憤怒と雁夜   作:グリゴリ00号

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おはこんにちわ


ギル様めっちゃ難しい
これからリアルが忙しくなりそうなんで更新速度遅くなりそうです




初戦

 

 

人気の無い真夜中の倉庫街。金属がぶつかり合う音が響く

 

 

争っているのは二本の槍を巧みに操るランサーと不可視の剣を持つセイバー。どちらも人間離れした動きで戦いを続ける

 

 

そんな戦いをバーサーカーと雁夜は近くの下水道の下で使い魔を通じて監視している。目で追うこともすらできない二体のサーヴァントの動きに唖然とした雁夜は焦ったようにバーサーカーに問いかける

 

 

「おっおいバーサーカー、あいつらに勝てるのか?」

 

 

「年老いた体ならば厳しかっただろうが、この体ならば負けることは無いよ」

 

 

そう言うが雁夜は若干の不安を覚えた。確かにバーサーカーは強いのだろう、だがバーサーカーには宝具が無い。しかしほとんどの英霊は強力な宝具を持っている、いくら技量があるからと言ってもその差は歴然だ

 

 

そんな事を考えていると戦局が動いた。ランサーが宝具を解放し、セイバーの宝具の一端を暴いたばかりか手傷を負わせたのである。それによりセイバーが押され始めた

 

 

「ふむ、魔力を無効化する長槍と治療不可の傷を負わせる短槍か……なかなかのものだな」

 

 

そう言うバーサーカーだが、目は笑っている。

 

 

「確かにお前に魔力無効化は関係ないけど、治療不可の方はどうなんだよ。たぶんホムンクルスでも回復できないぞ」

 

 

「ああ、言ってなかったね?私はホムンクルスだが再生能力は備わっていない。ようするにただの人間と変わらんのだよ」

 

 

「はあ!?聞いてないぞそんなこと!」

 

 

雁夜はその事を聞いてかなり動揺した。バーサーカーが自分の事をホムンクルスと言っていたため、自分と同じく不死身だと思い込んでいた。そのため宝具が無くてもなんとかなると思っていたのだが、不死身でないとなるとただの宝具が無いサーヴァントになってしまう。流石の雁夜も剣の技量だけで勝ち抜けるとは思えなかった

 

 

「まあ心配するな、私は生前から不死の肉体など持っていなかった。それ相応の戦いかたは心得ている」

 

 

「けど…「一ついい忘れていた」

 

 

雁夜の声を遮るようにバーサーカーが声をかけた。その声は先程とは違い威厳に溢れた声であった

 

 

「どうして私が軍人として英霊になれたと思う?」

 

 

そういうとバーサーカーの服装が変わる。身軽さを重点に置いた格好になり、ベルトには五本のサーベルがついていた

 

 

「私には無限に近い命も、強力な宝具も無い。だが」

 

 

そう言い、バーサーカーは着けていた眼帯を外す今まで閉じていた左目を開く

 

 

「私は無限の命や強力な宝具に匹敵する最強の目を持っているのだよ」

 

 

瞳の代わりのようにウロボロスの入れ墨が入っていた

 

 

バーサーカーがそう言い終わると、乱入してきたライダーが全てのサーヴァントの姿を見せろといい放った。素直にでてくるサーヴァントがいるとは思えなかったが、何故か金色のサーヴァントが現れた

 

 

「どうやら私も出たほうがよいようだな」

 

 

それを見たバーサーカーが下水道の出口に歩いていく

 

 

「………頼んだ。バーサーカー」

 

 

「了解したマスター。戦闘は私の好きにさせてもらう。心配するな第一目標は金のサーヴァントだ」

 

 

 

 

 

「我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を見知らぬと申すなら、そんな蒙昧は生かしておく価値すらない」

 

 

ウェイバー・ベルベットは後悔していた、聖杯戦争に参加したこと自体を。もともと叶えたい願いなど持ち合わせておらず、参加した理由も半ばヤケクソみたいなものだった。だから死ぬ覚悟も持ち合わせておらず、確固たる信念も無い。それなのに

 

 

圧倒的な力を持つアーチャーに殺されようとしている

 

 

「喜べ、王たる我が手を下してやるのだ」

 

 

そして後ろに覗く宝具が打ち出されようとした時

 

 

「盛り上がっているすまないね。私もかつて王を名乗った身、名乗りでない訳にはいかないだろう」

 

 

コンテナの影からサーヴァントらしき男が現れた。ウェイバーは命が助かったことに安堵すると同時に、現れたサーヴァントに疑問を覚えた。既にアサシンは敗退しこれまでに現れていないサーヴァントを考えると、残りはバーサーカーとキャスターだけだ。だが今現れたのはどう見てもキャスターには見えず狂っているようにも見えない

