ARMORED CORE VERDICT DAY ‐カーチス姉妹の協奏曲‐ 作:黑羽焔
当該ヘリは領域内での隠密行動を終え、脱出の準備中であるが、
離陸の際に襲撃を受ける可能性がある。
ヘリに接近するものは、全て撃破して欲しい。
作戦目標:指定領域内の敵を全て撃破し、味方ヘリを護衛せよ
(イレギュラー情報:財団の仕込みあり)
【アセン内容(カテゴリー/その他)
HEAD:HF-277、CORE:CB-209、ARMS:AE-118、LEGS:AOI mdl.1
FCS:FA-303、GENE:MAKIBASGURA mdl.3、BOOSTER:BA-309
R-ARM:AM/GGA-206(ガトリングガン)
L-ARM:Au-V-M05(ヒートマシンガン
SHOULUDER:SAZANAMI mdl.2(VTFミサイル)
R-HANGER:HABAKIRI.mdl1(高周波ブレード/オリ武器)
L-HANGER:Au-L-K29(カルサワ/レーザーライフル)】
※今話にて流血表現あり
No side(視点:フリージア)
-シティ跡地-
かつてここには『シティ』と呼ばれる大都市があった。『NORTH FRONTIER』地区ではその名残なのか崩壊したシティの一部が残されている。マギー達は新たな依頼で、隠密行動中のヘリの脱出を援護するのが今回の任務である。
《まもなく、離陸準備が完了する。このまま何もなければ丸儲けだな、貴様ら》
ヘリの操縦士がそう言うと高機動型が倉庫の影やビルの向こうから姿を現した。
《……そんないい話がないのが、この仕事でね》
《周辺から敵部隊、発見次第応戦を》
《客が来ました、急いでもらえますか》
護衛対象のヘリを狙い、高機動型が大挙として接近してくる。
《…フリージア、盛大におもてなししちゃいな》
「了解、いらっしゃいませ~!」
《ファットマン…何、変な事教えてるのよ!!!《いてえ!》》
フリージアは敵高機動型をまるでお客をもてなすかのようにガトリングとヒートマシンガンで丁寧に第1陣を排除していく。
……途中、ファットマンの茶かしにマギーからの突っ込みもとんだ。
《敵第2陣を確認した》
《ヘリを死守して、まだ来る》
倉庫方面から第2陣の高機動型が姿を現す。ガーベラはその場でブーストを瞬間的に切り急旋回。
第2陣の方へガトリングの弾幕を集中させ高機動型を落としていく。何機かヘリに群がろうとするもフリージアは冷静にロックし破壊していった。
《敵第3陣、接近してくる》
《離陸急げ! 早く!!》
《…すまんが、機体にトラブルが生じているようだ。もう少し耐えてくれ》
《ちぃ、ロクな話じゃねえな》
《フリージア、第3陣は三方から攻めてくる。合図で順番に迎撃をして!》
「了解!」
第3陣の高機動型が接近してくる。フリージアはガーベラをヘリの近くまで走らせる。
《倉庫側!》
予め左武装を換装したレーザーライフルで敵集団が固まっている所を狙撃、レーザーの高熱量で高機動型はあっさりと貫通。掠った機体もバランスを大きく崩すそこをガトリングでまとめて落とす。
《ビル側!!》
倉庫を利用しブーストドライヴで高く跳びガトリングとヒートマシンガンを雨あられを敵機に浴びせる。奇襲をしようとした高機動型は回避できずに落とされる。
《地下道!!!》
地下道から飛び出てきた敵集団にはVTFミサイルを発射、近接信管に反応しミサイルが起爆。爆発に巻き込まれた高機動型は吹き飛び、地面をこすりつけながらバラバラとなった。
「それぇ!!!」
最後の1機も出てきた瞬間に蹴りを叩き込む。重量機体の蹴りと喰らった高機動型は蹴られた衝撃
で真っ二つに砕かれた。
《上出来よ、フリージア》
「マギーの指示のおかげだよ~」
マギーに褒められフリージアは少し照れるもののここは戦場ということで警戒に戻ろうとした。その時である。
《……お前で28人目…》
「…っ!?」
《(!?)どうしたの、何かあったの?》
《さらに増援、ACだ!》
