細かく細かく書き込もうと思って、細かい描写に力を入れてみたりしました。
それはともかく菊月可愛い。
揺れる波に、霧のような小雨。
一足一足に力を込めて、不安定に揺れる海を踏みしめて駆ける。一歩踏み出すたびに、艤装と刀の重みで足が軋む。むしろ反動をつけられる、頼りになるそれらの重さを感じながら更に一歩踏み出した。途端、眼前の海が俄かに盛り上がる。これは――新たな敵だ。
「――ハチ!」
「知ってる!」
僅かなコンタクト。視線と言葉を一つずつ交わすだけで意思は伝わる。いきなり至近距離に現れた敵艦は駆逐ニ級が三、そのどれもが、大口を開けて鈍い牙と迫り出した砲塔を此方へ向けている。
間髪入れずに、それらへ向けて意思を固めぐっと足に力を入れる。形の無い敵意が艤装に伝わり、がちりという鈍い音と共に魚雷を四発放とうとし――
「……ちいっ、面倒なっ!」
雷撃より先に敢行された敵の砲撃が、
「回避成功……!さあ、これならどうだ……!」
足先をまっすぐに通り過ぎてゆく砲弾を見送り、そのまま空中で再度艤装に力を入れ込める。ぶしゅう、という音と共に発射された無骨な酸素魚雷が海中へ突き刺さり、そのまままっすぐに敵へ接近した。着水と同時に、爆発。魚雷に込められた炸薬が膨れ上がり、薄暗い海の上に三つの明かりを生み出す。同時にやってきた熱風が一瞬、鬱陶しい小雨を吹き飛ばした。
「……仕留めた?いや、これは――!」
ハチの姿が見えない。行動を一瞬で決め、吹き上がる爆炎の中へ向けて単装砲を乱射する。おそらく海面へ突き刺さり、飛沫を跳ね回らせているであろう弾の行方を見ることなく撃つ。追加の爆発はなく、疑問を抱いた瞬間。
「……っ!?ぐ、ちいっ!」
その隙を突いたかのように、煙の中から数発の弾丸が放たれた。何発かは外れ、
「っ、ごめん菊月!浮上する前に幾つか沈めてやったんだけど、何体かそっちへ――って、怪我っ。ごめん、単装砲まで!」
「まだ武器はある、私としては事前に沈めてくれた方に感謝したいのだがな。そして、肝心の敵は……っ!なんだとっ!?ハチ!」
「え?――わぁっ!!く、ありがと菊月」
ハチへ向けて放たれる幾多の砲弾。身体を縮こませてせめてもの防御体勢をとるハチの前に躍り出て、刀を振るう。一発目は、左手の『護月』を袈裟斬りにし斬り落とす。二発目も手首を返し『護月』を斬り上げ両断。憎々しげに前を見ると、砲弾を放った深海棲艦――同じく三体の、軽巡ツ級を視界に捉えた。
その瞬間、遅れて迫り来る残る砲弾が俺の視界を埋める。
三発目は右手の『月光』で。ほぼ同時に飛来した四発目と五発目は、両手で同時に処理する。
そこで体勢が崩れ、残る一発をわき腹に食らった。斬り飛ばした反動と被弾の反動で、ぐらりと身体が交代する。ぴとり、と背中にハチの感触を感じた。ふにょん、という明らかに柔らかく盛り上がった箇所の感触も。密かに、『俺』はガッツポーズ。まだまだ余裕はある。
「う、またはっちゃんのせいで!――いや、違うね。冷静になるよ。ミスは働きで返す、潜航するよ!」
「ああ、任せたぞハチ。……?通信……」
背後のウェストポーチに架けた無線機が、ぴろぴろと情けない音を立てる。そのままスイッチだけを入れ、砲弾を斬り落としつつ応答する。通信機の向こう側に居たのは加賀だった。
『菊月っ、そちらはどう?』
「あまり芳しくない。現在は、軽巡ツ級を相手にしている。数は三体。新たな深海棲艦が更に現れるかも知れぬ、早期の合流は不可能そうだ」
『そう。鈍っている――と言いたいところなのだけれど、此方も同じだわ。ル級が三体、その内一匹は
「……ふっ。お互い、沈まぬようにな。こいつらを斬り捨て次第、合流しよう……」
『其方へ援軍を送れない、と言うつもりだったのだけれど。全く、減らず口ね。――気をつけて』
ぶちり、という音とともにスピーカーから流れ出る音は小うるさいノイズへと変じる。電源を切る暇も惜しく、そのまま放置。此方もあちらもお互いに苦戦しているようだ。戦況や深海棲艦の種類に思うところはあるが……それら全てを思考の外へ投げ置く。
「…………っ」
軽巡ツ級三体の放った、容赦の無い砲撃が
「…………ふう。さあ、」
弱い相手や艦娘ばかり相手にしていたせいで、どうも鈍っていたかも知れない。『俺』が『菊月』に、『菊月』が『俺』に喝を入れる。そうして二人で、眼前のこいつらならば肩慣らしに丁度いいと嘯いて見せた。
目を開く。
「……沈め、深海棲艦……!」
一息で言葉を吐き出し、両足に力を込め、一気に跳躍。暗い海を照らす
あ、そういえば艦これRPGのルルブ買いました。
プレイ目的じゃなくて、これを書くための資料として、ですけれど。