私が菊月(偽)だ。   作:ディム

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ザ・秋刀魚ハンターズ、その七

秋刀魚漁の開始――解禁、と言うとよりそれらしく聞こえるか――から、四日。既に幾つかの秋刀魚を水揚げし、陽炎に一歩リードされたまま迎えた折り返しの日。勝負ごとと言うからには負けるわけには行かない、一層奮起せねばならない筈の菊月()は、

 

「…………むぅ」

 

午前九時、食堂で遅めの朝食を摂っていた。今日の朝食はフルーツサンドイッチとミルク、ヨーグルト。隣にすわる三日月も、向かいに座る長月も、テーブルに着く姉妹たちは皆同じものを食べている。

 

「ほら、お姉ちゃん。あんまりむくれないでください」

 

「……むくれてなど、いない」

 

「いや、むくれているぞ菊月。お前の視線を真っ向から受け止めている私が言うのだから間違いない」

 

三日月と長月から窘められ、口を閉ざし、閉ざした口を開いてサンドイッチの欠片を口に放り込む。ミルクの入ったマグカップを両手で持ち飲み干せば、それをゆっくり机に置いた。

 

「ま、仕方ないっぴょん。菊月も、今日くらいは良い休日だと思って休むと良いぴょん。でないと身体冷やしそうだし」

 

「そうね。まあ――この天候ですものねぇ」

 

如月の言葉に嘆息。ヨーグルトを掬ったスプーンを口に含み、背後を振り返る。空を覆う黒雲、強風に荒れる海とガタガタと音を立てる窓。そして、海も地面も等しく強烈に打ち据える大雨。

 

――少し先も見通せないほどの大雨が、今朝からここら一帯を襲っていた。

 

「……しかし、大雨程度で出撃中止など。あまりに軟弱なのではないか……」

 

「こーら、菊月ちゃん。分かってるのに分からない振りをするのは良くないわよ」

 

「……第一に、深海棲艦から奇襲を受ける確率の増加。第二に、被害を出した際の撤退が上手くいかない可能性を考慮。第三に、この雨に乗じて鎮守府(此処)を直接襲撃された際に備えて、だったか。……はぁ、どうしようもないとはいえ、な……」

 

溜息をつき、ヨーグルトを口に運ぶ。酸味で目が覚めようと、出撃は無いのだ。菊月(俺達)としては少しでも陽炎に追いつきたいところ、その機会を潰されたのだから堪ったものではなかった。

 

「ま、いい機会だと思って休憩するっぴょん。今日一日はゆっくり休んで、明日からまた秋刀魚を獲ればいいぴょん」

 

「……仕方ない、か。まあ、近くまで深海棲艦が攻めてくれば否応無しに出撃の招集はかけられるだろう。それに期待でもしておくよ」

 

「むー。お姉ちゃん、たまの休みなんですから一緒にゆっくりしましょうって」

 

「はは、いい加減観念しろ菊月。――よし、今日は私達みんなで遊ぶか!」

 

長月の言葉に喜色を浮かべる姉妹達。こうなればもう逃れることは出来ないかと、『俺』と『菊月』は互いに苦笑いをする。同時に、参ったと言わんばかりに両手を挙げた。

 

「……分かった、従うさ……」

 

結局その後は丸一日、姉妹と過ごすことに時間を使った。とりとめも無いことを喋ったり、テレビを見たりカードをしたり。久し振りに姉妹みんなで風呂に入り、夕食を済ませ――

 

「……よし、逃げ切った……!」

 

――菊月()は今、明石の工廠にいた。

 

「あはは。菊月さん、こんばんは」

 

「こんばんは、明石。……私の艤装はちゃんと置いてあるか?」

 

「ええ、置いてますよ。点検という名目で、倉庫から持ってきましたから。――でも、本当に準備しておくんです? こんな天気の日に、しかも夜中に深海棲艦が襲ってくるとは思いませんよ」

 

「私とて同感だとも。だが、万が一ということもあるだろう? それに――もしもこと(・・)が起こった時にお前に頼んでいたことを成功させることが出来れば、大量の秋刀魚を獲得できる筈だからな……」

 

言って明石に背を向け、台座に鎮座する艤装へ向き直る。正式に塗装の成されたそれは、より一層如月達が背負っている艤装と似たものとなっていた。そこに、副兵装として漁の道具を取り付けて行く。

 

「うーん。こんな夜にまで備えをしてる所は、やっぱり神通さんに教えを受けただけはありますよね。そう言えば神通さんも同じように船渠で艤装を見てた筈です。もっとも、彼方は夜間哨戒任務を提督から命じられたいたからでしょうし、今では既に哨戒に出ているでしょうけれど」

 

「任務、か。何なら私にも、それを命じてくれれば良かったのだがな……」

 

「その辺りは提督の采配ですからね。まあ、何かあれば連絡が入る筈ですし――」

 

ぶつん、と一つ、天井に備え付けられたスピーカーからノイズが入った。全館のスピーカーに繋がる、放送室のマイクの電源が入れられた音だ。

 

『艦隊に通達、艦隊に通達。現在哨戒中の艦隊が、深海棲艦の一群と交戦を開始したとの連絡がありました。夜番の艦娘は艤装の準備を始めてください。繰り返します、現在哨戒中の艦隊が――』

 

「――入ったな」

 

「入りましたね」

 

何故かじとっとした目で此方を見つめてくる明石。こうなったのは私のせいではない、と釘を刺しつつ、明石に頼んで提督の執務室に繋がる内線を使わせてもらう。数コール。短いその時間の後に、がちゃりという音と共に提督と通話が繋がった。

 

『こちら提督。どうした、明石?』

 

「……残念だが、明石ではない。司令官、菊月だ……」

 

『む、どうした菊月。明石の工廠から内線か? 必要ならば自室にあるだろうに――いや、元々そこに居たわけか。お前のことだ、今の放送を聞いたな?』

 

「その通りだ。ならば言いたいことも分かっているだろう?――司令官、私も深海棲艦の警戒に出撃させてくれ」

 

『分かった。夜番だけでも問題は無いだろうが、手は多いに越したことはない。出撃後の報告書の提出だけ自己管理するなら許可を出そう』

 

「感謝する。……あと、もう一つ頼みたいことがあってな。戦闘が鎮守府近くに及んだ場合、船渠の屋根に取り付けられている大型探照灯の使用許可を貰いたい」

 

『――良いだろう、其方も許可する』

 

許可を貰えば礼を言い、使用する艤装等の報告を済ませれば受話器を置く。そのまま、明石の方を振り返った。苦笑いをしている彼女に、ふっと微笑みかける。

 

「……さて。こうも話が進むと何やら恐ろしいが……これも言っても仕方のないことだな。出撃する、探照灯の方は任せたぞ」

 

「無線で指示をくれれば操作しますよ。お気をつけて、菊月さん」

 

片手を挙げることで言葉に答え、艤装を背負い立ち上がる。ちらりと目をやった窓の外は、夜と雨雲によって闇がもたらされている。菊月()はそこへと戦いに出るため、扉を開き仄暗い廊下へと一歩踏み出した。




睦月型みんなにボイス実装おめでとう!!
最高のクリスマスプレゼントです!!!!

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