「あそこ!なにかいる!」
《……恐れるな、死ぬ時間が来ただけだ》
ビルの上で待機していたと思われるACが地表へと降下。それは以前に見た死神部隊の機体と同じ黒と赤のカラーで、エンブレムの獅子の持つ武器は斧槍だった。軽量の2脚タイプの死神部隊3番機『R.I.P.3/N』である。
「死神部隊!…あいつのようじゃないけど同じカラーリング!」
《何をしてる! 早く離陸を!!》
《出力があがらん、ACを撃破してくれ》
《もういい!早く敵を!》
マギーはヘリの操縦士に悪態をつきながらも、フリージアに指示を出す。
《フリージア、奴さんが『死神部隊』だからって…無茶はすんなよ!》
《軽量2脚だし張り付かれたら終わりよ。接近前に対応を!》
「了解!」
死神に近づかれる前にガトリングで弾幕と張り動きを制限、換装したレーザーライフルの狙撃による先制攻撃を仕掛ける。
それに気付いた死神はHBでレーザーを回避。ガトリングの弾幕に怯まず点在するビルを利用し一気にガーベラへと迫る。死神の装備は右にパルスマシンガン『AM/PMA-239』、左にショットガン『AU-B-E08』。それに右のハンガーにはレーザーブレード『KAGIROI mdl.3』を装備した近接高機動仕様である。
「(張りつかれたら…負ける。だったら近寄らせないように攻める)」
ガーベラはハンガーからヒートマシンガンも取り出し近寄らせまいと弾幕を張る。死神Nはそれを嫌ったのか一定の距離を置きながら高速でのオービット起動と呼ばれる射撃戦運動に突入。パルスマシンガンで弾幕を張りショットガンを撃ち込む。
「くっ!」
ガーベラはHBで回避しようにも鈍重な機体なため拡散するショットガン・パルスマシンガンの弾が一部あたってしまう。が、堅牢な装甲は若干削がれるもその弾のほとんどを弾き無力化した。
《硬いな……》
その後は一進一退の攻防となる。重量機のガーベラは泣き所である旋回性の悪さを突かれないよう死神を迎撃、死神はまともに喰らわないように回避行動をとる。軽量機の死神機は機動性を活かし肉薄ガーベラの死角からの一斉射を狙おうとし、フリージアは最低限の回避に留めその攻撃を堅牢な装甲で受け流す。両者の間に激しい銃撃戦が展開されている。
《撃ちあいになったか…これならこちらのペースだな》
《そうだといいんだけど……あいつ…違う奴だけど私の時と同じだわ》
《何がだ》
《コアブロックばっか狙ってる!》
そんな中、マギーは死神の攻撃の特徴を見極めた。さっきから死神はガーベラのコアパーツ、それもコックピットブロックがある所を狙っている。
――― キン!
「ッ!また!」
それはフリージアも気づいていた。先程からコアパーツが銃弾を弾く乾いた音がコックピット内に響く。
死神は辺りに点在する建物を利用し軽量の機体を活かした機動力でガーベラに肉薄しようとする。それに対しフリージアは死神の狙いがわかり、接近させないとガトリングで道を塞ぎ火力を一気に集中させ倒そうとした。
しかし、フリージアは死神と呼ばれたAC乗りのさらなる異質さをすぐに知る事となる。
《大体は分かった。…そろそろ殺すとしようか》
死神が突然飛び上がりガーベラの距離を一気に詰めてきた。
《正面から挑む気!》
反撃するためにFCSに捕捉しようとしたが、死神はさらに建物をけりガーベラの死角へと回り込んだ。
FCSの捕捉を外されたフリージアは咄嗟にGBを起動させその場から離れる。
「え?」
《やられた!……誘い出せれたぞ!》
気付けば倉庫付近に誘い出されていた。切り替えそうにも狭く、頭上は死神にとられておりエネルギーもGBで消耗し飛ぶ事が出来ない。
思惑通りに事を運んだ死神は肩部のヒートロケット『AMAKUMO mdl.2』を発射。頭上からHEAT弾の雨あられが降り注いで来る。
「きゃぁ!」
狭い地形でなんとか回避するもロケットの一部が機体に直撃しその衝撃にフリージアは悲鳴を上げた。
《……》
ロケットの爆発で発生した噴煙を突っ切り止めを刺そうと両武装を構えて狙いを定める。