 

 

それは他のマスターとサーヴァントも同じだった。その気持ちに答えるかのように男は口を開いた

 

 

「先に言っておくが私のクラスはバーサーカーだ。狂っていないのには理由があるが、今はそんなことどうでもいいことだろう」

 

 

バーサーカーは腰についている五本のサーベルの内の一本を引き抜く。その姿はバーサーカーとは思えず、まさに王と名乗るに相応しい姿だった

 

 

「マスターの命令でね。アーチャーくん、君はここで倒させて貰おう」

 

 

バーサーカーがそう言うと先程まで目に見えて不機嫌だったアーチャーだが、それ以上の殺気がバーサーカーに向けられた

 

 

「雑種共が王を名乗ったと思えば……よもや人形までもが王を名乗るとは。さらに我を倒すだと?」

 

 

ライダーに向けられていた宝具の先端がバーサーカーの方を向き

 

 

「身の程をわきまえよ!人形が!」

 

 

その言葉と同時に剣と槍が放たれた。打ち出されるスピードはもはや人間の目で追うことすらかなわず、誰もがバーサーカーが貫かれる姿を想像した

 

 

「ほう、なかなかの威力だ。正面から叩けばこちらが持たんな」

 

 

確かにバーサーカーに向かったはずだが、宝具は同じスピードのままバーサーカーの斜め上に飛んでいった

 

 

「は?あいつ何をした『ドシャ』うわ!?」

 

 

ライダーに何が起きたか聞こうとした瞬間

ウェイバーの後ろから何か大きい物が落ちる音が聞こえた。恐る恐る振り替えって見ると、そこにはアーチャーに殺され敗退したはずのアサシンが血の海に沈んでいた。みるとアサシンの身体にはアーチャーが放ったはずの宝具が突き刺

 

 

「……おい、ライダー……あいつまさか」

 

 

ウェイバーはライダーに問いかける。答えは既に出ていたが、それでもウェイバーは信じたくなかった

 

 

「ああ、バーサーカーは打ち出された宝具をアサシンに当たるように受け流したのだ……とんでもないやつだのう」

 

 

自分の推測が正しかった事を確認したウェイバーは愕然としたが、一番驚いたのはバーサーカーのマスターである雁夜その人だった

 

 

「……まじかよ」

 

 

薄暗い下水道の中で一人呟く

確かに大砲と変わらんとか言っていたが、まさかこれほどの事をやってのけるとは思っていなかった

 

 

「殺せ、バーサーカー」

 

 

その言葉は闇のなかに消えていった

 

 

 

 

「我の宝物を利用するとは……その不敬、万死に値する!!!」

 

 

そしてアーチャーの怒号が響き、アーチャーの背後の黄金の揺らぎが巨大化する。そこから大量の宝具が先端を覗かせ、中には巨大な剣や大きく歪んだ鎌など先程の宝具以上の威圧感がバーサーカーに向けられた。だがそれを見て、バーサーカーは呆れたようにため息をついた

 

 

「まったく、大量の宝具も宝の持ち腐れだな。打ち出す事しかしないとは」

 

 

アーチャーが右腕を挙げると大量の宝具がバーサーカーに降り注いだ

 

 

そして次の瞬間バーサーカーはアーチャーの目の前に移動していた、宝具を足場に利用したのだ。そしてそのままの勢いでアーチャーの胸にサーベルを突き刺そうとしたが

 

 

キンッという音が鳴り、サーベルが半ばから折れて宙を舞っていた

 

 

アーチャーはポールの上から落とされ、その原因となったバーサーカーを殺気と共に睨み付ける

 

 

「おのれぇ…王の鎧に傷をつけるか!」

 

 

「ずいぶんと硬い鎧だな……ならば次はその首切り落としてやろう」

 

 

アーチャーがさらに大量の宝具を打ち出そうとしたが

 

 

「……貴様ごときの諌言で、王たる我の怒りを鎮めろと?大きく出たな、時臣……」

 

 

アーチャーは怒りが収まらない様子だがバーサーカーから視線をはずし、他の三騎のサーヴァントにいい放つ

 

 

「雑種ども、次までに有象無象を間引いておけ。我と見えるのは真の英雄のみで良い」

 

 

そしてバーサーカーに視線を戻し

 

 

「だが貴様は別だ、人形。貴様は我が手を下す。期が満ちた時、貴様の最後だ」

 

 

「それはこちらのセリフだ、アーチャー」

 

 

その言葉を最後にアーチャーは霊体化しその場を去った

 

 

「さて……」

 

 

バーサーカーの動きに感心していたセイバーだが、不意に直感が働き頭を下げると

 

 

「ふむ、完全に落とせたと思ったのだがな」

 

