私が菊月(偽)だ。   作:ディム

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硝煙の匂いのしない日常回、ショッピングの話。(ショッピングに行くとは言っていない)

第三章はコロコロタイトルが変わります。


菊月(偽)達のショッピング、その一

「ショッピングに行きましょうっ!」

 

明るい三日月の声に叩き起こされる。視界に入る白い髪を払いのけつつ壁にかかった時計を見ると、時刻はマルロクマルマル。久々に与えられた長期の休日、その一日目だけに少し寝坊するつもりだったのだが三日月は他の姉妹も起こして回っている。

 

この鎮守府では、各艦娘に定期的に休日が与えられる。全艦一斉に鎮守府を空けることは流石に無いが、例えば我々睦月型は纏めて休みを貰えたりする。『俺』であったころに耳にした、週休零日(オリョクル)有給返上(バシクル)手当皆無(キスクル)永久労働(カレクル)は存在しない。

 

「ほら、卯月お姉ちゃんっ!布団にくるまってないで、ショッピングに行きましょうよぉっ!」

 

「ぅぁ〜、何するぴょん〜、後生ぴょん〜」

 

卯月の気の抜けた悲鳴を耳にしながら、寝惚け目を両手で擦る。無人島で生活をしていた頃は日の出と同時に勝手に目が覚めたものだが、随分弛んだものだと内心思う。その割に、任務と訓練以外での夜更かしは苦手なままなのだが。

 

「んぅー。三日月ちゃん、ちょっと声が大きいわよ。関係無い人まで起こしちゃうじゃない。でも、お買い物に行くのは良いと思うわ」

 

ふわぁ、と欠伸をしながら間延びした声で如月が言う。確かに、二人の争う声だけでその『関係の無い』俺も起こされたし、俺の隣に寝ている長月ももぞもぞと起き上がり出している。ちなみに今朝は早く起きているだが、俺のもう反対側にはいつも三日月が寝ている。

 

「……買い物、か。ん、くぅ……まあ、別に構わないのではないか……?」

 

『俺』と違って彼女達は可愛らしい女の子だ、そういうことは好きなのだろう。行きたいと言うなら行けばいい、その間俺は鎮守府で羽を伸ばさせてもらおう。

伸びをしながら答え、ちらりと長月を見る。いつもはなんだかんだと言う長月だが、その実こういうイベントが好きだということは周知である。仕方無いな、と言いながらまだ夢の中の長月を起こす俺の視界の端には、三日月に何事かを呟かれた瞬間に跳ね起きる卯月の姿が映る。三日月め、どんな手段を使ったのやら。

 

「なんだ、朝から騒々しいぞ三日月。―――なに、買い物だと。ほう、そいつは良いなっ!」

 

頭が冴えるや否や、目を輝かせる長月。飛び起きればさっさと顔を洗いに出て行ってしまった。部屋を見渡せば、残っているのは如月だけ。此方を待っていてくれているようだ。

 

「すまないな、如月……すこし、遅れてしまった」

 

「あら、構わないわ菊月ちゃん。さ、みんなを追いかけて朝御飯を食べに行きましょう」

 

―――――――――――――――――――――――

 

如月と一緒に食堂の扉をくぐる。7時前だが、任務のある艦娘にはそんなことは関係無い。今朝もある程度の艦娘達が、思い思いに朝食を摂っているようだ。

 

任務がある艦娘と、そうでない艦娘を大雑把に見分けることは簡単だったりする。例えば、今朝の我々睦月型姉妹は誰が見ても休日だと答えるだろうし、逆に向こうの第六駆逐隊は今日も任務だと判断出来る。今間宮さんから食事を受け取っている大和はパジャマすがたであり、休日のようだ。

―――そう、パジャマ。寝間着。任務のない艦娘は、およそ朝食を寝間着のまま摂るのだ。ちなみに、彼の戦艦『大和』の寝間着は可愛らしい薄黄色のものである。

 

間宮さんから朝食を受け取り、姉妹艦の待つテーブルへ向かう。一番遅かったのは俺のようで、卯月と長月はわいわいとどこへ行くかを話し合っている。

 

「すまないな、少し遅れた……」

 

「あ、菊月お姉ちゃんっ!ねえ、菊月お姉ちゃんは何処へ行きたいですか?」

 

三日月が俺に問いかけてくるが、菊月()はそれに対する答えを持ち合わせていない。そもそも、任務と遠征以外で鎮守府から出た事すら無いのだから。

 

「私に聞かれてもな。私は生憎、この鎮守府以外を知らぬ……。お前達が出かけるのなら、お前達の好きな所へ行けば良いのでは無いか?」

 

「え、そうですよ?だから菊月お姉ちゃんにも聞いているんですよ」

 

お互いに顔を見合わせ、首をかしげる。端から見れば微笑ましい光景だろうが、菊月()の頭の中では何やら不穏な空気が流れ始めていた。

 

「……いや、三日月。『お前達が』、買い物に行くのだろう?」

 

「だから、そうですってば。『私達五人で』ショッピングに行こうって何度も言ってるじゃありませんか」

 

如月を見れば、此方を見て微笑んでいる。長月と卯月も、何を言っているのだとでも言いたげな顔で此方を見ている。そして『俺』自身も、普通に考えれば菊月()だけを置いて姉妹達が遊びに行く筈がないと分かる。

 

「―――いや、済まない。寝ぼけていたようだ……」

 

勿論大嘘である。どれだけ頭を巡らせてみても、『俺』は勿論『菊月』にも、そういう『女の子だけで遊びに出かける』という経験は引き出せない。つまり、ピンチである。

 

内心の動揺を隠せないまま、菊月()はゆっくりと朝食を食べ始めた。




さて、みなさん。
ここで突発アンケートの時間です。

みなさんは、『睦月型にこんな服を着せたい』と思ったことはありますか?
―――私はあります。みなさんも、勿論あるでしょう。

そんなみなさんを見込んで、アンケートを行いたいと思います。

ズバリ、『如月、卯月、長月、菊月、三日月の五人が、ショッピングの際にどんな服装をして来るか』。此方に関して、みなさんの意見をお聞きしたい次第でございます。私だけの想像力では、五人全員の服を考えるなんて出来ませんからね。

また、『菊月』に関してのみ『着てくる服装』ではなく『今回購入する服装』とさせて頂きます。理由は、菊月が今一着たりとも寝間着といつもの服以外の服を持っていないからであります。

一人分からで構いません、『この娘にこんな服を着せたい』というのを私にお伝え下さい。力をお貸し下さいませ。

アンケートの回答用に、活動報告を作ります。そこに、良ければご協力下さい。また、くれぐれも感想欄にはアンケート回答を書き込まないで下さいませ。
期限は明日、私が次話を投稿する寸前まで。
また、選考は私の独断です。(着てこなかった服も持っている、ということにはさせて頂きます)

これで宜しければ、どうかお力をお貸し下さいませ。


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