「やらせない!」
ブーストを吹かし無理矢理態勢を立て直したガーベラは向かってくる死神に対しガトリングで反撃した。高速で飛ぶ弾丸は死神のパルスマシンガンのマガジンに掠った。それによりパルスマシンガンのマガジンが炸裂し爆発した。
爆発した影響か死神の突撃速度がいささか緩む。
「でぇぇい!」
それに合わせてガーベラはブーストチャージを放つ。死神の突入コースからほぼ直撃が確定である。少なくともフリージア・マギー・ファットマンはそう思った。
《な!》
《!?》
死神は軽量の身でそのままの速度でブーストチャージの蹴りを放ってきた。衝突する両機体……機体の重量的はガーベラ、速度は死神が勝っている。機体の重いガーベラに軍配が上がると思われた。
「あぁ…あ…ぐぅ……」
《フリージア!?》
ガーベラから死神の機体が離れていく。ガーベラの反撃を身をよじるように直撃を回避した死神の蹴りが決まったようでコアパーツが変形し歪んでいた。
《……あそこで反撃してくるとはな。そのままにしていれば楽に死ねたものの》
一方、死神の機体も無事とはいかず衝突の打点はずらしたものの脚部からは火花が散りズタズタとなっている。重量級にカウンター気味に入れたがその衝突の威力を物語っていた。
「いたい…痛い……」
《まずい、フリージアのやつさっきの蹴りで負傷してるぞ》
《まあいい。その実力は評価しよう…だが私が殺す》
ファットマンは異変に気付く。先程の衝突でフリージアが負傷したようだ。しかし、死神はそれを気にせずレーザーブレードを起動させる。
―――――――――――
side:フリージア
まさかあのタイミングでこっちの直撃を避けてくるなんて。お姉ちゃんが戦った死神じゃなくてもあのパイロット異常すぎるよ。
――― ズキン
痛い…痛いよお……。胸がずきずきと痛む。ゲホッ…ゲホッ…、口を切ったのか内臓を損傷したのか分からないけど咳き込むと血が吐き出される。それに衝撃で頭もうったのか血も出てるし、なんかフラフラとしてきたよ……。
《まあいい。その実力は評価しよう…だが私が殺す》
死神がレーザーブレードを起動した…。それは死神の鎌のように見えるからまるで本当の死神……。
――― ニゲテニゲテ ―――
さっきから私の嫌な予感が『声』として聞こえちゃう……。このままじゃあやられる…ここまでなの?
……駄目、ここで弱気になったら本当に…何もできなくなっちゃう。強がりだけど…、
「どうして…どうしてなの、なんでそこまで殺しにためらいもないの?」
《何を言いだすかと思えば、……そんなものなど戦いには不必要。そんなものは邪魔にしかならない》
「それに、あなたに言葉に心が感じられないよ。まるでUNACみたいな……」
『どうでもいいことだ。私は死神…既にそんなものはない!』
「…そんなの悲しすぎるよ…」
死神の言葉につい反応して余計な事を言ってしまった。でも、これで私がアイツに負けたくない理由が出来た。今までの傭兵はそういう戦いの中でも思いや感情を感じることが出来た。だけど、アイツにはない。だから…アイツには負けたくない!いや、負けられない!あんな奴に殺されてたまるか!
死神の機体は脚部が損傷してるせいかゆっくりとこっちに迫ってる。私は、コックピットに備え付けられている『痛み止め』の注射を取り出し首筋に刺す。
「くっ!」
これで痛みはしばらくは大丈夫。あとは、機体だけど……、回路に異常ありでエネルギーが一部断裂して漏れ出してる…。これじゃあジェネレーターの容量分なくなったら止まっちゃう…。どうしたら……。
【大丈夫】
え?
【大丈夫、私はまだやれますよ】
『声』が聞こえる。さっきのと違う『声』だ。
【大元は損傷していますが、ただ一度ならやれます。それにまだ手はあるのでしょう?】
もしかして?
【私を信じてください。マイスター!】
私の機体ガーベラの『声』なの?……よぉし、こうなったらスペック上では可能で実戦ではやったことないけど一か八かだ!