 

バーサーカーの振り抜いたサーベルが頭上を通り過ぎていった

 

 

「なんのつもりだ!バーサーカー!」

 

 

セイバーは距離を取り、バーサーカーを睨み付けるが、バーサーカーはそんなことお構い無しにセイバーに追撃を仕掛ける

 

 

「くっ!」

 

 

セイバーも迎え撃つが、やはり片腕しか使えないというのは厳しく、そこにバーサーカーの圧倒的な技量が加わり。後手に回るしかなかった

 

 

「なっ!?」

 

 

そしてバーサーカーがセイバーの不可視の剣を蹴りあげ、セイバーの胴が晒された。バーサーカーはそのまま袈裟懸けに切ろうとしたが、その一撃はランサーによって防がれた

 

 

「なんの真似かね?ランサーくん」

 

 

「それはこちらのセリフだ、バーサーカー。そこのセイバーには、この俺との先約があってな。これ以上つまらん茶々を入れるつもりなら、俺とて黙ってはおらんぞ?」

 

 

「そんなこと私の知ったことではない」

 

 

そう言った瞬間、ランサーとバーサーカーの姿がぶれ、連続して甲高い鉄の音が響いた。お互いに今回の聖杯戦争中最速を誇る二騎の戦いは一瞬で数十回打ち合い、バーサーカーがランサーの腹に前蹴りを入れたことによりお互いに距離を取る。そして再び接近しようとしたが、ランサーの動きを何者かの声が遮った

 

 

『何をしている、ランサー。セイバーを討つならば今が好機だ、バーサーカーと共闘しセイバーを討ち取れ』

 

 

「……っ! セイバーは、必ずやこのディルムッド・オディナが誇りに懸けて討ち果たします!この私とセイバーとの決着だけは尋常に……!」

 

 

『主の命に歯向かうか、ならば令呪を使おう』

 

 

「…主!?」

 

 

ランサーの動きが一瞬とまり、次の瞬間セイバーに攻撃し始めた

 

 

「すまん……セイバー」

 

 

ランサーは苦悶の表情を浮かべたままセイバーに連撃を浴びせる、そこにバーサーカーが加わりセイバーが倒されるのも時間の問題かと思われたが

 

 

「AAAALaLaLaLaLaie!!」

 

 

ライダーの戦車による突進に阻まれた

 

 

「バーサーカーよ、無粋な真似をするでない」

 

 

戦車による突進を余裕をもって回避したバーサーカーはライダーに向き合い口を開いた

 

 

「無粋な真似?何を言っている。戦場で弱った者から叩くのは当然の事だろう?私からすれば弱ったセイバーを討ち取ろうとしない君達のほうがおかしいと思うがね」

 

 

それを聞いたライダー真剣な表情のまま、問いを投げ掛ける

 

 

「確かにそういう考え方もできるが……バーサーカーよ、お前には英霊としての誇りは無いのか?」

 

 

それを聞いたバーサーカーは何事もないようにサーベルを鞘にしまう

 

 

「馬鹿馬鹿しい、これは騎士の決闘では無い。戦争に騎士道なんぞ持ち込むな」

 

 

「貴様……騎士道を侮辱するか!」

 

 

バーサーカーの言葉に声を荒げたのはセイバーだ。バーサーカーの言う通りここでセイバーに対して二人で攻めればすぐにセイバーを倒せるだろう。騎士としての誇りを捨てて戦えなど我慢ならなかった

 

 

「確かに君達は生前、騎士道を持って誇りある戦いをしてきたのだろう。だが時代が違う、勝つために全てを捨てる。それが戦争だ」

 

 

それはまったくの正論であり、セイバーとランサーは言い返す事ができなかった

 

 

「逆に訊こう、ランサーくん。君の行いは騎士として正しいのかね?」

 

 

「何だと!?」

 

 

「騎士というものは主に仕え、忠を尽くすものだと記憶していたが。君は主の命に背き、あまつさえ切り札とも言える令呪さえも使わせなお抵抗している。それは騎士として正しい行いなのかと聞いている」

 

 

「違う。私は!」

 

 

「まあ、私は客観的な意見を述べたまでだ。君は君の思う騎士道を貫けばいい、それが主に忠を尽くすことになるとは思えんがね」

 

 

その言葉を最後にバーサーカーも霊体化し、その場から離れた。こうして第四次聖杯戦争の初戦は重い空気と共に幕を閉じた

 

 





やってしまった……

深夜のテンションも重なってブラッドレイがすごいことになっていますが、原作でも戦車の弾切ってたりしてたんで若ければそれぐらいできそうですよね


あと騎士道については自己解釈しています。ブラッドレイならこんぐらい思ってそうですしね



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