれからですこれから。13話のうちまだ半分も入ってないんですから。

(さーて、あと何隻沈むのかな・・・


出来れば某ひぐらし的なノリの2クール目に入って大団円か、提督がTEITOKUでもうお前ひとりでいいんじゃないかなしてくれるといいんですが。


まあ、今の展開を見るかぎりないでしょうね・・・




PS、またまたミスの報告です。
単装砲、イギリスではなくてイタリアでした。何をどうしたらこんなミスになるんでしょうね(白目


アフターバーナーさん、HOSキッズさん、かがみXさん、ありがとうございました。

PS2、はい、また発覚しました。

単装砲、前のままだと分間80発とかバカな事になってました。

また小学生レベルかよ・・・ROM(仮)さん、報告ありがとうございました。

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