――――――――――
No side(視点:フリージア)
脚部の損傷のためかゆっくりと動かないガーベラに向かう死神。
《マギー状況は!》
《ロケットは左腕部を犠牲にしたおかげでそこ意外に目立った損傷はなかった。……ただ、さっきの蹴りでエネルギー回路がおかしくなってるわ。ジェネレーターのエネルギーが減っていってる。安全装置が働いたのかジェネレーターの供給が停止してるわ》
その時である。ガーベラは装備していた武器をHABAKIRIを除いてパージし、右手に高周波ブレードHABAKIRIを取り出した。
《最後のあがきか?無駄な事を》
死神はレーザーブレードを上段に構え、
《死ね!そしてやすらかに眠れ!》
死神の鎌ともいえる命を狩る一撃が振るわれた。
《フリージア!!!》
マギーが叫んだその時、ありえない光景が2人の前に映っていた。
《何!?》
それは死神Nもである。ガーベラはHABAKIRIを構え、なんとレーザーブレードの高出力のTE刃を受けようというのだ。
《(くだらん事を……)》
死神の機体はそのままHABAKIRIごとガーベラのコアを両断しようとレーザーブレードを振り落とそうとした。あの頑強な金属であるMURAKUMOですらTEに対するコーティングはされておらず融解して切断される。そのはずだったのだが、
《(!?)》
HABAKIRIはレーザーブレードのTE刃を受けた。そのまま融解されコアまで届くかと思われたが受けたのである。
《なんじゃ…ありゃぁ。TEシールドみてえにコーティングでもされてるのか》
《(!?)……新型HABAKIRIの特性…カタログ上はレーザーブレードでも融解しないってあったけど、フリージア…ぶっつけ本番で使った!》
さらに受け切ったHABAKIRIの刃が蒼く染まる。まるで、レーザーライフル・ブレードにエネルギーが供給するかのように蓄えられた刃は、レーザーブレードの反流に抗い始めた。
《ありえない…何故だ…何故その金属が作られている!!!》
死神Nはあらゆるデータから唯一可能性のあったものを引き出した。この世界でのACパーツはほぼ生産可能だが…量産が不可能な素材が使われている武器があり『KARASAWA』と『X100 MOONLIGHT』がこれにあたる。この2つに使われている素材が何故かこのブレードに使われていた事に死神Nは驚愕した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
フリージアの叫びと共にレーザーブレードの基部が真っ二つに斬り裂かれ、そのままHABAKIRIの刀身はNのコアに突き刺さり、火花をあげながら深々とコアを半分斬り裂いた。途中でジェネレーターの容量のエネルギーがなくなり、ガーベラは補助動力に切り替わった同時に機体からエネルギーを供給していたHABAKIRIの高周波機能も停止したためコアをすべて切り裂くには至らなかった。
――――――――――
No side(視点:マギー&ファットマン)
「はぁ…敵ACの撃破…並びに敵の全滅を確認。いい話じゃなかったな」
敵を何とか退けたファットマンはふっと息を吐く。
「……操縦士、貴様なぜ離陸を引き延ばした?」
《トラブルと言ったはずだ、それとも、報酬が不満か?》
「……言う気はないということか」
《何を勘ぐっているのかしらんが、依頼は完了だ。ご苦労だった。……しかし、まさか死神を倒すとはな。その傭兵、確かにいい腕だ》
マギーはヘリのパイロットが何か隠していると思ったが、追及してもこれ以上は無駄だと思い辞めた。ヘリは離陸し、それを見届けると停止したガーベラに通信を入れる。
「フリージア、大丈夫?」
《…な、何とか。痛み止めうったけど切れたのかまた痛くなってきた》
「あの状況でよく頑張ったな」
《うん、ガーベラが励ましてくれた気がして…あはは、機体が動かないや》
「何それ?…まあ、いいわ。回収するから少し待ってて」
ファットマンはヘリを操縦し、ガーベラの回収作業に入ろうとした。
《・ ・ ・ ・ ・》
この時、3人は安心しきっていたが確実に死神は仕留めたことを確認した。コアのパイロットブロックに深々とブレードが刺さっておりほぼ確実にパイロットが死んだと思われていたのである。
その時、さらなる異変が起きた。コックピットを仕留め停止したはずの死神の頭部に光が戻った。
そして、そのアイセンサーは燃えるようかのように紅く発光し、そして、機体が徐々に動き始めた。
「(!?)おい、死神の様子がおかしいぞ!」
「(!?)フリージア、逃げて!!!」
《え?》
異変に気付いた2人の通信にフリージアは気付くも傷の痛みもあってかいつもより反応が遅れてしまった。
――― それが命取りだった ―――
突如動き出した死神の機体がガーベラに襲い掛かる。そして、凄まじい速度で蹴りを叩き込んだ。
何もできずガーベラは吹き飛び地面を転がりながらも倉庫に突っ込み破砕。倉庫に突っ込みつつも
やっと止まった。
「フリージアぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
辺りにマギーの慟哭が鳴り響いた。
再起動した死神により見るも無残な最期となってしまったフリージア。はたして彼女の運命は……。
以下、解説
●死神N
普通にやると削られるもさっくりと倒せるためフロムマジック級の大強化。最後のイメージとしては某主任のアレ。